日別アーカイブ: 2016年7月8日

テレビは衰退産業なのかもしれない

テレビがひどいです。
どうひどいかと言うと、本来伝えるべき情報を伝えていない、という点で。
この参議院選挙の争点は明らかに憲法改正なのに
選挙がある事すら報道を避けているように見える。

とくにNHK。
最近は公然と、何万人も集まったような抗議集会すら報道しない。
おまけにテレビのない家にまで受信料を取ろうとしている。

で、マスゴミ、と言われたりするわけですが、
少し視点を変えると、テレビは衰退産業のフェーズに入っているのかもしれない、
と思えるのです。

テレビの最大のメリットは「ただ」である、
ということ。
もちろんこれは最大のデメリットにもなりうる事で、
タダほど怖い者はない、という現実があります。
選択した情報しか流されない事もあるからです。

しかし、インターネットが発達してその「ただ」に匹敵する
情報源が世界中の庶民に確保されてしまった。

プロバイダー料等を払うわけだから純粋に「ただ」ではないけれど
テレビが受信専用なのに、
ネットは個人の発信すら出来るようになった。

個人がメディアになれる時代に、
テレビが苦戦するのは当たり前。
若い人はスマホがあるので
テレビすら持っていない、という人も少なくないみたい。

ま、端的に言って、テレビは衰退産業でしょう。
だからNHKは受信料を国民全員に法律で払わせようとしている。
彼らの能力のなさを露呈していますね。

いや、本当はNHKはそのコンテンツ作りにおいては
抜きん出ていたのに、いろいろ事情があって、
その能力を発揮できない状況におかれ、
結果番組がつまらなくなり
受信料を払わない人が増えたし、
テレビ自体も持たない人が増えた、ってことでしょう。
何しろ会長が時の首相のメッセンジャーだから。

NHKは受信料だけど、民放も「ただ」なのは、
スポンサーがいるから。
放送枠をスポンサー企業に売って
広告を打ってもらう替わりに番組を放送する。

だから当然、スポンサーの意向に逆らう番組は作れない。
もう最近はほとんどテレビを見ていないので
気にもしなかったけれど、先日ちょっとテレビをつけたら
CMの質がすごく落ちている気がしました。

昔はCMとはまさに時代を牽引するカルチャーでした。
有名なコピーライターが「モーレツからビューティフルへ」
なんてコピーを打ち出し時代の空気を作ったものです。

しかし、そういう時代を牽引するチカラもなくしてしまうと
もう彼らは、スポンサーのいうなりになるしかない。
基本的にテレビはコンテンツの対価として広告料を
取っているわけではなく、放送枠=視聴率、で食べているわけです。

それをコンテンツの対価だと見る向きもあるかもしれないけど
スポンサーの意向を忖度するものがコンテンツと言えるかどうかは
すごく疑問。

そんな時に生まれたのが、第二次安倍政権。
テレビ戦略を重視し、NHKの会長まで送り込んできます。
と言っても、いま始まった事ではなく、もともと自民党は2005年の小泉政権の時に
「B層」なる概念を打ち出してテレビ戦略を進めてきました。

実は、OECDの国々の中で、最もテレビへの信頼率が高いのが、日本。
イギリスやアメリカは3割くらいの人しかテレビの情報を信用していないのに
日本は7割がテレビ情報を信じている、という統計もあります。

かくいう私も10年くらい前まではかなりテレビが好きでした、
変だな、と思い始めたのが「小泉郵政解散」の時。
まさに自民党が「B層」なる概念を打ち出してテレビ戦略を進めていた時です。

一度「変だな」と思って疑問を持ってしまうと
もう後戻りは出来ない。
情報は玉石混合だけれどネットに転がっているわけですから。

自民党のテレビ戦略、とはテレビ業界や大手メディアに独占的に情報を流す
ということに他なりません。
記者クラブ制度です。
ただ、最近になって情報だけではなく、代理店などを通してお金も動いていた疑いは
最近のオリンピック招致の賄賂騒ぎで見えてきました
我々の税金です。

基本的に自民党はそうやってテレビを上手く使って政権維持を図っていきますが、
2009年にまさかの政権交代。
しかし、今からすれば分るわけだけど、その自民党で潤っていた人たちが
民主党を総攻撃始めます。
何しろ民主党は記者クラブメディアだけではなくフリーランスにまで
会見を解放します。
記者クラブで情報を独占していたテレビや新聞が面白く思うはずがありません。

で、民主党政権はあえなくダウン。
その後の「民主党よりマシ」キャンペーンが功を奏して
自民党の支持率は高いまま。

私は実は、ボロクソに言われる民主党政権をかなり評価しています。
国民、特に若い人の為になる政治をしてくれたからです。
・国家公務員の天下り斡旋を全面禁止
・子ども手当支給
・生活保護の母子加算復活
・記者会見オープン化
・父子家庭に児童扶養手当を支給
・公立高校生授業料無償化
・密約解明
・私立高校生年12〜25万円助成
などなど

当時は「財源は???」が叩かれる常套句でした。
しかし、あべ政権になってうなぎ上りに軍事関係の予算が増えている。
それなのに「財源は???」とは言われないし、
しかも赤字国債は1000兆円を越えた。

なんでこうなるのか。

私も最初はよく分からなかった。
単なる大政翼賛とも思えない。

まだきちんと解明できたわけではないけれど、
結局今の自民党に群がったり
メッセンジャーになっている人たちは3つに分かれると思う。
①イデオロギーを同じくする人たち(菅野完著 日本会議の研究 (扶桑社新書)
に詳しい)
②税金で食べていて自分では価値を生み出さない人たち。官僚、政治家、行政マン含む
③税金を自分の業界に持って来ようと媚を売る人たち

明らかにメディアは③の代表だわね。

本来は社会の木鐸たるメディアが、単なる「放送業界」と言うリーマンの集団に
なっているんだろうということです。

実は、メディアだけでなく、市場関係者とか財界とかも、
政権に「してもらう」ことばかり考えているから自民党にいいように利用される。

焦点:市場が警戒する改憲勢力圧勝シナリオ、経済後回しを懸念

なにを今更感満載ですね。
アベノミクスで株価を上げたのも、国民の年金までつぎ込んで
株価を上げたのも、景気好調をを演出して
この参議院選挙を勝って改憲する為。

ただ、そのためだけだったのですから。
これは先にあげた菅野完著『日本会議の研究」の84ページに
あるように、日本会議のシナリオ通りです。

結局市場も「人まかせ」で「改憲」という社会を一番混乱に招く事態の
サポートをしたことになる。

個人が生活保護を受けようとすると「自己責任」を問われるのに
業界が政権に「金くれー、金回せー」と言っても
「業界責任」は問われない。

まあ、だから業界はドンドン税金依存体質になって
イノベーションなんて起こりようもない。

「もの作り日本」はどこまで健在なのか?
日本の金融市場はどうなるのか?

社会インフラを担う業界はある面仕方なのかもしれないけど、
あまりに多くの人が税金に群がる為に
本来の「税金の再配分」で弱者を救う、
という政治の目的が何処かに行くだけではなく
ファシズム嗜好の政権のサポートまですることになる。

自力で生き抜くチカラを国民も業界もつけないと、
こうやってお金でいろいろ操られる。

それでも、人は年も取るし病気もする、
そういう時にこそ私たちの税金が生きるのです。
他人の国に行って戦う為ではないのはもちろんです。

テレビはどこへ行くのでしょうか?
テレビ業界の人は真剣に自分の身の降り方を考えた方が良いかもしれません。