あなたは褒められて育ったでしょうか?
家庭や学校だけでなく、日本社会では常に欠点を指摘され、
「もっと早く」と言われたり逆に「〜しちゃダメでしょ」
などと言われて育ちます。
特に女性は大人になっても「もっときれいに」「いつまでも若く」
と言われて、素顔でいたり普通に年取ることが罪であるかのように
せき立てられます。
もちろん後者などは売らんかなの資本主義のなせる技なのですが、
男性も割と平気で「あの汚いばばあ」といったような
言葉遣いをします。
森高千里さんが「私がおばさんになったら」と
歌っていましたが、子育てを終えた森高千里さんが
今も歌っているのは、立派です。
こんな動画を見つけました。
Dove Real Beauty Sketches
http://www.youtube.com/watch?v=XpaOjMXyJGk
某パーソナルケアメーカーの宣伝で、
なかなかしんみりさせます。
英語バージョンは5千万回以上も再生されています。
日本語版もありますね。
ダヴ リアルビューティー スケッチ
こちらも100万回以上、再生されています。
このフィルムの設定は、知らない人が数人集められ、
待合室で待っている間、仲良くなる、というミッションのみが
参加者に与えられるようです。
「待合室にいる間、待っていた他の女性と親しく話したわ。」
という訳の日本語だとこのミッションのニュアンスが分かりにくいのですが、
英語では
0:58頃に
”All I have been told before the sketch was to get friendly with this other woman :Chloe”
という言葉が出て来ます。
参加者に伝えられたのは、スケッチをするまえに
別の女性と仲良くなるようにいわれたことだけ。
実はスケッチのことも知らされていなかったようです。
で、白いカーテンの内側でスケッチをするのは、
FBIで訓練を受けてサンノゼ警察で働いていた、
フォレンシック(犯罪科学)アーティストのGil・Zamoraさん。
目撃者の証言から犯人の似顔絵などを描いていたのでしょう。
で、Gil・Zamoraさんは、本人の証言と
待合室でさっき友達になったばかりの人からの証言を元に
似顔絵を二枚描きます。
そうすると、本人の自分の顔の説明で描いた絵より
他者の説明によって描かれた絵の方がおおむね明るく
ハッピーな感じに描けるのです。
そう、「あなたは自分が思うより美しい」
というわけです。
2:14あたりで参加者の一人が、
「私は自分の自然な美しさにもっと感謝すべきだ」と言っています。
I should be more grateful of my natural beauty.
It impacts the choices in friends that we make, the jobs we apply for, how we treat our children.
・・・・・
実は、私はこのフィルムはかなり出来すぎているような気がするのです。
FBIの特殊訓練を受ければこういう風に描けるのかもしれませんが、
私は、言葉だけでこういう風に似顔絵が描けるものなのか、
ちょっと分かりません。
経験がないので何とも言えないですけど、
かなり時間をかけて、本人を見た人たちと
「目はもう少し大きかった」
「顎はもっと尖っていた」
「全体的にもっと明るい雰囲気だった」
と時間をかけて行けば出来そうな気はします。
ただ、もしこのフィルムが壮大なフィクションであったとしても、
小さな勇気をくれることは確かです。
そして、もっときれいに、もっと外人みたいに大きな目で、
もっとモデルのように細く、もっと、もっと、
と言われれ続けている私たちも、
自然でいることが悪いことではないように思えて来るのも確かです。
このフィルムのメッセージは確かに
あなたはありのままに自信を持っていいのよ、
というのには違いないからです。
私たち日本女性は、実際以上に美しくない、
と常日頃から、テレビや雑誌やいろんな媒体を通して、
思わせられているような気がしてなりません。
確かに、白人に比べれば彫りも深くないし
雪のように白いわけでもありません。
しかし、艶やかな黒髪とキメの細かい肌は
私たちが思う以上に魅力的ではないでしょうか。
最初に書いたように、私たちは常に長所を伸ばすより、
欠点を直すようにいわれて育ちます。
洋服は西洋の文化ですからそれに合わせるために
私たちは、西洋風のメークをし、髪を染め、
必死に欠点を隠そうとします。
でも、残念ながら、
目が小さいからといってマスカラやラインを塗っても、
髪を茶色にしても、白人になれるわけではなく
なった気分を味わうだけです。
もちろんご本人が良ければそれで良いのかもしれませんが、
時には本来の持ち味がそれで消えてしまうことを
私たちは気がついてもいいかもしれません。
むしろ長所を生かして、
このフィルムがいうように、もっと自然の美しさで
黒髪とつややかな肌を活かしたアジアンビューティーを
めざす人が少ないのは、ほんとうに残念です。
ただ、これを言うと、化粧品メーカーや
美容院業界からブーイングが出そうです。
特に美容院は今はカットやパーマよりヘアダイ
の売り上げが相当伸びているそうですから。
それから、ヨーロッパ人はみんな美男美女、
というのも大いなる間違い。
セレブがきれいなだけです。
かつてオードリー・ヘップバーンが「ティファニーで朝食を」
に主演してジバンシーがデザインした洋服がアメリカで
売れまくったという話しを聞いたことがあります。
その頃からマスプロ宣伝は効果があったのですね。
なにより自然に美しさを保ち、
自然に年取ることは精神的に楽なのではないでしょうか。
残念ながら上手く年をとっている女性のロールモデルが
少な過ぎることもあるのかもしれません。
功成り遂げる女性はお金にも余裕があるので
髪も染めるし、皺取り手術も出来るからです。
そして彼女たちは「いつまでも若く美しい」ことで
お金をもらっているからです。
日本女性はエクステンションをつけなくても
髪を染めなくても、十分に可愛いいし、
むしろそんなことをすると人によっては滑稽に見えることもある、
ことは知って欲しいと思います。
最もみんなと一緒がいいのかもしれませんが。
で、私はどうか、と言うと
若い頃目を大きく見せることに挑戦してみましたが
アイラインを入れると寄り目になるので諦め、
二十代以降からずっと口紅と頬紅で顔を明るく見せるだけの方法ですごしてきました。
白髪が出るようになってからは、
髪を染めると生え際の白髪がかえって目だつので、染めず、
髪がふんわり柔らかい雰囲気になるように
パーマとカットで美容師さんにお願いしています。
自分なり年齢なりの美しさを作って行ければいいな、
と思っています。
年を取ることは悪くないし、
「いつまでも若い」のはかえって気持ち悪いと思うのです。