シダは私の大好きな植物の一つです。カラフルな花の美しさは誰もが魅了されますが、花も咲かせず地味なシダには実は隠れファンが多いのです。
さて、先日の話の続きです。
今日の内容は、このブログにしては深刻な話になりますが、重要なテーマです。
ホームページ作りになかなか踏み出せなかった私の背中を押した思わぬ出来事とは、いったいなんだったのでしょうか。
その思わぬ出来事とは、それは忘れもしない2年前2011年の3月12日。
テレビの画面では福島第一原発第一号機の建家が、吹き飛んでいました。
私はテレビで繰り返されるその映像を見て足がすくんでいました。
私はもともと原発には反対で、高木仁三郎さんの本なども読んでいましたが、よもや、私の生きている間に日本で原発事故が起こるなんて想像だにしてませんでした。
自分や家族の命もそうですが、同時に私の頭に浮かんだのが、マップケースにあるデッサンや押し入れのスケッチブックの山でした。
地震以来ネットに釘付けだった私は、情報収集に余念なく、NHKニュースでも放送されましたが15日の午前10時、東京の新宿区 百人町(健康安全研究センター)の放射線量は0.809μGy/hを指していました。これはいまでも東京都のサイトから確認出来ます。しかし、雨が降らなかったのは不幸中の幸いでした。
「ありゃりゃ、デッサンの山、どうしよう……」と気が遠くなりそうでした。
その後、2011年3月20日からの雨で東京は米ソの冷戦時代の大気核実験時代以来の汚染を被ることになりますが、第一原発は奇跡的になんとか踏みとどまります。
しかし「ただちに影響はない」とメディアや政府は繰り返すのみで、本当の情報は隠されていきます。
私は考えました。
作品を持ち出して逃げることは不可能だけど、これを写真に撮って電子データにすれば持ち歩けるし、さらにそれをホームページで公開すれば、世界の人に見てもらえる、と。
それから私は怒濤のように行動します。
まず、作品の写真撮りです。実はその前年に私は一眼レフを買い、使い方が分からないのでわざわざ写真の学校へ行ってライティングや物撮りを習っていたのです。人生って本当に無駄がない、と思ったものです。
ストロボを買いに行き自分でレフ板を工夫して、毎日毎日スケッチブックやクロッキー帳を100枚ずつくらい撮影していきました。その作業は3月27日から4月の14日まで続きます。4月15日に京都に行く用事があったので終わらせる必要があったのです。京都には撮影したメモリーカードを持って行きました。まだ、第一原発の状況は不安定でしたが、これで私が東京にいない間に原発に何かあっても作品のデータは残すことが出来る、と安堵したものでした。
ホームページ作りも始めます。
HTMLやCSSはかじった程度ですが、私はCADの草創期に仕事をして来た事もあり、独学は苦になりません。2ヶ月くらいで大体の外観は出来てきました。
ところが、その頃、原発の爆発以上に怖い事が起き始めていました。
放射能対策は移動させないことが鉄則なのに、福島では米の作付けが始まり「食べて応援」とか「風評被害」という言葉がメディアを席巻します。
さらに福島の子供たちを疎開させないことに驚愕しました。どうやらこの国の大人は「子ども」という「未来」を助ける気がないらしいのです。普通の人々も実際に起きている事象を見ない振りをし始めました。メディアも原発事故なんてたいした事なかったかのように扱い始めます。3基もメルトダウンして、たいしたことないはずないです。
みんなが真実から目をそらし始めたのです。
これは私にとって原発の爆発より怖いことでした。
なんとかせねば、という思いから私はデモや抗議に参加し始めます。ツイッターでデモや抗議の情報を集めては参加していく日々が始まります。金曜官邸前抗議も最初から参加していました。
こうやって行動しながら私は事態を分析していきました。
現段階では以下のように考えています。
「国も国民も見たくないものを見ない振りが出来るこの国は、下手をするともう一度原発事故を起こす可能性がゼロではない。福島第一は東半分が海だったから被害がかなり軽減されたが、福井や西の地域にある原発に何かあったときの被害は、今回の比ではなくなるだろう。」
では、私は何ができるのだろう。
ここで、表題の「分析は悲観的に、行動は楽観的に。」と、アランが言ったとされる言葉が生きてきます。
どう考えても事態は良くないのだけれど、私が出来る事は毛ほどにも僅かですし、自分の精神衛生も保たねばなりません。だからといって事実から目をそらすことはできません。
で、最近は以下のような指針で行動していきたいと思っています。
①絵を描き続ける。きれいなものも醜いものも描いていく。
②福島の人々の支援を今後も続けていく。
③原発には明確にNOと言っていく。
今日は少しシビアな話になりました。でも、この状況から私たちは希望と未来を紡いでいくしかないのです。
誰もが自分なりの楽しみを見つけ行動していきたいです。私にとってはこのブログもその一つ。
まさに「分析は悲観的に、行動は楽観的に。」
これからもゆるりとおつきあいください。
では。
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