日別アーカイブ: 2017年4月10日

ロサンジェルスの展示が始まりました。名刺とホームページが運んでくれたチャンス

以前少し触れた、
ロサンジェルスでの展示が始まりました。
下記エージェントのフェイスブックのページからご覧になれます。
アートレイツ

今日は久しぶりのブログ、
何故この展示に参加することになったのか、
その経緯を記しておきます。

今はグローバルなのはアート市場も同じで
様々なエージェントさんが
海外展示サービスの機会を有料で設けています。

私のところにも時々展示のお誘いのメールが送られて来ますが、
知らないエージェントさんからのお誘いにはなかなか積極的になれませんでした。
まず参加費が高いですし。

1月の終わりに今回のエージェントさんからメールをもらった時
ちょっと心が動いたのは、まず参加費がかなり安かった事。
そこでエージェントさんのホームページを見に行ったら
時々参加するクロッキー会の主催者Aさんの名前がありました。
おお、そういう事か、と。

遡る事2年ほど前、
そのクロッキー会に初参加した時
Aさんにご挨拶がわりに名刺を渡した事を思い出しました。

で、早速メールを送るなどして確認したところ、
その名刺がAさんからエージェントの担当のBさんに渡り
Bさんが私のホームページを見て
お誘いくださった、ということでした。

ならば、とかなり参加に前向きに。

ただ問題が2つありました。
まず搬入までの時間です。
全く予定していなかったし、
指定の大きさの作品が無かったので、
新作を描くしか無かったからです。
一ヶ月強で描けるか。

でも悩んでいるよりは描いた方が早い。

第2に、展示会場のハイヴギャラリーは
ポップな感じの取り扱い作家が多いので
花鳥風月の私の作品はどうかな、と思ったのですが、
Aさんも、担当のBさんも私のホームページを見ておられて
それを承知でお誘い下さっているわけです。

それと、ポップな作品の中では、むしろ花鳥風月は
目だつのではないか、
という下心もありました。

話しは少しそれるのだけれど、
311以降に絵を再開してから、
絵の世界もすっかり様変わりしたことを
私は思い知らされます。

アナログからデジタルへの急激な移行もそうだし、
若い人たちが達者な事には驚かされます。
しかも、紙媒体の挿し絵などより、
ゲームのキャラクターや背景など
かつて無かった緻密さリアルさやデティールが要求される。

一方、現代アートは、
もう紙の上から解き放たれ
むしろ人間界と自然界を融合するような形で
進んで来ている。
目に見えない重力の可視化、
空を切り取るインスタレーション、
風が奏でる楽器、
などなど。

実は私は震災以降、野鳥公園などでデッサンをしながら気づく事が多く、
デジタル時代になって解明される鳥の生態などもふくめ、
現代には現代の花鳥風月があるのではないか、
と思い始めていました。

そして
「現代アートとしての花鳥風月〜関係性の花鳥風月」
といったテーマで描いて行けないものだろうか、
と思っていたところでした。
「関係性」という言葉は、ニコラ・ブリオーというキュレーターの言葉で
現代美術の大きなテーマのひとつですが、
私は長い間それを「繋がり」として描いてきました。

例えば、花鳥風月、というと「梅にウグイス」
が典型ですけど、実はあの梅に描かれているうぐいす色の鳥は
ウグイスではなくメジロがほとんど。
古典的な花鳥風月の文法なので
それはそれで良いのだけれど、ならば現代では?

ということを考えながら鳥を見ていると
その鳥や植物の関係性のネタが次から次と出て来るのです。

このブログで鳥の絵をずっとアップしていますが、
あれらもほとんど「関係性の花鳥風月」。
これらをタブローとして形に出来ないだろうか、
と思っていた矢先の、今回のお誘いでした。

出来た作品は、その新しさが出たかどうか分かりませんが、
鳥の恋、がテーマです。
鳥は体重を軽くしなければならないので
卵で子どもを産むため、
つがいになって子育てをせざるを得ない動物です。
中にはカッコーのような「托卵」をする鳥もいますけど、
そのため夫婦仲がいいのです。

モデルの鳥はオオルリ。
ブルーが雄、
子育てをしなければならないメスは地味です。
夏鳥なので、私の大好きな生い茂るシダや野草の中に配してみました。

このところお気に入りの鹿の頭骨は
死と再生の象徴。
生物は雌雄で繁殖することで
個としては死んでも種としては生き長らえて行きます。

理屈は作品の背骨なので重要ですが、
そういう理屈抜きでも楽しめる作品を目指しました。

そしてもう1つの関係性がこの絵には隠れています。
それはこの絵を見ているあなたの存在です。
この絵を見るあなたは、この「鳥の恋」の目撃者なのです。
ブリオーの言う関係性とはこの事なのだと思っています。

題< Luxuriance >(繁茂)

<縦38㎝×横45.5㎝ 和紙に水干および岩絵具>

付け加えると、名刺、ホームページ、セルフマガジン
といった自己ピーアールグッズは必須ですね。

私がもし二年前のあの日に名刺をAさんに渡さなければ、
もしホームページがきちんと出来ていなかったら、
この話しは無かったかもしれません。

今、フェイスブックをホームページ替わりにする人もいるみたいですけど、
やはり自分のホームページはきちんと作りたいです。

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