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madamkayoko について

ほそぼそと絵を描き綴り、言葉を書き綴っていきます。

冬枯れも美しい

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冬枯れは私の好きな画題のひとつです。

葉を落とした木々の間からは
冬ならでのは鳥たちの姿も発見されます。

好きな画題ですが
スケッチでは防寒が大問題です。
普通の防寒スタイルでは15分が限界です。
そこで、登山用品が役に立ちます。

コンパクトにたためるダウンジャケットや
ダウンパンツは必携。
今年は使い捨てではないカイロを
二個買いました。

冬の夕方、すっかり日が沈みかける少し前、
紺青の空に黒いシルエットで浮かび上がる枝々は、
絡み合うレースのように繊細でありながら、
凛としていて美しい。

やがて、とっぷりと暮れて
枝が空にとけ込む頃、
星や月が冴え冴えと姿を現します。

身を切る寒さの中で
星空もきらきらと凍えているかのようです。

来年も、ひっそりととした美しさを
描いて行きたいです。

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静かなる器たち

今はおせち料理もオーダーが多くなっていますが、

黒豆はまめまめしく働けるように、
数の子は子孫繁栄、
栗きんとんは金色が財宝をあらわし、
田作りは、五穀豊穣を願って、
など、意味があります。

ただ、日持ちを良くするために
甘く作ってあるために、どうしても飽きてきます。

おせち料理に限らず
日本料理のもうひとつの楽しみは器にあります。

器をデッサンすると
何故か心が落ち着きます。

まさに「静物画」です。
英語では「Still Life」。

日本画作品はこちらからご覧頂けます。

20130125絵皿

20130304

20130329a

20131228

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寒さに成る実

画用紙に水彩と色鉛筆

画用紙に水彩と色鉛筆

冬は柑橘類の季節。
スケッチは庭の金柑をもいで来たもの。
このあと金柑ジャムにします。
いくらか、木に残しておくと、
ヒヨドリが食べにやってきます。
その様子を見た猫が家中を駆け回って
大騒ぎになります。

ニャンともデュエット(3)彼女は何を見たのか?
ニャンともデュエット(4)彼女が見たもの

柑橘類では、ミカンが特に手で皮がむけるという点が素晴らしい。
昔グレープフルーツが一世を風靡したけれど、
いつの間にか、食べなくなっていました。
包丁とスプーンが必要なのがその原因ではないかと思っています。
オサレなイメージが実用に負けた、数少ない例かもしれません。

英語のブログも再開。
日本語ブログも英語も来年はのんびりやって行きます。

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メリー・クリスマス!Happy! Cat

アルシュ紙に水彩、色鉛筆

アルシュ紙に水彩、色鉛筆

クリスマスには、
家族と、愛する人と、そして、ひとりでも、
この一年の無事に感謝したいな、
と思います。

<お知らせ>
この画像は、著作権フリーにしますので、
ご自由にお使いください。
ただし、改変しないでね。

では、ハッピー・クリスマス!!

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アートとネット、未来へ向けて / Season’s Greetings

今日の一枚
アルシュ紙に水彩と色鉛筆

アルシュ紙に水彩と色鉛筆

今年も残すところ、10日を切りました。

そろそろ、今年の十大ニュース等が
取り上げられる頃でしょう。

皆さんの、今年のニュースはなんでしたか?

私はなんといっても、
自分のホームページを持った事。
そして、このブログを始めた事。

最初の動機は、押し入れにあるデッサンをアップして行く事でしたが、
今は、新しいオリジナル作品を中心に更新しています。

今日は、友人やこの一年に名刺交換した方達に送る
Season’s Greetings(季節の挨拶)用に描いたものを
アップしました。

本当は、8ページくらいの作品集を作りたかったのですが、
パソコンが故障したりして、そこまでは手が回りませんでした。

この間パソコンが故障して不便だったけれど、
溜まりに溜まった写真が整理出来たのは
良かったかもしれません。

アートとネット、未来へ向けて

デジタル時代になって、
アートも様変わりしています。

一番顕著なのが写真でしょう。
野外での撮影は、シャッターチャンスに恵まれれば
素人でも相当の写真が撮れるようになっています。

で、勢い、プロは、見た事も無いような景色を探して
世界を歩いたりするようになります。

クリスマスカードや年賀状は
ネットにフリーのイラストやデザインがあるし、
今のデジタル時代の方が気楽に楽しく作れるかもしれません。

一方で、今は、フォトショップやイラストレータで
実物と見がもうばかりの絵を描く剛の者もいて
手描きに意味があるのか、
と思う人がいても不思議ではありません。

多分、イラストやアートの世界は
これからは二極化して行くだろうと思います。

商業的なものは、
省力化がいっそう進む分野と
今まで以上にお金をかけて、ゴージャスな表現をめざすものに分かれそうです。
前者は、本の表紙等。
後者は映画等の映像の世界。

いずれにせよ、手描きのものは
人件費等を考えると、あまり商業分野では生き残れるとは思えません。

では、手描きは息絶えるのか、
と言うと、それは絶対にないと思います。

むしろ、手描きの良さ、例えば曖昧感、触感、質感、作業感
といったものは、どれほど頑張っても電子データでは望めないからです。

電子データには、マチエールがありません。
マチエールというのは、使っている材料の質感の事です。
同じ紙の作品であっても、プリントアウトした作品と
実際に描かれたものや版画との徹底的な違いは
このマチエール、触感やら表面の凹凸やら
が現実に目の前にあるかどうかです。

存在感が圧倒的に違うのです。

少し前までは、一点ものの絵を買う事は贅沢の極みでした。
また、美術制作者と購入者を繋ぐパイプも限られていました。

しかし、ネットが変えました。
アートメーターなどの両者を繋ぐサイトもあります。
その気になれば、有名な絵描きさんでなくても
好みの作品を見つけることはできます。
作る側も、ネットを使って
自分で自分の作品をマネージする事が出来ます。

洋服を着替えるように部屋の壁の絵も着替える時代が
来ているかもしれません。

ただ、ひとつ気になることがあります。
アートメーターなどの価格が低すぎる、
と感じるのです。

中には、会社員として働きながら
土日にお小遣い稼ぎで登録しているので、
売れてラッキー、という感覚の人もいるでしょう。

なにより、サイト運営そのものに
設備や人件費、そしてソフト等にかかるので
仕方のない面はあるのかもしれません。

アートメーターの場合、
サムホールくらいの大きさ(22.7㎝×15.8㎝)で
2000円くらいです。

何を描くかによりますが、
たとえば、日本画なら、私の場合、
デッサンやエスキースの時間を入れなくても
サムホールで2〜3日くらいはかかります。
時給で考えてもそれがいかに安いかわかると思います。

実は完成した絵を一枚描くためには
その裏で膨大な時間を使っての
エスキースやアイデア出しが存在します。
エスキースは楽器やスポーツでいえば練習ですから
完成品への必須要素で、
それ自体が価格に含まれる事はありません。

しかしアイデアは違います。
アイデア自体が楽器やスポーツのパフォーマンスと同等の
位置づけになると思うのです。
実際、現代美術は、そのアイデアや概念に対して対価が払われているわけです。

しかし、残念な事に、日本の経済システムは
アイデアなど「人間」ならではの作業やパフォーマンスに対して
正当な対価が払われているとは思えない面があります。

以前、「立場で語る人たち」で紹介した
「学歴エリートは暴走する 〜『東大話法』が蝕む日本人の魂〜」
の中で、安富歩氏は、
日本経済の仕組みを「関所経済」と言っています。
ものを作る人ではなく、動かす人に一番お金が行く、
という事です。

これは、言い得て妙で、
例えば、編集者は作家がいるから食べられるのに
作家の立場は総じて編集者より弱くなります。
出版してもらわなければ、読んでもらえないからです。

システムを握っているものが強い、
ということはあるでしょう。

しかし、そのシステムの中に、
新しい革新的なアイデアに対して重きを置く人が存在しない場合は
流動性が極端に落ちます。
いわゆる既得権益でしょうか。

もともと、日本の銀行も土地を担保にしかお金を貸さないし、
新しい才能に対してリスクを負いつつ投資する、
という事はほとんど行わないようです。

システムを握った既得権益が跋扈する限り
日本経済が土建中心から抜け出す事はないでしょう。

スプツニ子さんという、新進気鋭の日本人映像作家がいますが、
彼女はイギリスで学び、卒業制作をニューヨークの現代美術館が注目し
マサチューセッツ工科大学に呼ばれ准教授になりました。

もう世界で学び、世界で作って行く時代なのかもしれません。
文化というと「クールジャパン」
くらいしか政府も取り上げないし、
このままでは、日本の物作りや文化は、手作りも精神も政策も
残念ながら、「瀕死状態」が続きそうです。

とはいえ、個々の作家は頑張っています。
若い作家は、自分の生き残りをかけて、
どんどん世界をめざして行くべきでしょう。
作家の電子書籍化も進んで行くでしょう。

ネット時代が可能性を開いているのは確かなのです。

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クラクラするニュース / 鳥の骨組みパート②

今日の一枚
ケント紙にグラフィックペン

ケント紙にグラフィックペン

鳥の骨組みのスケッチ、その2。
左はキジ,右は飛び立つスズガモです。
上はスズメですが,縮尺は少し大きめです。

ーーーーーーーーーーーーーー

師走で忙しいのに、
アンテナを高くして気をつけていないと
とんでもない方向に行きかねないニュースが
続いています。

9万ものパブコメや各界からの反対声明を無視しての
秘密保護法可決とか
原発再稼働へ舵を切り始めたこととか
さらに共謀罪創設するとか、
憲法の96条をいじるとか……。

一方で、
来年春には消費税8%にあげるとか
オリンピック予算に省庁が群がってトンデモないおもてなし予算が増えているとか
がん患者の情報を国が一括して管理する法律が出来たりとか
国民年金の保険料を払わない人は差し押さえされるかもしれないとか
……。

アリストテレスに
法律ばかり増えるのは、悪政の兆候である。
と言う言葉があるそうですが、地で行っている感じです。

しかし,法案ではないですが、
クラクラしたというか脱力のニュースはこれでした。
AKBも!日・ASEAN晩餐会でJ-POP初ライブ

潜在的に女性差別が横たわっている日本ではあまり言われないけれど、
実はAKBは海外では性的搾取として捉えられることもあるグループです。
政府からしてこういうパフォーマンスを容認する、
というのは、意図しないメッセージになります。

ASEANには2兆円のODAが用意されているということで、
表立っては誰も何も言わないでしょうが、
海外からの要人が、果たしてどんな感想をもったことやら。
もちろん知る由もありませんが。

性的な問題もさることながら、
歌唱力もパフォーマンスも幼稚なAKB。
まるで学芸会です。
少なくとも私にはそうみえます。

せめて、津軽三味線の吉田兄弟とか
和太鼓の鼓動とかを紹介してほしかった。

ただでさえ、秘密保護法では
自由を脅かす先進国で最も酷い法律,とまでいわれているのに、
なんだか、自分の国がドンドン、ドンドン、劣化して行くのを見るのは
ほんとに辛いです。

ところで、
秘密保護法に関して各界の声を連載している東京新聞。
今朝の秘密保護法に関する平田オリザ氏のインタビューが面白かったです。

「例えば、特定秘密を知る政府高官の家に、サンタクロースが入ったら罪になるのか」という風に権力の問題をちゃかすことが大切と。

こういうスタンス、これからすごく大切な気がします。
私も修練つみたいです。

東京新聞ウェブページ

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AKB48総選挙、……は?何、それ。

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写真を使って絵を描くことについて考える

ミケランジェロと言えば、ルネッサンスの巨匠だし、
まあ、歴史上、最も高名な絵描きであり彫刻家。

しかし、彼の女性を描いたり彫ったりした作品を見て
なんだか妙に筋肉隆々だな、って思いませんか?

ミケランジェロは、実際に死体を解剖する所に立ち会って
いわゆる美術解剖学的に人体を描くことを会得した人です。

ところが、男性の死体を解剖した所しか見たことなくて、
男性の身体に乳房をつけたから、ああいう筋骨隆々な女性の身体が出現した
と言われています。

例えば、「エリトリアの巫女」という壁画がシスティーナ礼拝堂にあります。
このページの5月をクリックすると大きく見られます。

システィーナ礼拝堂は、法皇を選ぶ選挙コンクラーベが行われる所です。
バーチャル・システィーナチャペル
( ↑ 360度で壁画と天井画を見られます。)

どうですか、「エリトリアの巫女」は、
顔は本当にきれいなのに、身体は男性そのもの。
胸は少しふっくらしているけど。

一方、ラファエロは本当にふくよかな女性像を描きます。
ラファエロの聖母マリア(グーグル検索)

実は、ラファエロは色男で、とても女性にもてて、
激しい情事で亡くなった、と言われるほどです。
彼は女性の身体を身を以て知っていたわけです。

じゃ、ミケランジェロは?
ミケランジェロはセクリュアル・マイノリティーだった、という説もあるようですが、
しかし、熱烈な愛の詩も書いているので、よく分かりません。

が、少なくとも、女性の身体を解剖する所は絶対に見てないはずです。
もちろんミケランジェロは、
自分の見た物を再構築し、想像でたくさんの人物象を生み出しています。
デッサンもたくさん残っています。
それは、彼の頭の中で、男性の骨格の仕組みがしっかり把握されていたからです。

それでも、顔は、誰でも外から見れば分かるわけで、
神々しいまでの美しい顔の下に筋骨隆々の身体がある、
というちぐはぐなことが起きたと思われます。

なぜ、この話を始めたかというと、
藝大生が描いたと言う「昆虫交尾図鑑」が、どうやら他者の写真をトレースしたものらしい、
というまとめを見たからです。
基本的にこれは著作権の問題です。
出版社や編集者、また学校の先生は気がつかなかったのかな、
と思うと、学生さんだけに、ちょっと残念です。

美大の学生だからと言って、
社会的な常識から外れると、厳しい対応が待っています。
美術大学では知的財産の概要の講座などないのでしょうか。
私が美大に通っていた頃はもちろんなかったですが、
時代は大きく変わりました。

しかし、もう一つ別の問題があります。
著作権上は、自分が撮った写真なら、トレースしても構わないのですし、
最近は、割合と写真を見て描く、ということがふつうに行われているようです。

しかし、実際に見て描かない、自分で写真を撮ったとしても
写真だけ見て描く、トレースする、ということには絵を描く意味があるのかな、
と、私は思うのです。

絵画の世界に、カメラが取り入れられたのは、
フェルメールの時代です。
フェルメールは、カメラの前身、カメラオブスキュアを
制作の補助に使ったと伝えられています。
しかし、フェルメールは、モデルを使って描いてます。

ミケランジェロの話に戻すと、
彼ほどの画家が、想像で女性を描けないはずがありません。
男性の身体の方が美しいと思っていた、という説もあるようです。

しかし、大胆に推論しちゃうと、
見てないものは描くべきではない、
と思っていたということは、ないでしょうか。

さて、問題の学生さんのインタビューを読むと、
昆虫には詳しかったようです。
だとしたら、なおさら、残念です。

実際に実物を見ながら描くことを続けていくと、
少しずつ、仕組みが分かってきて、
見ない部分でも描けるようになってきます。

実は、どれほどカメラの性能が進んでも、
写真は、立体的な被写体のすべてにピントが合う、
ということは難しいです。

その点、絵だと、細かい所は顕微鏡で見たり、
かくれている見えない部分を確認しながら
すべてにピントを合わせてに描くことができます。

こういう、細密なサイエンスイラストレーターの仕事は
博物学などの伝統が長い欧米では一定の評価がされています。

また、今は研究者も器用な人は絵を描くし、
知識が深い分、イラストレーター顔負けの絵を描く人もいます。

今後はサイエンスイラストレーターは、
絵を描くだけではなく、一定の専門性も必要で、
大学院行って修士を取るくらいでないと、専門分野は担えない時代かもしれません。

さて、お前はどうなのか、と言われると、
私は個々の生物を精密に描くことより
「生態系の繋がり」を描いて行きたいと思っています。
生き物同士の関係性。
人間もそうだけど生き物は、
一つの種だけで生きることは、もちろん出来ない。
常に、食べる食べられる、の関係を中心に、
関係性を保ちながら生きています。

このブログでも、少しずつ、試みています。

これは、観察と自分で撮った写真から作った鳥とヒマワリの種の絵。

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆

田植えの季節のカルガモ。カモ類で唯一一年中いるカモ。
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こういった関係性を描くには
個々の生き物が描けなければならないし、
「関係性」の実感がなければ描けません。
それは、実際に、見て触れなければ、分からないものです。

細密画を描く時も一緒でしょう。
何より、実感がなければ、絵にはならないものです。
写真は補助にはなるけど、
実感そのものはスケッチブックと鉛筆がなければ
捉えられないのが、絵描きさんだと思います。

写真で捉えられるなら、
それはプロの写真家になります。

そのプロが撮った実感のある写真をなぞっても
実感のある絵になるはずもありません。

私は鳥の仕組みが分かるまでに2年以上かかっています。
観察会に参加し、動画や写真にとり、
博物館に行って骨格や剥製をデッサンし、
毎日、図鑑見て、出かける時も鳥の声に耳を澄まし、
ようやく分かってきた所。
まだまだです。

人生は長い。(けど短い)若いうちは本当に基礎が重要。
本を出す前もずっと描いていたようですから、
厭わず出かけて実物を描いて、自分のものにしてほしい。
くだんの学生さんにはそう言いたいと思います。

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