月別アーカイブ: 2015年2月

川を遡る船のように突然現れる何か

久しぶりの存在証明です。
更新しない間も、検索エンジンから来て頂いていて、
過去記事も生きるブログならでは。
検索文字も、ネット詐欺から山茶花デッサン、まで多彩です。

ほんとうは2月に入ったら、どんどん更新する予定でした。
記事も下書きがいっぱいあって、清書すれば上げられるものが10本位たまっている。

でも、いつもパソコンの前で考え込んでいました。

あまりに現実が浮世離れしていて
(という言い方も変だけど)
劇画みたいで、
ホントこの先、日本はどうなっちゃうのだろう。
出るのはため息ばかり。
全然言葉が紡げない。

歴史の海のただ中にいると、なかなかそれを自覚するのは難しい。
パリに客死した思想家の森有正はエッセイの中で
流れているのか流れていないか分からないような時間の動きを
セーヌ川を遡るバトームッシュ(遊覧船)の動きに例えています。

川の流れに添って(上流から)下る船は目の前をすーっと通り過ぎていくのに
遡上して来る船は彼方から移動して来るのに、ほとんど動いていないように見える。
書物に目を落して、ふと目を上げると、まだ、動いているようには見えない。
そんなことを繰り返して、まだ来てないだろうと思って顔を上げると
今度は船はほとんど目の前に来ていて、驚く。

本来、時の流れというのはこういうものなのでしょうが、
今の政権になってから、
日々の変化がすごくて毎日が歴史のただ中という感じ。
その波の強さに個人ではとても抗しきれなくて
苛つくばかり。

多くの人が、自覚するしないに関わらず
似たようなイライラ感を抱えているから
街に出ても何となく殺伐としているし
テレビやニュースもその時々の誰かを叩くことに熱心。

株価は上がっていると言うけれど、
散歩していると街は空き家が増えているし、商店街もなんだか活気が乏しい。
実感とニュースが違いすぎるのですね。

原油が下がっているので、
なんとか円安でも息継ぎが出来ている。
でもそれは、裏を返せばアベノミクスが破綻しているにもかかわらず、
延命している理由で、それも後から影響が出そうで怖い。

たったひとりの息をを吐くように嘘をつく政治家によって
ここまで国が変わることを目の当たりにすると、
本当に政治って大事だな、重要だな、と思う。

しかし、一方で、どんな局面でも日常は続くんだな、
とも思う。
先の森有正の例えだと、
セーヌ川の流れが日常だとすると
バトームッシュはなんなんだろう。

ああ、もしかすると「戦争」かもしれないし「改憲」かもしれない。

まだだまだだ、と思っていると、
もう目の前。

何が気に食わないか、と言うと、
「改憲」したいならコソコソしないで堂々と発議すれば良いのにしないこと。

結局嘘をつくのも、国民に都合が悪いことだからですね。
そうやって進めることはろくでもないものに決まっています。

明日から3月。
3月決算の単年度の日本は、一月行った、二月逃げた、3三月去った
と言います。

しかし日常に長されつつも、時々バトームッシュの動きを確認することが
とても重要な新年度になりそうです。

最後に2007年に第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画
「善き人のためのソナタ」をご紹介しましょう。

このところの急速な時代の流れを
どういう形で言葉にできるか考えていた時に
急にこの映画を思い出したのです。

この映画は東ドイツ時代の監視社会を描いた秀作です。

言いたい事が言えない監視社会。
強固な共産主義体制を敷いていた旧東ドイツには、
その統治機構の中枢をなしていたシュタージという組織があり、
芸術家や西側の情報を手にする人たちを監視活動していた時の話しです。

この映画を見た時は全くの別の世界の話しと思っていた社会が
実はそれほど遠いところのことではなかったのだとも思います。
ほんとうに日常と非日常は地続きなんだと思いしらされています。

この「善き人のためのソナタ」では、そのシュタージの工作員が、
西側と通じているという小説家の監視を命ぜられます。
その盗聴のための工作など「ここまでやるか」感があって驚きです。
ところが、工作員ヴィースラー大尉は、小説家の生活を垣間見るところから
少しずつ心が揺らいでいきます。

そのキッカケになるのが、美しい音楽なのですね。
美しい音楽に心をゆらされるシーンは秀逸です。
その変化の様子をウルリッヒ・ミューエという東ドイツ出身の俳優が演じます。
ウルリッヒ・ミューエ自身、東ドイツ時代シュタージに監視されてたと言っています。

この映画、監視だけではなく愛もあり裏切りもあるのですが、
結末がなかなか良いのです。
お薦めです。

久しぶりにカワセミを描く

久しぶりに、カワセミを描いてみました。
野鳥公園でも手賀沼でもよく見かけるのですが、
小さくてシャッターチャンスを逃します。

先日室内のフィールドスコープから撮影に成功。
現場でのスケッチと合わせて
メスのカワセミを描いてみました。
下嘴が赤いのがメス。上下共に黒いのがオスです。

20150210kingfisher

「飛ぶ宝石」と言われて、人気があるのも頷ける美しさです。
漢字ではその色から「翡翠」と書くようです。
北斎のシャガとナデシコを配した花鳥画にも「翡翠」の横に「くはせみ」とあります。
こちらのサイトにがあります。

これは、昨年の「ボストン美術館浮世絵名品展」にも出品されていました。
この絵を見ても分るように、ビデオテープもない時代に
北斎は飛ぶ鳥を実に的確に描いています。

多分、死んだ鳥も参考にしたのでしょうが、
羽の枚数などは数えられても、飛んでいる姿は死んだ鳥からは描けません。
抜群の動体視力の持ち主だったのかもしれません。

さて、私はと言えば、山茶花(サザンカ)を配してみました。
山茶花と椿の違いは、花ごとポトリと落ちるのが椿。
ハラハラと花びらを散らすのが山茶花です。

どちらも、花の少ないこの季節に凛とした姿で花をつけます。

梅便りもチラホラ。
春はもうすぐですね。

手作りの恵みをいただく/金柑のジャム

「いつもの光景が戻ってきました」
で書いたように、あらかたヒヨドリが食べ尽くした金柑の残りを
ジャムにしました。

深さ5センチくらいの瓶に三つ作れました。
もう2週間ぐらい経ち、
毎朝トーストにぬって食べています。

パン屋さんのように、ラベルを作ってみようと思い
週末からイラストレーターというパソコンソフトで
オーナメントを描いていたものが完成。
それに、金柑のデッサンと文字を入れて、瓶に貼ってみました。

プリント

20150202kumquatphoto

オーナメント(飾り模様)を考えるの大好きです。
デッサンから季節のオーナメントを考えて
エスキースに描き貯めてあります。

囲み模様や反転模様などは工夫が必要で
いざとなって作るとなると時間がかかるので、
必要な時にいつでも引き出せるように、それらを描き貯めています。

この金柑ジャムのラベルは、2008年にフィレンツェに行った時に買った
オーナメントの模様集からヒントを得ました。

その本は、一回につき数個までなら著作権に関係なく
使えるのですが、模倣しつつも少しずつ変化させてあります。

こういう模様も、今はデジタルデータが一杯でているので、
ちょっとしたチラシやサイトに使うのなら、
そういうもので充分だと思います。

でも私は、オリジナルを考えるのが楽しいのです。
草花を活かした日本的なものでも、
このような西洋的な唐草でも、とてもエレガントな気分になれます。

「装飾」というのは深い深い文化だと思います。

今回は、今まで手描きで描き貯めたものを
少しずつデータにして行く事によってさらに
変化させて使えると思いいたり、スパイラルペンを使って
イラストレーターでデータを作ってみました。

スパイラルペンを使うのは四半世紀ぶりです。
若い頃建築CADが出来たばかりのころ、そのオペレーターをしていたので
マウスより先にスパイラルペンを使っていました。

ただ、イラストレーターでなかなか慣れず以前一度チャレンジして
諦めていました。
ところが今回、ふとした事からコツが分かり、
そして、なんと四半世紀前の感触が甦って来たのです。

若い頃にやった事って、すごいです。
ちゃんとからだが覚えている。

さて、今は、こんな風に美しい自然とそこからヒントをもらった模様を
お仕事に生かして行けるよう、作品を描き貯めている最中です。
実は、今年の7月に行われる「クリエイターEXPO」という商談会に参加します。

その時に、自分のパンフレットを作るので、
自分が何ができるのか、何がしたいのかをしっかりプレゼンして行く必要があります。

そんな事も視野に入れながら、作ったラベルです。
少しずつ、ハイクオリティなものを目指していきます。

そうそう、写真は、買ったばかりのスマホで撮ってみました。
室内なのにレフ板もなく逆光気味な写真ですが、
全くスマホの能力には毎日驚かされています。
現代のどこでもドア、って感じですね。

第4回クリエイターEXPO