月別アーカイブ: 2015年3月

山の鳥のさえずりで目覚めるプロジェクト

春分の日を過ぎて、どんどん日が伸びて、
日の出も早くなっています。

寒さも和らいで来たし、早起きをしたいと思っている方も
いるのではないでしょうか?

でも、なかなか実行できない、という方に
素敵なプロジェクトをご紹介します。

森林の朝のライブ音聞き取り調査 4月1日よりスタート

聞き取り調査というと難しそうですが、
山の音をインターネットでライブ配信している
「サイバーフォレスト」プロジェクト(東京大学が中心となって運営)を使うことで,
布団の中から,朝の山の鳥のさえずりを聞くことができる、
というめちゃくちゃ贅沢な、プロジェクトなのです。

詳細はこちらのサイトからご確認下さい。

毎日、日の出の10分前からモニタリングするようです。
鳥さんたちは早起きなのですね。

初日の明日は、5寺26分が日の出なので、
5時16分から始まります。

贅沢な早起きのインセンティブ。
まさに、
” The early bird catches the worm.” 《早起きは三文の得[徳]》
ですね〜。

20150331morning

↓ハンディで持ち運びに便利

ヴァーチャルとリアルの界面を泳ぐ作家たち

日曜日29日は、両国にあるアートトレイスギャラリーで開催されている
「その界面を泳ぐ」 展を見てきました。

面白かったです!

と言ってもあと二日で終わっちゃうので残念。
しかも、おばかな私は、iPhoneで写真を撮るのを忘れたので
文字だけで、「何が面白かったのか」を書かなければなりません。

ご案内のハガキを頂いて
「その界面を泳ぐ」 展、という題名に、まず惹かれました。

しかし、即物的な私は、その題名から一番に想像したのが、
海を泳ぐ人が海面から顔を出しているところ。
まさに液相である海を泳ぐ人が気相との界面から顔を出して息継ぎしているところ。

とほほ、、、なんと言う貧困さ。。

自分のイメージの貧困さはさておいて、
出品作家のアイデアや知識の広さは
素晴らしいものがありました。

一言で言えば、
ヴァーチャルとリアルの界面を泳ぐ作家たち
でした。

「界面」というと、
実相ーー気相と液相、液相と液相、液相と固相、
固相と固相の二相間で形成されるーーしか思い浮かべない私でしたが、
「界面」は英語では「interface」。
interface、と言えばパソコンの画面ですね。
まさにデジタルなヴァーチャルと、リアルの「界面」。

作家さんたちには、むしろこちらの「interface」こそが「界面」
として先にあったのかもしれません。

例えば、
ムカイヤマ達也さんの
圧縮されたデジタルデータの捨てられた部分を
ドットで再現した油彩作品。
(ネット上に写真見つけました。)
色がデジタル風味で再現されていて、しかも四角いドットは相当に根気を要するものです。

飯野哲心さんの、
自分をヴァーチャルゲームのキャラクターに仕立て
そのゲーム画面を一センチ四方木片のピクセルを埋めたという
縦横3メートル弱くらいの大作。
(やはりネット上に写真を見つけました。)
横からの写真もあって、、、
まるで、高層都市の遠景ですね。

かと思うと、
赤松音呂さんの
目に見えない地磁気で揺らぐ、蔀(しとみ)の中の風鈴
磁場との界面。

この作品は、私に
以前記事にした、重力だけで重い石を空中に止める
カナダのパフォーマー マイケル・グラブ (Michael Grab) の
「重力接着 (Gravity Glue)」
のことを思い起こさせました。

私たちは、普段は全く意識しないけれど、
重力やら地磁気やら様々なチカラに取り囲まれて生きています。
重力というチカラは、すごく不思議で、
スペースシャトルにしても、驚くほどのエネルギーを使わなければ
地球圏から出て行けないのに、
かといって、冷蔵庫のマグネットが落ちるほどの強さではない。
しかし逃れられず目に見えない。

そして今回
赤松音呂さんは、目に見えない地磁気を
眼前に表出させてくれました。
竹で組まれた蔀の中で、地磁気の風でたゆとう金属製の風鈴。
色からすると銅板か真鍮でしょうか。

伝書鳩は地磁気を感知して場所を知ると言います。
気象庁 地磁気観測所サイト
N極とS極が入れ変わる、という地球の現象もあるようで
そんなとき、赤松さんの作品は、どんな風に揺らぐのでしょうか。
是非見てみたい。

そして、高田慶実さんの
震災の様子を経文のように墨で綴った渾身の作品は、
人間社会と自然との界面のコンフリクトを記してくれたのでしょうか。

また太田翔さんは
ペン(だと思う)で微細に描きこまれたビル群の絵と
ETを想起させる不思議な人形オブジェを出品されていて、
いくつかの作風や素材にまたがる作り手の心の界面を見せてくれます。

さて、
私がわりと作品を写真に撮るのを躊躇いがちなのは
やはり著作権の問題があるからですが、最近はiPhoneの登場で、コンサートなども、
スマホや携帯に限って写真撮影可にしているところもあるようです。

ブログに写真を載せないのは、読み手に余り親切とは言えないけど、
しかし、実物も見てもらいたいし、で悩むところではあります。

でないと、作品との出会いが、「確認作業」になりかねないからです。

今回は、会期も短いので、
写真は
misonikomiodenさんにリンクさせて頂きました。
ありがとうございます。

体力勝負の花鳥風月

昨日はアンズの木を描きに行ってきました。

水曜日に見た時には、花が満開で
数羽のメジロが花の蜜をもとめてひらひら。
昨日は花は少し盛りを過ぎましたが、十分きれいでした。

アンズや椿など昆虫の少ない時期の植物は
鳥が花粉の媒介となることが多いようです。

アンズの花とメジロという、いかにも花鳥風月の絵になりそうな題材です。
しかし、鳥も木も現場に行かないと見ることはできないので、
野外でデッサンすることになり、実はそれは思いのほか体力勝負なのです。
描いている間もほぼ半日立ちっぱなしです。
印象派の画家がイーゼルと折りたたみの椅子を持って野外で制作しましたが、
イーゼルを運ぶとしても、それも一仕事です。

何しろお弁当やら絵の道具を入れた荷物だけでもかなりの重さです。
以前はリュックサックに詰め込んで行っていました。
しかし、お弁当と絵の道具、そして一眼レフを入れるとずっしり。
カメラは一次的にはあまり役に立たないのですが、
やはり動く鳥たちを描くときには、おおいに補助になります。
というわけで、重たくなる一方の荷物を、
今回は試しにキャリーバックにしてみたら、ずっと楽でした。
もちろんこれも、舗装してある道を行く時だけです。

IMG_0089

屋久島の森で再びデッサンするとしたら、
特別に筋トレしないと、もう無理かもしれません。

さて、アンズはウメに似ています。
どちらもバラ科サクラ属の落葉小高木。
花びらは丸く、ウメには八重や濃淡いろんな種類があります。
アンズの花は、多少の濃淡はあるものの薄いピンクです。

両者の花の一番の違いは、
アンズは花が開くと額が反り返る点でしょう。
また、ウメの方が少し早い時期に咲きます。
ウメや山茶花はブルブル震えながらデッサンしますが、
アンズの時は少し楽です。

そしてどちらも6月に実を結びます。
ウメの実には毒があるので、梅酒や梅干しなど加工しますね。
アンズはきれいなオレンジ色の実です。そのまま食べられて、
ジャムにも加工されます。
アプリコットジャムです。

ちなみに「梅にウグイス」と言いますが、
あのうぐいす色の鳥はメジロでウグイスではないのです。

ところで、木は縦に長いので、デッサンするとき大きな紙を折り畳んで
少しずつずらしたり、部分を描いて繋げたりしています。

↓これは、家に帰って、今日のデッサンを繋げてみたところ。
IMG_0090

花が咲いていると、複雑に絡んだ枝の見分けが、
冬木立より遥かに楽です。

さくらのたよりもちらほら。
春本番です。

地味だけれど革新の仕事、浅見貴子さんの展覧会はお薦めです

このブログを始めていらい、
現代作家の展覧会を紹介したことがほとんどありませんでした。
一昨年森美術館で開催された「会田誠展」ぐらいでしょう。

今日は、アートフロントギャラリーで開かれている
「浅見 貴子 個展  光合成」を拝見して来たのでご紹介します。
(お名前は「あさみ」さんではなく「あざみ」さんと読みます)

お薦めなので、
東京近辺の方は渋谷方面に出た時に、ぜひ代官山まで足を伸ばして下さい。

本当は、なんの既成概念も持たずに見てほしいので、
以下に書く事は、まっさらな心で見たい人は読まないでね。

…………

何がお薦めなのか。
まず第一に、表題にあるように、地味にコツコツと積み重ねていらした作家さんだし、
作品も墨や胡粉を使った全く気をてらうところがないのだけれど、
その仕事は革新的です。

恥ずかしながら、私は、昨年の反戦展でご一緒するまで存じ上げていなかったのです。
ただ、反戦展で搬入の時に、初めて作品を拝見した時に
知らないけどすごい作家さんがいる、と深く心に刻まれました。

そしてその後、直接お話をうかがう機会があって
是非展覧会の時には拝見したいものだ
と思っていました。

何が革新なのか。

技術的には、紙の裏から描く、という事をされています。
和紙と墨だから出来ることですが、
この発想はなかなか出ないものです。

失敗に失敗を重ねて、ある時これいいじゃない、
と始められた技法のようです。
セレンディピティですね。

そして私が一番唸ったのは(ちょっと悔しくもあるくらい)
その裏から描く、という技法だから出来たことなのですが、
実に軽々と抽象と具象の壁を乗り越えて、表現されている事です。

基本的には浅見さんの作品は具象です。
しかし、現在の技術にたどり着く前の作品も拝見したのですが、
対象を純化する事に長けていらして、
対象のエッセンスを表現される事でそこに抽象性が生まれるのです。

これは私自身が、とても勉強になりました。
そして私に足りないところ。痛感しました。

今回の展覧会はコンテンポラリーアートのギャラリーでの開催です。
といっても浅見さんの仕事は、いわゆるコンセプトアートとは逆のベクトルで、
手と目の仕事です。

ギャラリーの解説に「光と風を織り込んだ」とあるように、
まさに、フィジカルにからだごと風を感じ、光を捉えて
手が画面を再構築して行っているのです。

基本にあるのは、デッサンです。

浅見さんも
 「デッサンから作品になる過程は言葉で表せないけど、
でもデッサンがないと出来ない」

と仰っていました。

実は、会場で浅見さんとはいろいろなお話をしたのですが、
ブログに記事を上げる事を思いついたのが、
ほぼ帰りかけのころだったので、
もっといろいろ伺えば良かったな、と思っているところです。

それに、私はまだまだ人の話しを引き出すのが上手くないです。
インタビュアーとしては、全くダメでした。
つい自分が喋っちゃうのね。

最期にiPhoneで撮った会場の思わせぶりの写真を載せておきます。
ぜひぜひ、会場に足をお運びください。
FullSizeRender

私も描くぞ、パワーを頂きました。

モノクロダンディ/オナガガモ

すっかり水が温んできました。
オナガガモのモノクロのイラストを載せておきます。
オシドリをはじめカモ類は鮮やかな色合いの種類が多く
その羽も、光の具合で玉虫色や緑と紫に見えたりします。

その中で、オナガガモは、頭部が焦げ茶に白い筋、
腰のあたりがベージュですが、尾羽に象徴されるように
白い縁取りの黒く長い羽が優雅です。

オナガガモが水辺から姿を消す頃
本格的な春がやってきます。

20150313pintail

↓ハンディで持ち運びに便利。