ヴァーチャルとリアルの界面を泳ぐ作家たち

日曜日29日は、両国にあるアートトレイスギャラリーで開催されている
「その界面を泳ぐ」 展を見てきました。

面白かったです!

と言ってもあと二日で終わっちゃうので残念。
しかも、おばかな私は、iPhoneで写真を撮るのを忘れたので
文字だけで、「何が面白かったのか」を書かなければなりません。

ご案内のハガキを頂いて
「その界面を泳ぐ」 展、という題名に、まず惹かれました。

しかし、即物的な私は、その題名から一番に想像したのが、
海を泳ぐ人が海面から顔を出しているところ。
まさに液相である海を泳ぐ人が気相との界面から顔を出して息継ぎしているところ。

とほほ、、、なんと言う貧困さ。。

自分のイメージの貧困さはさておいて、
出品作家のアイデアや知識の広さは
素晴らしいものがありました。

一言で言えば、
ヴァーチャルとリアルの界面を泳ぐ作家たち
でした。

「界面」というと、
実相ーー気相と液相、液相と液相、液相と固相、
固相と固相の二相間で形成されるーーしか思い浮かべない私でしたが、
「界面」は英語では「interface」。
interface、と言えばパソコンの画面ですね。
まさにデジタルなヴァーチャルと、リアルの「界面」。

作家さんたちには、むしろこちらの「interface」こそが「界面」
として先にあったのかもしれません。

例えば、
ムカイヤマ達也さんの
圧縮されたデジタルデータの捨てられた部分を
ドットで再現した油彩作品。
(ネット上に写真見つけました。)
色がデジタル風味で再現されていて、しかも四角いドットは相当に根気を要するものです。

飯野哲心さんの、
自分をヴァーチャルゲームのキャラクターに仕立て
そのゲーム画面を一センチ四方木片のピクセルを埋めたという
縦横3メートル弱くらいの大作。
(やはりネット上に写真を見つけました。)
横からの写真もあって、、、
まるで、高層都市の遠景ですね。

かと思うと、
赤松音呂さんの
目に見えない地磁気で揺らぐ、蔀(しとみ)の中の風鈴
磁場との界面。

この作品は、私に
以前記事にした、重力だけで重い石を空中に止める
カナダのパフォーマー マイケル・グラブ (Michael Grab) の
「重力接着 (Gravity Glue)」
のことを思い起こさせました。

私たちは、普段は全く意識しないけれど、
重力やら地磁気やら様々なチカラに取り囲まれて生きています。
重力というチカラは、すごく不思議で、
スペースシャトルにしても、驚くほどのエネルギーを使わなければ
地球圏から出て行けないのに、
かといって、冷蔵庫のマグネットが落ちるほどの強さではない。
しかし逃れられず目に見えない。

そして今回
赤松音呂さんは、目に見えない地磁気を
眼前に表出させてくれました。
竹で組まれた蔀の中で、地磁気の風でたゆとう金属製の風鈴。
色からすると銅板か真鍮でしょうか。

伝書鳩は地磁気を感知して場所を知ると言います。
気象庁 地磁気観測所サイト
N極とS極が入れ変わる、という地球の現象もあるようで
そんなとき、赤松さんの作品は、どんな風に揺らぐのでしょうか。
是非見てみたい。

そして、高田慶実さんの
震災の様子を経文のように墨で綴った渾身の作品は、
人間社会と自然との界面のコンフリクトを記してくれたのでしょうか。

また太田翔さんは
ペン(だと思う)で微細に描きこまれたビル群の絵と
ETを想起させる不思議な人形オブジェを出品されていて、
いくつかの作風や素材にまたがる作り手の心の界面を見せてくれます。

さて、
私がわりと作品を写真に撮るのを躊躇いがちなのは
やはり著作権の問題があるからですが、最近はiPhoneの登場で、コンサートなども、
スマホや携帯に限って写真撮影可にしているところもあるようです。

ブログに写真を載せないのは、読み手に余り親切とは言えないけど、
しかし、実物も見てもらいたいし、で悩むところではあります。

でないと、作品との出会いが、「確認作業」になりかねないからです。

今回は、会期も短いので、
写真は
misonikomiodenさんにリンクさせて頂きました。
ありがとうございます。