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女性は昔から活躍していた 

今日のgoogle doodle はレイチェル・カーソン生誕107周年

なんで100年でなくて、中途半端な107なのかは分かりませんが、
実は、最近のgoogle doodleは女性科学者がよく出てきます。
昨年くらいから、頻繁に登場していて
どうやら、シリーズ風です。

最初、昆虫の研究で名を残した
マリア・ジビーラ・メーリアンのgoogle doodleを見た時、とても新鮮でした。
マリア ジビーラ メーリアン生誕 366 周年

蛾や蝶の変容の様子が、毛虫から描かれていて、
それが明らかに科学者の目で描かれていながら
アートとしても素晴らしいものだったからです。

去年の4月2日私はこんなつぶやきをしていました。

早速調べたところ、昆虫学では名の知れた女性科学者であった事が分かり
自分の不明を恥じました。
最近では、私はこんなツイートをしています。

こちらのページからは
イギリスのロイヤルコレクションのメーリアンの作品が見られます。
こちらは、ジョンホプキンス大学のサイト。

ロイヤルコレクションのページには
” the greatest artist-naturalists “という紹介です。
いいですねえ。
私も生まれ変わったら、ぜひこの artist-naturalists
という肩書きの仕事につきたいですね。
で、最近は、手元にメーリアンの絵を置いておきたくなり
まずは、模写が出来そうなこの版画作品集を購入しました。

なんと言っても、蝶や蛾の正確さが素晴らしいです。
意外な事に、蝶はヒラヒラと舞って
キレイなのは当然ですが、
実は蛾の種類にもきれいな種類は多く、
オオミズアオイ、ホタルガ、などを見たら
その美しさに目を奪われるでしょう。

さて、今日のgoogle doodleのレイチェル・カーソンは
農薬の危険性に警鐘を鳴らした『沈黙の春』の著者として有名です。

環境問題のバイブルでもある「沈黙の春」が
女性によって書かれた、というのは現在の環境問題を
象徴しているかもしれません。

「女性の活用」がかまびすしくいわれる昨今。
「女性の活用」という言葉自体が男性中心世界を
前提に言っているように見えます。

実は女性は昔から活躍していたのですね。
このgoogle doodleのシリーズは
そんな気付きがメッセージなのかもしれません。

「見つめる鍋は煮えない」

先日本屋に入った時、平積みになっていた
外山滋比古氏のロングセラー「思考の整理学」を買って読んでみました。
累計で180万部という息の長い著作です。

帯に「なぜ東大生・京大生はこの本を読むのか?」とあり、
新学期の学生さんにはキャッチーかもしれませんね。

結論から言えば、562円なら、学生さんでも主婦でもサラリーマンでも
お買い得だと思います。

そして著者は「ハウツーものにならないように」と語っているけれど、
ざっくりわければ、とてもソフィスティケートされた「元祖ハウツーもの」でしょうし、
アイデアに詰まった時、思考のまとめ方が分からなくなった時、
後発をいくつか読むより、これ読んでおけばいいのではないか、というものだと思います。

この本では、いくつかのテーマが繰り返し出てきます。
大きくわけて3つあります。

一つは「見つめる鍋は煮えない」
そしてもう一つは「朝ご飯を食べない。朝飯前に仕事をする」
最後に「独創的とは、知のエディターシップである」

の3つです。

一番目は結果を焦るな、物事が熟すには時間がかかる、
解決策はその問題を考えていない時に見つかったりするものだ。
鍋が煮えるのを見つめて待っているのではなく、
忘れて、他の事をしていると、いつのまにか鍋が煮えて料理が出来ている、
という訳です。

ただ、その期間が、10分や20分じゃない問題もあって
「寝かせる」必要がある、時には10年位かかる時もある、
という訳です。

そして、夜考えていた事は、何故か朝になって解決している事が多いと、
小説家のウォルター・スコットや数学者のガウスの言葉を引用しています。

朝の方が夜より頭が良いから、起きたら朝ご飯を食べて血を胃に集まらせるよりは
朝飯前に仕事をすべきだ、と説きます。

実は私は、この外山氏の「朝ご飯を食べない。朝飯前に仕事をする」
というのをもう20年以上続けています。

といっても、自分の体調から自然とそういうリズムになったのであって
外山氏に感化されたわけではないのですが。

外山氏はあちこちで、この「朝ご飯を食べない。朝飯前に仕事をする」話しを
話したり書いたりしていらっしゃるので、私はもちろん目にしていて、
著者には失礼かもしれないけど、なんだか他人のような気がしませんでした。(笑)

私の場合は、その日にやらなければならない事で最も重要な事を
朝ご飯の前にやります。
睡眠というのは、その前日の疲れを取るだけではなく、
多分睡眠は脳にとって最大の栄養なのでしょう。

三番目の「知のエディターシップ」は松岡正剛氏も
「編集力」という言い方をしています。
オリジナルのものはそう多くはない。
無関係に見えるものが結びついた時に
面白い発想が生まれる、という事のようです。

全編、上に並べた3つのテーマに枝葉を付けて、
また、実際にどのようにメモやノートを付けるか
具体的に述べられています。

★★★★四つのお薦めです。
五つでないのは、私にとっては目新しいものは多くなかったからです。
それだけ、この人の言説が流布しているからでしょうが、
流布した言説ではなく、著者の言葉で一度は確かめたほうがいいでしょう。

個展のお知らせ


個展は無事終了しました。
お越し頂きありがとうございました。

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会期 2014年7月16日(水)から21日(月・祝)
   11:00~19:00 (最終日は17:00まで)   
場所 原宿 積雲画廊
テーマ 「KIDS & NATURE」
印刷物になったものの原画と新作を中心に展示する予定です。
個展までこの記事をトップに置きます。

スクリーンショット(2014-07-09 1.52.29)

個展のDMがようやく出来てきました。
こちらからご連絡頂ければ、ご案内をお送りします。

女性の貧困

311以降、いくつかのはっきりした事の一つに
この国の男性中心社会の根深さがあります。

私自身は年齢なりの経験から、
そのことはイヤと言うほど思い知らされています。
直近でも、2月には小さな国際会議に参加しました。
途上国も欧米も参加企業の男女の構成比は半々で、
女性もプレゼンターとして話します。

しかし、日本だけ、ネズミ色の背広の男性集団なのです。
多分これは、企業集団において顕著です。
官僚やアカデミーでは、以前に比べ女性の幹部は増えているように感じます。
また、赤松良子氏や緒方貞子氏のようにトップを極める
女性は数えるほどですが、いないわけではありません。

しかし、そういうエリートではなく、
ごく普通の企業や小さな組織、そして政治(特に地方政治)は
ほんとうに女性の進出が遅れている、
と感じますし、実際、OECDなどからも是正勧告がでているようです。

で、7月に政府の対応が大綱で出されるようですが、
しかし、現実は、私の想像以上に過酷だと思い知らされました。

昨日の深夜、NHKスペシャルの
調査報告「女性たちの貧困 ~”新たな連鎖”の衝撃~」
の再放送を見ました。

普通の生活が出来ない女性が増えているのです。
これはほんとうに衝撃の内容でした。
またNHKの取り上げ方にも驚きを禁じ得ません。

番組の冒頭で日本女性の貧困が深刻な事を
数字で示します。
OECDの中で、日本女性の貧困率は50.8%で33位。最低です。

年収200万円以下が289万人。
6割が非正規雇用。
15才から34才の女性にいたっては、200万円未満が81.5%。

番組では、何人かの19才の女性が出て来ますが、
どの女性も過酷な生活を生きています。
ほとんどが母親が離婚していたり、
自分が離婚していたりします。

たとえば、最初に出てくる19才の女性(Aさんとしましょう)は
朝5時からコンビニで働いて月8万円稼ぎ、
49才のコールセンターで働くお母さんを助け、
通信制の高校で勉強し、一日500円の食費で家族の食事も作ります。

また、愛媛の大学に自力で行っている19才の女性(Bさん)は
休みの度に時給の高い東京に出稼ぎに出て来て
学費を稼ぎます。
43才のお母さんは、離婚後ビデオ店で週5日、
夜は弁当屋で9時まで働いて、月15万円がやっと。
電話でお互いを気遣います。見ているだけで涙が出そうです。

しかし、もっと衝撃的なのが、
ネットカフェで暮らす母親と19才と14才の姉妹。
ネットカフェで母子が暮らすなんて、想像を超えています。
その姉妹は、一日に一食コンビニ弁当を2人で食べるのです。
14才がネットカフェで暮らすなんて、
児童福祉とか児童保護法とかどうなっているんだ、という感じです。

さすがに、再放送時には
「現在姉妹は保護施設にいます」というテロップが出ていましたが。

しかし、放送ではさらりと言いますが、
驚くべき事に、
ネットカフェの長期滞在者の7割が女性だそうです。
住民票をそのビルに移せて郵便も受け取れるそうです。

番組の途中から、私の頭にはむくむくと疑問がわき出します。
「父親はどうしているんだろう?」
子どもは女親だけでは生まれない、
父親は何しているのだろう?
離婚したら、全部母親に押っつけて養育費も出さないのか、
という点です。

知人の離婚した女性は、都営住宅でつましい生活を送っていましたが、
子どもの養育費は18才までは父親が出して、受け取っていました。
多くの母親は受け取っていないのですね。

27才の三才のお子さんのいる女性は
一人親世帯の資格助成の制度を使うのですが、
資格を取っている間の生活を楽にしようと
頑張ったおかげで、助成金が減らされ、かえって暮らしが大変になります。
なんと言う制度!

で、もう一つの私の疑問がここで湧きます。最初に出て来た
Aさんも、この27才のお母さんも資格を取ろうと頑張るのですが、
何故か、資格というと、保育士ばかりです。
たまたまなのでしょうか。
保育士の専門学校の学費が三年間で300万円と意外に高いのですね。

保育士は立派な仕事だけれど、
少子化だし、将来のキャリアを考えたら、
もっと、IT技術とか、プログラム作りとか
キャリアに繋がるなるような事も選択肢に出来ないのでしょうか。

番組でコメンテータとして出て来た中央大学の教授が
資格を取ってピンチをチャンスに、
みたいな事を言っていたのにも驚きました。
もし本当にそう思うなら、もっと女性たちにいろんな情報を出してほしい。

それから、24才の大学出の女性は、
奨学金500万円の借金を抱えながら、
就職ができず、アルバイトをしています。
ここでも、お金の問題です。

というか、結局、一人の人間が自立できるようになるには
一定のお金をかけなければならないわけです。
今の日本の母子家庭ではお母さんの年金すら払えません。

すごいのは、最初に出て来たAさんは
保育士の資格の学校にはいる為に、自分で入学式用のスーツを買います。
立派だとは思うのですが、
しかし、放送では、彼女が頑張っている、と伝えるだけです。
ほんとうは、彼女はそこまでしなくても
好きな勉強を出来る状態にするのが、国であり
社会制度のはずなのに、その事は言いません。

最低限の健康な生活を送る権利が国民にはあり、
その事は憲法で明言されていますし、
国はそのために努力しなければならないのです。

NHKは、生活保護制度や年金補填制度などについてすらも伝えません。
生活保護制度を改悪したり額を減らしている政権に配慮したのだ
と思われても仕方のない番組作りです。

日本女性は男性の7割の賃金しか受け取っていません。

しかし、一旦、子どもを持って離婚をすると
すべてが母親の肩にかかります。
先に言ったように、
父親はどうしているのでしょう。

番組の最後の方で、妊娠したのに
パートナーの男性の同意が得られず、
生まれて来る子を里親に出す女性の話しが出て来ます。

テレビでは、タレントの「出来ちゃった婚」が派手に伝えられます。
そして多くは離婚しますが、彼女達は
再び稼げるからいいけれど、普通の女性は
万が一離婚したら、育児と生活で困窮して行きます。

例えば、離婚しても子どもの養育費は、
一定額男親の給料から天引きにするとしたらどうでしょう。
男性も、もう少し女性との付き合いに慎重になるのではないでしょうか。

また、母子家庭には、子どもが学業を終えるまでだけでも、
住居を提供したらどうでしょう。

この番組を見て、いちばんに思うのは、
これほど男性中心社会なのに
男性の責任が全く問題にされないのは、おかしい、という事でした。

もしかすると、逆なのかもしれませんね。
原発事故などを見ても分かるように
責任を取る、という意識が日本男性に根付いてないのかもしれません。

学校での性教育なども敬遠されがちな日本ですが、
妊娠出産が女性しか出来ない事実を
社会全体が受け止めて、男性も、自分が関わる女性の
人生を左右する事に思いを馳せられるように
なって欲しいです。

若い女はセクシーでいなければいけないが
痴漢にあうのはセクシーにしすぎるのが悪いから。
結婚したら、いつ子どもを産むのかと周りから圧力をうけ、
子を生んでも、バギーで電車に乗ると邪魔者扱いされ、
子育て中に何かあれば非難され、
でもいつまでも若くきれいでなければ女ではないと煽られ、
生活に疲れれば、ばばあ呼ばわりされ、
年を取れば、夫の親の面倒まで見ろ、と言われる。

結局、日本が少子化なのは、
基本的な男女間の性の問題があまりに認識されていないうえに
女性だけが、多くを背負わされる事への
女性自身の暗黙のストライキなんだと思います。

いろいろ改悪されている、とはいえ、
日本には福祉制度はまだまだあります。
申請しなければならないシステムが多いはずですが、
でも、権利は使いましょう。

いろんな権利も使って行かないと、
国は必要ないと判断して、無くそうとします。

生活保護だけではなく、年金も補填制度があるし、
私たち女性も、もっともっと情報を集めましょう。

では。

 

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個展をやります。
<7月16日から21日>
テーマは「KIDS & NATURE」です。
原宿 積雲画廊