カテゴリー別アーカイブ: アトリエ日記

ライオンは寝ている。一方トラは……

上野動物園、第二弾は、当日のお目当てのライオンです。
多摩動物園ではライオンバスに乗らないと見えないので
上野動物園に来たのですが、こちらも展示方法が以前とは違って
ライオンは高低差のあるかなり広い熱帯庭園風の場所にいました。

一部ガラス越しに間近に見る事も出来るけど、
ライオンがそこに来てくれないと、迫力たっぷりのズームは楽しめません。

だいたいの時間、入園者の通る通路から一番離れた低い場所にいるので、
まず見つけるが大変でした。
デッサンするにも見える場所に来てくれるのを待たなければなりません。

ライオン動かないなあ、と思っていると突然位置を変えるので、
こちらにお尻を向けて顔が見えないときは、
隣のトラ舍に移動して、デッサン。

トラの方は、ライオンと全く違って、
決まった場所を行ったり来たり、0.5秒として止まることがありません。

そしてこちらはサービス精神旺盛で
時々入園者の目の前のガラスに顔を付けるようにして
通り過ぎます。

しかし、近いというだけで、動きを止めないのは同じ。
こういう動物をデッサンするのは難儀です。

動き回るトラを描くのに疲れると、ライオンが描ける位置に移動していないか
またライオン舍に確認に行きます。

それを繰り返して3度目くらいの時に、ようやく、15メートルくらい先の
丸太の上で休憩中のライオンを描くことができました。

20141024_1

20141024_2

この絵を描いている間も、そして今もこのスケッチを見ると
私の頭の中をリフレインするのがトーケンズの「ライオンは寝ている」。
The Tokens – The Lion Sleeps Tonight

片やトラは寸時も止まらないのでデッサンに工夫が必要です。

というのはトラは、ほぼ同じところを行ったり来たりするので、
「描く」と決めたアングルにトラが来た時に、一瞬を捉えて
描き加えて行きます。

下のデッサンは、見ている時間は15分くらいだったと思いますが、
このアングルになった一瞬だけ描き込んでいるので、
時間的には5分も描いて無いでしょう。

20141024_3

トラ舍には常連の「トラおじさん」がいて、
入園者がトラが思いのほか細身なので
「わあ、このトラ、スマート!」と声をあげると
「だからスマトラトラ、なんちゃってね」と合いの手を入れていました。(笑)

ところで、
トラを描きながら人々の感想を聞いていると
毛皮の模様がきれい、というのが多かったです。
トラは絶滅危惧種です。
Amazing Species: Tiger(IUCN(国際自然保護連合)の英語のサイト)(PDFファイル)

意外や意外、百獣の王と言われるライオンより、
トラのほうがネコ科の中で最も大きい動物なのですが、
今は3500頭くらいしか残ってないみたいです。

キレイな動物は、キレイがゆえに命を落とすはめになりかねないのです。
トラを脅かす問題(WWFのサイト)

私はデッサンに入り込むと、ほぼのまず食わずで3時間くらい野外に立ち続けます。
この日も、寝てばかりのライオンと動きすぎるトラを描いて、
帰る頃にはくたくた。
同じネコ科なのに、なぜ、ライオンとトラはこんなにも
行動が違うのかしら、
と思いつつ動物園をあとにしました。

それにしてもネコ科の動物はほんとしなやかでキレイですね。
創作意欲を刺激してくれます。

やっぱりパンダは可愛い / パンダの10秒クロッキー

今日は、と言っても日付が変わったので、
昨日21日には、久しぶりに上野動物園に行ってきました。

仕事でライオンを描こうと思ったからです。
でも、やっぱりその前に、パンダ舍に寄ってみたら、
やっぱりパンダ可愛いですね。

で、早速写真だけではなくクロキーブックを持ち出して、
10秒クロッキーです。

動物や赤ちゃんは、寝ている時以外、0.5秒と同じ格好ではいませんから、
クロッキーの練習には持ってこいです。

クロッキー(croquis(仏)というのは対象を素早く描画することで、
スケッチのうち、特に短時間(人物なら5分程度)で描かれたものを
クロッキーとよんでいます。

人間のようにデティールが複雑だと、どれほど速く描いても
3分から5分が最短でしょうが、
パンダはシンプルなので、10秒くらいで描けます。

明らかに、パンダを可愛い、と思うのは人間の勝手な感情です。

体全体が丸くて、耳も丸くて黒く、目は本当は小さいけど黒い隈取りで垂れ目に見える。
すべてが丸くポワポワしている。
狐や狼を見て精悍に見える、というのと逆ですね。

でも、抗し難く、可愛いパンダ。
そのパンダ舍の前で10秒で描いたクロッキー3枚です。

20141021panda001

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20141021panda003

関連記事
パンダは学ぶ,アオサギも学ぶ

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<お知らせ>
西脇市岡之山美術館で開かれるサムホール大賞展に入選しました。
会期は11月16日〜12月14日です。
詳細は後日掲載します。

鳥のカワイイ不思議……一本足のアクロバチックなカモ

カルガモの第二弾は、
アクロバチックな一本足のカルガモです。

紙に色鉛筆と水彩

紙に色鉛筆と水彩

鳥はよく、一本足になります。
こちら↓のアオサギもそうです。

ケント紙にグラフィックペンと水彩

ケント紙にグラフィックペンと水彩

多くの鳥が、眠る時一本足になるそうです。
しかしインコも文鳥も飼った事のない私は
野鳥公園で鳥たちの生態に触れるまで知りませんでした。

どうやら体温を保つためらしいです。
とはいえ、どう見ても不安定な姿勢です。

イラストのカルガモは、尾羽の方から描いていて、
身体を支えている一本の足の見事なバランスには驚きますし、
アクロバチックにすら見えます。

10月に入って、野鳥公園にオナガガモなどが渡って来て、
カモ類も増えてきました。
夜になると、一斉に片足で立って眠るのでしょうか?
是非一度、その様子を見てみたいものです。

鳥が羽をつくろう姿がカワイイ……見返りガモの図

久しぶりの「観察絵日記」です。
今日は、鳥の羽繕い(つくろい)を取り上げます。

猫が自分の身体や背中をなめるように
鳥も首をぐるりと背中に回して、嘴で自分の羽を整えます。
グルーミング(grooming)とも言いますね。

人間を含んだ哺乳類は頸椎が7つですが、

ケント紙にグラフィックペン

ケント紙にグラフィックペン

鳥にはこのように多数の頸椎があり、種類によって違い、
13個から25個くらいあるようです。
確かに骨格的には、猫より背中に首が回りそうです。(笑)

とはいえ、鳥が猿や猫のようにグルーミングすると発見したときは
驚くとともに、その姿がユーモラスであまりにカワイイので
いつか絵にしようと思っていました。

2014107kamo_mikaeri

これはカルガモです。
首を後ろに回してバランスを取るため、
尾羽を嘴の方に引き寄せているのが分かるでしょうか。
まるで「見返りガモ」の風情ですね。

カルガモは、カモ類で唯一渡りをしない留鳥です。
春に各地で、カルガモの親子が話題になりますね。
親鳥の後を小さな子ガモが隊列を作ってついて行く様は
可愛くて、思わずシャッターを切りたくなります。

8月の初めに子がもたちを見たときは、
もう親鳥とさほど変わらない大きさになっていましたが、
それでも、親鳥が陸から水に移動して泳ぎだすと、
次々とチャポンチャポンと水に入ってついて行ってました。

サギ類は更に長い首をS管のようにして羽繕いしているものもいます。
別の機会に是非描いてみたいと思います。

ネットからリアルへ、「反戦」展、始まる

みなさま、お久しぶりです!

予告無く一ヶ月近く休んでしまいました。

今日は告知です。

本日から下記展覧会が始まりました。
「反戦 来るべき戦争に抗うために」展

私も作品参加しています。
昨日、搬入に行ってきました。
これは私にとって一つの事件です。
正直言って、一年半前、このブログを始めた時に
リアルでこんな風に動くことになるなんて
想像だにしていませんでした。

実行委員長の土屋誠一氏曰く
「展覧会を見ることも反戦展に参加すること」です。

是非、ご興味のある方はお出まし下さい。

さて、
ネットはリアルと繋がってこそ。
でも、リアルは予想外のところからやってくるから
ネットで準備万端怠りなく。
この事を今回ほど痛感したことはありませんでした。

親の介護やら兄弟の病気やらの合間に細々と描き続けた絵。
原発事故で、描きためたデッサンどーしよう
そうだネットに上げれば、データとして残る、
というわけで、始めたこのブログとホームページ
詳細は「分析は悲観的に、行動は楽観的に」
に書いてあります。

去年の今頃からは、過去のデッサンだけではなく
小さいものですが、週に二回くらい新作と一緒に記事を上げて行くようにしました。
そのために、せっせと里山公園にスケッチに行ったり
観察会や田んぼ作りに参加したり。

小さいながら、積み重なると置き場所にも困るようになって来たので
この7月にはそれらを集めて個展を開きました。
それもたまたまツイッターで個展の場所を呟いている方がいて
その画廊を検索したら、7月が空いていたので
4月に予約に行ってきました。
間際ということもあって、画廊主が少しお安くしてくれたことも嬉しかった。

ところが、5月に突き指をしてしまい
一ヶ月近く絵が描けない状態に。
だからDMハガキが出来たのは、会期の一週間前。

それでも、ブログにアップするためと
里山活動をしているグループの機関紙の表紙を毎月描いていたので
ギリギリセーフで個展に突入。

個展が終わって少しホッとしたところで
土屋誠一実行委員長の「反戦」展への呼びかけ文を読んだのです。

集団的自衛権の容認の閣議決定には私もプンプンでした。
記事もいくつか書きました。

憲法より閣議決定が上なんて、ありえない。
日常の意味が変わる時

アンデパンダンとはいえ、全く無名の私が受け入れられるか
土屋委員長にメールした時点では不明でした。
私は意を尽くしながらも参加意志を表明したメールには
自分のホームページやブログのURLと、関連記事のURLを添えて出しました。

土屋委員長に尋ねていないので分かりませんが、
ただ名前だけで「参加します」と言われても普通は判断に困るものです。
すぐに参加者リストに加える旨のご返信を頂いた時、
つくづく、ネットで頑張って来てよかった、と思ったものです。

では、皆さん、会場でお目にかかれれば幸いです。

あ、私は、ごく普通の花鳥画を出していて、
ひとりだけ浮いてます。(笑)
でも、コンセプトは練ったものだし
今の私の最善を尽くした作品です。

搬入後、私自身もまだ会場を訪れていないので
明日くらいには行きたいです。

夏休み観察日記(3)多摩動物公園、昆虫生態園

先日、多摩動物公園に行ってきました。

お目当ては、ダイオウサソリが子どもを産んで
幼虫を背中に乗せて育てているところを見ることでした。

親は黒いのに、子どもたちは白くて、しかも大きさは親の30分の一くらい。
でも小さくても形はサソリで
しっかりシッポの先も尖っていました。
昆虫生態園という展示館の洞窟の中です。
8月6日生まれだから、
はたして今日現在もまだ背中に乗せているかは不明。

ところで、この昆虫生態園、蝶の舞う中をお散歩出来ます。
ハイビスカスなどの温室でよく見るような植物の間を
白やオレンジ、瑠璃色の蝶がヒラヒラと舞っています。

20140824オオマダラ001
この蝶は、オオマダラ。
白に黒い筋がハッとするほど鮮烈です。
大きくていかにも南国の蝶という風情。
エサ台の水を吸っているところをアレンジしてみました。

昆虫生態園の蝶は、飼育員さんによって育てられたものも多くて、
人慣れしているので、写真好きにはたまらないのではないでしょうか。

囲われている動物を見るのではなく、
動物が生活している中を見てあるく展示は
今は様々な動物園で取り入れられているのでしょうが、
多摩動物公園のアフリカ園のライオンエリアは
1964年昭和39年に開園し、
当時世界で初めてのバスによるライオンのサファリ式観覧「ライオンバス」
が始まりました。

いまでもライオンバスの人気は高く、
長蛇の列が出来ていました。
私はもっぱらバードウォチング用の双眼鏡で
ライオン観察。

たてがみの立派なオスライオンは我が家の猫のように
ほとんど寝ていましたが、
メスライオンは、躾けてあるのか、ライオンバスの窓をペロペロなめるのね。
きっと車内は大賑わいだったでしょう。

多摩動物公園は、8月の土日は
夜8時まで開園しています。
あ、昆虫生態園は夜間開館してませんからご注意ください。

最近は、学校の夏休みが短くなっている傾向があるようですけど、
今週で8月も終わり。
行く夏を惜しんで、トロピカルな蝶を見に行くのはいかがでしょう。

夏休み観察日記(2)渡りの鳥、ソリハシシギ

干潟でシギやチドリが見られる季節になりました。

20140819
ソリハシシギ(画用紙に墨汁とグラフィックペン)

水鳥は固定のフィールドスコープで見やすいので
初心者でも楽しめます。

ただ冬は、寒いです。
カモ類や猛禽類は、みなさんブルブル震えながら見ています。

その点、シギやチドリは気候の良い春と秋に見られるので、
嬉しいですね。
シギやチドリはシベリアとオーストラリアを行ったり来たりする途中で
日本に寄るのだそうで、私がよく行く東京港野鳥公園は、
そういった鳥たちを保護しようと言う国際ネットワークである
「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」
いわゆる「シギチドリネットワーク」の参加地です。

鳥に詳しい人たちと話すと
「ここにはソリハシシギが出る」とか
「メダイチドリが出たよ」という言い方をします。
最初聞いた時、「なんだか幽霊が出るみたいだなあ」と思ったものです。
一種の業界用語ですね。(笑)

で、ひとりで観察に行くときは、
周りの会話に耳を澄ませます。
そうすると……、

「○○が出た。」
「どこにいる?」
「あの高い木の下の方」

といった会話が聞こえて来たら、そっちを見ます。
そして携帯用の図鑑と見比べて確認します。

それでも分からなければ、聞けば皆さん教えてくれますよ。
分からないことは、
聞いちゃうのが一番早い!

ところが一度だけ、
私しか飛んでいる鳥を見てなくて
同定に四苦八苦したことがあります。

たまたま双眼鏡で見ていたら飛んで来た鳥が
見た事もない不思議な鳥。
目の周りがパンダみたいに黒いのです。
「パンダ鳥!」と思ったのですが、
誰も見ていませんでした。

家に帰って調べたら「ミコアイサ」というステキな名前の鳥でした。
漢字では「神子秋沙」と書くようです。
秋が深まると皇居のお堀にも来るようですね。
どんな鳥か、検索してみて下さい。

さて今日の絵のソリハシシギは、分かりやすい鳥です。
だいたい嘴(くちばし)の長いシギ類の嘴は下に向かってカーブしているのに
このシギの嘴は端の方だけ上に向かって反っているからです。
背中に焦げ茶色の羽の部分があってそれが二本の線に見えるのも特徴です。

側のカニはヤマトオサガニ、のつもり。
カニは素早いし泥にまみれているので絵にするのは難しいです。

公園でカニの観察会があるみたいなので、
夏休みの自由研究がまだの人はいかがでしょう。
★2014年8月24日(日) 干潟のカニを調べよう

海辺で遊べる日もありますよ。
★2014年8月29・30・31日(金・土・日) 野鳥公園のうみべであそぶ日

カニやシギのほかの絵
キョウジョシギ
海辺と観察会