日別アーカイブ: 2015年8月12日

「見えない」怖さ

2年間、原発の稼動ゼロだったのに、
昨日、制御棒が抜かれ、川内原発は再稼働しました。

メディアの世論調査でも半分以上の人が
再稼動に反対しています。
毎日新聞世論調査 川内再稼働に反対57%

また今年4月に発表された、民間の調査では、
原発再稼働に反対70.8%、となっています。
ロイターの記事/学者・民間機関調査

事故の再発を懸念する意見では、「たぶん起こる」51.8%、「起こる」22.0%と合わせて73.8%。

ところで、海の向こうのアメリカでは、
金鉱の汚染廃液が川に流れ込んで非常事態宣言が出されました。
CNN日本語記事鉱山の排水が河川に流出、非常事態を宣言 米コロラド州

NBCの英語記事では、動画で住民とのやり取りも出ています。
State of Emergency: Colorado Wastewater Leak Far Exceeds First Estimates

飲み水や灌漑にも使っていた川の水が一瞬にして
黄色い毒の液体となる怖さ。

そして、私が思ったのは、確かにこの川は悲惨な状態だけれど、
その汚染は「見えいてる」。

しかし、原発に何かあった時、当然、その汚染は『見えない』。

川内原発は、かろうじて福島第一原発にあった免震棟もまだ建設中。
1号機は稼動年数も30年を越えている。
火山は噴火以上に火山灰が怖い。もちろん回りは活火山地帯。
避難時にはバスを出す、と言うけど、それは運転手さんの善意頼み。

↓参考になります。
山本太郎参議院議員のブログ

で、この山本議員が、国会で「原発がミサイル」に狙われたら?
という質問をしたら、それは杞憂だという記事も。
何故なら、ミサイルはピンポイントでは狙えないから、という理由なのですが、
こういう記事を書く人は、
福島第一が、電源喪失でメルトダウンしたことを分ってないのでしょうか。

以前、ジャーナリストのまさのあつこさんの報告を記事にしました。

ウミウの警告を無視した東電
まさのさんからコメント頂きました

まさのさんの取材では、
崖を切り崩したところに建設した「夜の森線27号鉄塔」が
地震であえなく倒壊し電源喪失の一因になった、とあります。

実は、ふくいちの事故後に現役官僚が覆面で出版したことで話題をよんだ
「原発ホワイトアウト」という本の最後にも、似たような場面が出て来ます。

以下ネタばれ注意です。
ただ、この本の読みどころは、なんといっても、原発村のシステム解読にあるので、
結末は我々への警告と受け止めて、あえて書くと、
原発自体へのテロではなく、原発に送電している鉄塔にテロが仕掛けられる
という場面でこの話しは終わります。

つまりミサイルは原発そのものを狙う必要はなく、
周辺の電源を遮断するだけで、大事故を起こせるわけです。
ミサイルそのものもいらないかもしれない。

しかも、こんなニュースも。
緊急時放射能予測:政府「不確実」防災基本計画から外す
当然住民や自治体は反発しています。

山本議員も国会で追及しているように、
国民の被ばくが前提、という感じです。

国がこんな無責任なことができるのも、「汚染が見えない」から。

以前にも書いたように、ふくいちのときは東側が海だったので
汚染範囲が半分になりましたが、
もし川内原発に何かがあったら、東側は四国であり、本州です。

しかし、人間は四六時中緊張しているわけには行きませんから、
何かあった時「見えない」ことに頼るかもしれません。

しかし、それは「見たくないこと」を「見ない」だけなので
健全な精神とは言えなくなります。

また、世界中のメディアが注目しています。
そう、海も空も結局地球全体で繋がっていますからね。

作家の平野啓一郎さんが、新国立競技場問題の時に
「次世代の絶望を想像できないのか」
とツイッターで呟いて、話題になりましたが、
この原発の問題は、新国立競技場以上に
絶望感しか残さないような気がします。

エネルギーは、当分石油で賄えます。
その間に、いろんな手だてを考えられるはず。
中国の景気の落ち込みで世界の需要も減っているし、
価格もずっと下がっています。
index
出典(世界経済のネタ帳)

ふくいちの事故から4年半。
代替エネルギーの研究だって、もっと進んでいて良かったはず。
安保法制で、立憲主義を破壊する暇があったら、
国が、それこそ「未来志向で」やるべきことはたくさんあるはず。

この、一度始めたら、壊滅するまでやめられない、ってこの国のあり方。
宿痾というにはあまりに無責任。
意思を持ってやればできるのに、
あとから「いや、あの時僕はおかしいと思ったんだよね」って言い出す気満々のおじさんたちの
退場、本気で願います。

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