JR福知山線の通勤電車が速度オーバーでビルに突っ込み、
100名以上の方が亡くなった事故から、
今日25日で、十年が経とうとしてしてます。
その事故をあらためて思い起こそうと、
展覧会が開かれていて、その会場に行って来ましたのでご報告します。
実はこの事故で生き残った方2名が、
事故の様子を絵やオブジェに残されていたので、
それを中心に構成されています。
実行委員長の木村奈緒さんは、
昨年2014年4月29日にNHK BS1で放送されたドキュメンタリー
「Brakeless〜JR福知山線脱線事故9年〜」という番組を偶然見たことが、
本展開催のきっかけになったようです。
そして、展覧会を開催するにあたり、足りない資金をクラウドファンドで
集めることにします。
今年4月に「JR福知山線脱線事故から10年展」を開催したい!
で、私もこのファンドに参加するのですが、
木村さんに頑張ってほしい,という気持ちとともに、
このドキュメンタリー映画の予告編を見たことが大きかったです。
ドキュメンタリーの監督は、日本出身でロンドン在住の三宅響子監督。
番組はBBC、NHK、アメリカPBSなど、日米欧5か国の合作です。
この映画の予告編が下記リンク先で見られます。
私は、この予告編に、二重の意味で衝撃を受けました。
「Brakeless」
この予告編は英語ですが、
まず、最初の画面で「Delay 80 seconds」と出ます。
そして、ナレーターは “ just a delay 80 seconds”
と言っています。
そう、たった一分20秒の遅れのために、600名近くの死傷者が出るわけです。
このあと、この予告編のナレーターは、00:15のところで
“Japanese dedication to efficiency, precision and punctuality is a matter of national prior.”
と言っています。
「効率性と正確さ、そして時間厳守への日本人の貢献は、国家の優先事項なのだ」
という事ですね。
まさにズバリ本質を突いているとともに
こういう指摘が日本自身で出来ずに、
海外のドキュメンタリーに頼る事実にも少なからずショックを受けました。
もちろん、今日も様々な記事や番組で取り上げられるでしょうし、
さっきケーブルテレビでやっていた番組では
事故で脊髄損傷を負った方が、事故にも負けず前向きに生きている様子が放映されていました。
そういう側面は大きな励ましになると思います。
と同時に、この事故が引き起こした本質とはなんなのか、
という視点を持つ事、
この事故に限らず、原発事故もそして多くの公害問題なども含めて
「本質的な原因への言及」が、日本社会で真剣になされているとは言えない事も事実です。
木村奈緒さんは、上智大学文学部新聞学科を卒業されている若手のホープです。
ちなみに、展示は絵やオブジェも飾ってありますが、
様々なインタビュー記事が提示されている様子は、
さながら壁新聞です。
プリミティブなジャーナリスティックな展示を、
このデジタル時代に示された事は意義あることだと思いました。
また、私も含めて、多くの大人が作って来てしまった今の日本の疲弊した社会システム。
とにかく「忘れやすい」この社会で、
いま、この問題を「忘れないで」という事はとても意味のある事だと思いました。