お薦め「会田誠展」

今週の日曜日3月31日までですが、「会田誠展」お薦めです。
お時間作って見て損はないです。

私は昨日行ってきました。
何となく「現代美術の奇才だから見なくちゃ」という義務感で行ったのですが、会場に入った途端、思わずニンマリしてしまいました。

以下は、私の感想ですが、先入観持ちたくない方はスルーして下さい。

とにかく発想が面白く、単純です。
これほど分かりやすい現代美術も無いのではないかと思うくらい、分かりやすいです。

と同時にかなり時代性を意識しているんだろうと思ったら、やはり最後の18禁部屋で、「宮崎勤の事件で、時代とのシンクロを感じた」という本人の弁があり、納得。

ただ、もう原発事故以降、実は時代や現実の方が彼の発想を超えて想像を絶しているところがあって、例えば「灰の山」はサラリーマンを蟻のように描いてその存在を表現しているつもりが、事故後には放射能の中を避難もせず律儀に会社に行く勤め人たちの存在の方がよほど強烈で怖いわけで、かえって彼の絵は絵による現代社会のパロディのように見えてきてしまうのです。

で、結果、むしろ彼の絵の前では笑いがこみ上げて来て、妙なハイな状態になるのです。「そうそうこれこれ」っていう感じ。むしろ、見終わって家路につく時に乗り合わせる勤め人の方がリアルに強烈なわけ。

結局、時代性を追うと時代に越されちゃうことがあるのだと思ったけれど、このパロディ性を意識しているとしたら、それはそれで見事。私も会田誠のマジックにはまっちゃったわけで、気持ち良いくらいでした。この時代の息苦しさを笑いによってカタルシスが得られるひとときはなかなか貴重な体験。

一方、一番最後の原発事故を意識した絵は、さすがに異質に重く、「制作途中」と書いてあったけど、今後描き進められるのかなあ,と思うほど暗かった。

大〜〜きな絵がたくさん在って,しかもひとつひとつかなり緻密に描いてあって、画狂人と自ら名乗って本家の北斎を意識しているところもあって、一枚一枚完成度は限界まで高く、一人の人間が20年間で成し遂げたことにしては、「すごい」のひとことです。

やはり、ある種東京の狂気の象徴である六本木ヒルズの美術館で開かれているということも含めて、見逃せない展覧会でした。行って良かったです〜。

こちらの記事には現代美術に関するリンクが貼ってあります。
日本美術応援団

ところで、森美術館に行くといつも思うけど、会場が暗いのですよね。作品保護のためとはいえ、最近の美術展は暗いものが多いです。
仕方ないのかな。

では。
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