月別アーカイブ: 2014年10月

ライオンは寝ている。一方トラは……

上野動物園、第二弾は、当日のお目当てのライオンです。
多摩動物園ではライオンバスに乗らないと見えないので
上野動物園に来たのですが、こちらも展示方法が以前とは違って
ライオンは高低差のあるかなり広い熱帯庭園風の場所にいました。

一部ガラス越しに間近に見る事も出来るけど、
ライオンがそこに来てくれないと、迫力たっぷりのズームは楽しめません。

だいたいの時間、入園者の通る通路から一番離れた低い場所にいるので、
まず見つけるが大変でした。
デッサンするにも見える場所に来てくれるのを待たなければなりません。

ライオン動かないなあ、と思っていると突然位置を変えるので、
こちらにお尻を向けて顔が見えないときは、
隣のトラ舍に移動して、デッサン。

トラの方は、ライオンと全く違って、
決まった場所を行ったり来たり、0.5秒として止まることがありません。

そしてこちらはサービス精神旺盛で
時々入園者の目の前のガラスに顔を付けるようにして
通り過ぎます。

しかし、近いというだけで、動きを止めないのは同じ。
こういう動物をデッサンするのは難儀です。

動き回るトラを描くのに疲れると、ライオンが描ける位置に移動していないか
またライオン舍に確認に行きます。

それを繰り返して3度目くらいの時に、ようやく、15メートルくらい先の
丸太の上で休憩中のライオンを描くことができました。

20141024_1

20141024_2

この絵を描いている間も、そして今もこのスケッチを見ると
私の頭の中をリフレインするのがトーケンズの「ライオンは寝ている」。
The Tokens – The Lion Sleeps Tonight

片やトラは寸時も止まらないのでデッサンに工夫が必要です。

というのはトラは、ほぼ同じところを行ったり来たりするので、
「描く」と決めたアングルにトラが来た時に、一瞬を捉えて
描き加えて行きます。

下のデッサンは、見ている時間は15分くらいだったと思いますが、
このアングルになった一瞬だけ描き込んでいるので、
時間的には5分も描いて無いでしょう。

20141024_3

トラ舍には常連の「トラおじさん」がいて、
入園者がトラが思いのほか細身なので
「わあ、このトラ、スマート!」と声をあげると
「だからスマトラトラ、なんちゃってね」と合いの手を入れていました。(笑)

ところで、
トラを描きながら人々の感想を聞いていると
毛皮の模様がきれい、というのが多かったです。
トラは絶滅危惧種です。
Amazing Species: Tiger(IUCN(国際自然保護連合)の英語のサイト)(PDFファイル)

意外や意外、百獣の王と言われるライオンより、
トラのほうがネコ科の中で最も大きい動物なのですが、
今は3500頭くらいしか残ってないみたいです。

キレイな動物は、キレイがゆえに命を落とすはめになりかねないのです。
トラを脅かす問題(WWFのサイト)

私はデッサンに入り込むと、ほぼのまず食わずで3時間くらい野外に立ち続けます。
この日も、寝てばかりのライオンと動きすぎるトラを描いて、
帰る頃にはくたくた。
同じネコ科なのに、なぜ、ライオンとトラはこんなにも
行動が違うのかしら、
と思いつつ動物園をあとにしました。

それにしてもネコ科の動物はほんとしなやかでキレイですね。
創作意欲を刺激してくれます。


やっぱりパンダは可愛い / パンダの10秒クロッキー

今日は、と言っても日付が変わったので、
昨日21日には、久しぶりに上野動物園に行ってきました。

仕事でライオンを描こうと思ったからです。
でも、やっぱりその前に、パンダ舍に寄ってみたら、
やっぱりパンダ可愛いですね。

で、早速写真だけではなくクロキーブックを持ち出して、
10秒クロッキーです。

動物や赤ちゃんは、寝ている時以外、0.5秒と同じ格好ではいませんから、
クロッキーの練習には持ってこいです。

クロッキー(croquis(仏)というのは対象を素早く描画することで、
スケッチのうち、特に短時間(人物なら5分程度)で描かれたものを
クロッキーとよんでいます。

人間のようにデティールが複雑だと、どれほど速く描いても
3分から5分が最短でしょうが、
パンダはシンプルなので、10秒くらいで描けます。

明らかに、パンダを可愛い、と思うのは人間の勝手な感情です。

体全体が丸くて、耳も丸くて黒く、目は本当は小さいけど黒い隈取りで垂れ目に見える。
すべてが丸くポワポワしている。
狐や狼を見て精悍に見える、というのと逆ですね。

でも、抗し難く、可愛いパンダ。
そのパンダ舍の前で10秒で描いたクロッキー3枚です。

20141021panda001

20141021panda002

20141021panda003

関連記事
パンダは学ぶ,アオサギも学ぶ

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<お知らせ>
西脇市岡之山美術館で開かれるサムホール大賞展に入選しました。
会期は11月16日〜12月14日です。
詳細は後日掲載します。


鳥のカワイイ不思議……一本足のアクロバチックなカモ

カルガモの第二弾は、
アクロバチックな一本足のカルガモです。

紙に色鉛筆と水彩

紙に色鉛筆と水彩

鳥はよく、一本足になります。
こちら↓のアオサギもそうです。

ケント紙にグラフィックペンと水彩

ケント紙にグラフィックペンと水彩

多くの鳥が、眠る時一本足になるそうです。
しかしインコも文鳥も飼った事のない私は
野鳥公園で鳥たちの生態に触れるまで知りませんでした。

どうやら体温を保つためらしいです。
とはいえ、どう見ても不安定な姿勢です。

イラストのカルガモは、尾羽の方から描いていて、
身体を支えている一本の足の見事なバランスには驚きますし、
アクロバチックにすら見えます。

10月に入って、野鳥公園にオナガガモなどが渡って来て、
カモ類も増えてきました。
夜になると、一斉に片足で立って眠るのでしょうか?
是非一度、その様子を見てみたいものです。


闇夜と風があった時代の調べ <笙>の独奏を聴いて

今日は<笙>という雅楽で使われる楽器の演奏会に行ってきました。

宮田まゆみ 「調子・入調」全曲演奏
宮田さんは私の古い友人。時々コンサートを聞きに行っています。

今回は、
江戸よりも更に古い時代に演奏されていたと思われる曲を
記録から復元して全曲演奏するという
チャレンジャブルな企画で、その前半でした。

鴨長明(かものちょうめい)の時代の秘曲の復元
と言いますから、約900年前くらいの音楽です。

<笙>はそのコンパクトな大きさ以上に迫力のある音をだします。
オーケストラが演奏前にチューニングするとき
コンサートマスターが基準の音を出すと他の楽器が
徐々にそれにあわせて音が膨らんで行きますが、
笙の音のなり始めはそれに似ています。

ただ、雅楽や古い時代の音楽は
一定のリズムやメロディに規則がある西洋音楽に慣れた私(達)には
どう聞いたらいいのかわからない、
というのが正直なところ。

最初は私もそうでしたが、
ある時から、ただ音として聞く、というのが良いのではないかと思うようになりました。

ところで、
私たちの周りには音楽が溢れています。
特に日本は「BGM」という名の半ば強制的な音楽に
四六時中どこにいても曝されています。

実はこれが私にはほとんど「拷問」なのです。
私は何か作業をやっている時、本を読んでいる時、
料理を作っているときでさえ、
BGMは御法度です。

と言うのは、つい「聞いてしまう」からですね。
そして西洋音楽というのは、
必ずメロディとリズムがあって、
強制的に聴かされるのは神経が休まらない感じがします。

その点、本当はいろんな規則があるんだろうけど、
西洋音楽に慣れた耳には、純粋に音として聞くしかない古い音楽というのは
トランキライザーのような役目を果たします。

ところで今日は、時々気が遠くなりながらも(笑)
和音や共鳴する倍音の波を感じながら
ふと思ったのです。

900年前の人たちはどんな環境で聞いていたのだろうかと。

いま私たちは、音楽はコンサートホールや室内など、
閉じられた空間で聞くものだと思っています。
もちろんiPhoneなどで外に持ち出せるけど、
なるべく外の音を遮断して音楽「だけ」を聞こうとします。
また、野外コンサートなどは、大型の拡声器が使われます。

はたして900年前にそんな事は可能だったのだろうか?
特に、木造建築の日本で、外の音を遮断して
演奏だけ聞く事は可能だったのだろうか?

それに、夜の演奏は満月前後以外、出来なかったのではないかしら。
江戸時代までの新月の闇夜は本当に真っ暗でしたから。
松明をたくとしても、どのくらい見えたのかしら。

昼間であれば、小鳥のさえずりや、水鳥の羽ばたき、
夜ならばフクロウの声も聞こえたのでは?

風の音だって遮るのは難しかったのではないかしら。
近くを小川が流れていたら、そのせせらぎだって聞こえたかもしれない。

などと想像を巡らしていたら、
むしろ、そういう様々な自然の音の中で演奏する事が普通だったのではないかな、
と思い至りました。
時と場合には、笙や篳篥といった楽器と、
小鳥のさえずりが共演する事もあったのではないかと。

笙のような楽器の演奏を「曲を演奏する」というより
「調べを奏でる」という方がしっくり来るのは
そのためかもしれない、とも思ったり。

そして日本の楽器が三味線にしても尺八にしても
以外に骨太なのは、自然の中での演奏、
がデフォだったからかもしれません。

そんなことを考えつつ台風が近づく中帰途につきました。

宮田まゆみ全曲演奏後半部分12月7日のサイト

<関連記事>
当然の事ながら石の文化は違うのです。
紀元前につくられたというヴェローナの野外劇場の事は以前記事に書きました。
オペラアイーダ、キャンセル騒動


鳥が羽をつくろう姿がカワイイ……見返りガモの図

久しぶりの「観察絵日記」です。
今日は、鳥の羽繕い(つくろい)を取り上げます。

猫が自分の身体や背中をなめるように
鳥も首をぐるりと背中に回して、嘴で自分の羽を整えます。
グルーミング(grooming)とも言いますね。

人間を含んだ哺乳類は頸椎が7つですが、

ケント紙にグラフィックペン

ケント紙にグラフィックペン

鳥にはこのように多数の頸椎があり、種類によって違い、
13個から25個くらいあるようです。
確かに骨格的には、猫より背中に首が回りそうです。(笑)

とはいえ、鳥が猿や猫のようにグルーミングすると発見したときは
驚くとともに、その姿がユーモラスであまりにカワイイので
いつか絵にしようと思っていました。

2014107kamo_mikaeri

これはカルガモです。
首を後ろに回してバランスを取るため、
尾羽を嘴の方に引き寄せているのが分かるでしょうか。
まるで「見返りガモ」の風情ですね。

カルガモは、カモ類で唯一渡りをしない留鳥です。
春に各地で、カルガモの親子が話題になりますね。
親鳥の後を小さな子ガモが隊列を作ってついて行く様は
可愛くて、思わずシャッターを切りたくなります。

8月の初めに子がもたちを見たときは、
もう親鳥とさほど変わらない大きさになっていましたが、
それでも、親鳥が陸から水に移動して泳ぎだすと、
次々とチャポンチャポンと水に入ってついて行ってました。

サギ類は更に長い首をS管のようにして羽繕いしているものもいます。
別の機会に是非描いてみたいと思います。