佐野研二郎氏、オリンピックのエンブレムから、
様々なパクリ疑惑まで発展してしまいました。
佐野氏自身が何を考えていたかは忖度しようがないのですが、
出来てきたものを見れば、疑いようもなく「似ている」というのは、
サントリーのトートバックにも、オリンピックのエンブレムにもいえることです。
イラストやデザインなどが市場経済の中でこれほど大量に消費される時代は
人類史上かつて無かったことで、
毎度毎度「全くのオリジナル」を作ることの難しさは言うまでもありません。
何となく「どこかで見たことあるな」というモノが
出て来るのは仕方のないことです。
それでも、多少アイデアや手法が似ていても
「これは私のオリジナルです」と堂々と言える、唯一ともいえる方法があります。
それは、いうまでもなく、自分の目で見て自分の手で描くことです。
今回のトートバックの中に、フランスパンのバケットの絵がありました。
また、BEACHと書かれた矢印の看板のイラストがありました。
鳥の絵やムギの穂もネットの画像検索で出て来るくらいのものを使ったみたいですね。
これらを見た時に、私が思ったのは、ほんのちょっと手抜きして
馬鹿馬鹿しいほど残念な結果だな、と言うもの。
バケットなんて買ってきて自分で写真撮ればいいし、
さもなくば、バケットやクロワッサンをスケッチするくらいなら
2時間で出来るでしょう。
看板のイラストなんてクレヨンで工夫すれば1時間もあれば描けるだろうし、
鳥や小麦は描いたことが無ければ少し時間かかるかもしれないけど、
小麦はドライフラワーもあるし、小鳥は図鑑からでも描けるだろうに。
佐野氏くらいのデザイナーになれば、
報酬が見合わないから時間をかけない、なんてことは無いだろうから、
もし、自分で描けなければ、イラストレータに依頼すればいい事のはず。
クリエイティブな仕事というのは模倣から始まります。
それは好きな先人の作品の模倣(模写)かもしれないけど、
究極の模倣は実物を見て描くことです。
いわゆるデッサンとか、スケッチ、といったこと。
特に自然はそうですね。
花や鳥や動物もそうだし、人間だって、
実物を見て描けば、10人が10人違う絵になります。
特に『個性』なんて意識しなくても、
10通りの違うものが出て来ます。
いわゆる「パクリ」はぱくりと食べちゃってそのまま使うから
「パクリ」な訳ですが、
同じものを描いても、自分の視神経で見て
自分の手を通して描いたものは、それだけで「オリジナル」です。
実に簡単でプリミティブなこと。
私がこのブログでデッサンをアップして行くのには
そのプリミティブなことこそが基礎だし重要なのだ
と思っているからです。
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