カテゴリー別アーカイブ: アトリエ日記

わたのはなしべひらく

ご存知のように、
「残暑お見舞い申し上げます」と言うのは、
二十四節気の立秋を境に暦の上では秋だからです。

立秋は8月7日あたり。
8月下旬になると、「処暑」。
処暑には「綿柎開く」という言葉があります。
「わたのはなしべひらく」と読みます。
綿のガクが開く頃、ということです。

で、今日は、綿の花が咲いている、と聞きつけて、
スケッチに行ってきました。

湿度が少なく日陰にいると風が気持ち良いのですが、
日が射しているところは、厳しい暑さです。

私の方も、いささか暑さ疲れをしているので、
炎天下にいるのはちょっときつかったです。

家の近くでは、センニンソウが満開で、それは
夕方日の沈む少し前に行って少しずつ描き進めていました。

デスクトップをネットに繋げないので、古い画像を取り出せないため、
あたらしいスケッチは、順次上げて行きます。

お楽しみにあれ。

ところで、あまりの暑さに、ペットボトルの飲料水も
持ち歩いていると、すぐぬるくなってしまいます。
明日は出かける、30度は越えそうだ、という前の晩に、
古いペットボトルに麦茶を8部目ほど入れて冷凍庫に
一晩置きます。

翌朝、すっかり氷の塊になって、持って歩いているうちに溶けて行く、
という具合。

暑い時に冷たい麦茶はおいしいですが、
意外に身体に負担になるので、飲み過ぎないように。

また、冷凍庫に入れる時、8部目にしないと氷が膨れちゃって大変です。

昆虫おばさんの拾い物

以前はあまり気がつかなかったのですが、
里山風景に馴染むようになると、
普通に歩いているだけで、
いろんな拾い物をするようになります。

一昨日はアブラゼミの死骸が風に舞っていたので
持って帰って来てデッサンしました。
頭と羽しか残っていないものでした。

以前、トンボのひからびたのを見つけた時にもその羽の
構造に魅せられたものでしたが、
セミの羽も素晴らしい構造をしています。

どれほど細かくても、構造が十字になることはありません。
必ず少しずれていて、T字に交差するようになっています。

20130822001

一ヶ月ほど前には、家の近くの道路で
キラキラと玉虫色に光るカナブンを見つけました。
20130822002

こういう拾い物は、すぐ絵にしないと持たないので、
予定外で急に忙しくなります。
カナブンの美しい玉虫色も3日もすると鈍くなってきました。

明日は処暑。
朝晩はだいぶ風が涼やかになってきましたし、
日の入りもかなり早くなってきました。
秋の日はつるべ落とし。

早いもので震災から3回目の秋をむかえようとしています。

田んぼ、8月の様子

この四月から参加している「田んぼ作り」。
昨日久しぶりに見てきました。

この4ヶ月を振り返ってみます。

まず種もみ巻き。
これは4月14日でした。
20130415
前もって発芽させた種もみを柔らかく耕した田んぼの一角に捲きました。

この種もみが一ヶ月半で、↓ このくらいの苗になりました。
20130821001

6月2日に田植えをしました。
20130702

その後、順調に育つ稲。
トンボ達のすみかです。
20130728

そして、昨日はこんな感じ。
絵は昨年のものですが、ほとんど同じです。
20130413

ただ、今年はやはり雨が少ないことが気になります。

来月終わりの収穫までに順調にいってくれることを祈っています。

ところで…………、

ふくいちではこんなことが起きているようです。
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報2)

このリンクには、

「(略)……、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいしたとき。」に該当すると判断いたしました。

とあります。

つまり、気体ではない核燃料物質等が漏洩したという意味は
単純に考えて、核燃料が外に漏れている、ってこととも取れます。
官僚の作った法律用語らしく、実態はよく分からないものの、
核燃料である、という可能性も否定出来ません。

別のニュースでは
「汚染水の水たまりで100ミリシーベルト 福島第1」とあります。

さらり、と書いてありますが、
相当とんでもないことが、ふくいちサイトでは、起きているようです。
本来ならば、首相が視察に行って、状況を判断することではないでしょうか?

私自身、甘かったな、と最近感じています。
どこかに「もう2年経ったから」という気持ちもあったし。

これから、本当に過酷な時代が来るのかもしれません。
経済的にもそうですが、
海や土壌の汚染など、どれほどひどくなるのか
想像もつきません。

……、しかし、しかしです。
こういう時代は、まさに人間としての「力」が
試されることになって行く気がします。

どんな状況でも、情報を探して自分で考え判断する。
人生におけるプライオリティーを精査して、
意味のないことには時間を使わない。
理不尽なことには目をつぶらない。
なんとか楽しみを見つけ出して、生き抜く。

生き抜く力、というのは自分で何かを生み出す力でもあると思います。
今、何から何まで他者の用意したもので生活している都会の私。
これからは、すべては出来なくても、
出来ることはやって行きたい。

今年はファーストステップとして、お米の作り方は学びました。
すぐ出来るようにならなくても、試したことあるのとないのとでは
雲泥の差です。

お米を作るシチュエーションはよほどの時でしょうが
少なくとも、次に大きな地震が来ても
買いだめに走るようなことはしないで、
日頃から備えておきましょう。
水、食料、簡易トイレ、乾電池、家族との連絡方法等々。

こういう国に54基の原発を作った自民党。
危機感ゼロで首相もゴルフ三昧だそうです。
呆れてものも言えません。
これ以上汚染がひどくなると、
海外から突き上げが来るような気がします。

熱帯夜におくる密林の絵

お盆を前に、厳しい暑さになっています。

今晩も熱帯夜で、エアコンを付けなければ寝にくいし、
かといってエアコンを付けっぱなしにすると
身体に良くありません。

我が家では、寝る2時間前に寝室を急速冷房して
氷室のようになったところで冷房を消して寝ます。
たまたま寝室の壁が漆喰なので、
壁が一旦冷えると朝までその冷気が保てるのです。

多くの住宅の、内壁の板にクロスが貼ってあって外壁との間に断熱材が
入っているタイプの部屋で、
この方法が有効かどうかは分からないのですが。

天気予報によると明日はさらに暑いとか。
で、今日は、熱帯夜に密林の虎の絵を贈ります。

20130809

これは20年くらい前に描いたものです。
大きさはF50号(縦116cm×横92cm)。
上野動物園に行って動物を描こうと思ったとき、
ネコ好きの私は、やはりネコ科の虎に一番惹かれたので、
密林の中に虎を配して描いてみました。
また屏風の雰囲気も出してみようと、背景に金箔を使い
なかなか凝った作りになっています。

この密林の様子は、つい最近老朽化のために閉館した
井の頭公園内の井の頭自然文化園にあった「熱帯温鳥館」でのデッサンが元になっています。
東京には熱帯温室は、夢の島、新宿御苑、そして神代植物園、
といくつかあります。
自然文化園の「熱帯温鳥館」は規模は最小でしたが、いつ行ってもすいていることと、
二階の高い視点からスケッチすることができたのが魅力でした。

また、自然文化園の入り口を左手に入ったところには彫刻園があり、
長崎の平和祈念像を作った彫刻家の北村西望の作品も展示されています。
今日は68回目の長崎の原爆投下の平和祈念式典が開かれましたが、
式典の背景に建つ平和記念像はここの彫刻園のアトリエで製作されたもので、
その原型を鑑賞できます。

井の頭自然文化園と言えば象の花子で有名です。
この花子は戦後の1949年にタイから贈られ、
1954年に井の頭自然文化園に移されました。

実は、タイから寄贈されて上野動物園で飼われた「象の花子」はもう一頭いて、
第二次世界大戦前の1935年に贈られた「花子」は、
戦争中の1943年、逃げ出したら危険と云う理由で餓死させられています。
死に至るまで花子は、餌をもらえないので、餌ほしさに
一生懸命芸をした、という話しも残っています。(涙)

さて、今日の長崎の祈念式典では、
被爆者のお一人築城昭平さんは自分の経験を語る中で、
また田上市長が平和宣言の中で、
政府が核不拡散条約署名拒否した事や
原発事故後も再稼動をしようとしたり原発輸出の方針を打ち出したことを
明確に批判しました。

しかし、その切実な声の余韻が残る夕方には、首相は
集団的自衛権の見直しを早急にすることを記者会見で明言しています。

う〜ん、国民は経済政策で自民党を選んだだけなんですけどね。
しかもふくいちの汚染水は深刻になって来ていて、
憲法をいじる前にやらなければならないことは山のようにあるのに。
数があるからと言って、まるで国民の見ている方向とは別方向に
政治を進めて行く、というのは許されることでしょうか。
麻生財務大臣の「気がつかないうちに憲法を変える」
って本心なのかもしれませんね。

こういうことが続くと、熱帯夜がますます寝苦しくなりそうです。

私の父は先の大戦でシベリアに抑留されていましたから、
その悲惨な経験を良く聞かされました。

例えば、父はタバコを吸わない人でしたが、
捕虜にはタバコだけは支給されたそうで、
父はそのタバコをためて、給仕室へ行き食料と替えてもらって
生き延びたそうです。
また、おしっこも凍るほどの寒さでも
若い人の方が、我慢が効かず傷んだものを食べて
どんどん先に死んで行ったそうです。

こういう戦争の実態を多少でも知っている私からすると、
私と同世代の安倍首相の言動が、
非現実的なバーチャルな思考に基づいているように思えて仕方がないのです。

実は父は、関東大震災も経験しているので、
朝鮮人の暴動のデマとか、本所区被服廠跡の火災の話しとかも
聞いたことがあります。

今日の平和宣言で田上市長は
「人間はこれまで数々の過ちを犯してきました。
だからこそ忘れてはならない過去の誓いを、立ち返るべき原点を、
折にふれ確かめなければなりません。」
と言っています。

水に流してはいけないものはあるのです。

長崎市平和宣言
(宣言の最後に賛同のクリックがあるので、是非ポチッとしてみて下さい)

季節の変化の中で。

ちょっとブログ休もう、と思ったら
選挙やらなんやらであっという間に10日近くが経ってしまいました。

人間世界は、呆れるほど身勝手な人たちが
議員になり、カイケン、カイケン、
と言い出しましたが、
選挙が終わるのを待っていたかのような、
ふくいちの3号機の蒸気漏れのニュース。

自民党が勝ったのも、カイケンやTPPより、
自分達で増やした原発の後始末をやりなさい、
という事じゃないでしょうか。

さて、自然界は、そんな人間世界を尻目に
淡々と花が実になり、虫が脱皮し
季節が巡っています。

6月に植えた稲はすくすく成長中。
10日ほど前に稲の様子を見に行ったら、
ちょうどシオカラトンボが羽化したばかりの様子を描くことができました。

20130728

二十四節気で言えばいまは「大暑」。
一番暑い頃ですが、季節はしっかり動いていて、
もうススキも顔をのぞかせはじめています。

「アベノミクス」で一見景気が良くなった風で
「ねじれ解消」で、やりたいように出来る数を手にして、
今度は消費税増税を前にして、どんなキャンペーンを広げるのかな、
と思っていたら、
昨日、日経新聞を読んでいて見つけたのが、

「良いインフレ」

なるフレーズ。

既に円安で値上げが始まっているから、
その不満を抑え込む次なるキャンペーンは
これだろうと、直感!

しかし、非正規雇用がさらに増えている今、
賃金が上がらずにインフレになる事は
生活が苦しくなる事を意味します。

大勢は変わらなかったものの、
山本太郎の当選や都市部における共産党の躍進
などの選挙結果が意味するところは、
若者が動くと、変化が起きる、という事です。

自民大勝と言うけれど、
野党への投票総数の方が自民への投票総数より
500万票くらい多いのです。

静かな社会変化の胎動は起きているかもしれません。
目にははっきりとは見えないけれど、
暑さの中にも季節が少しずつ動くように。

前に進むために。

昨日は野外スケッチでほぼ一日炎天下の外にいました。
フード付きサンバイザーを二枚かぶって、日傘をさして、
手には紫外線よけの手袋。
水を二リットル近く飲みましたが、汗をかいてるわけでもないのに、
トイレにも行かず。

来年には久しぶりに個展をやりたいし、
しばらくこういうことが続きそうです。

現場主義で写真から絵を描かない私は、
花が咲き、
実をつけ、
蝶が飛び、
虫が脱皮し、
鳥が移動し、
そして、人が働くのを描くのに、
あちこち神出鬼没。
時間が掛かる。

このブログを始めたのは、
押し入れのデッサンを見てもらう事が大きな目的でした。
デッサンはまだまだ押し入れにあるのだけれど、
同時に、先にも進みたいな、
という思いがすごく強くなって来たこの頃。

というわけで、
一月にホームページを公開し、
このブログを始めて以来、走りっぱなしで来ましたが、
発信の方は、少しスローダウンします。

そして、この猫みたいに、ちょっとバカンスも……。
20130719

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週に1、2回くらいが目標です。
(既にそうなりかかっているのですが……。)

さて、
明後日の選挙は、自民党圧勝という話のようですが、
本当にそれで良いのか、ジブリの「憲法改正特集」を読んで見て下さい。
8月20日までダウンロード出来ますよ。反響がすごいようですね。 
小冊子『熱風』7月号特集 緊急PDF配信のお知らせ

ひとつとして同じものがない自然

久しぶりに女性像をアップしました。

20130703

実は私の一間の押し入れ一杯のデッサンの
半分が女性ヌードです。
なので、アートとはいえやっぱりネット上に載せるのには
神経を使います。

最近は、野外での生き物たちをスケッチすることが多くなりましたが、
人間は、描いていて面白いですし、
やはり若い女性の美しさは格別なものがあります。
もちろん人類の種の保存がその美しさの最終目的です。
昨日の繰り返しになりますが、
まさに、創造主のイマジネーションは完璧です。

すごいと思うのは、
眉と目と耳が二つ、
鼻と口がひとつ
というように、顔や身体の部位は数が決まっているにもかかわらず、
一人として同じ顔、同じ身体を持った人がいない、
という事です。

昨年の1月のナショジオは双子特集でした。
10組くらいの双子の顔写真がアップで並んでいました。
一卵性双生児は、ひとつの受精卵が二つになるわけですから、
遺伝子的には全く同じなのに、
どれほど似ていても、微妙に違うのが面白いほどでした。

昨日私は無造作に「創造主」と言いましたが、
「創造主」とはなんでしょうか。

間違いなく言えることのひとつは「時間」が絡んでいる、
という事です。

以前、福岡伸一さんのベストセラー生物と無生物のあいだを読んだ時に、
印象的だったのが、この「時間」の概念でした。

ま、この本は、アマゾンのレビューを見れば分かるように
賛否両論が有るのですが、
私は分子生物学の歴史の人間模様は面白かったし、
(これがめちゃめちゃ人間臭い)
最後の福岡さんの実験の話しも面白かったです。

その実験とは福岡さんたちはある遺伝子を抜いて実験をするのですが、
途中から抜くと、本来生まれる部位が生まれないのに、
最初から抜くと有るものと変わらない結果が出たというのです。

普通だったら逆のような感じがするけど、
福岡さんたちが何度実験しても同じ結果になるのです。
そして福岡さんがたどり着く結論が「時間」なのです。
いわゆる「動的均衡」の実証実験だったそうですが、
生物には不可逆な時間があって、その流れに沿って折りたたまれ、
一度おりたたんだら二度と解くことのできないし、
全体としての存在だ、というものです。
この実験で言うと、最初から無いものは、
無いものとして全体の中で補いあう、というのです。
そしてそれが出来るのは時間があるから。

多分理系の人には自明の理でしょうが、
私には新鮮でとても面白い一冊でした。

次回の更新は土曜日を予定しています。