カテゴリー別アーカイブ: 本や映画、展覧会、演奏会

笑いとペーソス

ブログランキングに登録中。下のバナーをクリックお願いします。

以前こちらの記事で、ハリウッドのメイクアップ技術のすごさを書きましたが、ついにCG(コンピュータグラフィックス)のオードリー・ヘップバーンの登場です。

話題の動画は↓こちら。
オードリー・ヘプバーンをフルCGで完全再現、イタリアの街で動くとこうなる

すごいですね。そっくり。
最後の上を向くあたりが不自然な以外はほぼパーフェクトです。
驚きの進化ですね。

さて、先の私の記事の前半部分「映画館で見るのが好き」という部分を英語のブログに載せました。
Watching a Movie in a Theater

ところでコメディー映画が好きな私、古いですがビリーワイルダーの作品が大好きです。
今日の記事の表題通りに、笑いとペーソスに溢れている作品ばかり。

「Shall we ダンス?」の監督である周防正行氏がビリー・ワイルダーが好きだと言っているインタビュー記事が読んだ記憶があり、「ああテイストが似ているな」と納得したものです。

ビリー・ワイルダーで一番好きな作品は?と聞かれたら迷わず↓これです。

この「アパートの鍵貸します」は、今やすっかりスピリチュアルおばあさんになったシャーリー・マックレーンがとにかくキュートです。

彼女はこの映画で各種の主演女優賞を総なめにしています。
ヴェネチア国際映画祭 女優賞 受賞
ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) 受賞
英国アカデミー賞 女優賞(国外) 受賞

・・などなど。

ただ1960年の作品ですから、私もリアルタイムでこの作品を見たわけではなく、テレビで見て気に入り、ビデオで繰り返し見て、リバイバルで2回くらい見たでしょうか。

素直に笑え素直に泣ける映画です。

今、巷では「レ・ミゼラブル」が大ヒットしているようです。実はアフレコ(撮影したあとに映像に合わせて音を入れるのが普通)を使わずに俳優がその場で歌っているのを撮影したそうです。
撮影現場に行った事がないからわからないけど、でも、音響技術はとても高度なものを要求されるのではないでしょうか。
そしてもちろん俳優も。

ケーブルテレビで撮影中の様子を流していたのですが、俳優の実力のすごさに驚愕。並でない美男美女が歌もうたえて、ただただすごいなあ、と見ていました。
CGでオードリー・ヘップバーンが作れても、人間の生の力や魅力は変わらず人々を引きつけるのでしょう。

最後に、私の映画のパンフレットの箱から出て来たコメディー系の映画2本も紹介しておきます。
土曜日の夜の疲れないホームシアターにはぴったりではないでしょうか。

↓こちらにはローワン・ワトキンソンも出てきますよ〜。

ではでは〜。

下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。

ルーブル美術館の秘密

今日は「パリ・ルーヴル美術館の秘密」というドキュメンタリー映画のご紹介です。
DVDが出ているようですが、中古しかないみたいなのが残念ですね。

ヨーロッパ文化の(そして多分政治や外交にも通じる)強さと精神の厚さの秘密に迫る秀逸なドキュメンタリーです。

絵や芸術に特段の関心がない人でも、面白く見られる映画です。
ただ、中古が高いので、地域の図書館などで借りられると良いですね。

内容は、ルーブル美術館の裏方の取材です。
ルーブル美術館について何かを語るのは不要でしょうが、しかし、美術館がどのように運営されているかは、意外に知られていません。

あの巨大なルーブル美術館の展示室は実は、10キロ以上に渡る裏の廊下の方が長くて、迷路のようになっていて、一万段以上の階段があり、1200人もの人が働いているのだそうです。

ルーブル美術館は昔は宮殿でしたから、裏側があるのは当然ですが、その裏通りにまるで一つの街があるみたいです。

迷路の先の部屋でコツコツと古い絵を修復する人、
裏打ち職人や大理石職人に金メッキ師、
パルテノン神殿の柱のように巻かれた巨大な絵を前にどうやって運ぶか悩む人たち、
実に沢山の絵が立てかけられたり、巻かれて、保存されている倉庫の様子、
巨大な絵を乗せられる工事現場のようなエレベーター、
電気工事の担当者に音響の専門も、
そして夜だけ働く人たち、
消防士、
2800室分の鍵もあるので錠前師もいます。

ルーブル美術館の真の担い手は、モナリザやレンブラントの絵を守るこの専門家集団なのだ、と納得するはずです。

映像がきれいです。そしてほぼ全編で映像が主役です。コメントはほとんど入っていません。
ライトを使わずに撮ったという画像は柔らかです。
夜の場面は、美術館には昼間しか入れないのですから、実際には見ることの出来ない貴重な映像でしょう。夜ですら、監督はライトを当てなかったそうです。

監督のニコラス・フィリベールはドキュメンタリーでは実績がある人ですが、最初に頼まれた仕事の撮影にルーブルに行き、その仕事が終わってもしばらく許可なく撮り続けたというエピソードには驚きですし、許可が降りた後も美術館側から条件や圧力はなかったといいます。最も、ヨーロッパの美術館は基本的にフラッシュさえたかなければ写真撮影OKですし、許可を取れば模写も出来ます。教育機関としての位置づけがしっかりしているのだと思います。(日本だと国立民俗学博物館は写真撮影が出来たはずですが。)

ただ、それでは資金調達などが出来ないので許可を取り、それまでに撮影した画像を編集して企画書を作成して、「アンテンヌ2」と「ラ・セット」の二つのテレビ局から資金が出るようになり、撮影を継続したそうです。

ルーブルは別格としても、振り返って日本の美術館でも同じように運営されているはずです。
それを考えると、「文化の継承」とか「芸術の保存」と簡単に私たちは言うけれど、実はこういう地道な見えない仕事があってはじめて成り立つ言葉なのだと、実感出来る映画です。

「美大」というと作る側の輩出ばかりが脚光を浴びます。でも、こういう地味だけれど特殊な能力を必要とされる仕事にもっと脚光を浴びせていく必要があるでしょう。美術大学や文化庁などもこういう仕事をもっと創出し、広報していってほしいです。

その点、各地の美術館で「指定管理者制度」が取り入れられる事に問題はないでしょうか。ちなみに現在の導入状況はこちらのようで、やはり継続性が重要視される分野なのであまり進んではいないようですが。

ところで、監督のニコラス・フィリベールがパンフレットのインタビュー記事でこう述べています。

「残念ながら、多くの人が未だにドキュメンタリーとは「現実そのもの」で、客観的視点を持つもの、とかたくなに思い込んでいますが、すべての伝達行為が既に解釈行為だという事を忘れています」
と。

ドキュメンタリーだけではないでしょう。テレビも新聞も雑誌も映画もそしてネットも(もちろんこのブログも)、いわゆるメディアに乗った情報には「伝える側」の意図があるのです。
常にメディアに接するときはこの意識を持ちたいものだと思いました。

では。

下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。

飛ぶと、……あら不思議

ブログランキングに登録中。下のバナーをクリックお願いします。

おかげさまで、野鳥部門で上位です。ご協力ありがとうございます。

鳥は本当に不思議です。

止まっているときと羽を広げているときで、驚くほど印象の違う鳥がいるのです。

例えば、
カワラヒワ

羽をたたんでいると、こんな感じ。
全体にグレーと茶色で少し黄色が見えます。
20130215

ところが飛ぶと、




こうなるのです。
20130215b

いま私の欲しい本。。

どれもいいお値段。
どれも電子書籍というわけにはいかないものばかり。

こうした鳥の形態の不思議さをぎゅっと詰めたような2冊です。
このような図鑑を作る人たちの熱意と思いには本当に深い尊敬の念を抱かずにいられません。

上のスケッチで止まり木に止まっている姿のデッサンは、我孫子の鳥の博物館へ行って描いたものです。事前に申し込めば、貴重な剥製を描かせてくれます。
こういう素晴らしい博物館なのに、鳥の博物館は平日に行くとほとんど貸し切り状態。せっかくの施設がもったいないなあ、と行く度に思います。

また、最近は「剥製に触れないで下さい」というお約束を守らない人が増えているそうで、描ける日時が限られて来ています。こういう話は本当に残念です。

博物館の目の前にある手賀沼は水鳥の飛来地。オオバンは我孫子市の鳥。ユーモラスで可愛いんですよ〜。カワセミも良く見かけます。

飛んでいる姿のエスキースは、鳥の羽の仕組みから図鑑などの写真を参考に描いてみたものです。真ん中の羽を広げているのは下から見たもの。少しは飛んでいる感じになったでしょうか。

夏の終わりに、花を落したヒマワリの種をついばむカワラヒワの黄色い羽が、まるで花盛りのヒマワリの花の精の生まれ変わりのようです。あの強烈な印象は忘れられません。

「黄色」という他の色の性質を変えてしまう強い色だからかもしれません。

では。

下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。

日本美術応援団

ブログランキングに登録中。下のバナーをクリックお願いします。

風が強くて寒い一日でしたが、庭のふきのとうは頭のてっぺんを見せ始めました。

私はこのところ夜な夜な英語のサイト作りです。
サイト構造は日本語のサイトをそのままコピーしたので、それ程大変ではないけれど、英語の文字のフォントが日本語の半分くらいの大きさになるので、文字設定にかなり苦労しました。

後はテキストをネイティブに見てもらわなければなりません。

eigo

さて、

今日は「日本美術応援団」という題の本のご紹介です。
あの赤瀬川原平氏が、縦横無尽に日本美術を語ります。
表紙は、やっぱり南伸坊氏。

この本では、北斎から青木繁まで、日本美術の代表的な作家を取り上げ独特の視点から対話が繰り広げられます。赤瀬川氏の対談相手は明治学院大学教授の山下裕二氏。

この本で取り上げられている円空は、現在東京国立博物館で展覧会が開かれています。

東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」

この本を読んでから、東博に行ってみるというのはいかがでしょうか。
あ、もしかすると見に行った後に読む方が面白いかも。先入観を持たずに作品に接してみて、赤瀬川原平が何を言っているかのか評論する、というのも面白いかも。

赤瀬川原平氏とは違う観点から、絵の見方のヒントになるのがこの「美学への招待」。

佐々木健一氏は美学者でアカデミーの人ですが、美学の普及に努めておられていて、この本はすらっと読めます。例えば、なぜ映画は頻繁に新作が作られるのか、など面白い視点から説いてくれます。読み終わると絵の見方や芸術に対する見方が難しい話ではなくなるかも。

ネットでもこんな面白い記事が読めますよ。
現代美術は謎だ、という人はぜひ読んでみて下さい。

そうそう、いま、六本木の森美術館では、現代美術の奇才「会田誠展/天才でごめんなさい」が開かれています。

まさに奇才で、いろいろ物議をかもしていますが、ぜひご自分の目で実物を見て下さい。
私も見に行ったら、ご報告します。

ではでは〜。

下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。

ハリウッドのメイクアップ技術

ブログランキングに登録中。下のバナーをクリックお願いします。

おかげさまで、ランキングからの訪問者が増えているようです。ありがとうございます。d(^_^o)

さて……、

いつからか映画を見に行くとかならずパンフレットを買うようになりました。多分記録することが好きな性格と関係あるような気がしますし、結構忘れっぽいから、思い出すために買っているのかも。

映画は私にとってはストレス発散。必ず劇場に行って真っ暗な中で主人公と同化して見ます。2時間全ての情報を遮断し、主人公になりきって泣いたり笑ったりして出てくると、気分もスッキリ。ところが同化しすぎて、意外に内容を覚えていないんです。特に笑えるコメディーが好き。大笑いして出てくると、ほんとに頭の中の記憶もスッキリ!

で、段ボール箱に入っている買ったパンフレットを取り出したら、一番上に「ヘアスプレー Hairspray (2007)」が、3番目くらいに「TAXI NY Taxi (2004)」のパンフレットがあって、どちらもクイーン・ラティファが出ていたので、紹介することにしてみました。つまりあまり深い意味はないですが、でも好きな女優さんの一人です。

私が描く女性は日本女性の繊細さが前面に出ていますが、クイーン・ラティファのようなエネルギッシュな女性もかいてみたいですね。

基本、映画は笑えるコメディーが好きなので、どちらも2時間笑えることは保証します。今はネットを見れば映画評もあちこちにあるので、参考にしてみてください。

ところで、半分ネタバレですが……

「へアスプレイ」では「サタデーナイトフィーバー」のジョン・トラボルタが女装して主人公のママ役を演じています。トラボルタも上手いのですが、ハリウッドのメイクアップ技術のすごさが堪能出来ます。顔だけじゃないんですね。体つきまで作ってしまう。あまりに自然で、言われないと気がつかないくらい。

で、百聞は一見にしかず。
描いてみました。



20130208




あれ、クイーン・ラティファを描こうと思っていたんだけど……。

そういえば、トラボルタと夫婦をやるのが「ディア・ハンター」の怪優クリストファー・ウォーケン。2人のラブシーンも見ものです。(笑)

また、人気テレビドラマだった「アリーマイラブ」でおなじみのジェームス・マーデンや、「ホワイトハウス」で報道官をやっていたアリソン・ジャネイもはまり役で出ています。探してみて下さい。

なお、今週末は観察会や鳥の巣箱作りに参加するかもしれないので、その時はブログのアップは絵が中心になるかと思いますが、ぜひ、覗きに来て下さいませ。(=^ェ^=)

ではでは。

下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。

本の紹介 里山とか哲学とか

このブログの目的の2番目に、
②読んだ本や見た映画を紹介し、本やパンフレットの現物は片付けるため。
としました。

昔の方が現在より遥かに読書量は多いので、昔読んだ本を紹介する事が多くなるかもしれません。

ですが、やはり最初に紹介するのは、私が昨年の夏に表紙の絵を描いたこの本ですね。(笑)

著者は西洋中世哲学が専門の八木雄二さん。ドゥンス・スコトゥス(1266?〜1308)という舌を噛みそうな名前の哲学者の研究をされているのですが、里山復元の活動を長く続けておられ、鳥にも詳しく200種類の鳥が分かるそうです。

本の内容は、「ボランティアによる里山ナショナルトラスト運動」とも呼べるユニークな概念です。
「里山」は日本が世界に誇れる持続可能なシステムです。この古くて新しい概念「里山」は、例えば宮崎駿さんの作品を見ても色濃く反映されていると思います。

表紙の原画はこちらから見て下さいね。

それから、宮崎駿さんが「もののけ姫」の構想を練る時、屋久島の森のロケハンで実際にスケッチした場所がこちらから見て頂けますので是非見て下さい。この森の話は、また別の機会に。

あ、さすがにこの本は処分しません。(爆)

ところで、八木さんはご専門の中世哲学では「天使はなぜ堕落するのか」という、西洋中世哲学入門ともいうべき妙に色っぽい題名のご本も書かれていて、これがかなり知的に刺激的な一冊なのです。

私たちは中世というと暗黒とか魔女刈りのイメージがあります。一番分かりやすいイメージは1986年に製作された映画「薔薇の名前」やフランスの世界遺産「モンサンミッシェル」かも。

ところがどうやら、その中世を理解する事は現代を理解する事でかなり重要だ、という事をこの本は私に教えてくれました。そしてヨーロッパでも中世の研究者は多くはなかったのだけれど、いま、理解を深めるべきだという事で研究者が増えているそうです。

振り返ってみれば、私たち日本人の現代生活ですら西洋的キリスト教的価値の中から生まれたものに囲まれています。だけど私たちはその価値の中核の精神には「宗教なんて」と、ほとんど興味を持たずに上澄みだけをすくって利用しているように思えます。

八木さんがすごいのは、このご専門の西洋哲学とボランティアで続けてこられた日本が誇る里山復元活動での経験を生かして独自の哲学「生態系存在論」を打ち立てたところです。

これは3部作で大部ですし、奥が深〜いので、「天使はなぜ堕落するのか」もそうですが、別の機会にご紹介することになるでしょうが、「人間はなぜ生まれたのか」という命題にかなり興味深い論を展開していて、多くの方に手に取って欲しい本です。

写真は第2部ですが、3部作全部は無理だという方には、第3部生態系倫理学の構築―生きることの「あるべき」かたち
だけでもお勧めします。
私は「目から鱗」でした。

では、今日はこのへんで。

あ、明日はお休みの予定です。

ブログランキングに登録しました。下の人気ブログランキングへをクリックして頂けると新しい方に来て頂く機会が増えます。よろしくお願いします。