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ドローン、実は規制緩和の方向だった。ビジネスチャンスを逃しまくりの日本。

今はテレビは、全くと言っていいほど見ないのですが、
今日たまたま夫がつけていたのを見るともなしに見ていたら、
ドローンの危険性がやたらに強調されて報道されていました。

東京都の舛添知事は、公園などで子供の上に落ちたら危ない
ということを記者会見していました。
自分の子供を上から撮りたくて慣れない人が操作して
落とす、ということはあり得るかもしれません。
児童遊園などでの使用は禁止になるでしょうね。

また、京都の上賀茂神社の葵祭では、許可したドローン以外は
撮影禁止だそうです。
ドローンも安くなっていますから、
許可制にしないと、電車の鉄ちゃんばりに
場所取り合戦になるかもしれないので、
これもわかります。

日本は土地が狭いうえに、
東京駅にカードのために徹夜する人がでたり、
電車の撮影に場所取り騒ぎになったり、
「規制してくれ」と言わんばかりの集団の無軌道ぶりが
目につくので、
結果的に、お上の規制を簡単に許すことになります。

子供じみていると思いますね。

そういう日本独特の事情もさることながら、
実は世界では、ドローンの可能性にビジネスチャンスを見て
規制緩和の方向で、ロビーイングが盛んだそうです。

アマゾンがドローンを使って宅配を考えているという話は
前から聞いています。
↓それについて書かれている記事です。
どうなる未来?ドローンをめぐる世界(1月の記事)

しかし、一方日本では、自民党の議員さんたちは空飛ぶ撮影機にすっかり驚いて
懲役付きの法律まで作るという、オーバーリアクション。
ドローン:自民が規制法案、懲役1年以下

このことは松浦晋也さんというノンフィクション作家の方の記事がありました。
ドローンを規制すれば日本は衰退する

ところが、この件で検索してみると、日本でもほんの半月前まで、
つまり、4月22日に官邸でドローンが見つかる前まで、
経済産業省がロボット技術などとともに技術革新の目玉にドローンをあげていたのですね。

4月16日の記事です。
経産省、自動運転車やドローンなどの規制緩和・標準化促す施策まとめる

日本、ロボット・ドローン拡散のため素早く規制緩和(1)(一月の韓国経済新聞)

こうやって前向きの施策を、 IT技術に疎い議員たちが「ドローン怖い」
(饅頭怖い、という落語思い出したけど)
という情動から、産業発展も阻害しかねないような法律で取り締まろうとする。
横田基地に配備されるというオスプレイの方が、よほど危ないと思うのですけど。
(オスプレイの離着陸の怖さは、動画がアップされています。)

日本の政治家の無知の闇というか、絶望の穴をみる思いです。

一方、家庭用バッテリーのテスラが好調のようです。

1週間で38,000台超──テスラの「家庭向け新バッテリー」が大人気

テスラの生命線「バッテリー」の政治学

「エコ」なものは、庶民のお財布にはエコでなかったりするし、
カリフォルニアという地域限定の話かもしれませんが、
あちこちの火山から噴煙がでている国土で
原発再稼働を目指す、というよりははるかにチャレンジャブルで人間として真っ当な気がします。

今の政権の中枢にいる議員さんは特に、昔は良かった、
という人たちばかりだからなのかもしれないけど、
「未来のビジネスチャンス」という視点がないみたいで、ほんと残念。

少子化を女性のせいにする前に、
自分たちの進取の精神の欠如を反省して欲しいものです。

ドローン関連の記事
驚異の生態をドローン映像が捉える、映画「ミツバチの大地」

秀作ドキュメンタリー映画 その①「鳥の道を越えて」

驚異の生態をドローン映像が捉える、映画「ミツバチの大地」

去年見た映画で、評をを書こうと思っているうちに時間が過ぎてしまったのだけれど、
「官邸ドローン事件」で思い出したので、
映画「ミツバチの大地」について書いておきます。

実はこの映画は、
秀作ドキュメンタリー映画 その①「鳥の道を越えて」
の前に見ていて、
秀作ドキュメンタリー映画 その②、とでも題名をつけるはずでした。

この映画は、
一言で言えば、ドローンだけではなく、
様々なハイテク映像や機器を使って、
ミツバチの生態に迫る映画です。

特にドローンを使って撮影した
ミツバチが飛びながら交尾する場面は、
多分世界で初めて捉えられたものでしょう。

この映画のマークス・イムホーフ監督のお祖父さんが
養蜂に関わっていて、話しはそこから始まります。
監督はミツバチを巡る現在の状況を捉えるために、
世界を4周してこのドキュメンタリー映画を作ったのだそうです。

「ミツバチの大地」公式サイト

見どころはいくつかあります。
1)小型ヘリコプターや無人偵察機(ドローン)、そしてマイクロレンズを使った、ハイテク映像。
2)ミツバチの生態とその驚異的な働きを知ることができる。
3)人間とミツバチの切っても切れない繋がりが確認出来る。

そしておまけですが
4)世界の食料庫と言われるアメリカの大規模農業の
意外なほどの脆弱さが垣間見られ、考えさせられます。

さて、ハイテク映像について。
この映画の撮影について(公式サイト)
以下のポスターはまるでイラストのようですが、
飛ぶミツバチをドローンで並走させて撮影します。
ミツバチというのは、空中で交尾するのですね。
その映像も見事に捉えています。

    

また、監督が撮影に地球4周するには訳があって、
様々なミツバチのエピソードが紹介されます。

ミツバチの能力について。
ミツバチは自分の位置をどうやって知るのか、
仲間への情報伝達はどうやるのか、などは
ドイツ自由大学の神経生物学者のメルツェル教授のフィールドワークが紹介されます。

アメリカと中国にはミツバチがいないという驚きの話しも。

中国では毛沢東の時代、穀物を食べるからとスズメが徹底的に駆除されたために
昆虫が大繁殖してしまい、それをまた駆除するために大量に農薬が使われたそうで、
そのためにミツバチがいなくて、人間が受粉作業をするらしいです。

そして、実は、新大陸にはミツバチはいなかったので、
カリフォルニアアーモンドやらアンズの花の受粉のために
毎年ミツバチが輸入され、養蜂家が花が咲く時期に合わせて
トラックでミツバチを運んで受粉させる、のだそうです。

その一方で、女王蜂を育て、世界58カ国に輸出しているオーストラリアの養蜂家母娘は
手作業で働き蜂を女王蜂にしていきます。

片やトラックで巣箱を運び、片や拡大鏡で覗いて働き蜂を女王蜂にする。
そのギャップが興味深かったです。

ところで、この映画の最期には、
ミツバチの免疫システムを研究しているバーバラ・イムホーフ博士が出て来ます。
監督の娘さんです。
監督のお祖父さんの話しから始まった映画は
自分の娘さんへ、そして孫へと引き継がれるところで終わります。
家族史の面も持つ映画なのですね。

さて、「官邸ドローン事件」で、
ドローンは一気にネガティブな印象が植え付けられそうですが、
この映画のミツバチとの並走だけではなく、
「鳥の道を越えて」にも空撮がありました。
ドローンはもう映像の世界ではなくてはならないものになっていると思います。

それにしても、ドローンひとつで上へ下への大騒ぎになる官邸、
とても、自衛隊の海外派兵なんて、出来るとは思えませんけどね。

(参考)
ネオニコチノイド、ミツバチ大量死の原因とされる農薬がカナダ・オンタリオ州で規制