カテゴリー別アーカイブ: 社会や時事関連

手作りも絶滅危惧種?

枕カバーがヨレヨレなので、
新しいのを作ろうと思って、お気に入りの布屋さんのHPを見たら、
7月に閉店していました。

そして、なんと、渋谷の駅前の老舗の生地屋マルナンも明日16日で閉店とか。
東京新聞にも取り上げられていましたが、
あそこは、演劇の衣装やスタイリストなどプロも使っていたので、
これから本当に困るでしょうね。

枕カバーは布を封筒状に縫うだけだし、
頻繁に洗うものなので、
いつも自分の好きな模様の安い生地を、
まとめて買って縫って使っていました。

以前は、スカートもほとんど自分で縫っていました。
筒状に縫って、ウェストにゴムを通すだけ。
裁縫とも呼べないものです。
市販には合うサイズがないので(日本人は痩せ過ぎ)
また、クィーンサイズやマダム向けのものは
デザインがいま一つのものが多く、
好みの布で作ったものでした。

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「手作り」が危ないな、と最近思っています。

布製品だけではなく、スーパーに行くたびに、
野菜や肉などの生鮮のコーナーが
レトルトや加工済み素材に、押されて
小さくなって行きます。

女性も働いているから当然なのかもしれません。
ただこのままで行くと、
大企業ビジネスだけの社会になって行くな、と感じています。

それでなにか問題でも?
と思う人も少なくないでしょう。

大企業ビジネスで稼いだお金で、
大企業ビジネスが建てたマンションに住み、
大企業ビジネスで作られたデパ地下のお惣菜を勝って食べ、
大企業ビジネスで作られた洋服を着て、
大企業ビジネスで作られたテレビを見て笑う。

それの何がイケナイの?
と思う人も沢山いるでしょう。

ただ生きながらえて行く分にはそれで良いのかもしれません。
もしかすると、それが21世紀にライフスタイルなのかもしれません。

でも、なにか、釈然としないのです。
個人が、丁寧に生活を送ることが難しくなっています。

そんなの単なるノスタルジー?

・・・かもしれません。

極端に言うと、今の生活は、パソコンのキーが打てて
スマホでスクロール出来れば、
あとはお金さえ払えば、それで事足ります。

当たり前じゃない。
サービス残業をしてくたくたになって帰るのに
何言っているの?

便利、バンザイ。

・・・・・

社会が、企業の提供するサービスにあまりに依存して
 企業社会化が進むと、
求められるのは効率だけになるということです。
企業は、利益を上げるために極限まで効率化を図ります。

気がつくと、私達人間にも効率だけを求める社会になっているかもしれません。
労働者としては極限まで効率化を求められ、
仕事以外では、私達に求められるのは消費者としての行動だけ。

そして、採算が合わないものはすぐ撤退します。
大きなスーパーがやって来て、小さな小売りがつぶれ、
採算が合わなくなるとスーパーが撤退したあとには
お店がないので、ネットで買うしかない、
みたいなことになって行きます。

それが21世紀社会なのでしょうか。
それがグローバル社会なのでしょうか。

しかし、手を使わなくなると人間は、
毛のない猿とさして変わらなくなって行くような気がします。

人間を人間ならしめたのは、
二足歩行によって前足が手として使えるようになったからです。
手は身体の外に出た脳、ともいわれています。

文明が進みすぎて、
人間自身が退化する方向に文明が向かい始めているのかもしれません。

過ぎたるは及ばざるがごとし。

この流れは止められないとしても、
丁寧に日々を送ることはやはりお金とは違う豊かさを
私達にもたらしてくれるはずです。

懲りない面々のオリンピック

オリンピックが東京に決まりました。

最後の首相のプレゼンが決め手になった、
という報道を見ました。

一応先進国の日本の首相が「責任を持つ」
と言ったのですから、
それが嘘であろうとなかろうと、
IOC委員には関係ありません。

これで景気が良くなるかどうかは分かりませんが、
東京にミニバブルが来るのは間違いないし、
築地の移転や新国立競技場の建築ラッシュで
ゼネコンが潤うでしょう。
21世紀になって十年以上経つというのに
またぞろ全盛期の自民党政治の復活です。

これに群がる人たちは、
稼げる時に稼いでおこうと必死になるはずです。

ま、私のところに回ってくるはずもないので、
私は自分のやり方で淡々とやるだけです。

一方、今回の誘致合戦でいくつかの重要なことが見えてきました。

①「原発立地は原発が事故れば、国から捨てられる」ことが明らかになりました。
これは肝に命じたほうがいいでしょう。
泉田新潟県知事は正しい選択をしていることになります。
他の立地も、このことは真剣に考えたほうがいいとおもいます。

安倍首相はIOC総会で、
ふくいちは東京から250キロ離れていて完全なコントロール下にあり、
「健康問題は『将来も』まったく問題ない」と言い切りました。
つまり世界に明らかに嘘を言って、福島を切り捨てたのです。
安倍首相は、オリンピックを使って、福島をバッサリきりました。
右往左往の対応をしていた民主党が可愛く見えます。

②国家は国民に対しても平気で嘘をつくけど、
外に向かっても平気で嘘をつくし、外国も自分達に大きな影響がでない限りは
それを容認する、ということ。
自国の嘘は自国の民で暴くしかない、ということですね。

③人間は懲りない、ということ。

以前の記事「中東の歴史を聖書から読んでみた」
で書きましたが、
私が、ひと通り旧約聖書と新約聖書の外観を眺めて分かったことは、
聖書は何が優れているかというと、この人間の懲りない様を描いているところです。

大雑把に言うと、罰を与えられると人間は反省するんだけど、
3世代も経つと忘れて、ソドムとゴモラ化して、
また神に罰せられるということの繰り返しの話が、
旧約聖書の中身になります。
主役は変わっても、ひたすら通奏低音のように
「懲りない面々」の歴史なのです。
「人間」というものが分かっているのですね。

今の日本などまさに「「懲りない面々」によって
ボロボロになりそうです。

私は今後も明確にオリンピックに反対していきます。
非国民呼ばわりされるかもしれませんが、
同じお金を使うなら、福島の人たちの再スタートに使ってほしいのです。

福島の汚染の程度について議論する気はありません。
むしろ、今後、メルトダウンした核燃料が地下水などに
触れて行くことの方が問題だと思います。

2020年の7年後までにメルトダウンした燃料を取り出せるとは思えません。
スリーマイルの事故でも6年かかっています。
こちらはメルトダウンしたものが3つあって、
あと1500本もの使用済み燃料が宙に浮いています。

福島の人たちで福島の外で再出発したい人の希望をかなえるために
お金が使われる方が、ずっと意味があると私には思えます。

国家は嘘をつくものです。
それでも、先進国なのに日本ほど自国の民を慈しまない国があるでしょうか。
他国を陥れるのならまだ分かるけど、
自国民を大切にしない国が、これからも繁栄するとは思えないのです。

世界もそれを知ってて、最後の一儲けに一番お金のある東京を
選んだのかもしれません。

今も昔もゲーム感覚のエリート達。快作「陸軍登戸研究所」を見て。

以前、ツイッターでちらりと見て気になっていた
ドキュメンタリー映画「陸軍登戸研究所」を見てきました。
http://www.rikugun-noborito.com/

かつて,第二次大戦中に,風船爆弾とか偽札を作っていた
陸軍の秘密機関についてのドキュメンタリーです。

全編、関係者の証言で埋められており、
制作者の余計な予断や憶測がほとんど無い優れたフィルムになっています。

ドキュメンタリー映画「陸軍登戸研究所」予告編

一言でいえば、お薦め。3時間が長くないです。
体験した人の話は凄みがあるし説得力があります。
でも,同時に不謹慎だけど、笑っちゃえるんです。
人間の日常というのは戦争時でもなにか滑稽です。

また、歴史修正主義者達にも是非見てもらいたいです。
人体実験の時など、最初は良心がとがめても
だんだん慣れてくる話など、誰もが鬼畜になりうる戦争の本質が見えてきます。

引退を表明した宮崎駿の「風立ちぬ」は
あまり触手が動かなかったのですが、
この「陸軍登戸研究所」をみて、陸軍がせっせと風船爆弾のようなものを作っている間に
空軍はどういう風にゼロ戦開発をしたのか,急に興味がわいてきたので、
「風立ちぬ」を見てみたい,と思いました。

このフィルムが,ドキュメンタリにありがちな「説教くささ」がないのは、
日本映画学校のカリキュラムの一環として、
戦争や策謀には無縁の若い女性達が全くの個人的興味から、
ある意味「白紙」で取り組んだからでしょう。

「陸軍登戸研究所」の存在は以前から知られていたものの、
戦後の徹底した証拠隠滅により,その実態は分かっていませんでしたが、
登戸研究所のあった現在の生田の地域の人々の掘り起こしなどから、
様々なことが分かってくるようになったようです。

この地域の保存活動に参加し市民ガイドになった人も若い女性で、
なんだか、戦争を知らずに「強いニッポン」とか言っている男性達と
思わずその心の有り様を比較しそうになりました。

その地域の人たちと粘り強く歴史や証言者を掘り起こしたのが、
明治大学の渡辺賢二氏。

陸軍登戸研究所と謀略戦: 科学者たちの戦争 (歴史文化ライブラリー)’:渡辺 賢二

1950年に登戸研究所の跡地は明治大学に買い取られ
生田校舎が生まれます。
そして、2010年には「明治大学平和教育登戸研究所資料館 」が誕生します。
http://www.meiji.ac.jp/noborito/index.html

映画を見ながらメモしたので、
いくつかのエピソードを書いてみます。
多少ネタバレになります。

風船爆弾は直径10メートルなんですが、
なんとそれを和紙とコンニャク糊で作ってしまうのです。
バラストやその頃世界最高性能の高度計などをつけた風船爆弾は
偏西風にのって、大西洋を渡り300個くらいはアメリカについたようで、
爆弾も破裂し、何人かアメリカ本土の民間人が死んだそうです。
一人の証言者である女性は、10年くらい前にその慰霊にアメリカを訪ねています。

それから、偽札作りは、戦後、占領軍に重宝されるほどの技術だったようです。
占領軍が何に利用したかは、証言者も「墓場まで持って行く」と言って口をつぐみます。
で、なぜ偽札を作ったかというと、兵隊さんに食料などの兵站を補給する
物資がなかったので、その偽札を使って、侵略した地で調達させるためだった
というのには、思わず笑ってしまいました。

まるでバーチャルゲームみたいな感覚です。
しかし、確かに、将校達はゲーム感覚だったのだろう、
と思ったのは、将校たちは、戦争中なのに羽布団で寝たそうですし、
また、夕食には女子挺身隊が嗅いだこともないような良い匂いをさせて食事をしたそうで、
その匂いを嗅いだ女性は「日本は負ける」と思ったそうです。

そういう証言をする人たちも、
思い出話のひとつという感じで話すのですが、
一様にいうのが、
「あんなことは無駄だった」という一言。

核爆弾を開発する国に、一枚一枚糊付けした風船爆弾を飛ばすことを
真剣に考えたり、
占領した上海をインフレを起こせば中国のダメージになるだろうと
せっせと偽札を作って、北京周りで持ち込んだり、

その上、負けることは予想していたので、
最後は、占領軍が上陸しても水道に毒を入れて殺し、
そうすればもちろん国民も死ぬんだけど、
自分達は濾過装置を作っって生き残るつもりだったとか、

徹底的にデティールの細かさにこだわって意味のないことに磨きをかける様は
ほとんどギャグだなあ、と思ってみていました。

ただ、このデティールの細かさとそれを磨く技術というのが、
日本の戦後の高度成長の繁栄を支えていたんだと思いました。

でも、この国を引っ張る人たちって、
戦争だけでなく大きな国家100年の計みたいなパースペクティブな絵は描けないので、
今みたいな大きなものの見方が必要なときは右往左往しちゃうのでしょう。

語り継ぐ、ということがとても重要であることを
証明してくれている映画です。

ユーロスペースでの上映は終わりましたが、
アップリンクや埼玉神戸などでも上映されるようです。

国防軍が必要、というふうに思っている人にこそ見て頂きたいですね。

7年という歳月をかけて、地道に証言者を探し、撮影し、
編集をした製作者達に敬意を表します。

中東の歴史を聖書から読んでみた

シリア情勢が緊迫していますね。

イギリスは下院で軍のシリア派遣が否決され、
国民もダウニング街に「NO, ATTACK」のプラカードを掲げて
デモが行われ、キャメロン首相は「議会と国民の決定に従う」
と表明しました。

米仏がどうなるのか。
石破幹事長は、証拠があればアメリカ支持と表明していますが、
なんだかなあ、と思います。

というのも、中東の歴史を少しでもかじると
欧米のやりたい放題が結局今の混乱を招いているんだな、
ということに気づかされるからです。

5年くらい前に、イスラエルとパレスチナ問題が全然分からなくて
3ヶ月くらいかけてざっとですが、聖書の時代から数冊の本を読みました。

けっこう大変でした。
聖書には、似た名前の人が入れ替わり立ち替わり出てくるので、
下のような系図を作って読んでいました。

stem

これはアダムとイブからモーゼまでのおおざっぱな系譜。
最初は色違いにして分かりやすくするつもりだったけど、
読み進むうちに、あまりに複雑で、途中から鉛筆書きだけになっています。
時代が下ると、2枚目3枚目にダビデやソロモンが出てきます。

実は私がここまでやったのには、
西洋絵画の理解にも聖書の知識は必要なので、
一度は概要だけでも掴んでおこうと思ったからです。
特に、2008年に夫とイタリア旅行に行って、
久しぶりにシスティーナ礼拝堂などを見学した後でしたので、
画集などを見ながら楽しく読み進めることが出来ました。

システィーナ礼拝堂の天井画には旧約聖書の予言者が何人か出てくるのです。
その役目なども知っておきたいとも思いました。

ところで、この9月6日からはミケランジェロ展が西洋美術館で開かれます。
重要な素描の数々や、レリーフも見られるようですね。
今年は「日本におけるイタリア2013」で、その一環のイベントです。

さて、話を中東の歴史に戻しますが、
聖書から読むのは大変だけど、
西洋文化の理解は格段に進むと思います。
結局ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も
異父兄弟みたいなものです。
それに私達の今の生活も、
ほとんどキリスト教文化から生まれたものばかりです。
そしてキリスト教はユダヤ教がなければ生まれなかったわけで、
池澤夏樹は
「ぼくたちが聖書について知りたかったこと」という本のまえがきで

キリスト教の前にはユダヤ教がある。その後にはイスラム教が生まれた。ユダヤ人のいない西洋史はあり得ない。文化に対して、あれほど少数の人々があれほど大きな影響を与えた例は他にないし、それは今も続いている。イスラエルなき現代史は意味をなさない。」

と述べています。

今は「イスラム=テロ」みたいな認識が広まっていますが、
なぜそうなったのか、テレビやネットだけでは分かりずらいです。
イスラエルとの関係も複雑です。

参考までに私が読んだ本の幾つかを紹介しておきます。
下に紹介した以外にもドレの絵に山室静氏が文章をつけたバージョンが家にあったので
ドレの劇的な絵を見ながら読み進めました。

ちなみに、我が家では、夫の方が圧倒的に社会問題については詳しいですが、
こと中東の歴史と聖書に関しては、最近は私がかなり新聞などと違う意見を言うので
煙たがられています。

聖書に関してはいろんな本が出ています。
私は探していた時に、たまたま本屋さんでこの本を見つけました。
分かりやすさ重視です。

↓エルサレムの問題に特化した本。
結局旧約聖書の時代から出てくるので
聖書の知識は必須。
地図も入って、エルサレムとはどういう街なのか
がよく分かる本です。
私は上のムック版を読みましたが、新書判も出ているようです。

イスラム問題の流れが分かる本。
911以降に買って積んどいたものでした。
これは少しデータが古いので、読んでいませんが同じ著者の本をもう一冊上げておきます。

シリアの化学兵器を誰が使ったのか分かっていません。
誰が使ったにせよ、他国が攻撃すれば、罪のない市民の犠牲者が出ます。
その事が一番悲しいです。

私がおばさんマネなら

以前、高齢者より若者の食事の方を心配してほしい。
という記事を書きましたが、
今日は話題のドワンゴの「女子マネ弁当」
について、私がおばさんマネなら
どうするか、を書いてみます。

以下の記事を読んですごく不思議だったのは、
ドワンゴには社員食堂はないのか、という点でした。
ドワンゴ「助けて! エンジニアが朝出社しないの!」→ 女子マネージャーが弁当を手渡してくれる「女子マネ弁当」システム導入で生活習慣改善へ

正直言って、ドワンゴがどの程度の規模の会社か知らなかったので、
会社のホームページを見たら、
歌舞伎座タワーの12階にオフィスを構える、
千人弱の一部上場企業ではないですか。
資本金も106億1,630万円(2012年9月30日現在)。

え、今は、この程度の規模の会社でも
社員食堂無いの?

もし、本当に社員食堂ないのだとしたら、驚きです。
それとも社員食堂はあるけど、みんな起きられないから
こういうイベントにしているの?

20130329b

さて、「食」は人生の基本です。
この至極当たり前の概念が、日本社会では近年希薄になって来ているな、
と気になっています。
ある面、人は「食べる」ために生きるのです。
何故なら、食べなければ生きられないから。
でもそれは、ただ空腹を満たすためだけではないのです。

人間は自分の身体の中で自分のための栄養を作れないから、
食べなければならないのです。
植物は太陽のエネルギーと水があれば、
自分の中で栄養を作って大きくなります。
動物はそうはいきません。
だから、三大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)とかミネラルなどを
を含む食品を食べることで、エネルギーを得て活動したり、
細胞分裂を繰り返して生きながらえるわけです。

こういうことは義務教育で習うでしょ?

上の記事では、エンジニアが朝起きられない、とありますが、
キチンと栄養のある食事をとらなければ、
キチンとした生活も送れないでしょう。

また、「女子マネ」がお弁当を渡していますが、
そのお弁当も、お金はかかっているのでしょうけど
栄養的には十分でしょうか?

記事からの想像ですが、忙しさにかまけて、食べるものも食べずに
生活が不規則になり、能率も落ちていませんか?

「女子マネ」も良いけど、
もっと根本的な社員の健康管理のための方策、例えば、
ないのなら社員食堂を作る、とか管理栄養士による栄養相談の日を設けるとか
という次元の話のような気がするのですが……。

タニタ食堂の栄養士さんとかに相談されたらどうでしょうね?

IT業界には詳しくないので、上の記事からの推察ですが、
もしかしてこういう会社、増えているんでしょうか?

ま、実は、上の「女子マネ」の記事は、
性による役割分担にも関係すると思うので、
上場企業として、問われる気もしますが、
今日は「食」の問題として取り上げてみました。

オペラアイーダ、キャンセル騒動

9月に東京ドームで開催が予定されていた、
「オペラアイーダ」のキャンセルが話題になっています。

私も今朝の新聞を見てビックリ。

10万人動員予定が4000枚しか売れなかった、
ということのようですが、
ネットニュースでは韓国企業が絡んでいた、
という記事もあり、謎が謎を呼ぶ雰囲気。

実は私、このヴェローナ野外円形劇場で実際にオペラを見た事があるのです。
なので、その時の思い出も交えながら、
この話題について書いてみます。

まず、検索してみてビックリしたのが、値段の高さ。
すでに公式のHPは払い戻しの画面しか残っていないのですが、
こちらの案内によると(これもリンクがすぐ切れそうですね)
VVIP席 一般価格:70,000円
VIP席 一般価格:50,000円
R席 一般価格:30,000円
S席 一般価格:18,000円
A席 一般価格:8,000円

実は東京にはオペラやダンスなどのパフォーマンス系の劇場「新国立劇場」があります。
そこを使わずに、東京ドームにしたのは、多分、ヴェローナ野外劇場をそのまま持ってくる、
という規模のためでしょうが、
そもそもそれが無理筋だったなあ、と思います。

というのも、かのヴェローナ野外劇場は、確かに野外劇場なのですが、
音響がとても素晴らしい劇場なのです。

私がヴェローナに行ったとき、最初からオペラを見るつもりはなかったので、
当日の午後に空いている一番安くて一番空に近い席しか残っていませんでした。
つまり、野球場の外野のセンタ奥一番上の席。
値段は三千円くらいだったと思います。

ちなみにこのヴェローナはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台の街で、
またロマネスク美術の宝庫です。

で、全く舞台から遠い席で、期待もせずに見たのです。
演目は「カルメン」でした。
円形劇場の大きさは、ローマのコロッセウムに比べたらずっと小さく、
イタリア国内3番目の大きさをだそうで、収容人数は2万5000人とか。

イタリア、アレッツオの街灯

イタリア、アレッツオの街灯

席に座ると、自分の手のひらくらいに舞台が見えました。
武道館の一番上より舞台が小さいのですから、
あまり期待はしませんでした。
あくまでも話の種、という感じ。

しかし、始まってビックリしたのが、音の良さ。
歌手の囁くような歌も(何を言っているかは分からないけど)
ハッキリと聞こえました。
もちろん生のオーケストラの音の素晴らしさ。
どうやら、すり鉢状になっているので、
音が這い上がってくるようでした。

席はほぼ満席ですし、夏とはいえ、アリーナ席は盛装の男女で埋まっていて
音の吸い込みもあるのでしょうが、
魔法のように良く聞こえました。
そして、さらにド肝を抜かれたのは、舞台に4頭立ての馬車が出て来たことです。
スペクタクルとしても申し分なく楽しませてくれました。

一方、一緒に行った友人は、オペラに興味が無く、最初は行かないと言っていたのですが、
結局最後はチケットを買って、席はオーケストラボックスの真下。
指揮者の背中しか見えなかったそうですが、
楽団員の譜面まで読めたので感激だったと言っていました。

もしこの規模の舞台を東京ドームで再現するとしたら、
まず、絶対的に音響が不備だったと思います。

日本でオペラを見たい、と思う人は、少なくないでしょうが、
でも、シルク・ドュ・ソレイユを見る層が行くには、
上記の値段は高すぎます。
また、夏休みやバイトロイト音楽祭やニューイヤーコンサートは
ツアーが組まれて、本場が見たい人は、7万円を東京ドームで払うなら
一年我慢して、現地に行くでしょう。

それに、絶対的に準備期間が少なかった感じです。
今年は、ヴェルディ生誕二百周年で、
ヴェローナ劇場が再び劇場として使われるようになってからも百周年、
ということで、「アイーダ」の1913年当時の美術舞台が再現される
企画もあるようです。

たとえ、東京ドームで舞台を再現出来ても、やはり音響のコストパフォーマンスは
問題を残したでしょうね。

舞台興行として内部にどんな問題があったのか
知る由もありません。

観客としては、今はネットでチケットが買える時代ですから、
来年の夏休みに現地に行ってみるのもいいかもしれませんね。

ベネツィア・サンマルコ広場

ベネツィア・サンマルコ広場

↓アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団・合唱団の「アイーダ」が出ているようです。

最優先にすべきこと

テレビは見ないのですが、
相も変わらず「24時間テレビ」が放送されたようですね。
今進行中のふくいちでの汚染をキチンと報じないでも
やるべき放送なのでしょうか。

私達の社会は集団で行け行けドンドンの目標がある時には
とてつもない力を発揮するけど、
物事の後処理やら、
上手く行かない事態から撤退することや
途中で中止が決められない体質であることは、
先の大戦とか、バブル崩壊後の失われた20年とか、
残念ながら、歴史が証明しています。

怖いのは、崖っぷちまで行っても引き返すことより、
崖に落ちることを奨励するかのような時です。
先の大戦でも、神風特攻隊のような悲しい死がありました。

海が世界と繋がっている以上、ふくいちの汚染水問題は、
日本だけの問題ではないのは、誰が見ても明らかです。
もう東電はお手上げ状態みたいに見えるし、
国家プロジェクトを立ち上げ、
首相が世界にアナウンスして、
世界に助けを求めるべきことのように思えます。

海にながして薄めれば問題無い、
みたいなことを言う学者もいるみたいですが、
仮に、今までの分はそうであっても、
東電だけに任せておいたら、
確実に、燃料を取り出せるまで営々と
汚染水は海に流れることになって行きかねません。

もちろん、この汚染を公式に認め世界にSOSを出せば、
経済に良い影響はないでしょうし、
オリンピックなどもやっている場合じゃなくなるでしょう。

だから、国民も政治家も官僚も東電も、
事態を小さく見せてやり過ごしたいと思っているのかもしれません。

でも、やり過ごせることでしょうか。
燃料が地下水に触れているかもしれないのです。
ない事にしたくて、このまま積極的に対策をとらないと、
近づくことさえままならなくなるかもしれないのです。

つい最近だって、水たまりの空間線量で100mSv/hあったのです。
仮にこの場所で一日7時間十日間働くとほぼ半数の人が死ぬ線量です。

もう、誤摩化したり騙し騙し出来る状態ではないのではないでしょうか。

しかし、311以降に思い知らされたことがあります。
普通の人々の「今の生活を手放したくない」
という強固な意識の積み重ねが意外に大きく響く、
ということです。

原発事故後にローンを組んでマンションや家を
買った人も少なからずいます。
そういう人達は、「原発事故はたいしたことなかった情報」
を鵜呑みにしたのかもしれませんが、
どんな事があっても経済は落ち込んでもらいたくないはずです。

しかし、そういう人達に「騙された責任」はあるでしょうが、
先延ばしや安全情報で事実を隠蔽して来たことのツケが
今束になって押し寄せている感じで、
もし最初から本当のことを開示していれば
家を買う事はなかったかもかもしれません。

いつまでも負けを認めずに、沖縄の地上戦や
2発の原爆投下まで白旗を揚げずに
被害を拡大した社会の体質そのまんまです。

まだ誤摩化すのでしょうか。
改憲なんて言ってる場合じゃないと思うのですよね。

今日は311以降、読んだ原発関連の本をあげておきます。
311以降と今では状況のホットさはもちろん違うのですが、
結局、今も、事態は良くなっていないし、
もしかすると、想像もできない事態すら起きる可能性は
否定出来ないのです。
経済の落ち込みを考慮しても、私は、国を挙げて
この問題に取り組むべきだと思うのですが……。

参考になれば良いのですが。

まず推進派。
ブログ「金融日誌」の藤沢数希さんの本。
推進派の理論のほとんどが網羅されていると思います。
経済第一、と思う人は納得の内容。
人の命も経済がなければ助けられない、
というのはよく聞く論理で、この本でも言及しています。

ニュートラル本。推進派に読んでもらいたい。
題名よりずっとニュートラルな内容です。
反対派と推進派の話し合う公共の場が必要と説いています。
作者本人の考えというより、様々な立場の人に意見を聞く、
という内容で、特に哲学者の内山節さんの意見は、
推進派にもキチンと考えてもらいたい内容を含んでいます。

ご存知小出裕章本。
原発反対派の代表の本。

マダムかよこが一押しです。
分子生物学者の書いた本で、私はとてもしっくりきました。
著者自身が、科学者でありながら、
原因不明の病気に悩まされたことも関係するかもしれませんが、
科学も分からない事がある、というスタンスです。

原発報道についての本。
著者二人ともジャーナリストとしてはアクが強いですが、
海外の事情が分かりやすく書かれていて、読む価値ありだと思います。

放射能対策具体本。
放射能対策の家の目張りの仕方、など、
役に立つ情報満載。
私は、ふくいち事故後すぐ読みました。
地震国なので、目を通しておいて損はないです。

ふくいちの事故後、様々な人のメッセージを集めて出版されたもの。
作家の池澤夏樹氏、城南信用金庫の吉原毅氏、
大地を守る会の藤田和芳氏、元宇宙飛行士の秋山豊寛氏、
また、原発は安くないと計算する立命館大学の大島堅一氏
などが寄稿しています。