カテゴリー別アーカイブ: 鳥の絵

栗鼠とアカハラの図

今日の一枚
画用紙に水彩と色鉛筆

画用紙に水彩と色鉛筆

先日、鹿を描きに行った時に、リス園に寄ったら、
アカハラと雉が放し飼いにされていました。
人慣れしているので、至近距離での写真撮影も可能。

鳥の写真は、望遠レンズが重たいし、樹上の鳥などはなかなか撮れません。
でも、不思議なことに、公園などで絵を描いていると
よく周りに飛んできます。
チョウチョやトンボもそうです。

夢中になると気配がなくなるのかなあ、
なんて思いながら、しあわな気分です。

そんな幸せな気分をお裾分けです。

良い週末をお過ごしください!

もしかすると、来週は、更新をお休みするかもしれません。

お暇な時に、ホームページの絵を見て頂ければ幸いです。
マダムかよこのアトリエ

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屋台骨がはずされそう / 空飛ぶ骨組みの図

今日の一枚
ケント紙に顔料インクと水彩

ケント紙に顔料インクと水彩

「鳥はなぜ飛べるのか」「どうやって飛ぶのか」
鳥に興味を持って以来、
その飛ぶ仕組みを理解したいと、
随分デッサンし,また、鳥の博物館へも通いました。

今日の一枚は、鳥が飛ぶ時の骨組みです。
鳥の骨は,中が空洞で軽く、
補強するために筋交いを入れて「トラス構造」にしています。

羽ばたくために,胸の筋肉は発達しています。
絵で見ると首の下にU字型の叉骨(さこつ)があり、
その奥には竜骨突起と呼ばれる板状の骨がでていて
そこからお腹を覆うように大胸筋という筋肉があります。
鳥のお腹が丸くでているのはこの筋肉なのです。

大胸筋が竜骨突起側に縮むと翼は打ち降ろされ、そのとき
叉骨(さこつ)は柔らかいのでバネのようにたわみます。

骨というのは、本当によく出来ていて、
例えば、私たちの腕の肘から下をねじることができるのは、
骨が二本あるからです。

鳥の場合も、肩から出ている上腕骨の先に尺骨ととう骨の二本が出ていて
翼を操れるようになっています。

あの美しい羽の内側には、空飛ぶ骨組みがしっかり組み込まれているのです。

民主主義の屋台骨がはずされそう

鳥はしっかりとした骨組みがあるから、鷹やフクロウのような猛禽類すら飛ぶことができます。
民主主義の国の骨組みはなんでしょうか。
三権分立や憲法はもちろんのこと、
情報公開、も欠くことの出来ない屋台骨です。

情報公開があるから
国民は情報を共有して選挙で国会議員を選ぶことができます。
情報公開があるから
国がデタラメをしないか監視することができます。
情報公開があるから
行政のお金の使い道を知ることができます。

今その国の屋台骨を壊しかねない法案が
参議院で審議されていて、与党は今週中に強行採決を目論んでいます。

しかし、実は、情報公開条例がある今でも、
情報公開を求めると真っ黒に塗りつぶされたな書類が出てきます。
山本太郎くん はじめてのしつもん
(最後の方24分くらいに、真っ黒に塗られた情報公開請求で出た書類が呈示されます)

国民の8割が反対し、
各界から反対の声が上がっています。

秘密保護法案:「反対する学者の会」参加2000人超す

秘密保護法案:映画愛する皆さん、反対を 監督や俳優

特定秘密保護法案に反対する医師の会まとめ(メモ)

そして私も賛同しました。
「特定秘密保護法案に反対する音楽・美術・演劇・映像・出版など表現に関わる人の会(略称:表現人の会)」

私は、この法案は、知る権利もそうですが、
国民の尊厳をを犯す法案だと思っています。

尊厳というのは、人の心の屋台骨です。
人権と置き換えてもいいかもしれませんが、
あえて尊厳、としておきます。
311以降、「お金か、命か」と問われました。
しかし、尊厳が問われることは、ほとんどありませんでした。

今、立場を語る人たちが自分たちの失敗を隠そうと法案を通そうとしています。

以下は山本太郎のブログですが、国会運営の内情がよく分かります。
民主党の議員が頑張っていますね。
必読です。
山本太郎のブログ「なう」

ようやくですが、反対運動も国民運動の様相を呈してきました。
だから焦って、なんとか強行採決しようとするのでしょう。

政治というのは私たちの尊厳の問題でもあり、
命の問題でもあり、
お金の問題でもあるのです。

お金だけを守ろうとすると
尊厳や命は守れないかもしれない。

命を守ろうとすると
お金はあきらめなければならないかもしれない。

でも、尊厳を守る戦いをして行けば、
命は守れるし、
お金も付いてくることがある。

尊厳を守る戦い、それはガンジーの非暴力不服従です。

憲法第12条にあります。
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

私たちは、与えられた民主主義に、少しのんびりしすぎてしまったかもしれません。

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立場で語る人たち / ムクドリのスケッチ

今日の一枚
スケッチブックに水彩と色鉛筆

スケッチブックに水彩と色鉛筆

ムクドリはどこにでもいる鳥ですが、
群れをなして移動するので、
ビックリする事があります。

今日も、隣の家の前の電線に50羽以上止まっていました。
ジュルジュル、ジュルジュルと
外で変な音がするな、と思ったら、ムクドリの大群でした。

以前は、150メートルくらいはなれた大木に集まって
ネグラにしていたようなのですが、
少し前にその木のところを通ったら、
上の方の枝がバッサリと削られていました。
鳥の都会暮らしも、なかなか大変です。

スケッチは、「鳥の博物館」で剥製を描いたもの。
12月1日まで鳥の博物館では、
「鳥の骨展- 空飛ぶ骨組み-」をやっています。

最近、ようやく鳥がなぜ飛ぶのか、
なぜ風切り羽根は左右対称でないのか、
かなり、その仕組みが飲み込めてきました。

写真でも飛んでいる鳥を撮る事は大変ですが、
仕組みが分かれば、
自在に鳥を飛ばせて描くことができるようになります。

ムクドリは飛ぶと腰の白い部分が目立つので
遠くからでも分かります。
くちばしで羽繕いをしている様子は、
猫の毛繕いにも通じる可愛さがあります。

立場で語る人々が作る未来

311以降の現象を表す言葉の代表格に、
「今だけ、金だけ、自分だけ」とともに、
「東大話法」があります。

その「東大話法」という言葉の生みの親、
安富歩氏の「学歴エリートは暴走する 〜『東大話法』が蝕む日本人の魂〜」
を2週間ほど前に読みました。
示唆にとんだ内容だったので、
まとまった感想を記す事にします。

安富歩氏の「東大話法」関係の著書は4冊ほどあるようですが、
私は今回初めて拝読。
というのも、実は「東大話法」そのものには、あまり関心はなかったのです。
しかし、本屋さんで手に取ってパラパラと見ていたら、
学歴エリート(主に東大出身者)の戦前からの流れが書いてあって、
興味がそそられました。

というのは、今の日本の混乱は、
どう考えても、戦前と戦争の総括が出来ていない事が要因だと
私には思えてならないからです。
そして、この本で、安富氏はこの総括を試みてくれました。

まず、第一章でさまざまなデータとご自身の経験から
「学歴エリート」の定義が行われます。
それによりますと、どうやら
「相手が求めている答えを察知する能力の高い人」
が「学歴エリート」ということになりそうです。

もう少し詳細すると、
「空気を読む」能力が高い上に「気のきく事務屋」で、
自分の意志よりも「自分の生き方を肯定してくれる場所」を目指してる、人々。
ということになりそうです。

ところが、平時ではなく、判断や決断が求められる時には、
「相手が求める答え」がないために、
またプライドがあるために、「気のきく事務屋」は混乱します。
安富氏は「気のきく事務屋」がリーダになって暴走した例として、
長銀(日本長期信用銀行)の末路をあげています。

次いで、第2章で「学歴エリートのルーツを探る」作業です。
安富氏は、学歴エリートは
バブルをいまだに引きずっているのはもちろんの事、
どっこい、バブルだけではなく、戦後も引きずっており、
実は戦争そのものが終わっていなかったのだ、
と喝破します。

え?
と思うでしょうが、
戦前戦中で中心になって動いた学歴エリートが
実は、戦後も立場を変え、役割を変え、
日本を引っ張って行った事実を、
具体的に名前や事例を挙げて説明して行きます。
現総理のおじいさん、岸信介の例もでてきますが、
この章は、今の混乱を知る上で、お薦めです。

そして、戦争を始め、戦争に負けて、
戦争をなかった事にしたい「立場」の学歴エリートが築いた経済成長は
経済戦争という名の新たな戦争であった、
というのです。

さて、この第2章に「立場三原則」という言葉がでてきます。
① 役を果たすためには何でもやらなくてはいけない。
② 立場を守るためには何をしてもいい。
③ 人の立場を脅かしてはならない。

原発事故後の御用学者、
と言われる人たちの行動そのものではないですか。

さて、安富氏はこの3原則がこそが真の日本国憲法だとして、
そのルーツを明治維新に求めます。

以下p75より引用。

江戸時代までは日本人は「家」を単位に生きてきました、これが明治維新によって近代国家における「国民」という概念にかわりました。「家」を守るために命をかけて、切腹までしてきた日本人が、今度は、徴兵制度で「お国のため」という事で、一人一人が「国民」という「立場」を与えられ、それにともなう「兵役」を始めとした役を果たさなければいけなくなったのです。これが出来た者は「立場」が守れますし、できない者は「役立たず」と呼ばれました。(略)
こうして「役」を果たすためにはなんでもしないといけないし、そのためなら何をしてもいいという日本独自の倫理観が誕生して、これは現在までなんら変わること無く続いています。

加えて、基本的人権など、「立場」の前には簡単に踏みにじられる、
とも言っています。
思い当たりますよね。

この2章の最後に、陸軍の参謀という学歴エリートがでてきます。
参謀というのは作戦を考えるのが仕事の人で、絶大な権限があったのです。
彼らは超難関の試験を突破して陸軍大学校に入学し、
戦術を中心に学んだらしいのです。

ところが、この「参謀」たち、
驚くべきことに、
「責任を問われない」という待遇を受けていたのです。
参謀はあくまでも「作戦」を考えるのみで
責任は作戦を採用した指揮官というシステムだったそうです。

さて、以前、「陸軍登戸研究所」の映画を見て
記事を書いた時に、まるで、将校がゲーム感覚である印象を受けた、
と私は書きました。
兵隊に兵站を現地調達させるために偽札を作ったり、
和紙とコンニャク糊で直径10メートルの風船爆弾を作ったり、
荒唐無稽とも思える作戦は、
こういう責任をとわれない参謀からでて来たのか、
と本を読んで、妙に納得してしまいました。

以下、p79より引用

どんなムチャクチャなことをしても「立場」が守られる「参謀」という制度は、陸軍のみならず、日本の官僚システムに浸透しているような気さえします。

この問題の根は深いです。
原発事故後も必死に隠蔽して
今度は「秘密保護法」なる法律で
自分たちの立場を守ろうとする官僚ですが、
私たちは選挙で選べない、
つまり、是正する方法が極端に少ないのです。

3、4、5章は、
2章のようなルーツを持つ学歴エリートの
戦後の所業の事細かな観察と分析です。

詳細は本書に譲るとして、
「学歴エリート」がすごいと思ったのは
つじつまが合わないことも自信満々に話すという
「東大話法ルール⑤」で作る、キャッチフレーズです。
「もはや戦後ではない」から始まって、
参謀の面目躍如で国民は見事にその気にさせられてきました。

それから、意外に知られていないのが、
叙勲制度も実は官僚に裁量権がある、ということです。
安富氏は、叙勲などをありがたがるのも
「スペック戦争」と指摘します。

そして「おわりに」で、かなり怖いことを書いています。
アベノミクスは、無意識の破綻願望の現れだというのです。

以下p181より引用

つまり、過去から学べば、崩壊しているものを存続しているのだという“ふり”
をしている時というのは、既にその先にある「心中」を考えているということです。
これは裏を返せば、その「心中」を無意識に望んでいるからこそ、現実からかたくなに目を背けて“ふり”を続けるのです。
翻って今の状況はどうでしょう?アベノミクスという“ふり”を続けながら、中国や韓国に対して強硬な姿勢を崩さない。環境は整いました。あとは、すべてをリセットするため、安倍晋三首相が「一億火の玉」を言い出すだけです。

しかし、そのあと安富氏は、
このような「立場主義」から脱却するにはどうすればいいのか、
についても、まだ思考の途中でありながらも、提示してくれます。
それについては、実際に本書をお読みください。

なお、その答えではないけれど、
本書の中でいい言葉だと思ったフレーズを2つ。
「先祖になる」勇気を持つ。
そして
「私」を視点とした「私の世界史」の歴史を描く」

前者は、「はじめに」の最後の一節で、後者は「あとがき」の最後の方の一節です。

この新書版は、全てが安富歩氏の書き下ろし、ということではなく、
安富氏と編集者の話をライターの方が書き、
最終的に安富氏が手を加えたようです。
満州の経済史研究もされていて、
人間社会はなぜ暴走するのかに興味がある学者の
手軽な「学歴エリート史」として、
簡単に読めて、歴史的な俯瞰もある本でした。
特に2章はお薦めです。
学歴エリートを知ることは
日本社会の仕組みを知ることに他ならないからです。

鳥の飛ぶ仕組みを知れば、鳥が描けるようになります。
社会の仕組みを知れば、
社会の未来が描けるようになる可能性はグッと高まるはずです。
私たち一人一人が、誰かの「先祖になる」勇気を持つことで。

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タネの話(2)/ヒマワリのタネを食べるカワラヒワの図

タネの話「その2」です。
自分の復習もかねて書いていたら、
少し長目の記事になってしまいました。

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆


絵は、花が終わったヒマワリのタネを食べるカワラヒワの様子です。
食べる食べられるの関係で、自然界は繋がっています。
人間だってその一部です。

遺伝子組み替えの話をする前に、
17日のブログの最後に

ヒマワリの種は、昨年咲いたヒマワリから採取したもの。
この種は蒔くと花が咲くのかな?

え、タネを蒔けば芽を出すのが当たり前じゃないの?

……のはずが、どうも最近は様子が違うのです。
 人間はお金と効率のためには、いろんな事を考えるのです。

と書きました。

この話からしましょう。
野口勲氏の「タネが危ない」から取り上げます。

少し複雑な話になるのですが、
昔は農家では、その年に育てた作物から翌年のためのタネを取って翌年植え、
またその翌年(つまり翌々年)には前年の作物から取れたタネを植え、
と言う風に毎年毎年タネを引き継いで来ました。
代々の性質が変わらないので「固定種」と呼び、そこからタネを取ることを
「自家採種」と言います。

昔はこれが一般で、タネ屋では「一粒万倍」として売られていたようです。
タネの話(1)で一粒の種もみが500粒になる事を書きましたが、
まさに、永続農業ですよね。

ところが、この固定種は「商品」になりにくい、
という面があるのです。
というのは、

大きさが揃わない、
一斉に収穫出来ない

のです。

昔の八百屋さんは一キロ幾ら、で売っていたので、
大きさが揃わなくても問題無かったのですが、
今はスーパーなどの小売り形態が増え、大きさが決まっていないと
出荷納品などがロスが出ます。
また量も同じ時期に一定量が取れないと「商品」として取引出来ません。

と言うわけで、登場したのが「F1」(エフワン)と呼ばれる、
大きさが揃って一斉に収穫も出来る作物です。
今は市場にはF1種しか無いくらい、席巻しているタネなのですが、
遠縁の交配種で同じ形質を持った二代目は作れないのです。
つまり、自家採種が出来ないのです。
ということは、今の農家は毎年タネ屋からタネを買って
作物を栽培しているのです。

この話は私にとっては、かなり衝撃的でした。

検索してみたら、交配種とそうでない品種とはどう違うの?というサイトを見つけたので
もっと知りたい方はご覧下さい。

それから、少し脱線しますが、
タネの話は「メンデルの法則」そのものです。
おさらいしたい、という方は、
こちらの生物学基礎のホームページはいかがでしょう。
遺伝の法則のページ
このサイトの作者、和田勝氏の本

この本は、高校で生物を履修しない医学生のための本なので、
懇切丁寧に、詳細を図入りで生物学入門から分子生物学まで学べます。
それでも私なぞにはまだ難しい。
一度電子顕微鏡で細胞見てみたいなあ、と思ったり。

さて、その市場を席巻しているF1種はどのように作られるのでしょうか。
F1種は現在は「雄性不稔」(ゆうせいふねん)というやり方で
作られています。
「雄性不稔」というのは言ってしまえば、タネのインポテンツ。
野口氏は本の中で、以下のように述べています。

ミトコンドリアが傷つくことによって、動物も植物も子孫を作る能力がなくなってしまう。ミトコンドリア遺伝子の異常を起こした植物が雄性不稔のF1になった。我々はそのF1野菜を食べている。我々は日常的に、生殖能力を失った、ミトコンドリア異常の野菜を食べている。玉ねぎのミトコンドリアは玉ねぎ全体の重さの一割を占める。玉ねぎの異常遺伝子は脈々と受け継がれていくのである。
「タネが危ない」P.120より

ミトコンドリアってなんだっけ、という方は生物学基礎のページをご参照ください。
細胞の構造
「パラサイト・イブ」の作家瀬名秀明さんが書いた本もあります。

そして「雄性不稔」を利用したF1のタネは、
子孫が出来ないため、タネが盗まれることがなく新種を独占出来る、
というタネ企業にとってはおいしい「商品」。

しかし、野口氏は、本の中で警鐘を鳴らします。
科学的な研究がなされたわけではないので、あくまでも氏の推論と断りつつも、
最近ミツバチが一斉に消えた話や人間の精子が激減していることなど
もしかすると、この「子孫を作れない植物を食べること」と関係があるのではないか、
しかし、今はそれを証明出来ない、と言っています。

とはいっても、経営という視点を考えたとき、
F1を否定出来るものでは無い、と野口氏も書いています。

さて、雄性不稔のF1の話のあと
ようやく遺伝子組み替えの話になります。
長かった〜。でもこれから先の話はさらに考えさせられます。

遺伝子組み替えと言うと、組み替える植物の遺伝子を取り出して
人間が操作するのかと思っていたら、違うのね。
生きているバクテリアを使うらしいのです。
えええ、って感じですが、なので、
「アグロバクテリウム法」と呼ぶらしいです。

以下は、「タネが危ない」の152ページを要約してみます。
アグロバクテリウムはバクテリアの一種です。
土壌細菌で世界中どこにもいて、その辺りの土の中にもいっぱいいるらしい。
細菌というのは自分の大元の遺伝子は渡さないけれど、
「プラスミド」という小銭のような遺伝子をお互いにやり取りして、
例えば、ある細菌が除草剤に強い耐性を獲得すると、
除草剤に強い耐性をプラスミドに入れて、隣の細菌に渡す、
のだそうです。
これでドンドン除草剤に強い細菌が増えます。
そしてアグロバクテリアが植物の中に入ると異物とは見なさずに
取り込んでしまい、ガン細胞のように増え、植物は枯れてしまう。

この植物がプラスミド遺伝子を取り込んでしまう性質を応用したのが
遺伝子組み替え作物、というわけです。

遺伝子を組み替えるには、葉っぱを切り抜いて、
遺伝子組み替えされたプラスミドが培養された液に浸すと、
葉っぱの傷口からプラスミドがすべての細胞にはいり、
その葉っぱは一つの植物として成長。

すごいのは、
出来上がった植物細胞の一つ一つ、花粉の一つ一つまで
すべて遺伝子が組み替えられるということ。

そして、なんとなんと、
花粉がまた外に飛び出して、
交配した他の植物を遺伝子組み替えにして行く、のだそうです。
一度遺伝子が組み換えられると、花粉が飛ぶ限りエンドレスですね。

で、このホラーのような遺伝子組み替え技術で、
今のところは封印されているけど、超ど級に怖い技術に
「ターミネーター・テクノロジー」というのがあるそうです。
「自殺する遺伝子」と呼ばれるターミネータ遺伝子を組み込んだものだそうで、
遺伝子操作によってタネの次世代以降の発芽を押さえるのが目的。

農家の自家採種を何が何でもさせないぞ、
というテクノロジー。
強欲な技術であると同時に、
野口氏は、この「自殺する遺伝子」を持った植物が
根の細胞を通じて、寄生する細菌とプラスミドを交換しあったら、
とんでもないことになるのでは、と書いています。

今は封印されている技術だけれど、もし解禁されて、
このターミネーター遺伝子を持った花粉が世界中にまき散らされたら、
植物は次世代が作れないことになります。

野口氏は

植物の死は動物の死と直結する。一時しのぎの経済戦略が地上を死の世界に変えてしまう危険性を秘めている。(「タネが危ない」P.156より引用)

と述べています。

さて、生物学的な面だけでなく、社会的には、
遺伝子組み替え産業が世界の種苗メーカーの株を買って
ドンドン傘下に収めている、
という事実もあります。

2007年には、世界の種子会社は
一位モンサント、二位デュポン、三位シンジェンタという
バイオメジャーに占められました。

日本の種苗会社もいつ買収されるか戦々恐々。
タキイは上場せずに一族で株を持ってなんとか凌いでいるそうです。
検索したら、今日の日付で、世界の種苗会社のランクがのっていました。
種苗業界の世界勢力図

「タネを支配するものは世界を支配する」のでしょうが、
世界を滅ぼしかねない技術で儲けて、同時に自分達の生き物としての足下をも
蝕んでいることになります。
もし意識的に「我が亡き後は洪水来れ」と思ってやっているのでなければ
自分で自分の首を絞めているように思えるのです。

付け加えると、
先に名前の出たバイオメジャーを始め、世界の600ぐらいのグローバル企業に
日本市場を明け渡す、のが、いわゆる「TPP」です。

さて、最後に「タネが危ない」を書かれた野口勲氏の会社のホームページをご紹介します。
野口種苗

自分でタネが取れる野菜。いいですね〜。
作るのもワクワクしそうです。
私はなかなか本格的に野菜作りは始められないのだけれど、
楽しみが増えました。

   

6月の記録/田植えの絵など

以前田植えの報告はしたのですが、
田植えの様子をようやく描きましたので、アップします。

20130702

子供たちが植えやすいように水を抜いた田んぼ。
田んぼの泥が見えています。
手も足も真っ黒になりながら2、3株ずつ植えて行きます。
コテを持っている右側の男の子は「クロ塗り」と言って、
あぜから水が抜けないように、あぜを泥で固めているところ。

左手前にいるのはカルガモ。
子供たちから離れた遠くの方で見守っています。(絵では手前だけど)
このあと水を再度引いた田んぼで泳いでいました。

そして小さな田んぼの主役オケラ。
20130702b

オケラはモグラのような手で土に穴をあけます。
昆虫というのは、幼虫から成虫まで、
まるでSF映画のキャラクターを集めたかのような
イマジネーションの宝庫。
必要があって作られた昆虫の身体ですが、
創造主のイマジネーションには驚くばかり。
鳥もそうですね。
その羽の美しさ、造詣は完璧。

しかしその創造主も恐れぬ人間は、自然界を脅かします。
2日には、国際自然保護連合(IUCN)が
世界で絶滅する恐れがある動植物を列挙した「レッドリスト」を更新し、
新たに715種を絶滅危惧種に追加しました。
「絶滅危惧」715種を追加=レッドリストを更新-IUCN
このニュースでは、ニホンウナギがリストに加えられたら
「もう、ウナギが食べられなくなる!?」という言説が
飛んでいました。
2月の記事ですが、こちらのサイト
2013/02/01 (Fri) ■[環境]ウナギが絶滅危惧種!? レッドリスト指定について
がよく調べておられるので、
興味のある方はお読みください。

生き物がいなくなる事には誰もが反対だと思いますが、
しかし、突き詰めると、この問題の多くは人類の「貧困」に
突き当たることに気づかされます。
私は英語版のナショナルジオグラフィックを定期購読していて、
この問題の特集は年に一回はあるので読みます。
貧困と格差。
象牙やフカヒレなどはその象徴です。
牙やヒレだけを切り取られたゾウやフカは死ぬしかありませんが、
それは、それを捕って先進国に売ればお金になる貧しさがあるからです。

ナショジオでは、よく中国が槍玉に挙がるのですが、
しかし、アフリカを搾取の対象としか見ないような歴史を作ったのは
中国ではありませんからね。

今も先進国はアフリカの資源獲得にしのぎを削っています。
私たちの生活も多いに関係があるのですが
その繋がりが意識されることはほとんどありません。

しかし、省エネを考える。そしてフンデルトヴァッサーで述べたように、
明らかに地産地消というのは、
自分たちを守るだけではなく、海の向こうの人々も守ることになるのです。
少しでもそういう方向を私自身もがめざせればいいな、
と思って田んぼ作りに参加しています。
もちろん、一番の動機は「楽しいから」なんですけどね。
そして人間だって自然の一部。
そのことは忘れたくないです。

旅鳥と干潟のカニ

今日は、先日干潟で見たキョウジョシギ(京女鴫)
という旅鳥の絵をアップしておきます。
鳥の絵、久しぶりです。

シギやチドリはこの時期、
オーストラリアからシベリアめざして行く途中、
日本の干潟に寄って、小休止。
8月から9月には逆にシベリアの方から
オーストラリアに戻る途中で、また日本に寄るのね。
詳しくはこちらのサイトで見てみてね。
シギ、チドリ展

あの小さな身体で年に二回も地球を半周するのはすごい、
と思うけど、鳥は気流とか風に乗って上手に飛ぶのね。
省エネ体質。空飛び功者。(笑)
トビがキレイに螺旋を描いて上昇気流にのって
アッという間に空高くまで登る姿は見事です。

20130517

絵の中で
キョウジョシギが見ているのは
ヤマトオサガニ、と
小さなチゴガニ。
ほんとは両方ともキョウジョシギと比べて、
もう少し小さいけどね。

干潟のカニって、
ウェービングと言われるダンスをして可愛いんですよ〜。
どんなものか見たい人はこちらからどうぞ。

キョウジョシギの頭の上の蝶はアオスジアゲハ。
ほんとはレンゲ畑とかにいるけど、
チゴガニの甲の色と響いてキレイでしょ。

干潟の鳥を見に行く時は
双眼鏡を忘れずにね。

ではでは。

冬鳥を惜しむ

暖かくなってきましたね〜。

もうすぐすると、冬鳥とはしばしのお別れです。

ホシハジロ

ホシハジロ

冬鳥のデッサンは寒さとの闘いです。

もともと夏以外、外でのスケッチは防寒対策が必須。
(夏は夏で暑さ対策があるけど)
描いている間、動かないので、
身体の芯までしんしんと冷えてきます。

ですから1月2月の野鳥のスケッチは冬山登山の装備です。
アクセスポイントまでは歩いて行くので厚着が出来ず、
すべて持参で大荷物になります。
しかし今は軽くて良い登山道具があるので大助かり。

ただでさえ、
スケッチブック、
鉛筆や色鉛筆それに水彩道具。
一眼レフのカメラも必要ですし、
(さすがに望遠レンズまでは持って歩けないけど)
鳥を観察する双眼鏡は必須。
昔はフィールドスコープを持って行ったのですが、
重いし、鳥の動きについていけないので、
今は小さな双眼鏡。
もちろんお弁当や水、飴やお菓子も。

正直、幾つまで出来るのかなあ、と思うことしばしば。

出来る間がんばるしかないですね。

ツグミ

ツグミ

ツグミはわりと人の近くまでやってくる鳥さん。

冬鳥だけではありませんが、鳥の絵の記事はこちらから。
アオサギ
カワラヒワ
タカサゴモズ
ヒヨドリ

これから6月くらいまでは、気持ちのいい季節です。
それでも、じっとしているから防寒対策は必要なんです。

ではでは。

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