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猫の家族の肖像、の最終回です。
「お姉さん」と「いもうと」のいきさつはこちらにも少しありますが、詳しく書くことにしましょう。
2011年に「おばあさん」が死んで、3週間くらいした時に東日本大震災が起きました。
「おばさん」が人を拒絶して餌がありさえすればいい状態だった事もあるし、また、こちらに書いたように、私は地震の後の原発事故で作品の写真撮りなどで慌ただしく日々を過ごしていました。
また、私は、「おばあさん」で猫ライフはかなり満喫したし、旅行など自由に出来るからもう「おばあさん」の替わりは飼わなくてもいいかなあ、と半分思っていたのです。
ところが、根っからの猫好きな夫が、いじれる猫が居ない生活に耐えられなくなってきます。何しろ「おばさん」はいないも同然に人間を拒否していましたから。
「「おばあさん」は朝いつも迎えに来てくれたね」とか、「「おばあさん」はこうやってエサを食べていたね」とか、食事中も言っているし、時には私の仕事場にまで来てひとしきり話していきます。
少し煩く感じるほどで、「これは他の猫を探してこなければ」と私は里親サイトなどで探し始めますが、なかなか条件にあう子がいませんでした。(夫は言うだけで探そうとはしないし……)
そんなある夜、私がいつもとは違う散歩道をウォーキングしていたら、川のほとりで震えている「お姉さん」を見つけてしまったのです。
ほんとにいつも猫の方からやって来る不思議!
家からは歩いて5分と掛からないところで、そこから携帯で家に電話すると夫がキャリーバックを持って現れました。
「え、もう飼う気なんだ?」と思ったけれど、首輪はつけてないし、空気のように軽くそこに放っておく事も出来ないし、そのまま家に連れてかえりました。
……というわけで、
いればいたで子猫は可愛いし、しかも長い間年寄り猫との暮らしだったので、すぐに我が家は子猫の「お姉さん」を中心にまわり始めます。
これは我が家にきて四日目の「お姉さん」。子猫は「にこげ」があって描きづらいのですが、拾われて来たばかりの不安そうな様子がよく出ている一枚だと思います。
一方「おばさん」は餌があればいいだけで、相変わらずケージで寝ていますが、子猫を見て機嫌がいいはずもありません。シャーシャー言ってます。しかし、これも本当に不思議な事に、「お姉さん」がきてしばらくすると「おばさん」は人を拒絶したままケージで死んでいきました。
実にスムースに世代交代が行われ、「お姉さん」は夫がいなければ夜も日も明けないほど夫になつきます。夫もまんざらでもなさそう。
私はと言えば、先に書いたように「おばあさん」でもう猫はいいと思っていたので、もっぱら絵のモデルとしてつかず離れずつきあっていきます。子猫の体つき、動き、すべてが描いていて面白いですから。
ただ、「お姉さん」は身体の色が我が家の床の色と同じであまりデッサンしやすくなかったのと、床にとけ込んで足下に居る事に気がつかず踏みそうになる事が良くありました。
で、このまま、順調に行くのか、と思っていたところ、「お姉さん」には強烈な噛み癖がつき始めます。
これには参りました。
抱くのはもちろん、撫でようとしても噛むのです。しかも甘噛みではないから、私たちは傷が絶えなくなります。夫はそれでもなつかれているからまだしも、私はかなりまいりました。
……で、
「いもうと」がやってきました。
おかげさまでこちらに書いたように、「いもうと」がやって来て「お姉さん」の噛み癖は無くなり、今二匹は朝から晩まで昇ったり降りたり追っかけこしたり、疲れると仲良く寝ています。
よく「飼い主が猫を選ぶのではなく、猫が飼い主を選ぶのだ」と言います。我が家の猫履歴を振り返ると、その通りだな、と思います。
では。