枕カバーがヨレヨレなので、
新しいのを作ろうと思って、お気に入りの布屋さんのHPを見たら、
7月に閉店していました。
そして、なんと、渋谷の駅前の老舗の生地屋マルナンも明日16日で閉店とか。
東京新聞にも取り上げられていましたが、
あそこは、演劇の衣装やスタイリストなどプロも使っていたので、
これから本当に困るでしょうね。
枕カバーは布を封筒状に縫うだけだし、
頻繁に洗うものなので、
いつも自分の好きな模様の安い生地を、
まとめて買って縫って使っていました。
以前は、スカートもほとんど自分で縫っていました。
筒状に縫って、ウェストにゴムを通すだけ。
裁縫とも呼べないものです。
市販には合うサイズがないので(日本人は痩せ過ぎ)
また、クィーンサイズやマダム向けのものは
デザインがいま一つのものが多く、
好みの布で作ったものでした。
「手作り」が危ないな、と最近思っています。
布製品だけではなく、スーパーに行くたびに、
野菜や肉などの生鮮のコーナーが
レトルトや加工済み素材に、押されて
小さくなって行きます。
女性も働いているから当然なのかもしれません。
ただこのままで行くと、
大企業ビジネスだけの社会になって行くな、と感じています。
それでなにか問題でも?
と思う人も少なくないでしょう。
大企業ビジネスで稼いだお金で、
大企業ビジネスが建てたマンションに住み、
大企業ビジネスで作られたデパ地下のお惣菜を勝って食べ、
大企業ビジネスで作られた洋服を着て、
大企業ビジネスで作られたテレビを見て笑う。
それの何がイケナイの?
と思う人も沢山いるでしょう。
ただ生きながらえて行く分にはそれで良いのかもしれません。
もしかすると、それが21世紀にライフスタイルなのかもしれません。
でも、なにか、釈然としないのです。
個人が、丁寧に生活を送ることが難しくなっています。
そんなの単なるノスタルジー?
・・・かもしれません。
極端に言うと、今の生活は、パソコンのキーが打てて
スマホでスクロール出来れば、
あとはお金さえ払えば、それで事足ります。
当たり前じゃない。
サービス残業をしてくたくたになって帰るのに
何言っているの?
便利、バンザイ。
・・・・・
社会が、企業の提供するサービスにあまりに依存して
企業社会化が進むと、
求められるのは効率だけになるということです。
企業は、利益を上げるために極限まで効率化を図ります。
気がつくと、私達人間にも効率だけを求める社会になっているかもしれません。
労働者としては極限まで効率化を求められ、
仕事以外では、私達に求められるのは消費者としての行動だけ。
そして、採算が合わないものはすぐ撤退します。
大きなスーパーがやって来て、小さな小売りがつぶれ、
採算が合わなくなるとスーパーが撤退したあとには
お店がないので、ネットで買うしかない、
みたいなことになって行きます。
それが21世紀社会なのでしょうか。
それがグローバル社会なのでしょうか。
しかし、手を使わなくなると人間は、
毛のない猿とさして変わらなくなって行くような気がします。
人間を人間ならしめたのは、
二足歩行によって前足が手として使えるようになったからです。
手は身体の外に出た脳、ともいわれています。
文明が進みすぎて、
人間自身が退化する方向に文明が向かい始めているのかもしれません。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
この流れは止められないとしても、
丁寧に日々を送ることはやはりお金とは違う豊かさを
私達にもたらしてくれるはずです。