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madamkayoko について

ほそぼそと絵を描き綴り、言葉を書き綴っていきます。

木村草太氏、國分功一郎氏、伊藤真氏の憲法の話。

かなり前ですが、8月の終わりに、
今最も脂ののっている哲学者のひとり、國分功一郎氏と
若手の憲法学者の木村草太氏の講演と対談を聞いてきました。

↓國分功一郎氏
20150617kokubun

↓木村草太氏
20150617kimurasouta

また、10月半ばには、「日本一わかりやすい憲法入門」として
弁護士で伊藤塾の塾長、伊藤真氏の話しを聞きました。

書こうと思いつつ、機を逸してブログに上げていませんでしたが、
どちらも、とても濃い良い内容で、
自民圧勝と言われる選挙を控えて、やはり短くても記事にしておいた方がいいと思い、
書く事にします。

前者は、国立市公民館図書室の主催する
「哲学と憲法学で読み解く 民主主義と立憲主義」
という表題のイベントで、國分さんのツイッターで知ったのでした。

いまから半年前の7月1日の集団的自衛権の容認の閣議決定を受けての
哲学と憲法学からのアプローチを試みるものでした。

國分さんは哲学者の立場から、
事象と概念を論理的に分析して理論的に順序立てて考える作業を、
木村さんは
憲法学者として、正しい知識を知って考えてもらう、
というスタンスでした。

伊藤真さんの講演は、地元の地方議員さんの主催の講演会でした。
ずばり、日本国憲法ってなんだろう、というものです。

どちらの会も
当日配られたサマリーやパワポの資料が手元にあります。

3人の話しをまとめるのは少々無理がありますが、
印象に残ったところ、また、あまり世間でいわれていない内容、
そして、これだけははずせない、と私が思った論点を書いておきます。

國分さんは、政府の言動から見える政府の欲望を分析。
「国民を守るため」「日本が危ない」
と煽っているが、もし本当に危険なら、
現行の法律で出来ることはいくらでもあるのにそれをやらない。
どうやら、安全保障のために解釈改憲が行われたのではなく、
「解釈改憲」のために安全保障を持ち出されたのだろう、と。

なるほど。

また、各地の自治体で、憲法を守る会などの集まりが「政治的」と言う理由で
中止されるなどに危惧を抱いておいでて、
「おおいに政治の話しを普段からすべし」
意見が違うからって、絶好なんてする必要は無い。

そして「民主主義」と「立憲主義」について言及されます。
「立憲主義」に関しては、伊藤塾長のところでまとめます。

私が、とても新鮮だったのは、
自らのお話を「専門的技術的解説」と言っておられた
木村草太さんの、テクニカルな分析。
憲法に書いてあることだけを読みこむだけで、
こんなに様々なものが見えて来るのか、
という驚き。
私たち、全く憲法使いこなしてないじゃない、という慚愧の念。

実は、憲法には内閣のするべき仕事が73条に書いてあるのだけれど、
その中に「外交」はあるけど「軍事」は無いので、
軍事に言及した閣議決定は明らかな違憲、だと。

え、そうだったんだ〜。

そして、「まともな」憲法学者なら必ず「違憲」と言うだろうと。

ちなみに
「外交」は他国の主権を尊重して、対等の立場で行う活動
「軍事」は他国の主権を制圧して行う活動。
と定義されるようです。

その他にも
「知性とは他者の視点を持つことである」
「民主主義の概念は一つではない」
などと、知的に刺激的な言葉が印象的でした。

さて、伊藤塾長のお話は、すべてをテキスト化したいような内容でした。
ただ、ここでも印象的だったのが、
「国民は憲法を守るために、本当に努力して来たのだろうか」
という問い掛け。

ず〜〜ん。ですよね。

以下は、塾長のパワポから。
<日本国憲法の理念と基本原理>
●個人の尊重を中核とする立憲主義の理念
 すべての人々が個人として尊重されるために、
 最高法規としての憲法が、国家権力を制限し、
 人権保障をはかると言う立憲主義の理念を基盤としている。
●基本原理
 立憲主義に立脚し、国民主権、基本的人権の尊重、
 恒久平和主義を基本原理としている。

木村さんが
「知性とは他者の視点を持つことである」と言っていたように、
伊藤さんは
「多数意見が常に正しいわけではない」
「多数意見にも歯止めが必要」
「多数意見や法律でも奪えない価値、平和や人権など、があるはず」
という事を言っていて、

「人間は間違いを犯すことがある」
という謙虚さが憲法の根底にはある、
と指摘されていました。

憲法とは国家権力を制限して国民の権利と自由を守る法
である。
国民には政治家など公務員に憲法を守らせる責任がある。
とも。

選挙の争点は「アベノミクス」だそうですが、
むしろ選挙の結果、何が起こるのか、
という想像力が今一番重要なのかもしれません。

ポリタスのサイトに、哲学者 国分功一郎氏の【総選挙2014】亡命はなぜ難しいのか?という記事が載っています。

是非、多くの方に読んで頂きたいです。

  

円安で喜ぶ人たち

我が家で、夕飯時に、経済の話しになりました。
キッカケは、今日の株の下落です。
夫が分かりやすく私の質問に答えてくれました。

そして、実は円安で儲かっているのは誰か。
その誰かさん、どうやら、風が吹けば桶屋が儲かる式のぬれ手に粟らしい。
という話しに、最後はなったのです。

今日の株の下落はアメリカに連動してのもので、
アメリカでは、200ドル以上も下がりました。
エネルギー関連がどっと下がったようです。
為替オンライン

ちなみに夫は、毎日、日経新聞と東京新聞をかなり詳細に読んでいて、
そこからの情報ですから、特定秘密は一つもありません。(爆)

実は、世界の石油の消費量は減っている。
特に中国の需要が減っている。

にもかかわらず、OPECが減産をしないから、
石油価格が下がっている。

中国の減速の影響は石油だけではない。
他の資源国にも及んでいて、資源国は売り上げが落ちている。
資源国であるオーストラリアは、そのため緊縮財政で政権の支持率が急落。
オーストラリアは鉄鉱石の価格などを5月に下げているのですね。

ロシアも資源国だから大変。

産油国は、と言うと、サウジ以外の中東諸国は売り上げが減って
消費が縮みだしたらしい。
バンバンお金を使っていた中東に出稼ぎに行っている
フィリッピンの人たちなども
仕送りが少なくなって困っている。
ここでも使えるお金が少なくなっている。

では、なぜ、OPECは減産しないのか、という点です。
実は現在世界最大の産油国はアメリカで、
それはもちろんシェールオイルなどで増産しているからですが、
日量850万バレルと27年ぶりの高水準となり
輸出も約40年ぶりに一部再開した、という事です。
しかし、シェールオイルは、掘れば出る中東と違って
設備投資がかかっている。

シェールオイルの採算が取れる価格は、幅があるけど
1バレル80ドル前後ともいわれている。
サウジは65ドルくらいまでなら持ちこたえると言っているらしい。

原油安が長引けば、シェールオイルの開発に歯止めをかけられるかもしれない、
という事のようで、
で、エネルギー関連の株が売られて200ドルも株が下がった、
という、はじめの話しにつながります。

さて、日本はどうでしょう。
アベノミクスによると、日本は輸出国ですから円安にして
輸出を増やそう、という事でした。
ところが実際は、今日本は貿易赤字を抱えています。
◎2014年度上半期の貿易赤字、5.4兆円=輸入増で最大

石油輸入国ですから、もし円安でなければ、
こんなに赤字が広がるはずは無かったし、
それに増えるはずの輸出はどうなったのでしょうか。

もう、トヨタなどは海外が拠点ですから、
輸出が増えるはずは無いのです。
しかし、ここですごいトリックが生まれます。

海外での売り上げをそのまま日本に持ってくれば、
円安ですから、なんと為替の差額でぬれ手に粟で、
トヨタにはお金が転がり込みます。

というわけで、円安で食料や生活品が上がって苦しい庶民を尻目に
円安で大喜びしている人たちがいるのですね。

もし輸出で儲けているのなら、関連企業なども潤うでしょうが、
海外での売り上げを移動させているだけですから、
ぬれ手に粟は、トヨタ本体だけ、ということになります。

これがアベノミクスの正体です。

加えて、最近は、株価維持に年金基金までつぎ込んでいますね。

なぜ、自民300議席なのか、理解不能です。

そしてアベノミクスは、当然ながら、真の目的を隠す隠れ蓑。
真の目的、憲法改正の真の目的は、実は9条ではない。
集団的自衛権の容認の閣議決定で、憲法違反とはいえ、
毀損出来る方向に持って行きますから。

実は、国を近代国家から後退させ、私たち国民から主権を奪う事なんですね。
「基本的人権」の削除

ネット時代の個人のチャレンジを可視化「かさこマガジン」のポジティブさ

カメライターで、ブロガーの「かさこさん」が毎年ご自身で作っておられる
「かさこマガジン5」が、昨日我が家に届きました。
かさこさん、ありがとうございます。

かさこさんのブログ

しかも今年は凝ったことに、
「人生を楽しく生きるためのセルフブランディング術」
と印刷された特製の黄色い封筒に入って来たのです。
やることが半端じゃないです。

去年の「かさこマガジン4」は写真エッセイ満載の
「個人版/風の旅人」っていう趣だったけど、
今年は「セルフブランディング」に焦点を絞って更にパワーアップ。

かさこさんが15年に渡ってブログや現実で試行錯誤して来た
「セルフブランディング術11か条」
とそれを実行するためのノウハウを惜しげもなく一挙公開。

かさこさんって誰?
という方はご本人のブログを読んで頂くのが一番だけど、
ご自身のプロフィールを引用すると

「年間8万枚の撮影、年間90万字の執筆をこなす、
写真も撮影できるライター=カメライター。
トラベルライター、金融ライター、不動産ライター、ブロガー。」

私のブログは、かさこさんのブログの100分の一のアクセス数なので
私が宣伝まがいに紹介するのもおこがましいのだけれど、
確かに「セルフブランディング」がないと淘汰されていく時代なのです。

そのかさこ流セルフブランディング術11か条とは

①好きをテーマにブログ作成
②印象的なペンネーム(又は実名)
③ユニークな肩書き
④インパクトのある名刺
⑤SNSでつながり拡散
⑥強みのわかるプロフィール
⑦ホームページ
⑧無償で実績作り
⑨セルフマガジン配布
⑩オフ会、勉強会、講演開催
⑪書籍出版
+α???

というもの。

実はかさこさんは、
「好きを仕事にする」というテーマで、ずっとブログ記事を書いていて、
上記11か条はブログ記事でよく取り上げていて自由に読めますし、
私自身、自分のブログを始めてから、いろいろアイデアを頂いています。

と言っても、
①②⑤⑦⑧は、かさこさんのブログを読む前から
私自身それなりに実行していたのだけど、
なんといっても「⑨セルフマガジン配布」には
思わず、これだ!と唸ってしまいました。

また最近は、④の名刺の作り方にも唸らされています。

セルフマガジンは、最近たたき台を作って、
家のプリンターで印刷して、少しずつ配り始めています。
まだ、本格的に印刷するには至って無いけど、
来年、7月に開かれるクリエイターEXPOという商談会に
登録したので、それまでには印刷版を作るつもり。
このクリエイターEXPOの存在を知ったのもかさこさんのブログ。

かさこさんは、セルフマガジン効果で映画監督までされました。
映画「シロウオ」〜原発立地を断念させた町〜

でもユニークなのは、映画を撮るというすごいことをしたのに
「それも手段」と、最近はYOU TUBEにインタビュー動画をドンドンアップ中。
とにかく、すべてがポジティブで、経験を無駄にせず前進中。
今回のセルフマガジンの中で特に印象に残った言葉が
「才能とは持続する情熱 好きなことしか成功しない」というもの。

ところで、かさこさんのように
「ブログを毎日アップする」という人は少なからずいて、
今日マチコさんなど、成果をドンドン出している人も続々と生まれています。
本当に、ネットは個人の発信になくてはならないツールになりました。

私も、今ネットで発信するか迷っている人がいたら、
サービスブログなら一分で作れるから、やるべきだと思うし、
それでも踏み切れない人は「かさこマガジン5」を読んでみることをお勧めします。
きっと勇気万倍になること請け合いです。

ところで、一つだけ補足すると、
もしこれからブログを始める人は、
出来たら、独自ドメインを取っておいた方が良いという事。

私のドメインは
atelierofmadam (アトリエオブマダム、マダムのアトリエ)
なのですが、
311以降、HP制作とブログ発信を決めたものの
去年まで踏みきれなかったのは
ドメイン名をどうするか考えあぐねていたからです。

インターネットは世界に開かれています。
文字の発信は日本語に限られるけど、
HPは絵が主体なので、どうせなら海外の人にもわかる
ドメイン名を使いたかったのです。
日本人の名前は実は外国の人にはローマ字でも読みにくいのです。
だから英語で意味が通るドメインを考えました。
ペンネームもその時に考えたもの。
プロフィールや名刺なども徐々に充実させていきたいと思っています。

さて、かさこマガジンは、
郵便番号、住所(マンション名など省かず)、お名前、希望部数を、
kasakotaka@hotmail.comまでメールで申し込んで下さい、とのこと。

今回のテーマは「セルフブランディング」だけど、
かさこさんの活動には「少しでも良い世の中にしたい」
という思いが通奏低音のように流れていると思います。
それがよりポジティブな印象に繋がるのでしょう。

ブログは、短い記事で良いから毎日更新するのがベストです。
もっとも、最近私は、インタビュー記事や書評や映画評などが
意外に難しいことにに気付いて、もっぱらそちらを修練中で、
少し更新頻度が落ちていますが。

そして、書きたいことを書くのが一番。
ブログを書いて一番成長するのは実はブロガー自身。
読んでもらえる工夫をすると、他の人にも役に立ちます。

<関連記事>
オフ会に参加してみました。

実は原発を断った町が34もある。

生態系の相乗効果と「七つの習慣」

ハウツーものの古典とされている、スティーブン・R・コヴィー著「七つの習慣」、
前回の「投資の大原則」に続き図書館で借りたので、
感想文を。

かなり良質な、お薦めの内容ですが、
具体例などが長く厚く場所を取るので、(つまり少し冗長)
エッセンスやマトリックスだけでも、
メモを取りながらにすれば、
買わなくても、借りるだけでも十分かもです。(笑)

作者が書いているように、いわゆるハウツーものではないですね。
ハウツーものによく書かれている
態度やスキル、イメージの作り方、といったことではなく
原理原則そのものが重要なのだ、としていて、
それを作者は「人格主義」と呼んでいます。

さて、私が重要だと思った部分をいくつか書いておきましょう。

1)間違いを認めて行動を正して行かないと、更なる大きな問題になる。
2)習慣こそが人間性を作る。
3)「原則中心」にすれば、判断が感情に左右されることは減り、まちがった判断が少なくなる。
4)自分が影響を与えられる部分において全力を尽くせ。
5)「自立」した人間は、生態系のように相互依存関係でこそ、更なる相乗効果を生む。
6)時間管理の重要性

以前、「シンプル時間管理術」という記事で書いたように、
私は、この著者の考え方に基づいて作られた手帳をずっと使っています。

↓私が使っているのは、レフィルではなく、最小最軽のタイプ。

この手帳を見つけた時は、「こういう手帳が欲しかったんだ」と
思わず買い求めました。
欲をいえば土日欄が平日と同じ広さが欲しいのですが、でもこの軽さと大きさで充実の内容です。
(肩凝りの私にとって「軽い」と言うのは重要な条件)

で、11月に入って、この手帳の来年度版を買いに行ったとき、
この「七つの習慣」の完訳版が出たことがお店の中に告知してあって、
ずっと手帳使っているから試しに読んでみるかな、
と思ったわけです。

が、図書館は予約満杯でしたので、
旧版を読むことに。

一番気に入った部分は、
著者は、ひとりの人が他者依存の状態から脱することが第一歩、
そして、自立することが次のステージ、
としながらも、自立した者同士が、
更に共助という相互依存の状態になることが第三ステージで、
最も大切と説いている点です。

自立さえすれば良いのではなく、
更に助け合えることが大切だ、と説いているのですね。

そうなるために、どのようなステップを踏めば良いのかを
「七つの習慣」で説明して行きます。

それを生態系のつながりと結びつけているところは、
繋がりが描ければ、と思っている私の視点と似ていてビックリ。

以下最後の方の424ページの部分から引用します。

自然界のすべてが相乗効果的である
生態系という言葉は、基本的に、自然界の持つ相乗効果を表現するものである。あらゆるものが、他のすべてのものと関係しあっている。そうした関係の中で、創造的な力が最大限に生かされる。「七つの習慣」の本当の力は、個々の習慣にあるのではなく、その相互関係にあるのだ。

別の言い方では、

「全体の合計は各部分の和より大きくなり得る」

とも言っています。

また、「約束」という概念も、他者への約束以前に
「自分への約束を守ること」がまず大切、と説いていて、
この部分もインパクトがありました。

若い頃、三島由起夫の、作品を読んだとき
「禁色」だったかなんだか覚えていないのですが、
「自分を欺けば、神をも欺くのも平気になる」と言う一節に衝撃を受けたことがあります。

「人格主義」といいうのはそういう事をいうのでしょう。

そういえば、国民に嘘ばかりついているどこかの宰相は
それ以前に、自分自身を裏切っているのでしょうね。

良い本なので
内容的には★5つ上げたいけれど、冗長なので、
★★★★。
実行出来れば人生劇的に変わるだろうという
良い内容なのに、とにかく長い。
具体例が多すぎて、飽きるし、かえって分かりにくかったです。
また翻訳が、何となくこなれていない日本語なのも残念でした。

さてさて、今年も三週間ちょっと。
↓定番、ご愛用「猫の日めくり」。

飼い主たちが撮ったとっておきのショットばかり。
可愛いだけではない、猫と飼い主の息づかいが分かる写真が楽しいです。猫好きにはお薦め。

時間を味方につけるという事/リスクを分散させること

最近読んだ本です。

「投資の大原則 」
バートン マルキール, チャールズ エリス (著)

内容は投資の本ですし、アメリカの事情に合わせているので、
必ずしも日本の状況に合っているわけではありません。

でも、図書館などで借りるなどして、読んで損はないと思います。
投資以外に役に立つ、と言うか、
人生のプリンシプル(行動基準)に当てはめられることを
投資という側面から述べている本だと思います。

ページ数はすくないですし、言っていることは至ってシンプルです。

① 時間を味方につけること
② リスクを分散させること

投資の本ですから、まず貯金の仕方です。
① 時間を味方につけること
若い時から、そして若くない人は今からでも、毎月一定額を貯めること。
そしてそれを複利で増やすのです。
複利というのは、利子を元本に組み入れて増やして行く方法です。

千里の道も一歩から、で、40年後にはそれがどのくらいになっているか。

この本でユニークなのはその複利の計算方法を教えてくれるところです。
最初の資金が二倍になる時間とそのための利率が
72という数字で計算出来るのです。
8×9=72 → 年利8%で資金を運用すれば、9年で二倍になる、というのです。
逆も真で、年利9%なら8年になります。

貯金で年利8%なんて、今はあり得ないですが、
しかし、私が若い頃は、6%くらいの利子がついていました。
それだと複利で預ければ、12年で倍になります。

お金もそうでしょうが、私は教養や経験や勉強や仕事も同じだな、
と思いました。

時間だけは誰にでも平等にある。
同じ時間、パチンコしてもテレビ見ても本を読んでもブログ書いても
同じように過ぎて行く。

40年後、複利で貯めた貯金が増えるように
時間を味方にすれば、自分の中身を
想像以上に濃くすることができるでしょう。

そして
②リスクを分散する。
これは投資する銘柄やファンドを貯金とのバランス
を考えて分散させ、時間的にも、一度に投資するのではなく
時期をずらせて投資せよ、というものです。

このリスク分散の行動基準も
投資だけではないように思いました。

例えば「探し物のリスク」ということがあります。
「探し物」というのは、かなり精神的にリスクが大きく、
せっかくやっていた仕事が中断したり、やりかけたことを忘れたりします。
探し物が見つかって仕事に戻っても、気分はイライラ。

だから、
ついついまとめて片付ければいいや、と思いがちですが、
その少しの積み重なりが、後からトンでもないしっぺ返しになるのです。
毎日こまめに片付けの時間を作るという、リスク分散がお薦めです。

もちろん、これは自分の経験から言っているのですが。(笑)

食べ物などもそうですね。
現代社会で、添加物などを避けて食事をすることは不可能ですが、
なるべく多種類のものを食べるように心がけ、
休日だけでも自炊する、などすればかなりリスク分散になるのではないでしょうか。

投資の大原則とはどんなものだろう、
と思って読んだ本ですが、
地道な貯金とリスク分散による投資、
というとても常識的な内容だったのは意外ですが、
結局、どんなものでも王道はないのでしょう。

<関連記事>
的確な日本経済分析。「投資家の視点」という考え方が新鮮。瀧本哲史著「僕は君たちに武器を配りたい」

西脇市 サムホール大賞展、始まりました。私も出品しています。

兵庫県西脇市、と言えば、日本の「へそ」として有名です。
西脇市には、東経135度・北緯35度の交差点があり、
ここが「日本列島の中心」に当たることから、
「日本のへそ」のまちといっているようです。

また、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公、黒田官兵衛の
生誕地が、西脇市黒田庄町黒田、ではないか、と言われているようです。
豊臣秀吉の天下統一を支えた稀代の軍師、黒田官兵衛。
その生誕地は・・・西脇市黒田庄町黒田。

その西脇市にある岡之山美術館で現在
サムホール大賞展が開かれています。
会期は11月16日(日)から12月14日(日)まで
公式サイト 開館30周年記念 第10回全国公募西脇市サムホール大賞展

サムホール大賞展は、ビエンナーレで二年に一回開かれる公募展です。

サムホール、とは絵の大きさの規格の一つです。
紙にA4とかB3といったような規格があるように、
絵画では、主に「号」という基準でキャンバスやパネルの大きさが決まっています。
一番小さいのが「0号」で18センチ×14センチになります。

サムホールというのはそれより少し大きく細長く、
22.7センチ×15.8センチ になります。

面白い事に、少し細長いだけなのに、
表現の幅が広がる不思議な大きさなのです。

私はこの大きさが好きで、よく作品にします。
そして、今回、私も応募してみたところ
作品が入選し展示されることになりました。
と言っても自分の目で見たわけではないのですが、
事務局からお知らせ頂いているので、そのはずです。

で、入選作品を、公開しちゃいま〜す。

和紙に水干絵具や岩絵具

和紙に水干絵具や岩絵具

題名は「Linkage」(繋がり)。

人も動物も生き物すべて、虫も微生物も、
「繋がり」の中で生きています。
ひとりや一匹で、あるいはその種だけでは決して生きられません。

例えば、食べるか食べられるか、という繋がり。
鳥が、羽化前のチョウチョの幼虫を食べて栄養を取るという繋がり。
その幼虫も実は、大好きな植物の葉っぱを食べて、大きくなります。
そして木の実を鳥が食べて、その種子(seed)を運ぶ事によって
その木は離れた別の場所で芽を出す、という事も起こります。
いずれにせよ
その種(species)だけでは生きられません。

さらに、種と種もそうですが、
種の中の世代間の繋がりもあります。
子を生み育て、年老いて死ぬが、その遺伝子は孫へと継がれて行く。

この視点で見ると、生態系の中でも、種の中でも
「死」は悲しいだけのものではない、と言う気がします。
「死」がなければ、次の「生」はないのが、地球上の生き物です。

描かれている頭骨は鹿のものです。
伊豆にシダ観察に行った時、川縁で拾ったもので、
拾ったときは泥に埋まっていました。
絵の中では確かに「死」の象徴ではありますが、
同時に、植物やそれと関わる昆虫たちなどの
生への場所も提供しています。

私はそんなことを考えながら描いていました。
鳥はアカハラ。
この絵はアイボリーの頭骨を活かすために背景の色を最初に決め
それに合う羽を持ったアカハラを配してみたのです。

さて、この公募展の入賞作品は立体もあり、バラエティーに富んでいます。
実は、美術家横尾忠則氏が西脇市の出身で、
氏はこの公募展の審査員でもあります。
この美術館は、横尾氏の作品の収蔵も目的としているのです。
1200点以上の応募の中から選ばれた200点。
多彩な作品を見るのが楽しみです。

<似たような記事>
タネの話(2)/ヒマワリのタネを食べるカワラヒワの図

秀作ドキュメンタリー映画 その①「鳥の道を越えて」

「人と生き物の古くからの繋がり」
「鳥や昆虫と植物の関係」

そんな普段当たり前で、
目を凝らして見ることのない自然の営みを映像につづった、
秀作ドキュメンタリー映画を、2回に分けて紹介します。

その①は1979年生まれで本編が監督作品第一作になる
今井友樹監督の「鳥の道を越えて」。
公式サイト「鳥の道を越えて」

その②は1941年生まれのベテラン、スイス人の
マークス・イムホーム監督の「ミツバチの大地」。
公式サイト「ミツバチの大地」

おもしろいことに、
生まれも文化の土壌も全く違う2人の監督ですが、
実はどちらの映画も、監督自身の祖父との会話から
映画作りが始まっているのです。

また、両作品ともに、古くからの生き物と人間の関係を扱いながらも、
最新のラジコンヘリコプターなどを使って撮影しており、
以前なら関わる人以外見ることができなかった
鳥やミツバチの生態を映像で見る事ができます。

それだけでも、どちらも見る価値のある作品です。
しかし、二つの作品の趣は全く違います。

まず今日は、「鳥の道を越えて」です。

この映画を見たいと思ったのはもちろん私が鳥を好きだということがあります。
と同時に、そのタイトルに引かれました。
詩的でふわっとイメージがわいて来るタイトルでした。

鳥を見ていると、確かに彼らには空の透明な道が見えているのだ、
と思うことがあるのです。

鳥がその道を通ってシベリアから旅をするように
監督はおじいちゃんから聞いた
「あの山の向こうに、鳥の道があった」という言葉で
鳥を巡る旅を始めるのです。

その旅は8年にも渡ります。
村の古老や元教師などを訪ねて話を聞きます。
あそこに誰それがいる、と聞いては出かけて行きます。
そして、一冊の写真集に出会い、そこからまた様々な発見や出会いが生まれます。

それはさながら「鳥の道があった」という言葉に導かれて謎解きをして行く
推理小説のような旅です。
思わぬ文化や鳥と人との繋がりが少しずつひもとかれて行きます。

さて、
ここから先はネタばれになるので、見ると決めた方は下の鳥の絵までスキップして下さい。
また、採録シナリオは読み物として、出版されています。

監督が糸をたぐって行くと、監督の出身地である岐阜県の東濃はカスミ網による
渡り鳥の捕獲を生活の糧にした生活文化がかつてあったことが分かります。

そして、そのカスミ網を張る場所が「鳥の道」だったのです。
空が真っ暗になるくらいに渡りのツグミなどが来ると
一日に数百羽も取れたとか。

海がなく、猪などを食べる風習がなかったために、鳥は大事なタンパク源だったということ。
しかし、自然保護を理由に昭和22年にカスミ網は法律で禁止されます。
当時のGHQの方針だったようです。

しかし、このカスミ網は鳥を傷つけずに捕獲出来るために
現在は鳥の個体調査に使われていて、
英語の文献にも”mist net”と載っているそうです。

そして映画は、現在のその個体調査のためのカスミ網の様子、
調査官が目印のリングを取り付けて放鳥する手際などを
山科鳥類研究所の協力を得て、克明に見せてくれます。
私自身はこの場面が非常に面白かったです。

特に、調査官が鳥の羽を扇のように広げて見るところなど、
ああやって見られれば、克明にスケッチ出来るなあ、などと思ったり。

カスミ網の密猟は近年まで続いたそうで、
この話題は今までだと取り上げにくいものだった事は
容易に想像がつきます。

しかし、若い今井監督は、お爺ちゃんの言葉に触発された好奇心と
先入観のない取り組みで、その歴史や人々の関わりを淡々と描いて行きます。
すごいな、と思ったのは、監督のスタンスが自然で、
誰かを悪者にするような決めつけがなく、見るものに判断を任せている事です。

また、囮(おとり」と呼ばれる鳥と人間の関係など
昔の人の知恵に驚かされました。
そして、珍しいツグミの声も聞けますよ。

ただ、カスミ網が禁止されても、自然保護が叫ばれるようになっても
悲しい事に、いま鳥の数は減って行くばかりのようです。

さて、この映画で名前や姿が出てくる鳥たちのいくつかのイラストです。
他にもシロハラやアトリが出て来るのですが、
残念ながら私のスケッチブックにはまだ加わっていません。
カモはアップで写ったのが緑色の頭をして首に白い線があったので、
マガモかな、と思いましたが、定かではありません。

ヒヨドリ

ヒヨドリ


ツグミ

ツグミ


カワラヒワ

カワラヒワ


メジロ

メジロ


マガモ

マガモ

ところで余談です。
この映画は語っていませんし、これは私の推測ですが、
GHQがカスミ網を禁止したのは、多分、リョコウバトの絶滅の歴史が関わっている感じがします。
アメリカでは20世紀の初頭に、億単位で生息していたリョコウバトという鳥が
乱獲のために絶滅した、という苦い歴史があるのです。

人間の破壊のチカラの凄まじさは想像を超えていて、
このリョコウバトなど北アメリカで一番生息数が多いと言われていた鳥だったそうですが、
アッという間に絶滅します。
ナショナルジオグラフィックのサイト リョコウバト、100年ぶりの復活へ

さて、
今日、見たかったのでなんとか時間を作って映画館に行ったのですが、
モーニングショーである事と、地味なドキュメンタリーということもあるからでしょうか、
観客が少なかったのがとても残念でした。

上映後、監督自身がご挨拶されたので、少しお話しさせて頂きました。
それもあり、
是非週末には若い方達にも行って頂きたいと思い、
「ミツバチの大地」の方を先に見ていたのに
こちらを先に記事にしました。

週末にはトークショーもあるようです。
お薦めの一作です。
お時間があれば是非どうぞ。

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