カテゴリー別アーカイブ: 社会や時事関連

ザハ・ハディッドって女性だったの?

実は、今日知りました。

あの物議を醸している新国立競技場のデザインをした建築家
ザハ・ハディッドって女性だったんですね。
あの巨大さは男性の設計と疑いもしませんでした。

で、興味がなかったから他の作品見たことなかったのでけれど、
今ざっと見て、

「メンテナンスにお金かかるなあ』

というのが一番の感想。

私は若いころ、建築CADのオペレータをしていて、
ホテルの設計図などを描いていたことがあるので、
多少は想像がつくのです。

ザハ自身、長い間、実際に建てるというより、建築思想家みたいな立ち位置だったみたいですね。

すごすぎて建築できない建築家【ザハ・ハディド】まとめ

直線的なデザインは重力に逆らうだけが主題みたいな感じですが、
曲線を多用した作品は非常に魅力的なデザインだと思いました。
ただ、実際に作ったり構造計算した人は大変だったろうな、と思いますが。

実際、こんなニュースも。
恐怖!! ザハのビルから巨大なコンクリートが落ちてきた

で、国立新競技場は、ザハとの契約を解約するとかしないとか、
やっぱり時間ないから、このまま行くとか。

もう迷走しっぱなし。

しかし最新のニュースでは、こんな感じ。
新国立競技場「設計、ゼロから見直さない」 下村文科相

私は、あと5年であの建物を作るのは到底無理だと思います。
屋根がないなんて、東京の夏で、ありえないですし。

建築費も膨大の上、都に拠出せよなんて言い出したことに対して、舛添都知事は、
ご自分のブログで「憲法違反だ」と。
新国立競技場建設と憲法

もともと「アンダーコントロール」という大嘘ついて招致したオリンピックですから
順風満帆に行くわけないです。

今更やめるのは信用無くすとか、下村文科大臣は言っているようですけど、
原発事故の対応などを見ている海外からは多分日本人が思う以上に日本はすでに信用なくしていると思うので、
もっと素直になったほうがいいような気がします。

でもずっと見ていると、「自分の間違いを認める」ということができないんですね、日本は。
さっさと間違いを認めて、出直すのが一番。

ザハのデザインがあの神宮の景色に合うとは思えない。
彼女の設計は、広大な砂漠の地のようなところで初めて生きるのでしょう。

実は、ザハと同じくプリツカー賞を受賞している日本建築界の重鎮槇文彦氏が
下記のような提案をしているのだけれど、メディアでどのくらい報道されているでしょう。
世界的建築家・槙文彦氏「日本チームで作る」…新国立設計

東日本大震災でまだ仮説住宅にいる人いるのに、
原発も燃料がどこ行っちゃったかわかってないのに、
自分たちのメンツのためだけに、日本を変な方向に持っていくのはやめてほしいです。

選んだ道が間違っていたら止まる勇気を持たないと。
迷走ぶりを見ていると、70前も似たようなものだったんだろうな、
と想像ついちゃうのが、歴史に全然学んでなくて悲しいです。

なお、この新国立競技場の問題に関しては、建築エコノミストの森山さんのブログが問題点の指摘から
解決代替案までのせていらして、読み応え満載です。
建築エコノミスト 森山のブログ

ソーラーインパルス と リニアモーターカーにおける オジさんたちの未来の語り方の違い

6月1日、本当は日本に来る予定でなかった
ソーラーインパルスが、悪天候のため、名古屋に到着、
というニュースが夜、流れてきました。

世界一周のソーラー機、悪天候で名古屋に着陸へ

ソーラーインパルスは、ソーラープレーン (Solar Plane) で、
「翼の上面に搭載した太陽電池で発電し、
モーターでプロペラを回転させることによって飛行する航空機」
なのですね。
全然知りませんでした。

ソーラーインパルスのサイト

昨日の名古屋へのランディングの様子。
LIVE: Solar Impulse Airplane – Landing in Nagoya – #RTW Attempt #futureisclean

このプロジェクトの創始者でチェアマン、ベルトラン・ピカール氏は
1958年生まれのスイス人の飛行家、精神科医師だそうです。
1999年に20日間弱の飛行で気球による初の無着陸世界一周飛行を達成。(FAI公認世界記録としては世界一周最短時間記録370時間24分)
コア・ティーム
ピカール氏のお祖父さんオーギュスト・ピカール教授(物理学)は著名な気球飛行家で深海探検者。気球による高度記録を達成。
父のジャック・ピカール氏は有人潜水深度記録を作った海洋探検者。
科学者であり冒険家の一家なのですね。

上のYOU TUBEのビデオは1時間40分以上あって長いですが、
予定外の名古屋へのランディングのライブだけではなく、
このプロジェクトチームがNASAもビックリの設備と安全性への
取り組みをしていることが分かるビデオが途中に挟み込まれていて興味深いです。

飛行機が海に落ちた時のシュミレーションの練習や
コントロールエリアもまるで、スペースシャトルのコントロール室のミニチュア版。

Future Is Clean(未来はクリーン)をキャッチフレーズに
彼らが、なんとか未来に希望を繋げたい、という意気込みが伝わってきます。

ま、実際やっていることは、
ライト兄弟が大西洋を横断した以上のことではないし、
シニカルな人は「太陽電池で飛行機飛ばすなんてお遊び」
というかもしれません。

特に「現実的」なことが大好きな日本のおじさんたちは
「金ばかりかかって、夢追っている」くらいの感想かもしれません。

しかし、「現実的」というかけ声の元におじさんたちが推進している事業、
例えばリニアモーターカー、なんて、南アルプスの下を掘り起にして
水脈をズタズタにするなど計り知れない環境破壊を引き起こしてやろうとしています。
しかも、少子化で経済だって収縮して行くことが分かっているのに
無理に進めれば、国民に負担を強いることになるかもしれません。
原発と同じ構図ですね。
必要不可欠でない上、未来の環境や人間への生活に多大な負荷をかける事業を
顧みることなく進める、経済界や政治家のおじさんたち。

彼らに比べれば、ソーラーインパルスのプロジェクトには
少なくとも未来を守りたい、という「心」があります。

上のビデオを見ると分るけど、
未来世代にもツケを残さないようになんとかしよう、とプロジェクトを進めながら
現実に関わる人たちの安全を様々なシチュエーションを想定して
徹底的に確保する態度は素晴らしいです。

火山が爆発しても原発絶対安全、と言ってのけちゃう首相たちと思わず比べてしまいます。

そういえば、年金情報が125万件も漏れたそうですが、
メールの添付書類を開けるという、
サイバー攻撃ともいえない初歩的ミスです。
セキュリティも何もないですね。
公務員には個人情報保護法は適用されないんですかね?

ところで、上のビデオで最期に、ソーラーインパルスから降りて来た操縦士と握手する
日本人の男性がいます。
きっとこの日本への予期せぬ着陸に尽力された方なのでしょう。
そして、多分日本の技術や研究や民間事業も、
ソーラーインパルスに負けないぐらいの水準があっておかしくないはずです。

でもそういうのを全部ひっくり返しちゃうのが、
今の政治家や経団連のおじさんたちなんですよね。
しかも絶対に責任を取らない。

そういう事を客観的に示したかのようなデータが、下記です。
日本の競争力、27位に低下 首位は3年連続で米

日本は政府部門の財政と移民政策に加え、ビジネス部門の国際経験と経営幹部の競争力が最下位だった。(記事より引用)

笑うに笑えない内容です。
政治ってつくづく重要だなって、思います。

↓こんな記事もありました。
ソーラーインパルスだけではない NASAが開発する“次世代”航空機 注目はその翼にあり

世界は未来を見ていますね!

犬の飼い主さんにお願い。リードは短めのものを手放さず散歩してね。

今日、逃げ出したドーベルマンが人を噛む、という事件がありました。
私は常日頃から散歩の時にリード無しの犬で、怖い思いをしているので、
犬の飼い主さんに強く強く要望することを書きます。

ドーベルマンにかまれ4人けが ゴミ出しで脱走 名古屋

犬の飼い主さんたち、
散歩させる時には、短めのリードをつけて絶対に手放さないでください。
心から心からお願いします。

そして必ず狂犬病の予防注射を受けて下さい。
狂犬病予防法

我が家の近くに緑濃いい遊歩道があります。
散歩やランニングする人に混じって
犬の散歩道にもなっていますが、少なからぬ飼い主さんが
リードを放したり、伸縮自在のリードを使っているのです。

あれほんと、飼い主以外からすると恐怖以外何ものでもないので
絶対に短かめのリードを手放さずに散歩させて下さい。

これはマナーというより、命の問題です。

最近は少なくなりましたが、
リードを放している飼い主さんに出会うと
「大丈夫、大丈夫、うちの子はおとなしいから、ハハハ」
と怖がる方がどうかしているかのような対応を取られたことがあります。

いや、飼い主にはおとなしいでしょうが、
犬は主従がはっきりしている動物ですから、
飼い主以外には飼い主が思いもつかない行動をとりかねません。

躾がしっかりしている飼い主さんなら大丈夫でしょうが、
しっかり躾ける飼い主さんは決してリードを放しませんから、
本当に怖いんですよね。

それに犬には「噛む」という命にかかわる凶器があります。

私は猫を20数年飼っていますが、
わずか体重4キロの猫ですら、本気で噛まれれば大怪我になりますし、
また、その野性の筋力は人間の想像以上の強力さです。
ノミ退治の薬を付ける時、経口で薬を飲ませるときなど、
大人が二人掛かりでタオルに包んでも、捕捉できない事があります。
だから獣医さんは傷だらけです。

ましてや中型犬や大型犬になれば、
その牙の威力は、小さな子どもなら命に関わるほどでしょう。

そして、もし噛んだ犬が狂犬病の予防注射を受けていなかったら、
大人ですら命に関わることになります。
その時、飼い主さんは責任取れるでしょうか。

簡単なことです。

短めのリードをしっかりもって決して放さず散歩する。

それだけのことです。

是非守って下さい。
私は犬は嫌いではないですが、知らない犬は本当に怖いのです。

飼い主さんたちにはドッグランのある公園をご紹介します。(東京中心です)
ドッグランのある公園

なんだかな〜、というこんな社会状況でも、コツコツやるのが一番早い

「アンダーコントロールですから」って大嘘ついてまで誘致した
オリンピックのメインスタジアムの屋根が間に合いません。

東京五輪に間に合わず、新国立競技場「屋根無し」開催
五輪後の屋根設置 “開催に影響なし”

(え?何?もしかして東京名物ゲリラ雨が来たら、数万人がずぶ濡れ??影響無い分けないじゃない。)

とか、

「戦後レジームからの脱却」ってぶちあげている首相が
戦後レジームそのものであるポツダム宣言を読んだ事ありません。

ポツダム宣言「読んでいない」 首相発言、波紋 自身の歴史観、隠す意図か
「ポツダム宣言読んでいない」安倍首相に憲法学者が怒りの声

(学者もビックリ!)
(最も多分これは嘘で、読んでいると日本の敗戦を認めることになるので、それがイヤなのだろう、という見方が多いですね)

とか、

「戦争になることはありません」といいつつ
「戦争法案」を作ろうと目論んだり。。

「歴史が証明」根拠なし 首相、戦争巻き込まれ論否定 

日本中揺れまくっているのに、

(・・今日も本格的に揺れた!!)

川内原発は7月に再稼動とか。

原子力規制委、川内原発の審査終了へ 再稼働は7月下旬か

福島は東が海でしたけど、
川内で何かあれば、汚染は日本縦断です。

いい加減にしてくれ〜! と叫びたくなるような
なんだかな〜、
っていうこんな社会状況だけれど、

こんな社会状況だからこそ、
個人はコツコツやってチカラをつけて行きましょう。

もちろん、デモに参加したり、意思表示をしつつ・・。

・・・・

さて、この一年半のコツコツが一枚のチラシになりました。

IMG_0368

これは、クリエイターEXPO用に作ったもの。
主催者が各方面に配布してくれる
というので、1000枚作りました。

もちろん配布もチラシ作りも有料なので、このために、
冗談みたいだけど、不動産屋のチラシ配り、
というアルバイトを少しやりました。
行動そのものが、トートロジーみたいですけど。

私のテーマは
『やすらぎのエレガンス』

世の中に「かわいい」が溢れています。
もともと私の絵は、「かわいい」とか「アニメ絵」といった「売れ線」ではないし、
私も余り描きたいと思わないので、キャッチフレーズを考える時
かなり夫と意見のやり取りをしました。

ちなみに夫は、私の第二の頭脳ですが、
去年、個展をやった時に、作品を運んでくれた赤帽さんが
「ピーターラビットみたいで若々しい」
と評してくれたのもヒントになりました。

コピーやキャッチフレーズというのは大事です。
覚えてもらってナンボ、ですから。

『やすらぎのエレガンス』をテーマに、
今度はセルフマガジンを編集です。

ホームページもバージョンアップしなければ。

やる事目白押し。幸せな事です。
ひとつひとつ片付けて行きます。
あ、完璧はめざさないで。

7割くらい良ければ先に進みます。
その段階での見切り発車も必要。
それがコツコツやるコツ。(笑)

いっぺんに何かが成し遂げられる事はないのだから、
どんな時も、倦まずたゆまずやって行きましょう。

ドローン、実は規制緩和の方向だった。ビジネスチャンスを逃しまくりの日本。

今はテレビは、全くと言っていいほど見ないのですが、
今日たまたま夫がつけていたのを見るともなしに見ていたら、
ドローンの危険性がやたらに強調されて報道されていました。

東京都の舛添知事は、公園などで子供の上に落ちたら危ない
ということを記者会見していました。
自分の子供を上から撮りたくて慣れない人が操作して
落とす、ということはあり得るかもしれません。
児童遊園などでの使用は禁止になるでしょうね。

また、京都の上賀茂神社の葵祭では、許可したドローン以外は
撮影禁止だそうです。
ドローンも安くなっていますから、
許可制にしないと、電車の鉄ちゃんばりに
場所取り合戦になるかもしれないので、
これもわかります。

日本は土地が狭いうえに、
東京駅にカードのために徹夜する人がでたり、
電車の撮影に場所取り騒ぎになったり、
「規制してくれ」と言わんばかりの集団の無軌道ぶりが
目につくので、
結果的に、お上の規制を簡単に許すことになります。

子供じみていると思いますね。

そういう日本独特の事情もさることながら、
実は世界では、ドローンの可能性にビジネスチャンスを見て
規制緩和の方向で、ロビーイングが盛んだそうです。

アマゾンがドローンを使って宅配を考えているという話は
前から聞いています。
↓それについて書かれている記事です。
どうなる未来?ドローンをめぐる世界(1月の記事)

しかし、一方日本では、自民党の議員さんたちは空飛ぶ撮影機にすっかり驚いて
懲役付きの法律まで作るという、オーバーリアクション。
ドローン:自民が規制法案、懲役1年以下

このことは松浦晋也さんというノンフィクション作家の方の記事がありました。
ドローンを規制すれば日本は衰退する

ところが、この件で検索してみると、日本でもほんの半月前まで、
つまり、4月22日に官邸でドローンが見つかる前まで、
経済産業省がロボット技術などとともに技術革新の目玉にドローンをあげていたのですね。

4月16日の記事です。
経産省、自動運転車やドローンなどの規制緩和・標準化促す施策まとめる

日本、ロボット・ドローン拡散のため素早く規制緩和(1)(一月の韓国経済新聞)

こうやって前向きの施策を、 IT技術に疎い議員たちが「ドローン怖い」
(饅頭怖い、という落語思い出したけど)
という情動から、産業発展も阻害しかねないような法律で取り締まろうとする。
横田基地に配備されるというオスプレイの方が、よほど危ないと思うのですけど。
(オスプレイの離着陸の怖さは、動画がアップされています。)

日本の政治家の無知の闇というか、絶望の穴をみる思いです。

一方、家庭用バッテリーのテスラが好調のようです。

1週間で38,000台超──テスラの「家庭向け新バッテリー」が大人気

テスラの生命線「バッテリー」の政治学

「エコ」なものは、庶民のお財布にはエコでなかったりするし、
カリフォルニアという地域限定の話かもしれませんが、
あちこちの火山から噴煙がでている国土で
原発再稼働を目指す、というよりははるかにチャレンジャブルで人間として真っ当な気がします。

今の政権の中枢にいる議員さんは特に、昔は良かった、
という人たちばかりだからなのかもしれないけど、
「未来のビジネスチャンス」という視点がないみたいで、ほんと残念。

少子化を女性のせいにする前に、
自分たちの進取の精神の欠如を反省して欲しいものです。

ドローン関連の記事
驚異の生態をドローン映像が捉える、映画「ミツバチの大地」

秀作ドキュメンタリー映画 その①「鳥の道を越えて」

福知山線の事故から10年、展覧会が開かれています。26日迄

JR福知山線の通勤電車が速度オーバーでビルに突っ込み、
100名以上の方が亡くなった事故から、
今日25日で、十年が経とうとしてしてます。

その事故をあらためて思い起こそうと、
展覧会が開かれていて、その会場に行って来ましたのでご報告します。

わたしたちのJR福知山線脱線事故ー事故から10年

実はこの事故で生き残った方2名が、
事故の様子を絵やオブジェに残されていたので、
それを中心に構成されています。

実行委員長の木村奈緒さんは、
昨年2014年4月29日にNHK BS1で放送されたドキュメンタリー
「Brakeless〜JR福知山線脱線事故9年〜」という番組を偶然見たことが、
本展開催のきっかけになったようです。

そして、展覧会を開催するにあたり、足りない資金をクラウドファンドで
集めることにします。

今年4月に「JR福知山線脱線事故から10年展」を開催したい!

で、私もこのファンドに参加するのですが、
木村さんに頑張ってほしい,という気持ちとともに、
このドキュメンタリー映画の予告編を見たことが大きかったです。

ドキュメンタリーの監督は、日本出身でロンドン在住の三宅響子監督。
番組はBBC、NHK、アメリカPBSなど、日米欧5か国の合作です。

この映画の予告編が下記リンク先で見られます。
私は、この予告編に、二重の意味で衝撃を受けました。
「Brakeless」

この予告編は英語ですが、
まず、最初の画面で「Delay 80 seconds」と出ます。
そして、ナレーターは “ just a delay 80 seconds”
と言っています。

そう、たった一分20秒の遅れのために、600名近くの死傷者が出るわけです。

このあと、この予告編のナレーターは、00:15のところで
“Japanese dedication to efficiency, precision and punctuality is a matter of national prior.”
と言っています。
「効率性と正確さ、そして時間厳守への日本人の貢献は、国家の優先事項なのだ」
という事ですね。

まさにズバリ本質を突いているとともに
こういう指摘が日本自身で出来ずに、
海外のドキュメンタリーに頼る事実にも少なからずショックを受けました。

もちろん、今日も様々な記事や番組で取り上げられるでしょうし、
さっきケーブルテレビでやっていた番組では
事故で脊髄損傷を負った方が、事故にも負けず前向きに生きている様子が放映されていました。

そういう側面は大きな励ましになると思います。
と同時に、この事故が引き起こした本質とはなんなのか、
という視点を持つ事、
この事故に限らず、原発事故もそして多くの公害問題なども含めて
「本質的な原因への言及」が、日本社会で真剣になされているとは言えない事も事実です。

木村奈緒さんは、上智大学文学部新聞学科を卒業されている若手のホープです。
ちなみに、展示は絵やオブジェも飾ってありますが、
様々なインタビュー記事が提示されている様子は、
さながら壁新聞です。

プリミティブなジャーナリスティックな展示を、
このデジタル時代に示された事は意義あることだと思いました。
また、私も含めて、多くの大人が作って来てしまった今の日本の疲弊した社会システム。
とにかく「忘れやすい」この社会で、
いま、この問題を「忘れないで」という事はとても意味のある事だと思いました。

↓会場で頂いた、「忘れないで」と書かれた栞と展示説明。
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川を遡る船のように突然現れる何か

久しぶりの存在証明です。
更新しない間も、検索エンジンから来て頂いていて、
過去記事も生きるブログならでは。
検索文字も、ネット詐欺から山茶花デッサン、まで多彩です。

ほんとうは2月に入ったら、どんどん更新する予定でした。
記事も下書きがいっぱいあって、清書すれば上げられるものが10本位たまっている。

でも、いつもパソコンの前で考え込んでいました。

あまりに現実が浮世離れしていて
(という言い方も変だけど)
劇画みたいで、
ホントこの先、日本はどうなっちゃうのだろう。
出るのはため息ばかり。
全然言葉が紡げない。

歴史の海のただ中にいると、なかなかそれを自覚するのは難しい。
パリに客死した思想家の森有正はエッセイの中で
流れているのか流れていないか分からないような時間の動きを
セーヌ川を遡るバトームッシュ(遊覧船)の動きに例えています。

川の流れに添って(上流から)下る船は目の前をすーっと通り過ぎていくのに
遡上して来る船は彼方から移動して来るのに、ほとんど動いていないように見える。
書物に目を落して、ふと目を上げると、まだ、動いているようには見えない。
そんなことを繰り返して、まだ来てないだろうと思って顔を上げると
今度は船はほとんど目の前に来ていて、驚く。

本来、時の流れというのはこういうものなのでしょうが、
今の政権になってから、
日々の変化がすごくて毎日が歴史のただ中という感じ。
その波の強さに個人ではとても抗しきれなくて
苛つくばかり。

多くの人が、自覚するしないに関わらず
似たようなイライラ感を抱えているから
街に出ても何となく殺伐としているし
テレビやニュースもその時々の誰かを叩くことに熱心。

株価は上がっていると言うけれど、
散歩していると街は空き家が増えているし、商店街もなんだか活気が乏しい。
実感とニュースが違いすぎるのですね。

原油が下がっているので、
なんとか円安でも息継ぎが出来ている。
でもそれは、裏を返せばアベノミクスが破綻しているにもかかわらず、
延命している理由で、それも後から影響が出そうで怖い。

たったひとりの息をを吐くように嘘をつく政治家によって
ここまで国が変わることを目の当たりにすると、
本当に政治って大事だな、重要だな、と思う。

しかし、一方で、どんな局面でも日常は続くんだな、
とも思う。
先の森有正の例えだと、
セーヌ川の流れが日常だとすると
バトームッシュはなんなんだろう。

ああ、もしかすると「戦争」かもしれないし「改憲」かもしれない。

まだだまだだ、と思っていると、
もう目の前。

何が気に食わないか、と言うと、
「改憲」したいならコソコソしないで堂々と発議すれば良いのにしないこと。

結局嘘をつくのも、国民に都合が悪いことだからですね。
そうやって進めることはろくでもないものに決まっています。

明日から3月。
3月決算の単年度の日本は、一月行った、二月逃げた、3三月去った
と言います。

しかし日常に長されつつも、時々バトームッシュの動きを確認することが
とても重要な新年度になりそうです。

最後に2007年に第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画
「善き人のためのソナタ」をご紹介しましょう。

このところの急速な時代の流れを
どういう形で言葉にできるか考えていた時に
急にこの映画を思い出したのです。

この映画は東ドイツ時代の監視社会を描いた秀作です。

言いたい事が言えない監視社会。
強固な共産主義体制を敷いていた旧東ドイツには、
その統治機構の中枢をなしていたシュタージという組織があり、
芸術家や西側の情報を手にする人たちを監視活動していた時の話しです。

この映画を見た時は全くの別の世界の話しと思っていた社会が
実はそれほど遠いところのことではなかったのだとも思います。
ほんとうに日常と非日常は地続きなんだと思いしらされています。

この「善き人のためのソナタ」では、そのシュタージの工作員が、
西側と通じているという小説家の監視を命ぜられます。
その盗聴のための工作など「ここまでやるか」感があって驚きです。
ところが、工作員ヴィースラー大尉は、小説家の生活を垣間見るところから
少しずつ心が揺らいでいきます。

そのキッカケになるのが、美しい音楽なのですね。
美しい音楽に心をゆらされるシーンは秀逸です。
その変化の様子をウルリッヒ・ミューエという東ドイツ出身の俳優が演じます。
ウルリッヒ・ミューエ自身、東ドイツ時代シュタージに監視されてたと言っています。

この映画、監視だけではなく愛もあり裏切りもあるのですが、
結末がなかなか良いのです。
お薦めです。