日別アーカイブ: 2016年12月4日

片桐裕司監督初作品「GEHENNA」は本当に怖かった!

先日ご紹介した片桐裕司監督の「GEHENNA」、
東京コミコンにおける日本でのプレミア上映に行ってきました。

いわゆる試写会ってほとんど行ったことないので
日本初上映の作品が見られる、というだけでワクワク。

と言っても、映画評はネタバレせずにするのは難しい。
でも、ネタバレなしで感想書きます。

とにかく怖かったです。
ホラー好き、怖がりたい人は必見です。

正直いうと、私は気が小さいのでホラーはあまり見ない。
スティーブン・キングものくらいかな。

「GEHENNA」は導入部分がよくできていて
最初の5分で一気に異世界に観客を連れて行ってくれます。
これは見事でした。

映画は最初の5分で観客を引き込み
最後の5分で観客にカタルシスを与えて終わる、
というのが結構大切。

今はSFXやアニメがが中心なのであまり映画見ないけど、
私は以前は年間50本くらいは見ていました。
で、いつも日本映画を見るとイライラさせられるのが
導入部分。

映画の導入部分って、ほんの数分で登場人物や彼らの置かれているシチュエーションを
ほぼ映像だけで説明しなければいけない。

・・・はずなのに、大概日本映画は説明の文字を読ませたりしがち。
もちろん全てではないけどいわゆる「〇〇製作委員会」方式の映画には多いですね。

この理由は簡単で、やはり「寅さん」とか「釣りバカ日誌」とかのシリーズ物や
任侠ものが多いので、シチュエーションを説明する必要がないからなのね。

で、「GEHENNA」はこの導入部分を非常にスマートに
しかもしっかり伏線も張りつつ見せてくれました。

あと片桐さん自身の手による様々なホラーキャラクターが
生き生きしているのは
パソコンの中だけで作ったのではなく
実際に粘土でアナログで作っているからなのね。

「生賴範義」の展示を見ても思ったけど
人間の手はすごいです。
これから映像の世界でもさらに機械で絵をかいたり3Dが主流になるでしょうけど
自分の手で何かが生み出せる人の強さは
結局変わらないだろうな、と思います。

そういう確かさが、
この「GEHENNA」を支えているのでしょう。

また、単に怖い画像を撮影するだけではなく
人間ドラマもしっかり織り込まれている点も
厚みを出していると思いました。

そう、その点ではかなりオーソドックスな作品だと思います。
映画の王道を行くものを作りたかったのだろうな
と感じました。

ゲストのランス・ヘンリクセン氏が
「その監督の第1作にはその監督の全てが詰まっている」
と冒頭に言っていたけど、
その通りなのでしょう。

ちなみにランスさん、めちゃくちゃいい声で痺れました。

以前伺ったところでは、若い頃ロダンの彫刻に衝撃を受けたという片桐さん。
すでに次の作品のオファーが来ているそうですが、
きっとロダンの彫刻のように「人間」の生き様を織り込んだエンターテインメントを
生み出してくれるはずです。

ホラーが苦手な私も楽しませてもらえる作品作りに
大いに期待したいです。

いいことばかり書いたけど、気になったのは音楽ですね。
いくつか静寂もあるのだけれど
割合と同じ音量でずっとバックの音楽が流れていたのは
ちょっと気になりました。

ところで、エンディング。
これは書かないけど、
なかなかミステリアスです。

映画には「衝撃のエンディング」という謳い文句はつきものです。(笑)
ですが、私が今までで一番驚いた映画のエンディングは
2015年に105歳で亡くなって亡くなる前年まで作品を取り続けていた
マノエル・ド・オリヴェイラ監督の「永遠(とわ)の語らい」(2003)。
このエンディングには驚きのあまりひっくり返っちゃったけど、
しっかり伏線があって唸らされたものです。

「GEHENNA」のエンディングは見てのお楽しみですね。

日本での一般公開が待たれます。

プレミア上映前にステージに並ぶキャストとスタッフ。
img_4801

上映前のランスさんの挨拶。
素晴らしい声と存在感でした。
img_4802

上映後、ホッとしているように見える片桐さん。右となりは主役のぺぺさん。
チケットは完売でした!
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