何が違憲なのか?条文を読む。弁護士さんの講演を聞いて来ました(2)

昨日の続きです。

今日は条文そのものを紹介します。
来週は強行採決、と言う声も聞かれますが、
いや、それはさすがにマズいでしょ、っていうくらい
日本語がおかしい条文です。

ほんとおかしいの。

今回の安保法制は、10個もの法律の改正やら新制定を
一気に纏めて一つの審議でやってしまおうという、
それだけで無謀なもの。
しかもそれが憲法違反と来ている。

憲法違反になると社会がどうなるのか、は昨日書きました。

さて、面倒ですが、法律名を上げます。

改正の対象となる法律10本は(番号は私が読みやすくするためにふったもの)
1)自衛隊法
2)国連平和維持活動(PKO)協力法
3)周辺事態法(「重要影響事態法」に名称変更)
4)船舶検査活動法
5)武力攻撃事態対処法
6)米軍行動関連措置法
7)特定公共施設利用法
8)海上輸送規制法
9)捕虜取扱法
10)国家安全保障会議設置法。

新たに制定するのは、1本。
11)「国際平和支援法」

審議時間が80時間とか言ってますけど、
一つの法案にすると8時間ないことになりますね。
まずそれだけでもむちゃくちゃです。

さて、川上弁護士の上げて頂いた問題点のすべては
書けないけど、ちょっとビックリ、みたいなところをいくつか上げてみます。

まず、総論として、現在は国内とPKOに限られていた自衛隊の任務と活動範囲が
世界中どこでも活動可能になります。

5)武力攻撃事態対処法 では、

現行
武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危機が迫っていると認められるに至った事態等(個別的自衛権)

↓ それが

改正後
我が国と密接な関係にある 他国に対する武力攻撃が発生し、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追及の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態・集団的自衛権)

となるのですが、
私自身がこの改正の条文を読んで「変だ!」と思ったのは、
たとえ密接に関係する他国でも、他国に対する武力攻撃が発生したら、
何故日本が危険になるのか?という点です。
だって日本が攻撃されていないのに、何故日本が危険になるの?普通あり得ないでしょ?
この点、論理的にも絶対変だと思いましたし、
講師の先生に質問したかったのに、時間切れで聞けませんでした。

で、条文にある「我が国と密接な関係にある他国」について、
質疑時間に、「これは実質的にアメリカのことだと思うが、世界一の軍事大国のアメリカを攻撃する国ってあるんですかね?」という質問には、思わず会場から失笑が漏れていました。
川上氏も「実質的にはないでしょうね。中国が、という人もいるけど、
アメリカと中国は経済的に深く関わっているから、どちらが欠けてもどちらも困る。」
と答えておられました。
言葉遊びに近く、自衛隊を日本の外に出すための詭弁としか思えないですよね。

3)周辺事態法は
「重要影響事態法」に名称変更されるのは、現行の条文にはある周辺事態という言葉が
はずされるからだそうです。地理的範囲が無くなる。自衛隊が世界のどこでも活動することが可能となる。

そして、新聞記事などで見る「武力行使一体化論」ですが、これが許されるようになると
憲法破壊のメルクマールになるという用語です。

現行の1)自衛隊法では、

武器等防護のための武器使用(95条)

↓それが、

外国の軍隊等の武器防護のための武器使用(95条の2)

が認められるようになるのだそうです。

今までは正当防衛のための武器使用(自己保存型)だったのが、任務遂行型へ拡大されるのです。
もしこれが外国軍隊等の武器等(船舶・航空機等)防護の武器使用に至れば、実質的な集団的自衛権行使にいたる危険がある、つまり憲法違反だ、ということなのです。

国会で、後方支援だ、いや、危なくなったら逃げるから後方支援じゃない、とか論議(と呼べるのか?)していましたよね。
真面目に答えているとは、とても思えないような国会論戦でしたが。

ご講演のあとの質問タイムに質問する人は男性ばかりだったのだけれど、
最後の最後に女性が発言され「強行採決されたらどうすればいいんですか」と聞かれていました。

強行採決されたからと言って諦めてはいけないが、
とにかく、今国会でなんとしても止めることが大切だ、
と川上氏は答えておられました。

これらの条文を読むと、自衛隊員は本当にいのちの問題だな、
と痛感。
それに、わざわざ戦争に巻き込まれに行く、と言う感じ。
普通の国なんかにならなくてもいいから、ほんとにこの法案止めたいです。