月別アーカイブ: 2015年10月

寒くなるほど赤くなるトウガラシ

10月も終わり。

先日買って来たトウガラシが、寒さを増すごとに赤くなって来たので
スケッチしてみました。

20151031

バナーもコスモスが終わるので、バラにアップデート。
秋のバラは来月頭まで楽しめそうです。

神代植物園秋のバラフェスタ

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ヴィネット / キノコと稲束

稲刈り、脱穀が終わると朝晩は本格的に寒くなってきます。
そして乾燥させた稲束の匂いにはホッとさせられます。
太陽の光を思いっきり深呼吸して取りこんでいるからでしょう。

その稲束をキノコやアキアカネと一緒に
ヴィネット形式で描いてみました。

mushroom

ヴィネット=Vignette とは、広辞苑によると
①(本の扉・章頭・章尾などの)小さな装飾模様【カット】
②ビネット<背景をぼかした風景画【写真】や肩から上の肖像写真【画】
③<優雅な>小品文【スケッチ】

なお、最近は小型のジオラマのこともヴィネットと呼ぶようで、
ヴィネットで画像検索すると、たくさん出て来ます。

で、これはフランス語だろうと思ってロベール大辞典をひくと
①(写本、美術、工芸品などを飾る)ぶどうづる装飾模様;つる状装飾
と一番目に出てきます。

ということで
蔓植物ラブ、の私としては、これからは積極的に
装飾的な「イラスト」のことは「ヴィネット」と呼びたいと思います。

ちなみに
上記広辞苑③の「小品文」は、「日常のちょっとしたことを描いたスケッチ風の短い文章。気のきいた描き方の短文。」
とあり、これってまさに現在の「ブログ」のことですよね〜。

うん、なんか、急に気分が洒落てきました。
言葉の魔力ですね。

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「見ること」は自明なのか?見えないものが見える時

またまた少し時間が開いてしまいました。

まず昨日見た展覧会のお話から。

アートトレースギャラリーでの
西山功一 個展 XX(写真展)と同時開催の
西山功一個展連動企画 ー観察・反応・拡張ー
両展覧会。

西山功一氏の写真展は、
ショーウィンドウなどガラスに映り込んだ景色を
実像とともに撮影し、トリミングすることによって
どちらが実像でどちらが映りこみなのかが分からなくなる
という、作品群。

これは、目のパズルみたいで面白い体験です。

実際のビル街などの大きな空間では、
ショーウィンドウに映ったものと実像を間違えることはあり得ないけれど、
写真として「枠」でトリミングすると
建物の中なのか外なのかすら自明ではなくなるのです。

20151019

錯視、とも違う不思議な体験です。
ガラスを撮影することになるので、
全体的に地味な作品が多いのですが、
一度写真の見方が分ると、面白い体験になると思います。

自分の目が信じられなくなるかも。

そして、後者の工藤春香氏の企画は、「画廊で作品を描き加えて行く」
という実験的な試みがされていて、それは
西山氏のコンセプトから展開されたものです。

工藤氏は写真がトリミングで「枠」に取込まれることによって
視線が限定されることに注目。

普段は見えないのに「枠」が現れる時に見えるものがあるとして、
価値観、道徳観、国、などの「枠」へと思考が拡張されつつ
画廊で加筆されています。
まさに「西山功一個展連動企画 ー観察・反応・拡張ー」
なのです。

コンセプトは難しくても、
自由に描き加えられて増殖して行く様は
ライブならではの躍動感。
白い壁や床にアクリル絵具が映えて色もきれいです。

20151019_2

ところで、
私はご縁があって、アートトレースギャラリーでの展覧会を
ずっと拝見しています。

いわゆる「現代美術」の範躊にはいる作家さんの展覧会がほとんどでしょう。

現代美術は草間彌生氏や会田誠氏でずいぶんとポピュラーになりましたけど
敷居が高い、という人も多いと思います。

極論をいうと、現代美術とは
作者のコンセプトと過程がいっそう重要になるのです。

え、そんな事言われても、という方に
おすすめの2冊をあげておきます。

まず、新書版。
これは実に分りやすく現代アートとは?の疑問に答えてくれる一冊。

上記の本で概要が分かったら、次の一冊。
大学の講義を纏めたものですが、
文章は平易ですし、美学への道も開いてくれるかもしれません。

なお、アートトレースギャラリーは、水曜日と木曜日が休廊ですので、
ご注意ください。

高橋源一郎 × SEALDs 「民主主義ってなんだ?」を読了。

3週間ブログを休んでしまいました。

安保法案のデモに参加してレポート書こうと思っていたら
家族に急病人が出たり、
おまけに寝不足で私まで体調崩してしまいました。

連休明けにお医者さんに行って、睡眠を多めにとって
ようやく復帰です。

このブログは
「観察日記や日々を楽しく暮らすヒントなど」とサブタイトルに入れているように
私の目を通した都会の片隅の小さな自然や日々楽しく暮らす視点を提供できたら
と続けています。

しかし、憲法という国家の根幹であるルールを守らない政権のおかげで、
なかなか我々庶民にとって厳しい時代になってきてしまいました。

マイナンバーも施行されますが、
NHKの受信料やら、奨学金の返済にも使おう、
とかドンドン間口が広がりつつあります。
この国が何を嗜好し、思考しているのか、よく分かります。
後10年もすると私たちはナンバーで呼ばれるのかも、
などと思ってしまいます。

さて、今日の久々の記事では本を取り上げます。
今話題の 高橋源一郎×SEALDs「民主主義ってなんだ?」です。

この本は、2部に分かれていて、
前半は、SEALDsの成り立ちや役割分担について。
後半は、高橋源一郎氏が主となって、ギリシャのアテナイの民主主義から
2500年に渡る民主主義の歴史と「民主主義とはなんなのか』について語るものです。

前半は、内輪話のようにも見えて、実は
SEALDsのメンバーに哲学を専攻している人がいたり、
彼らが実によく勉強していることが分かる部分です。
彼らの運動が、まさに理論と実践の場であることが
この前半で示されています。
そしてSEALDsが今に至るには、運動は彼らが作りながらも、
高橋源一郎氏をはじめとしてサポートする大人の存在も光っていると思いました。

少し話しはそれますが、
国会前の集会、というカタチも、
311以降、反原発に関わって来たひと達が作り上げた
「官邸前抗議」が基礎になっていることは言をまちません。

実際、シールズの若者達も、
官邸前の集会の後には日比谷公園で
車座になって話し合ったりしたようです。

確かに、安保法制に関して、シールズはメインアクターになったし
彼らの求心力は磁力のようでしたが、
彼らが突然現れたわけではなく、
様々な前段があり、パズルのピースが埋まるように
シールズがピタッと嵌ったわけです。

もう一つの彼らの上手さ、「本当に止める!」とか
「民主主義ってなんだ?これだ」などのキャッチコピーの辺りの話しも面白いです。

そして、後半は、日本人すべてに一度は目を通してほしい
(もちろん、首相や議員にも)
高橋源一郎氏による「民主主義について」のレクチャーです。

高橋源一郎氏は、4年前から朝日新聞の連載を持ったために
民主主義について様々な文献を読んで来たようです。

5月にはこちらの本も上梓しています。

高橋氏は、まず言葉の定義の重要性を説き
小田実のベ平連などの話しなどから
ギリシャのアテナイの民主主義の話へと繋げて行きます。

本書では高橋氏がペリクレスという政治家をよく引き合いに出します。
アテナイの名政治家と言われた人です。
そのペリクレスの演説の一節が
テュキュディデスの書いた「戦史」という書物に載っているのだそうで、
全文掲載されています。
それが「民主主義ってなんだ?」の見本のような一文。

その文はネットでも読めますが
本書のはもう少し読みやすくなっています。

しかし、面白いことに、実はソクラテスもプラトンも
民主主義はよくない、
と言っていたのだそうです。

というのも、衆愚政治になるから、
つまりポピュリズムに陥るから、ということです。

この本の後半では「民主主義」も完全ではない、
しかし、2500年前に生まれて、結局しぶとく生き残っている。
人間はまだ民主主義を使いきっていないのではないか?
そして民主主義を使う人間も、不完全だし弱い存在である。
というような、様々な方面から語られます。

詳しく内容に触れると読む楽しみがなくなっちゃうのが
書評の難しいところ。(笑)

そこで、一ヶ所だけ引用します。

高橋 そうそう。認知症の人間も障がい者も実際に弱い。でもそこで「平等」「同じ」というフィクションを作ったとき、そこに出来る共同体は実はすごく強い。リアリズムでやっているつもりの共同体のほうが実は弱い。「弱い人間はあっちに行って」という風にやると、強い人間だけが真ん中に残るいびつな社会になる。弱い人間も入れて、全部平等で同じっていう風にして行く世界の方が、運用は難しいけれども、結果としてはるかに強いものになる。(p.180より。後略)

これは、現政権が嗜好する「全体主義」へのアンチテーゼでもあり、
今の社会の風潮への警鐘でもあるように感じました。

それから、面白いなと思ったのは、
アテナイの民主主義では、みんなが丘の上に集まって話し合うのだけれど、
前提として「愚かな発言をしてはいけません」というのがあるのね。
永田町の議員さんたちに聞かせたいですよ。

なお、
「民主主義」の歯止めとしての「立憲主義」にも触れられていますが、
この点は、もっともっと踏み込んで欲しかったと思います。
これは少し残念だった点。

立憲主義、って要するに「人間は間違う存在だ」「多数決も間違えるんだ」ということです。
これは非常に大切な視点。
立憲主義については、以前伊藤真さんの講演を記事にしています。

さて、シールズは、もうすぐ新刊「民主主義ってこれだ!」も出すようです。

メンバーのスピーチや応援メッセージなどが収録されている模様。

まさに、「民主主義ってなんだ?」で語られたように、
言葉がある限り民主主義は終わらないのでしょう。

そして

民主主義は本来、その共同体の成員全員が当事者でしょ。
(p.189。高橋源一郎氏の言葉)

というわけで、
シールズだけではなく、わたしもあなたも自分の言葉で
「民主主義ってこれだ!」と言葉にする番なのでしょう。

It’s your turn!

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