という記事では、
現代のようにビジュアル商品が溢れた中で、
ゼロから何かを作ることは不可能に近いから、
パクリにならないためには、対象を自分の手でしっかり描くことが大事。
と書きました。
さて、アイデアの出し方はどうでしょうか。
これは編集力が大切になってくると思われます。
もちろんクリエイターによって千差万別の方法があります。
ゼロからオリジナルを作って行く人もいるでしょうが、
8割以上の人は、何らかの模倣を取り入れるのではないでしょうか。
自然や歴史上の作品、また流行を取り入れて、
自分なりのアレンジをして行く、というのが多くの人がとる手法と思われます。
つまりアイデアの編集力によって新しい切り口を作っていくのです。
そして作り続けることによって、模倣がオリジナルになっていく、
ということが往々にしてあります。
また、その過程でオリジナルな技法を手にすることでオリジナルになって行く、
ということもあります。
その話しはまた別の機会にして、
模倣をどのように自分の作品に取り入れるのか、
どのように編集していくのか、
ということを、私の例で紹介してみたいと思います。
(あくまでも私の例です。)
今回の例は、
音楽の総譜(いわゆるミュージックスコアー)の表紙でした。
で、天使が弾く竪琴で猛獣のライオンすらスヤスヤ寝てしまった、
という場面にしようと思いました。
天使とライオンという組み合わせは、昔からあります。
特にライオンは、エジプトのスフィンクスがそうですし、
また、福音書記官マルコの象徴として、
マルコが守護神のヴェネチアには至る所にライオンがいます。
ロマネスク寺院の入り口にライオンが置かれていることが多く、
それが、中国経由で日本では狛犬になった、
と言われています。
(宮下規久朗著「モチーフで読む美術史」p43より)
そう言えばお神社さんの狛犬、目が大きくて獅子みたいですよね。
全体のイメージは7年ほど前ににイタリアに行った時に撮影したローマのフォロロマーノ。
また、その時にシエナで撮影したアカンサスの模様が彫刻していある大聖堂の柱。
(下のエスキースの中の写真。)
じつは、これは、いくつか描いたうちの一つで、
結局、もうすこし、要素の少ないバージョンが採用されました。
なので、このエスキースは折角なので、時間を見つけて彩色したいと思います。
そして、こうやって、様々な要素を自分なりに組み合わせて、
作品をひとつ一つ仕上げて行きます。
ある面、アイデアの編集力です。
編集で出来上がったものは、新しい切り口を持った作品です。
このあと大事なことは、ただひたすら作って行くこと。
そうすると、その人の血となり肉となって真のオリジナルに化ける時もあるわけです。
絵に限らず、多くのクリエイターがひたすら日々黙々と作り上げていっているのに、
わずかに突出した人が平然とパクったりすることで、
もの作り全体の信用が落ちる、そのことが私は心配です。
漫画やアニメにしても、その背景画一つとっても、膨大な時間をかけて描かれます。
それは、多少コピー機能があるとはいえ、デジタルでも同じことです。
一つのデザインや作品の裏に多くの隠れた作業があります。
そのことをクリエイター以外の人にもっと気付いてもらいたいです。
参考文献
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アートとネット、未来へ向けて / Season’s Greetings
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