オフ会に参加してみました

一昨日は、田植えのあと、ブログ「つぶやきかさこ」の管理人でカメライター(フォトグラファーでライター)のかさこさんのオフ会に参加して来ました。

いわゆるオフ会に参加するのは、はじめて。

私がかさこさんのブログを読むようになったのは割と最近ですが、10年以上毎日更新しているというのも驚きだけれど、ブログの内容の質の高さに注目していました。

2005年くらいからネットでブログを読むようになったので、私のブログ読者歴も長いと思うのですが、他の社会派のブログと比べてもかさこさんのブログは読みやすく、なにより実践して出版などの形にしているところがすごいです。

もちろん、内容のすべてに同意するわけではないですが、しかしその論理構築の確かさと文章の上手さは、舌を巻きます。しかも毎回2000字から6000字くらいの量を書いていて,私が書いたら2時間くらい掛かりそうな記事を毎日アップしているのです。

で、さらにご自身のプレゼンの仕方、いわゆるセルフプランディングも,私が参考にしたくなるような魅力的な方法を実践されています。例えば、セルフマガジンを無料で配ったりユニークなアイデアを次々に繰り出しています。

で、オフ会をやる、という告知を見てすぐ申し込みました。

というのも、ブログをはじめて3ヶ月の私ですが、実際にネットで発信を続けている人たちと、現実の世界で繋がって行く事の重要性を認識し始めていたからです。ネットは素晴らしいツールだけれど、マナーの悪い人や悪用する人も後を絶たないので、何かあった時にSOSを出せる人脈やネットワーク構築は必須だと思います。

といっても私の世代でしかも女性の多くはテレビ派でネットに親しまないため、独自にネットワークをつくらなければなりません。また、エンジニアやプログラマーという技術関係は多少かかってもお金で解決出来る問題だけれど、実際に発信している人たちとの繋がりは純粋に人間との繋がりです。今後自分がブログを続けて行くためにもネットワーク構築を模索しはじめていたところだったのです。

それと、もうひとつオフ会に行きたいと思った理由がありました。
今度かさこさんは映画監督デビューするのですが、かさこさんを抜擢したプロデューサー矢間秀次郎さんの話が聞ける,という事も興味をそそられました。

そしてこの方のお話がめちゃくちゃ面白かったのです。

矢間さんは長年環境問題や原発問題に取り組まれていて、でもいわゆる反原発派と少し違うと思ったのは、仕事で行政の広報を担当されていた事もあり、原理主義的でなく視点が柔軟なのです。

今回の映画「しろうお」は、実は日本列島に17立地54基(実際は福島第一が廃炉になるので50基)原発があるけど、原発を断念した自治体も34あって、では、その違いはなんなんだろう、そして原発を断念した町の今はどうなっているのだろう,というお話です。

福島以降、ある意味現実が虚構を越えてしまって、虚構で現実を描くという表現が難しくなっています。以前記事にした会田誠展もそうでした。

そこで、矢間さんが取った手法は、悲惨さや残酷さを描くのではなく、原発を断念した事によって受け継がれることになった「豊かさ」を描く、という事でした。

この話に私がとても敏感に反応するには訳があります。
実は、私がこのブログを始めたのも、すごく似た動機だったからです。

原発が良くないことは多くの人が感じているけど、では今の電気で埋もれた便利なシステム社会とは違う社会ってどんなんだろう、想像もつかない、というのが本当のところではないでしょうか。

そういう多くの人には、原発の危険性を訴えるより、原発がなくても豊かなんだという「絵」を見せる事が重要なのです。いわゆるビジョンです。本来ならば政治家がそのビジョンを描く役割のはずですが、なんだか最近の政治家は将来のビジョンを描く事より戦前に戻る事に熱心です。

私がこのブログを始めた動機は「分析は悲観的に、行動は楽観的に」で書いたように、かなり絶望的な分析からです。しかし、私のこのブログには悲壮感はないはずです。

私は「行動は楽観的に」を実践したいと思っているのです。

これはかなり意図して気をつけている点で、人々は絶望には目をそらすけど、希望には集まってくるのです。そして愚痴や否定的な言葉ばかり書いていると、書いている本人も楽しくなくなります。

矢間さんが希望を紡げる手法を表現に選び、そしてその監督にかさこさんが抜擢されたのも偶然ではないと思います。

それはかさこさんのブログを読めば分かるのですが、特に最新のかさこマガジンの「100の言い訳より1の行動」という題が象徴的で、根本に「愚痴を言う時間があれば行動を」があるのです。

話は飛ぶのですが、カンヌ映画祭で二度賞を取っている河瀬直美監督が、似たような事を何かのインタビューで言っていました。
「実際に行動に移す人は少ないので、自分はとにかく動いた。そうしたら賞をもらった」と。

さて、矢間さんのお話で他に印象的だったのが、
①しなやかに臨機応変に生きるべし。
②自分の能力を十二分に見せるプレゼン力を備えるべし。
の2点です。

72歳になられる矢間さんですが、そのほとばしるような語り口は情熱に溢れていました。

それから、今回のオフ会で素晴らしいと思ったのは、参加者の多くが「自分の出来ることは○○です。」という自己紹介の仕方をされていた事。そこには自分から手を差し伸べる姿勢が反映していました。私など恥ずかしくも自分の311以降の行動を述べるのが精一杯でした。見習わねば。

20130416

さて、実はかさこさんは、小泉改革支持の反原発派であるところが同じ反原発でも私とはちょっと違うのです。

小泉改革支持派は能力のある人にありがちで、人間いつ死ぬか分からないから好きな事をやるのは私も大賛成。でも、実は「人間、死に損なうとなかなか死ねない」という現実も実はあって、私は適度に大きな政府に賛成なのです。

ノマドの時代と言われていますが,腐るほどお金を持つ大金持ちでない限り、国や母国語から人は簡単には自由になれないもののような気がします。これからはグローバル企業がますます力を持つ時代になるでしょう。しかし、国の中で自治体が重要な役割を果たすように、世界の中で国家の果たす役割もなくならないように私には思えます。

優秀なノマドもひとたび病を得たり事故にあって障害を得る事があれば,生まれた国で治療したいと思うはずで、その時に自分の国が何の役にも立たないのでは困るでしょう。

以前ヨーロッパに音楽留学していた友人に聞いた話しです。若い頃からフランスに留学されネイティブと同じようにフランス語を話し,大学に職を得,現地の女性と結婚して家庭内でもフランス語で過ごされていた方が、脳溢血で倒れ、フランス語が全く理解出来なくなり母国語である日本語しか話せなくなって周囲と意思の疎通が困難だった、という事があるそうです。

かさこさんのブログのすべてを読んでいるわけではないので、詳細は分かりませんが、かさこさんが小泉改革に賛成なのは「既得権益の打破」という点なのでしょうか。でも小泉改革で本当の既得権益が打破されたのかどうか、私には疑問です。なんだか,既得権益側が震災をきっかけに焼け太りしている感すらあります。

最後に「ネットはリアルのポータル」を実践されているかさこさんに敬意を表し、楽しい会を企画して頂いたことに、お礼申し上げます。

そして映画「しろうお」に期待します。

では。

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