カテゴリー別アーカイブ: わかりやすい絵の話

だまし絵を楽しむエイプリルフール

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だまし絵といえばエッシャーです。

私の持っている本は,中古で出ているものが多かったりしますが。(笑)

こちらはエッシャーの本ばかり。
エッシャーの本
エッシャー

私はどちらかというと、幾何学模様より、下の「Rapitile」のような絵画的なものの方が好きです。

rapitile

実は、エッシャー風のだまし絵の描き方を教えてくれる本もあります。
著者は数学者です。

高尾山駅の近くには、トリックアートの美術館もあります。

こちらは歌川国芳のだまし絵風の人の顔。
「みかけはこはいがとんだいいひとだ」(見かけは怖いがトンだ良い人だ)という題です。
題も洒落ていますね。

20130401b

で、私も挑戦。
子猫のドロステ効果
を進化させてみました。

20130401c

多少は絵の中の私が絵の中の子猫を描いている感じになりましたでしょうか?

元の絵はこちら。鉛筆で描いたものにフォトショで加工。
20130401b

エッシャーは木版画やリトグラフで作品を作っています。
ひと彫りひと彫り刻み込んでいるのです。

エッシャーの作品集をあらためて見て脱帽しています。
エッシャーの作品はだまし絵かもしれませんが、作品としての厚みは嘘でもだまし絵でもありません。

ではでは。

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クールジャパンをチェック

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今、クールジャパン推進会議に注目しています。

クールジャパン 推進会議初会合 日本食など海外発信

 政府は4日夜、アニメ、ゲームをはじめとするコンテンツや日本食など独自文化を海外に売り込む「クールジャパン戦略」の具体策を検討する推進会議の初会合を首相官邸で開いた。

安倍晋三首相のほか、民間から作詞家の秋元康氏、デザイナーのコシノジュンコ氏らが参加。4月までに海外への発信力強化策などを取りまとめる。

首相は1月の日本経済再生本部でクールジャパンを成長戦略の一環に位置付け、官民連携や発信力の強化を関係閣僚に指示していた。これまでアニメのキャラクターが海外でヒットして市場を広げているが、首相は特に日本食を広めて日本食材の海外展開に力を入れる意向だ。

これには私のある原体験が関係しています。

2006年に夫とパリに行ったとき、ベルサイユ宮殿を訪ねました。

いや〜、驚きました。
マリーアントワネットはトイレも風呂もない宮殿で暮らしていたんだ。その後2008年に行ったウィーン郊外のハプスブルグ家のシェーンブルン宮殿には一応風呂やトイレが部屋の後ろにあったけど。

・・・それはともかく。

ベルサイユ宮殿の壁紙がルイヴィトンだったんですねー。(模様はもちろんルイヴィトンじゃないですけど)

これはゴブラン織りであることを後から知るのですが、その時に「ブランド品」って結局フランスやヨーロッパの文化の顔をした経済国家戦略なんだなあ、と思ったわけです。

で、例えば和紙などは日本より海外の方が人気があったりするわけです。
又中国の富裕層に岩手の南部鉄瓶が大人気だったり。
中国富裕層向け南部鉄瓶 奥州の鋳物組合が開発

上の記事で、安倍首相が食べ物の話をしているようですが、2007年にオーロラを見にフィンランドのロヴァニエミに行った時に一緒になったオランダ人とポーランド人のカップルは「週に一度は寿司バーに行く」と言っていました。

ま、首相は知ってか知らずか、今の日本食品は各国で輸入禁止ですけど。
(もちろん放射能の関係で)
なお、農水省の上のページはすぐリンクが切れるので、最新の情報は
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応の「諸外国・地域の規制措置(PDF)」をご覧下さい。

それから、私の英語のホームページで最も訪問されているのが
もののけ姫のページ。

タイトルに「Forest of Princess Mononoke, Path, Sea, River」と入れた効果あり?
20130308

2010年に屋久島に行った時、ウィーンからの来た男女6人組と宿で一緒になり、なぜ屋久島に来たのか尋ねたところ、新聞でもののけ姫の記事を見たから、ということでした。

映画とかアニメとかすごい力を持っているのです。

日本文化は日本人が思っている以上に海外で注目されています。でもその背景には、深く日本文化や伝統との関わりがあるわけで、単にアニメや漫画が人気だからというわけではない気がします。

会議のメンバーの秋元康に対しては懐疑的な声もありますし、私も彼の起用は短絡的な気がします。AKB48は海外から見れば下手な素人の集まりですからね。
クールジャパン 秋元康のクールな戦術に不安

いずれにせよ、クールジャパン推進会議はチェックしていきたいです。

今日も3月11日を中心に行われる行動についてのお知らせを載せておきます。
“Every action counts.” です!

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備前の器

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今日の素描は備前の花瓶です。

良い器は心を鎮めてくれます。

20130304

ある陶芸家の逸話が好きです。

その陶芸家が人前で器に筆で模様をサッサと描いて仕上げたのを見た人が
「30秒で出来るんですね」
と言ったら、

「60年と30秒です」
と答えたという話。

話としては出来すぎていますが、でも、こういう凛とした話しは好きです。

この週末は、凛とした姿勢で改めてこの二年の社会の動きを振り返る機会にしたいと思います。

英語に
“Every action counts.”
という素敵な言葉があります。
「すべての行動に価値がある」という意味です。

一方日本語には「しかたがない」という言い方があります。
実は英語のwikipediaにこの言葉がのっている事をご存知でしょうか。

“it cannot be helped” or “nothing can be done about it”と説明されています。

こうやって英語で訳してみると、ふだんから何気なく使っていますけど「しかたがない」と言う言葉が「凛」としていない言葉に思えてきます。

今日も3月11日を中心に行われる行動についてのお知らせを載せておきます。
“Every action counts.” です!

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紐の模様の話

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年明けから大忙しで、家の中がかなり乱雑になっていました。今日は台所の換気扇やあちこち気になっているところをピカピカにしました。

さて、今日は「模様のはなし」について。

模様の話は奥が深〜いのですが、今日は特に紐の模様を少し紹介します。紐の模様は昔から世界各地で考えられていて、とてもきれいなのだけれど、実際作ってみると、かなり大変です。
編み物やレースは3次元の紐の模様。それを二次元に再現するのは簡単そうで、すごく複雑。頭の体操って感じなのです。

でも昔の人はやっぱりやっていて、それがすごい。並じゃない。

例えばこれはレオナルドダビンチが考えたとされる紐の薔薇模様。

下のは私が模写したケルトの紐の模様。たった二本の紐を組み合わせるだけ、しかも模写なのに頭がこんがらがりそうでした。レオナルドの薔薇模様なんて生まれ変わっても出来ないかも。

rope2

そして、紐の結び目を描いてみました。これは一本。靴ひもの結び目ですね。これも簡単そうで四苦八苦しました。

rope

実は、安野光雅さんが「絵の教室」という本で、この結び目の事を取り上げていて、この本によると先のレオナルドの模様はデューラーのレース模様、と書かれています。どちらが正しいのか、機会があったら調べてみたいと思いますが、この安野さんの本は、いろんな絵に関する思い込みや実験に挑戦した面白い本です。
おすすめです。

そうそう、芹沢銈介の縄のれん模様ののれんも忘れちゃいけませんでした。

さて、最後に模様とは関係ないですけど、もうすぐ3月11日です。もう二年になります。

3月10日各地で集まりが開かれます。「水に流す」のは日本人の知恵ですが、水に流してはいけない事もあるのだと思います。
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ルーブル美術館の秘密

今日は「パリ・ルーヴル美術館の秘密」というドキュメンタリー映画のご紹介です。
DVDが出ているようですが、中古しかないみたいなのが残念ですね。

ヨーロッパ文化の(そして多分政治や外交にも通じる)強さと精神の厚さの秘密に迫る秀逸なドキュメンタリーです。

絵や芸術に特段の関心がない人でも、面白く見られる映画です。
ただ、中古が高いので、地域の図書館などで借りられると良いですね。

内容は、ルーブル美術館の裏方の取材です。
ルーブル美術館について何かを語るのは不要でしょうが、しかし、美術館がどのように運営されているかは、意外に知られていません。

あの巨大なルーブル美術館の展示室は実は、10キロ以上に渡る裏の廊下の方が長くて、迷路のようになっていて、一万段以上の階段があり、1200人もの人が働いているのだそうです。

ルーブル美術館は昔は宮殿でしたから、裏側があるのは当然ですが、その裏通りにまるで一つの街があるみたいです。

迷路の先の部屋でコツコツと古い絵を修復する人、
裏打ち職人や大理石職人に金メッキ師、
パルテノン神殿の柱のように巻かれた巨大な絵を前にどうやって運ぶか悩む人たち、
実に沢山の絵が立てかけられたり、巻かれて、保存されている倉庫の様子、
巨大な絵を乗せられる工事現場のようなエレベーター、
電気工事の担当者に音響の専門も、
そして夜だけ働く人たち、
消防士、
2800室分の鍵もあるので錠前師もいます。

ルーブル美術館の真の担い手は、モナリザやレンブラントの絵を守るこの専門家集団なのだ、と納得するはずです。

映像がきれいです。そしてほぼ全編で映像が主役です。コメントはほとんど入っていません。
ライトを使わずに撮ったという画像は柔らかです。
夜の場面は、美術館には昼間しか入れないのですから、実際には見ることの出来ない貴重な映像でしょう。夜ですら、監督はライトを当てなかったそうです。

監督のニコラス・フィリベールはドキュメンタリーでは実績がある人ですが、最初に頼まれた仕事の撮影にルーブルに行き、その仕事が終わってもしばらく許可なく撮り続けたというエピソードには驚きですし、許可が降りた後も美術館側から条件や圧力はなかったといいます。最も、ヨーロッパの美術館は基本的にフラッシュさえたかなければ写真撮影OKですし、許可を取れば模写も出来ます。教育機関としての位置づけがしっかりしているのだと思います。(日本だと国立民俗学博物館は写真撮影が出来たはずですが。)

ただ、それでは資金調達などが出来ないので許可を取り、それまでに撮影した画像を編集して企画書を作成して、「アンテンヌ2」と「ラ・セット」の二つのテレビ局から資金が出るようになり、撮影を継続したそうです。

ルーブルは別格としても、振り返って日本の美術館でも同じように運営されているはずです。
それを考えると、「文化の継承」とか「芸術の保存」と簡単に私たちは言うけれど、実はこういう地道な見えない仕事があってはじめて成り立つ言葉なのだと、実感出来る映画です。

「美大」というと作る側の輩出ばかりが脚光を浴びます。でも、こういう地味だけれど特殊な能力を必要とされる仕事にもっと脚光を浴びせていく必要があるでしょう。美術大学や文化庁などもこういう仕事をもっと創出し、広報していってほしいです。

その点、各地の美術館で「指定管理者制度」が取り入れられる事に問題はないでしょうか。ちなみに現在の導入状況はこちらのようで、やはり継続性が重要視される分野なのであまり進んではいないようですが。

ところで、監督のニコラス・フィリベールがパンフレットのインタビュー記事でこう述べています。

「残念ながら、多くの人が未だにドキュメンタリーとは「現実そのもの」で、客観的視点を持つもの、とかたくなに思い込んでいますが、すべての伝達行為が既に解釈行為だという事を忘れています」
と。

ドキュメンタリーだけではないでしょう。テレビも新聞も雑誌も映画もそしてネットも(もちろんこのブログも)、いわゆるメディアに乗った情報には「伝える側」の意図があるのです。
常にメディアに接するときはこの意識を持ちたいものだと思いました。

では。

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意識と無意識、線と塊

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わかりやすい絵の話、というカテゴリーを作り、絵について表現について書いていきます。自分の考えをまとめる意味もありますので、少しずつ言っている内容が変化していくかもしれません。

トップページの「やさしい絵画論」にもリンクさせていきます。

芸術に技術というのが重要であることはこちらの「見えるものと 見えないものと」という記事で触れました。

ここで書いたように、絵だけは技術がなくても通用しそうです。でも、それは事実でしょうか?
確かに、子どもの描いた絵に感動することがあるのですが、その絵には「意識」が入っていません。芸術が人間の営みである「意思」の歴史の中で捉えられる時、それは科学や思想と同じ捉えられ方をします。「意思」の無い科学や思想が無いのと同じに、意思の無い絵は芸術とは呼びません。つまり、子どもの絵は「芸術」ではないわけです。

しかし、私たちは心を揺さぶられることがある。なぜか。それは子が持つ無意識さが捉えた絵が、意識ばかりになった我々大人に隠れている根源的な感覚を呼び起こすからかもしれません。その子供たちの「無邪気さ」や「無垢さ」に私たちは感動するのでしょう。一方でその「無邪気さ」がとても残酷な行為いを引き起こす事もあります。そして、子どもの無邪気な絵というのは、一時期だけのことです。「子ども」という未発達がゆえの人間の本質を隠さない存在のみが捉えられる一瞬があるのだと思います。

ピカソなどはそれに気づいて作品に応用しているのです。

私は時々、人物クロッキーデッサンなどで、一ポーズ3分でモデルさんにお願いして、意識を消して手になりきる練習をします。3分で目の前の形を捉えるとしたら、考えている間など無いわけです。

そんな人物デッサン、特にクロッキーではさまざまな技法も試すことにします。
womantec

この写真の場合、描写時間は3分から20分まで。

技法の説明をすると、左上から時計回りに

チャコール鉛筆とクレヨン
鉛筆と水彩
色鉛筆
マーカー

womentec2

これはパステルだけでボリュームを出していて、西洋的な物の見方、という感じです。
西洋的な物の見方、とわざわざ言ったのには理由があります。

我が葛飾北斎は「北斎漫画」といって十五編の線描画集を残しました。
そしてそれらが、印象派のモネやゴーギャンに影響を与えた話はあまりにも有名です。

パソコンの進化でバーチャルリアリティが深化しています。その進歩は目覚ましいものがあるけど、立体的に見え本物らしいことだけが「絵」に求められることは淋しい気がします。やはり人間が3次元を切り取って2次元に表現する基本は「線」ではないか、と考えるのです。そして真にデッサン力がある、とすればそれは、線で描いても表現出来るはずなのです。

この「人物デッサンのすべて」という本はとても良い本ですが、基本的には「塊」という概念が中心です。

葛飾北斎がこういうデッサンの指南書を書いたら、どんなものになるだろう、というのはすごく興味深いことです。

日本で漫画が隆盛なのは実は、北斎翁の線描画がDNAとして連綿と続いているからかもしれません。

ただ、今の漫画はプロトタイプに落ちいってるものが多いのが残念。ダイヤモンドのような輝きを持つ大きな目と服からはみ出しそうな乳房、が闊歩しすぎてます。観察せずに描いているからでしょう。

そして最初の話に戻ると、「人と同じ」が重要な日本社会では、無意識が無くなった子供たちも似たようなアニメや漫画顔の絵ばかりを描くようになります。これは本当に残念だなあ、と最近思います。

だって、本当は子供たちの才能はこんなに豊か。「Doodle 4 Google 2012」子供たちの才能に脱帽、乾杯。

せっかく「クールジャパン」と売り出したりするアニメですから、大人ももっと豊かなこどもたちの才能に気づきましょう。そして育てて下さい。

ではでは。

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日本美術応援団

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風が強くて寒い一日でしたが、庭のふきのとうは頭のてっぺんを見せ始めました。

私はこのところ夜な夜な英語のサイト作りです。
サイト構造は日本語のサイトをそのままコピーしたので、それ程大変ではないけれど、英語の文字のフォントが日本語の半分くらいの大きさになるので、文字設定にかなり苦労しました。

後はテキストをネイティブに見てもらわなければなりません。

eigo

さて、

今日は「日本美術応援団」という題の本のご紹介です。
あの赤瀬川原平氏が、縦横無尽に日本美術を語ります。
表紙は、やっぱり南伸坊氏。

この本では、北斎から青木繁まで、日本美術の代表的な作家を取り上げ独特の視点から対話が繰り広げられます。赤瀬川氏の対談相手は明治学院大学教授の山下裕二氏。

この本で取り上げられている円空は、現在東京国立博物館で展覧会が開かれています。

東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」

この本を読んでから、東博に行ってみるというのはいかがでしょうか。
あ、もしかすると見に行った後に読む方が面白いかも。先入観を持たずに作品に接してみて、赤瀬川原平が何を言っているかのか評論する、というのも面白いかも。

赤瀬川原平氏とは違う観点から、絵の見方のヒントになるのがこの「美学への招待」。

佐々木健一氏は美学者でアカデミーの人ですが、美学の普及に努めておられていて、この本はすらっと読めます。例えば、なぜ映画は頻繁に新作が作られるのか、など面白い視点から説いてくれます。読み終わると絵の見方や芸術に対する見方が難しい話ではなくなるかも。

ネットでもこんな面白い記事が読めますよ。
現代美術は謎だ、という人はぜひ読んでみて下さい。

そうそう、いま、六本木の森美術館では、現代美術の奇才「会田誠展/天才でごめんなさい」が開かれています。

まさに奇才で、いろいろ物議をかもしていますが、ぜひご自分の目で実物を見て下さい。
私も見に行ったら、ご報告します。

ではでは〜。

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