面白い記事を見つけました。
Giant panda fakes pregnancy ‘to receive nicer food and round-the-clock care’
この記事、中国で、
パンダが、妊娠すると良い餌と手厚い手当を受けられることを学習して、
妊娠を装って、まんまとエアコン付きの特別室に入って、
おいしいエサにありついていたという話です。
“Phantom pregnancies”(見せかけの妊娠)は
ジャイアントパンダではよくあることらしいですが、
このパンダは、世界で初めて出産をライブ放送する予定だったらしく
そのライブ放送はキャンセルされた、とあります。
この話しを読んで、一番に思い出したのが、
今年の3月にアオサギの観察会に行ったときのことです。
ストリートアカデミーというスキル交換のSNSで、
鳥博士(ほんとうの博士)の方が、
3月の半ばにアオサギの繁殖の様子をご案内下さる観察会を
企画されたので、参加しました。
最初、「なんで多摩動物公園なのかなあ。アオサギを飼育しているのかなあ」
と思いつつ興味津々で参加。
結果、もっと興味津々なアオサギの生態を知ることになります。
アオサギは、野鳥ですから、もちろん多摩動物公園で飼われている訳ではありません。
彼らは、繁殖のときだけ、周りの雑木林に巣を作って
子育てをするのですが、
ペリカン舍で毎日2時に餌が配られるので
そのおこぼれをもらいに来ていたのです。
ペリカン舍には柵はなく、魚の餌には栄養剤も混ぜて
撒かれます。
午後二時前になると、ピンクのペリカンの周りに半分くらいの大きさの
アオサギがワラワラと舞い降りてきます。
彼らはペリカンより先に食べることはほとんど無いみたいですが、
ペリカンが食事を済ますと、餌に群がります。
アオサギと言えば干潟の向こうに
フィールドスコープを通してしか見たことなかった私は、
僅か2、3メートル先のところに次次と舞い降りる群れにビックリ。
中には、そのあたりで交尾を始めるカップルまでいるのです。
実は先日昆虫生態園に行った時にも寄ったのですが、
アオサギは数えるほどしかいませんでした。
繁殖のときだけ、コロニーとして周りの雑木林のてっぺんで巣を作るのですね。
鳥博士の調査では、昆虫や様々な餌も採取しつつ
しかし繁殖では栄養が余計に必要ですから
安定した餌を求めて集まって来るようです。
面白いのは、ここが動物園である、という事は知ってか知らずか、
ペリカン舍の中には飼育係しか来ないこと
来園者はどれほど近づいても危害を加えないこと
そういったことを学んでいることです。
もう何年も前に、自動車教習所でカラスが
クルミの実を車のタイヤに引かせて中身を取り出して
食べているのを、テレビの番組で見たことがあります。
必ず同じところしか通らない自動車教習所だから出来ることです。
頭良いなあ、と思いました。
よく、あまり記憶力のない人を鶏並みの記憶力、
と言ったりしますが、
鳥と言うのは、私たちが思う以上に利巧なのではないか、
と私は最近思うことしきり。
そして、動物園の人気者、パンダも、何となく
のんびりした風貌からは想像がつかないけど
おいしいエサや快適な環境を得るために
学習しているのですね。
ところで、博士の研究のお話を聞かせて頂いて、
今、何かと「博士」が話題ですが、
やっぱり博士になるのは並大抵ではないです。
アオサギのコロニーのある一定の広さの雑木林の
直径10センチ以上の木を全て調べあげるとか。
アオサギを捕まえて足に「黄26」「緑36」といったマークをつけて放し
そのマークのついたアオサギが現れたと聞くと
自転車を漕いで秋川の方まで追いかけに行ったり、とか。
10年に渡って、マークのついた複数のアオサギの足跡を
毎月毎月観察して記録するとか。
10年以上に渡る研究の結果が示された資料を拝見しながら
お話を伺ってて、頭が下がる思いでした。
「STAP細胞」ですっかり「博士」が怪し気になってしまいました。
しかし、やっぱり「博士」ってすごいですよ。
以前記事にしたシカの研究者の方も、
まず、シカに名前を付けるところから始めたと言います。
すぐお金になるわけではないけど、人間社会に厚みを加えてくれる
こういう基礎研究、ほんとうに大事です。