カテゴリー別アーカイブ: 社会や時事関連

猛暑でのオリンピックへの懸念、国会でも取り上げられる

暑っちちー。大暑 三十六候「大雨時行る(たいうときどきふる)」
で指摘した、
猛暑でのオリンピックへの懸念が
表面化して来ています。

本日の国会、参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」でも
アントニオ猪木氏が質問しています。
インターネット審議中継アーカイブです。
4:47:30あたり。
(質問者を選択して聞くことも出来ます。)

猪木氏も、マラソンや競歩の選手、
またパラリンピックの車椅子の選手、
観客も心配だと質問しています。

下村大臣は関係省庁で「暑さ対策関連協議会」
を作ったので、万全の対策をして行く、とお決まりの答弁。
道路の路面対策などを検討しているようです。

それでも、やめた方がいいのではないか、
と私が思うのは、やはり地震のことがあります。

政府 地震調査委員会 首都直下地震 最終報告(PDFファイル)

もし関東大震災級の地震が来て、
ビルの倒壊などに至らなくても
停電とかあり得ますから、
その時、冷房が止まったり、コンビニのショーケースの電源が切れたら
相当悲惨なことになります。

例えば、上の政府の最終報告では、震度6以上の地震がくれば
水道などの復旧に一ヶ月はかかる、とあります。
猛暑にトイレや飲み水が止まり、冷房の効かないビル、
なんてことになれば、冗談ではなく死ぬ人も出て来るでしょう。

アスリートたちの安全の確保も全力で行われるでしょうが、
地震を経験したことの無い選手だっているはずです。
観客に至ってはパニックになるかもしれない。

海外の人も巻き込みますから「想定外」ということは
言えるはずもないです。

ただ、民間の方が優れているから、ホテルなどは相当準備するでしょうし、
関連省庁からお達しも出るはず。

しかし、それで、やり過ごせるような規模の地震、
という保証はどこにも無いのです。

先の国会質問で、猪木議員は地震の点は質していないようですが、
誰か質問してほしいです。

それにしても、「安保法案』国会で野党が質問すると次々とボロが出て来ますね。

最近は、弾丸は武器ではないし、ミサイルは兵器ではなくて弾丸だとか、
ついには核兵器まで後方支援で運べちゃうとか、
明日8月6日広島の原爆の日を前に、めちゃくちゃです。

「憲法違反」そのことだけでも、廃案にすべきなのに
出発点が間違っていると、先へい行けば行くほど、現実との乖離が広がって
答弁があり得ないものになって行きます。

これが我が国の国会なのかと思うと、
悲しいやら嘆きたいやら。



お口直しに、白いムクゲのデッサンをアップしておきます。
「大徳寺白」と言われる園芸種で、直径14センチくらいの一重の大輪です。
好みの問題でしょうが、私はムクゲは一重が好きです。
八重はティッシュペーパーで作ったコヨリが花心についているみたいで。(笑)

20150805

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何のためにオリンピックを開催するのか分らないから、こういう混乱が起きる

オリンピック、競技場の次は
エンブレムが問題になっています。

日本側は基本的には登録商標などをきちんと調べてあり、
問題にはならない、というスタンスのようです。
五輪エンブレム 似たデザインに問題なしの見解

ただ、ベルギーのデザイナーは、訴訟も辞さないかもしれない。
「盗作だ」ベルギーのデザイナーが法的措置へ 2020年東京オリンピックのエンブレム

私は、デザイナーが剽窃したとは思わないし、
この大舞台でそんなリスクは冒さないと思うけど、
かといって、良いエンブレムとも思わない。
最初に見た時、いまいちだな、むしろ招致のときの方が華やかだな、と思ったものです。

↓過去のオリンピックマーク。
20150730

ただ、もしほんとうにベルギーのデザイナーが法的処置に出た時のこと、
JOCは考慮しているだろうか。
国際オリンピック委員会の承認を得ているから大丈夫、
ということだけど、校長先生が大丈夫って言ってるから大丈夫、
っていうノリで、非常に無責任感が漂ってるように私には思えます。
面倒が多すぎるから、ドンドンパスして先に進みたい、って感じ。

相手は個人のデザイナーだから、と言った理由で甘く見ていて
訴訟の嵐に巻き込まれることなど、微塵も想定していないみたいなのが
日本のドメスティックおじさんらしいと言えばらしいけど。

↓海外メディアの記事
Tokyo Olympic Games logo embroiled in plagiarism row

で、競技場の方は、ザハの事務所が声明を出しましたね。
New National Stadium, Tokyo, Japan Statement by Zaha Hadid Architects

どうして、オリンピックという国家的行事なのに、
こんな初歩的な混乱が次々と起きるのでしょうか。
JOCという組織はあっても、
ジェネラルプロデューサーのような人が存在しているようには見えない。
森元首相がそういう役目を意識して担っているようにも見えない。

結局、何のためにオリンピックを開催するのか分らないから
なのではないでしょうか。
根本のコンセプトが見えない、というか「無い」

もとはと言えば、「アンダーコントロール」という大嘘をついて
招致したオリンピックです。
なぜそんな嘘をついてまでオリンピックを招致する必要があったのでしょうか。
強いていえば、あべ政権を維持するために、でしょう。
もっといえば、国民の関心をオリンピックや経済政策に集めておいて
改憲をサッサとやってしまいたい、
というのが本音であったろう、
と思うのです。
あと、ゼネコンなどの既得権益へ利益供与など。

国民側も、311以降、深刻なことが続いているから
ちょっとお祭り気分を味わいたかった、ぐらいでしょうが、
それが今になって、大きなツケを払うことが見えてきました。

今、日本が真剣にやるべきことは、
福島第一原発の処理ですよね。
それがいまだに東電という一企業にまかされていることが私には
信じられません。
事故の処理もまともに出来ていないのに
再稼動しようとしたり、オリンピックをやろうとしている。

どう考えてもまともではないです。
で、そういうまともでない人たちが、オリンピックというイベントを
成功させることができるのでしょうか?

東日本震災で被災した人たちは、
いまだに仮設で暮らす人々も少なくないです。

そういう人たちを置いたままで、オリンピックを進めなければならない理由は
経済大国の日本にあるとは思えません。

私は、オリンピックは返上すべきだと思います。
今なら、旧国立競技場の損失だけですみます。
「国民に夢を」なんていうのも、やめた方がいいです。
国民は自分の夢は自分で探せばいいのです。
アスリートには残念かもしれませんが、
オリンピックが、負の遺産になるよりは、いいのではないでしょうか。

それでも、どうしてもやりたいのならば、考えるべきです。
『なぜ日本は、今、オリンピックを開く必要があるのか』を。

そしてこのエンブレムで行くのならば、
たとえ商標登録されていなくても、似ていることは確かなのですから、
「問題ない」と切り捨てるのではなく、
きっちり世界へ説明していったほうがいいのではないでしょうか。
特にザハを切ったようにデザイナーに責任を押し付けることはしないでほしい。

結局、すべての問題の行き着く先は、このオリンピックの日本での開催理由なのだと思います。

関連記事
ザハ・ハディッドって女性だったの?
新国立競技場工費だけではない。失敗を認められない人たち。失敗することより愚かである。

「違憲」な安保法案も白紙に戻すべき。講演で聴いた事を考えながら現場で声を上げる。

「安保法案」の強行採決を経て、
このブログの憲法に関する記事が読まれているみたいで、
今週は毎日三桁のPVです。
国家による憲法違反ですから、喜ばしいことではありませんが、
少しでも、「国家による憲法違反とはどういうことか」の理解の一助になっているのならば
幸いです。

私は、記事で書いたこと、講演で聴いた事を、実践の場で考えるべく、
若者たちの呼び掛けに応じて、
委員会で強行採決された7月15日に国会前に行って来ました。
こういう時はまさに数になる事が大切。
それに、楽しい平穏な毎日を送るためにも避けては通れない問題です。

始まって30分くらい。既に昼間からいる人もいて動きがとれない。国会議事堂は右下奥。
20150715-1

放送局の車。アンテナが臨場感満載。
20150715-2

帰る頃も衰えぬ熱気。
20150715-3

帰宅途中に写した都心の夜景。
20150715-4

主催の SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy – s)は
テレビにも顔を出し、名前も出し、頑張っています。
その実名顔出しの破壊力影響力は凄まじく、
現場には高校生、バギーに赤ちゃんを連れたママ、
ママチャリで駆けつけるお母さん、
ファッショナブルな2人連れの会社員、
会社帰りの書類入れを抱えたおじさん、
そして私のようなおばさん、おじいさんまでも参加していました。

さて、新国立競技場の計画の見直しの発表。
それ自体はとてもいい事です。
しかし、明らかに、支持率回復を狙ってますよね。
こういう手練手管は安倍政権は本当に上手い。
しかし、それに乗せられないようにしなくては。
競技場見直しは当然だし、違憲な安保法案見直しは、それとともに必須です。

違憲であるということの問題性は、
立憲主義に基づく法治国家ではなくなる、ということです。
ある意味、お金の問題以上に、国家としての存在自体の問題です。

総じて忘れやすい世論ですし、自民党もそう読んでいるみたいだけど、
私は忘れないし、なにより、若者たちが頑張っている。

以下は上記SEALDs(シールズ)のメンバーの街宣演説です。
国会議員より上手いかもしれない。
SEALDs 6月27日 「戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣」 学生のスピーチ1
SEALDs 6月27日 「戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣」 学生のスピーチ2

若者たちは、この夏、戦い抜くようなので、
おばさんは出来るだけ頭数になって彼らのチカラになります。

やはり、この夏は、日本の未来を決める大きな60日になるでしょう。

デモや抗議が意味無い、と思う方は是非この國分功一郎さんの一文をお読みください。
【再掲】「パリのデモから考える」(スタジオジブリ小冊子『熱風』2012年2号「デモ」特集号掲載)

また、シールズが作った分りやすい動画。約6分。必見です。

ところで、オリンピックは、見直すのはいいとして、 やるのがデフォルトなんですかね?
本当はそこから考えるべきでしょう。
原発事故だって収束していないのに。

——————
関連記事
木村草太氏、國分功一郎氏、伊藤真氏の憲法の話。
憲法違反の法案が通ると、どんな社会が来るのか? 弁護士さんの講演を聞いて来ました(1)
何が違憲なのか?条文を読む。弁護士さんの講演を聞いて来ました(2)

新国立競技場工費だけではない。失敗を認められない人たち。失敗することより愚かである。

かなり我慢していましたが、
堪忍袋の尾が切れました。

もう、本当に怒っています。
たった一つの競技場に2520億円の工費?
しかも屋根なしの未完成でしょう?
ちなみにロンドン五輪スタジアム(収容人数約8万人)が約800億円 、
北京五輪スタジアム(収容人数約9万人)だって約500億円くらいだったそうです。

それが、
2520おくえん、ですよ〜〜〜。
しかも、私たちの税金。
人のお金だからって、そりゃないでしょう。

民主党時代に、少子化に対応して「子ども手当」を作ろうとしたら
「財源!」「財源!」って叫んでいた人たちは、
今回は無視ですか???

子供や教育にお金をかけるのは未来を作ること。
しかし、競技場なんて作っても
完成したらあとは劣化するだけ。
しかもメンテナンスに毎年50億くらいかかるみたいです。

よく、国のせいにするな、とか社会のせいにするな、
っていう人がいるけど、
明らかにそういうレベル超えていますよね?

明らかに、判断ミスで社会を間違った方向に進ませようとしている。
だって、今まで、いくらでも軌道修正するチャンスはあったのに!

国が国家の基本である憲法を破ろうとしたり、
国民のお金だからって、ありえない金額の競技場を作ろうと好き勝手に散財しようとしたり、
信じられないほどの無責任といい加減さ。

なんなんですか?この国のおじさんたちは??
まったく安心して暮らせません。

毎日を楽しく暮らそうと、色々工夫しても
前を向いて生きようと、積極的に取り組んでも、
人生の基盤である、国の体制や財政が
無責任なおじさんたちによって、
やりたい放題進められて、危機に瀕していく。

幾ら何でもめちゃくちゃでしょう。

原発だって再稼働、って。

世界は日本の失敗に学んでいるのに、
当の本人だけが学べない。

ありえないでしょう。

憲法違反の戦争法案にしても、
新国立競技場についても、
原発についても
リニア新幹線についても。

明らかに間違った判断であり、
しかも多くの国民が反対している。

それならば、さっさと白紙に戻して
仕切り直しをすればいいのに、それができない。

なんと愚かなことか。

ほぼ99.9%の意思決定権を男性が握っていて
しかもそのほぼ100%が中高年であることを考えれば、
この国のおじさん達の愚かさ、
と言っても言い過ぎではないと思います。

政治家然り
財界然り
官僚然り。

しかも現政権においては
70年前の日本の間違いすら
なんとか葬り去って
「自分たちは正しいのだ」と言いたいらしい。

こんな愚かなことに、
お金や時間をつぎ込む。
私たちの税金です。
しかも国の信用にも関わる。

愚かな極みとしかいいようがない。
自分のお金でないから、気にもとめないのでしょうか?
そんなの、リーダーと呼べない。

何が最高責任者でしょうか。
責任一つ取っていないではないですか?

第一次あべ内閣の時、
「年金は最後の一人まで責任持つ」
と答弁したのは誰でしたか?
その結果の年金情報の流出。
「福島第一原発の電源喪失はあり得ない」
と言ったのは誰ですか?
その結果の福島第一原発での取り返しのつかない事故。
オリンピック招致委員会で
「アンダーコントロール」
と言ったの誰でしたか?
その結果が、2520億円の競技場ですか?

もちろんこの人だけの問題ではない。
日本中の意思決定者の問題です。

競技場はお金の問題だけど、
年金や原発事故は国民生活の破壊です。

私は本当に怒っているのです。
このブログではなるべく楽しいことを書きたい。
しかし、その生活を支える根底が揺らぎ始めていたら、
黙っていられないでしょ?
しかも国民は毎日勤勉に働いている。怠けているわけではない。

昨年から、憲法に関して講演会を三つ聞いてきて
よくわかったことの一つが
「近代性とは何か」ということです。

それは、人間性への「客観的な」理解を意味するのです。

人間はミスをする動物だ、
多数派ですら間違うことがある、
だから間違った時に歯止めをかけるようにシステムを作っておこう、
というものです。
それが立憲主義であり、法治主義です。

日本の政治家は、これを西洋的価値観、というけど
そうではなくて、第一次世界大戦や第二次世界大戦や、
いろんな失敗を重ねながら、人類が世界中でコンセンサスを作り上げてきている
その一つの成果なんですね。
もちろん、世界は不条理で完璧ではないから
達成するのは大変だ。
だけど、少なくとも日本は、「日本国憲法」というそういうコンセンサスの最先端の憲法を持っている。

それを否定する人たちは人類の進化や普遍性への希求、それに基づく近代性を否定していることに気づいて欲しい。

ソクラテスを祖とする西洋哲学が、その普遍性の希求に寄与しているから
ヨーロッパやアメリカが中心になっているように見えるけど、
何か概念として間違っているでしょうか?

「人間はミスをする動物だ」というのは事実でしょう?

でも日本のおじさんたちは絶対に自分の間違いを認めない。

70年前なんて、それで国を崩壊させてしまった。

未だにそのメンタリティが、この国を動かしている。

失敗したら、それを認めて、反省して、先に進めばいいんです。
なんでそんな簡単なことができないんですか?
失敗を認められらない、しかも責任も取らない。
そんなこと続けていたら、本当に国が危うくなる。

失敗を認められない人たち。失敗することより愚かです。
それってごめんなさいを言えない子供と同じじゃないですか?

モラルの問題と同時に、
財政的にもオリンピックが終わったら、日本はギリシャみたいに悲惨になりかねないのでは?

日本は世界一の対外純資産国だから大丈夫、という人もいます。でも、これって、個人や企業のお金で、あまり国家財政には関係ないと思うし、円安で膨らんでいますよね。
国家財政赤字は、国が国民に借りているお金です。
ついに1000兆円を超えました。
財務省の国家財政に関するページ

私は強く新国立競技場の現計画撤回を求めます。

追記です。こんなブログを見つけました。
さあ、地獄のオリンピック跡地めぐりを始めよう。

ーーーーーーーーーー
お知らせ
明日くらいからいつもの「のんびりブログ」に戻る予定です。とほほ。

関連記事
憲法に関して
木村草太氏、國分功一郎氏、伊藤真氏の憲法の話。
憲法違反の法案が通ると、どんな社会が来るのか? 弁護士さんの講演を聞いて来ました(1)
何が違憲なのか?条文を読む。弁護士さんの講演を聞いて来ました(2)

新国立競技場の問題
ザハ・ハディッドって女性だったの?

何が違憲なのか?条文を読む。弁護士さんの講演を聞いて来ました(2)

昨日の続きです。

今日は条文そのものを紹介します。
来週は強行採決、と言う声も聞かれますが、
いや、それはさすがにマズいでしょ、っていうくらい
日本語がおかしい条文です。

ほんとおかしいの。

今回の安保法制は、10個もの法律の改正やら新制定を
一気に纏めて一つの審議でやってしまおうという、
それだけで無謀なもの。
しかもそれが憲法違反と来ている。

憲法違反になると社会がどうなるのか、は昨日書きました。

さて、面倒ですが、法律名を上げます。

改正の対象となる法律10本は(番号は私が読みやすくするためにふったもの)
1)自衛隊法
2)国連平和維持活動(PKO)協力法
3)周辺事態法(「重要影響事態法」に名称変更)
4)船舶検査活動法
5)武力攻撃事態対処法
6)米軍行動関連措置法
7)特定公共施設利用法
8)海上輸送規制法
9)捕虜取扱法
10)国家安全保障会議設置法。

新たに制定するのは、1本。
11)「国際平和支援法」

審議時間が80時間とか言ってますけど、
一つの法案にすると8時間ないことになりますね。
まずそれだけでもむちゃくちゃです。

さて、川上弁護士の上げて頂いた問題点のすべては
書けないけど、ちょっとビックリ、みたいなところをいくつか上げてみます。

まず、総論として、現在は国内とPKOに限られていた自衛隊の任務と活動範囲が
世界中どこでも活動可能になります。

5)武力攻撃事態対処法 では、

現行
武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危機が迫っていると認められるに至った事態等(個別的自衛権)

↓ それが

改正後
我が国と密接な関係にある 他国に対する武力攻撃が発生し、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追及の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態・集団的自衛権)

となるのですが、
私自身がこの改正の条文を読んで「変だ!」と思ったのは、
たとえ密接に関係する他国でも、他国に対する武力攻撃が発生したら、
何故日本が危険になるのか?という点です。
だって日本が攻撃されていないのに、何故日本が危険になるの?普通あり得ないでしょ?
この点、論理的にも絶対変だと思いましたし、
講師の先生に質問したかったのに、時間切れで聞けませんでした。

で、条文にある「我が国と密接な関係にある他国」について、
質疑時間に、「これは実質的にアメリカのことだと思うが、世界一の軍事大国のアメリカを攻撃する国ってあるんですかね?」という質問には、思わず会場から失笑が漏れていました。
川上氏も「実質的にはないでしょうね。中国が、という人もいるけど、
アメリカと中国は経済的に深く関わっているから、どちらが欠けてもどちらも困る。」
と答えておられました。
言葉遊びに近く、自衛隊を日本の外に出すための詭弁としか思えないですよね。

3)周辺事態法は
「重要影響事態法」に名称変更されるのは、現行の条文にはある周辺事態という言葉が
はずされるからだそうです。地理的範囲が無くなる。自衛隊が世界のどこでも活動することが可能となる。

そして、新聞記事などで見る「武力行使一体化論」ですが、これが許されるようになると
憲法破壊のメルクマールになるという用語です。

現行の1)自衛隊法では、

武器等防護のための武器使用(95条)

↓それが、

外国の軍隊等の武器防護のための武器使用(95条の2)

が認められるようになるのだそうです。

今までは正当防衛のための武器使用(自己保存型)だったのが、任務遂行型へ拡大されるのです。
もしこれが外国軍隊等の武器等(船舶・航空機等)防護の武器使用に至れば、実質的な集団的自衛権行使にいたる危険がある、つまり憲法違反だ、ということなのです。

国会で、後方支援だ、いや、危なくなったら逃げるから後方支援じゃない、とか論議(と呼べるのか?)していましたよね。
真面目に答えているとは、とても思えないような国会論戦でしたが。

ご講演のあとの質問タイムに質問する人は男性ばかりだったのだけれど、
最後の最後に女性が発言され「強行採決されたらどうすればいいんですか」と聞かれていました。

強行採決されたからと言って諦めてはいけないが、
とにかく、今国会でなんとしても止めることが大切だ、
と川上氏は答えておられました。

これらの条文を読むと、自衛隊員は本当にいのちの問題だな、
と痛感。
それに、わざわざ戦争に巻き込まれに行く、と言う感じ。
普通の国なんかにならなくてもいいから、ほんとにこの法案止めたいです。

憲法違反の法案が通ると、どんな社会が来るのか? 弁護士さんの講演を聞いて来ました(1)

クリエイターEXPOが終了し、気になっていた違憲問題の講演会に行ってきました。
弁護士の川上詩朗氏の「安保法制を徹底分析」という講演会です。

条文にも言及するので、2回か3回かに分けます。
今日は以下の二つ。
1)憲法違反の法律が出来ると社会はどうなるのか。
2)国際社会からの文脈

メモをもとに記事にしますが、分ったつもりでも文章にすると大変。
頑張ってみます。

さて、私は、去年の8月には、憲法学者の木村草太氏と哲学者の國分功一郎氏による
集団的自衛権の行使容認の閣議決定に関する講演会を聴いています。
また憲法とは何かについては、昨年10月に弁護士の伊藤真氏の話しを聞いています。
それを去年の12月の選挙の前に記事にしています。
木村草太氏、國分功一郎氏、伊藤真氏の憲法の話。

12月の記事では、以下を扱っています。
1)政権の欲望について(國分功一郎氏)
2)閣議決定に対する専門家としての見解(木村草太氏)
3)日本国憲法とはどういうものなのか(伊藤真氏)

憲法問題のように難しい問題は、本は少しハードルが高かかったら、
勉強会や講演会で専門家の話しを聞くのが理解が早いから良い方法だと思います。
二時間くらいでコンパクトに全体像をつかめるのでオススメです。

さて、今回の講師の川上詩朗氏は、
日本弁護士連合会 憲法問題対策本部事務局長で、
日弁連による「安全保障法制定改定法案に対する意見書」を持参して
廃案にむけて国会議員一人一人を説得する行動派。

まず、最初に総論として、
弁護士さんにも改憲派護憲派、いろいろいるけれど今回の安保法制は
憲法の枠を越えてしまう法律による憲法破壊である、という点では一致している、
とのことでした。

法律が国民を縛るものとすれば、
憲法とは国家権力を縛るもの。
これを立憲主義といい、日本国憲法の場合
1)国民主権
2)恒久平和主義
3)基本的人権の尊重
が3本柱です。

では、憲法が破壊されるとどういう社会が出来るのか、
というのが最初の提議。

これは、若手の弁護士さんたちが、明日の自由を守る若手弁護士の会という会をつくり全国で活動していて、
若いお母さんたちと憲法の話をすると、
必ず聞かれるのだそうです。
「憲法破壊、だから何?」って感じなのだそうです。

で、川上氏が歴史上の憲法破壊された社会の実例として、いきなり出してきた実例はなんだと思いますか?

これが、ヒトラーなんですね。

当時ドイツはワイマール憲法で
ナチス党は選挙を通じて出て来て、しかし多数は取っていなかった。
しかし、大統領の緊急勅令で指名され、ヒトラーは首相になった。
そして授権法ーーー全権委任法により権力を掌握。
憲法が破壊され、
法の支配から人の支配へと変わる。
つまり、独裁。

独裁になると、
まず政敵を抹殺する。
次に障害者を殺害していく。
さらに、同性愛者を殺害していく。
そしてユダヤの虐殺に繋がった。

結局、憲法が破壊されると独裁政治になる、ということなのです。

日本国憲法では自衛隊を海外に派兵するには、
国民投票で憲法を変えなければなりません。

しかし、自民党はこの手続きを逆からやろうとしているのです。
自民党は、まず、この安保法制という法律で実質的に憲法を破壊して
次には明文改憲(自民党改憲草案(PDFファイル)行うはずである。
それには「国家緊急権」(自民党改憲草案 第九章 「緊急事態」)という憲法を越えて自分達が思い通りにする
内容が含まれていて、それが、先のヒトラーの全権委任法にそっくりなのだそうです。

改憲草案の解説のサイト

このナチスとヒトラーに関する著書として、
下記の本を川上氏は紹介されていました。

さて、もう一つ重要なのが、国際的文脈、というものです。

【国連憲章第2条(紛争の平和的解決義務・武力不行使原則)】
が国連で定められていて、
これは、第一次世界大戦以前から少しずつ国際社会が、
知恵を出し合って世界平和にむけて進化させ、価値観が具現化されて来ました。

国際連合憲章

第一次大戦以前は、戦争というのは主権国家の自由であるという「正戦論」が主流だったものを
第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、戦争違法化のコンセンサスが国際社会の中で
えられていくようになります。

第2条〔原則〕
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
(略)
3)すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
4)すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

この条文の3と4は、日本国憲法9条の一項に似ている、と川上氏は指摘されます。

ただ例外がある。国連憲章の42条と51条で、51条の方に集団的自衛権が出て来ます。

第51条〔自衛権〕
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

この51条では、他国から武力攻撃された時、国連決議が出るまでの間、
個別的自衛権と集団的自衛権で自分の国を守ることができますよ、ということだけれど、
集団的自衛権というのは、海外派兵を意味するので、憲法九条の第二項に違反するので認められらない、というのが従来の政府の見解だったわけです。

ここで9条を見てみます。
日本国憲法(昭和二十一年十一月三日憲法)

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この9条を素直に読むと、自衛隊も憲法違反みたいな気がするけど
と言っても、自国が攻められたら正当防衛も出来ないのは現実的でない、
ということで、自衛のための個別的自衛権は持てるという「解釈」で
政府は通して来た。

でもさすがに、海外に派兵するのは「自衛」と強弁できないでしょう、
海外派兵するなら、憲法改正しなければいけませんよ、
と、憲法学者や弁護士さんたちは言っているわけです。

これは九条の解釈だけど、
もう一つ分りやすいのが、昨年12月に書いた記事の、
木村草太氏の憲法73条に関する説明です。

憲法73条には内閣のするべき仕事が書いてあるのだけれど、
その中に「外交」はあるけど「軍事」は無いので、
軍事に言及した閣議決定は明らかな違憲、だというのです。

ちなみに
「外交」は他国の主権を尊重して、対等の立場で行う活動
「軍事」は他国の主権を制圧して行う活動。
と定義されるようです。

自民党は「国の安全を守るのは政治家の仕事」と言って憲法違反を突破しようとしているけど、
国の安全は「外交」で守るように定めているのが日本国憲法なんですね。
どう見ても、「軍事」は憲法違反ですよね。

いずれにせよ、9条の解釈からも内閣の仕事からも
憲法違反ということです。

で、次回は、今回出されている安保法制の内容を見てみます。

一週間の断食で体調は絶好調。でも、一ヶ月の「不食」をやる勇気は無し

俳優の榎木孝明さんが
5月20日から一ヶ月の「不食」をされていて、明日18日に終わるそうです。
榎木孝明、30日間「不食」生活中!摂取水だけ

これを見て、思い出しました。
私、若かりしころ、一週間の断食をやったことがあるのです。

ひとりじゃとても出来ないので
小豆島まで行ったのですが、
さすがにもう無いだろうと思って検索したら、
まだ、断食道場ありました。
五色県民健康村健康道場

道場長 医学博士 笹田信五先生もお元気そうで。

そもそも、最初は、ヨガに興味を持って
ヨガ道場に行くようになって、
どうも断食というのはとても体に良いみたいだ、
という事で、五色健康村に行ったのです。

榎木さんは、全然平気みたいですけど、
私は若かったこともあるけど、
やはり、一週間食べないのはなかなか大変です。

で、食べない間、時間があるだろうといろんな本を持ちこんだのだけれど
結果的にやったことは、
健康村にあった料理のレシピをひたすらノートに書き写す、
という作業。
「断食が終わったら、これを食べるんだ、あれを作るんだ」
と思いながら書き写していました。

もちろん、水は飲みます。
榎木さんも水だけで大丈夫みたいですね。

しかし、何が大変って、想像以上に元の食事に戻す「復食」が大事(おおごと)なのです。
まず、ジュースから始めて、おかゆにして、
一週間ぶりのごはん、って食べちゃうと一分で終わってしまって。
空になったお茶碗眺めて、次の食事の時間まで、ひたすら待つ。
まるで修行僧みたい。
断食した長さと同じ時間かけて復食して行きます。
ある意味食べないより辛い。

大体、断食を自分でやって失敗するのは「復食」に失敗するみたいです。
うっかり冷蔵庫を開けて、全部食べてしまって
とんでもないことになるとか。

ただ、本当に体調は良くなりました。絶好調と言ってもいいくらいでした。
榎木さんが体調がいい、と言うのも、まんざらやせ我慢でもないと思います。

たしかに現代人は飽食ですし。
人類が誕生してほぼ飢餓に苦しまなくなったのはこの数十年でしょう。
江戸時代もずいぶん飢饉に見舞われています。
いまでも一日5ドル以下で暮らす貧しい人々はいるわけです。

今は断食も不食もしませんが、
基本的に、お腹がすかなければ食べません。
朝ご飯は必須、というけど、
私にとって、夜食べて、寝て、起きて、朝食、
というのは食べ過ぎの感じ。

一日24時間のうち、エネルギーの摂取(食事)が8時間、
それを消化し栄養として取り入れるのが、8時間、
そして消化したものの残滓をしっかり出すのに8時間。
私の体はそんなリズムです。

そして断食のキッカケとなったヨガも何となく続けています。
最近はそれに体幹トレーニングが加わりました。

長友体幹トレーニングは非常に肩凝りにいいので、
朝の気持ち良い目覚めを想像するとやらないわけに行かなくなって来ています。
お腹すくまで食べないのもその方が気持ちいいから。

常識と違うかもしれないけど、
私は自分の体の声を聞くようにしています。

ところで、断食中に書き写したレシピノートですが、
普通に食べるようになってから一度たりとも開いたことはありません。
人間って不思議ですね。

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