カテゴリー別アーカイブ: アトリエ日記

夏休み観察日記 ~蝉の羽化~

今年は、立秋が過ぎると急に夜風が涼しくなりました。
この2、3年の夏の暑さは異常でしたから
少しホッとします。
そして、夜には虫の音もちらほら聞こえ始めました。

昼間はセミの声でうるさいほどで、
下を見て歩いていると、セミの抜け殻とお役目の済んだ死骸が
あちこちに落ちています。
セミの死骸は、蟻さんがすぐお掃除にかかりますから、
新鮮なものを見つけた時には
拾って来てモデルになってもらいます。

お散歩をしていると
虫かごと網を持った親子にもよく会います。

先日は蝉の羽化を見ました。
多分、アブラゼミだったと思います。
あまりにゆっくりと殻から出て来るので
生きているのか心配になるほどでした。
しかし、目だけは外の世界をしっかりと見据えて黒々していました。

20140818cicada

この絵の一時間後くらいに再度見た時には
セミはもう殻から出て羽を乾かしていました。
その羽はまだ白く絹のように透き通っていました。

 
 

海辺と観察会

夏真っ盛り。
そして夏休みも、真っ盛り。

今日は海辺での観察会などのご案内です。

★2014年8月24日(日) 干潟のカニを調べよう
★2014年8月29・30・31日(金・土・日) 野鳥公園のうみべであそぶ日

20140807
この絵は、4月29日の干潟の観察会の様子。
午前10時58分に11センチという大干潮の日でした。

上記の案内の日の潮の満ち引きはどうなっているでしょう。

気象庁/潮位表のページ

8月24日は午前10時23分に41センチですね。

カニは、砂の中に潜ったり、岩の陰に隠れていて、
身近で観察するのはなかなか難しいです。

しかも横歩きなのに、その素早いこと!
ササササッー、って移動します。

カクベンケイガニ、クロベンケイガニ、コメツキガニなどの他に
ボラが跳ねていたり、シギ類も見られるかもしれません。

鳥を描けるようになりたくて、野鳥公園に行くようになりましたが、
様々な自然を楽しんでいます。
自然は多様ですね〜。

実は4月の観察会の時には
干潟の浄化力の実証実験もしたのです。
牡蠣類を入れた水槽と何も入れずに海水だけを入れた水槽を
放置して2時間。。。

牡蠣を入れた水槽は透き通るようにきれいになりました。
干潟の実力はたいしたものなのです。

暑中お見舞い申し上げます

20140730暑中お見舞い

この暑中見舞いの画像は
出典を明らかにして下されば、
自由に使って頂いて結構です。

私はボサノバが大好きです。
あの風にのるような気分、
光に溢れた空気感。
アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトは
まさに天才だったな、と思います。
ボサノバが弾けるようになりたくて
ギターも練習しました。

暑い国の蒸すような緑の草むらの中を
ほおを撫でるように風が吹き抜けて行く。
そんなイメージでこの絵は描きました。
シダの一種タマシダも配してみました。

シダの宝庫、アマゾンにも行ってみたいですねえ。

今日で7月も終わり。
あと10日もしないで暦の上では秋になります。
ふと気がつくと、日が短くなっていたり。
でも暑い日はまだまだ続きます。
スタミナ付けて乗り切りましょう。

今年の夏は2度と来ない

当たり前の話しですが、
2014年の夏は、私の人生でもあなたの人生でも
今年一回限りです。
一生に一度の夏がやってきます。

といっても子どもや学生のころは
夏休みは毎年やってくるし、
仕事をするようになっても、
お盆休みは年中行事でした。

やはり、ある程度年を取り、人生の残りが視野に入るようになると
夏休みひとつとっても
「これが最後かも……」
という思いが真実味を帯びて来るようになるものなのでしょう。

しかし、それは悪いことではなくて
「来年はないかもしれない」と思うから
特に311以降は、季節の歩みとともにせっせとスケッチに行ったわけだし、
小品の作品をブログにアップすることも出来たのです。
昨年などは、かんかん照りの8月にすら
野外のデッサンに出かけています。

この「今しかない」と思うのは
相当強力な自己暗示だと思いますし、
また、かなり高い効果が得られます。

私は「今しかない」と思って
7月の個展を4月に決めました。
思わぬ怪我をしたこともあり大変だったけど、
「今しかない」と思わなければ出来なかったでしょう。

8月が終わると、秋は足早です。
今年も残り4ヶ月となります。

今年限りの2014年の夏。
「今」を有効に使いましょう。

鳥の繋がり、人の繋がり

個展もあと二日。

今回は、小さい作品ですが鳥の絵をいくつか展示しています。
アオサギ
キンクロハジロ
ホシハジロ
ハクセキレイ
オオヨシキリ
ノスリ
カワウ
などです。

さて、
準備ではあたふたとスケジュールをこなして
なんとか搬入を終わらせると
会期の間は、訪ねて下さる人を待つ事が仕事になります。

前半戦で、画廊にあった一冊の本を
読んでしまいました。

実はこの本の訳者の松浦さんが、
今回お借りしている画廊のオーナーなのです。

本の主人公のご両親は、傷ついた野性の動物たちを治して
再び野性に戻す保護センターをボランティアでやっています。

ある時一羽のモリフクロウが両親の元に預けられますが、
それが野性を残したまま人になついてしまい
数々の騒動を引き起こすのです。
それが前半の「モリフクロウのボズ」の話しです。

お客さんがお茶を飲んでいると
カーテンレールの上に飾ってある剥製だと思っていたボズが
突然飛んで来たので、お客さんがひっくり返る話し。
その人は2度と家に来なくなったとか。
ボズが主人公の肩に乗って野山を自転車で走ったり。

一方で、
ボズはテリトリーを犯したと感じた他のモリフクロウへは容赦ない攻撃を加えます。
野性がしっかり残ったままなのです。

そのあたりの著者の描写が的確で
また岩本久則さんの挿絵がとても暖かく
時には笑いながら、時にはしみじみしながら
接客の合間に二日で読んでしまいました。

ちょっと考えさせられたのは、
ナショナルトラスト運動の発祥の地であるイギリスでも
「野生動物を野生に返す」意味が多くの人に理解されていないという事。

珍しい動物は人に見せるべきだと
押しかける人や
こんな危険な動物は殺すべきだと言う人たち等々。

主人公の両親が実に巧みに人々との摩擦をかわす様子は
野性の動物や鳥への愛に溢れています。

福音館書店から出版されている子ども向けの本になっていますが
大人にも一押しでお薦めです。

ところで、挿絵を描かれている岩本久則さんは
今回私がテーマにしている「東京港野鳥公園」とも
繋がりをお持ちであることが分かりました。

鳥の繋がりが、人の繋がりであることを感じています。
実は私がこの画廊を知ったのも
ツイッターで鳥の絵を描かれている方からでした。

ところで、実はネットにもこのような「鳥と人の話し」の
実体験を書いている方がいるのです。
究極の手乗り野鳥?コムギさん
タイに移住した方の実体験ですが
ハタオリドリのヒナを助けて野性に戻す話しで
ボズの場合と共通点があります。
以前「ハタオリドリ」で検索して見つけたサイトです。
こちらの話しも可愛いです。

よろしければ、画廊に私の鳥の絵を見に来て下さい。
お待ちしています。

会期 2014年7月16日(水)から21日(月・祝)
   11:00~19:00 (最終日は17:00まで)   
場所 原宿 積雲画廊

実物が持つチカラ

タケノコ

タケノコ

個展まであと一ヶ月になりました。
ぜひ,実物の持つ力を見に来て下さい。

いま私たちは歴史上、空前絶後の量の創作物に囲まれて暮らしています。
その創作物は意識するしないにかかわらず、
ほとんどが複製です。

雑誌の広告から、美術雑誌の作品の写真、
クマモンのようなキャラクター、
絵師と呼ばれる超絶級のイラストレーターの作品が
ネットに、紙媒体に、街に溢れています。

古典で言えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」を知らない人は
いないはずですが、ルーブル美術館に行ったことのない人は本物を見たことがありません。

例えば、自分の部屋に絵が欲しいなと思った時
好きな有名な画家の作品の写真を額に入れて飾るだけでも雰囲気が出ます。
だとしたら、世界に一枚しかない本物を飾るのは
もっとステキなことではないでしょうか?

たとえそれが無名の作家のものでも、
あなた自身が気に入って買ったものであれば、
値千金です。
やはり本物には、複製にない存在感というものがあるのです。
イタズラ描きのような作品にすら、作者の息づかいがこもります。
これはスキャンや写真のデジタル画像では再現しにくいものです。

デジタル画像を印刷したものをジクレー版画、と言います。
3Dプリンターも精巧になって来たので、
そのうちマテリアル感なども出るようになるかもしれません。
その時は、データでやり取りするのでしょうか?

といってもまだまだ、そこまでには至ってないので、
「世界でただ一枚の作品」はその輝きを失いません。
もし、私の絵がちょっとでも気になったら、
ぜひ気軽にギャラリーに見に来て頂きたいと思います。

そのために場所は原宿駅竹下通り口目の前、
という好条件のギャラリー。
しかも、土曜日曜も開いています。
今回は月曜日が海の日で連休だと言うのも私にとってはラッキーです。
原宿積雲画廊

ブログでご紹介する以外の作品ももちろんあるので
掘り出し物があるかも、です。

さて、作品は40点くらいにのぼりますが、
その中には、東京港野鳥公園で自然保全や里山保全の活動を続けるグループ
「東京港グリーンボランティア」の出している「コアジサシ」という機関紙
の表紙があります。
これは2011年の12月から手がけています。

2009年に会のチラシをお手伝いして以来のご縁で
私から申し出て描いています。
一番の動機は様々な鳥を描けるようになりたいからでした。
そして、定期的に人様に見てもらうことがとても重要だと思ったからです。

絵も文章も、見てもらってナンボ、読んでもらってナンボ、です。
ひらすら作品を描き溜める、あるいは書き溜める、という事も必要ですが、
とにかく倦まずたゆまず描いて、見てもらう、
これがすごく大切。

ボランティアグループの機関紙ですから、リソーのリソグラフという印刷機で印刷されます。
モノクロですしオフセットなどのようにキレイには出ませんが
それはそれで、いろいろ工夫して作品を作るモチベーションになります。

作品を手がけるために
自然観察会や畑や稲作りの作業をお手伝いして
いろいろ教えて頂きます。
それも楽しみです。

始めた当時は、知らないことばかりで、
ついて行くのがやっと。
丸二年が過ぎたあたりから全貌が見えて来て
「もうすぐ、キンランが咲くから、デッサンにいこう」
とか
「去年の今頃に、キョウジョシギを見たけど、確認して来よう」
と,野鳥公園に出かけて行きます。

時期が来ると判を押したように咲く花。
毎年南と北をわざわざ往復する鳥たち。
それでいて、ひとつとして同じものがない自然。
つくづく、自然というのは偉大で愛らしいものだと思います。

ぜひそんな私の思いがこもった作品を
見て頂ければ幸いです。

今日の絵は2012年6月号のコアジサシの表紙です。

整形外科と骨接ぎ

今日の一枚
メコン川風景/木炭紙に水彩色鉛筆

メコン川風景/木炭紙に水彩色鉛筆

このところの雨と暑さや湿気は
10年以上前に行ったベトナムを思い起こさせます。

このスケッチは、ヴィン・ロンという街で
ホテルのバルコニーから描いた記憶があります。

この時、メコン川はフェリーで渡ると一時間以上かかっていましたが
一本だけ橋が出来ていて、帰りに通ったときは
ほんの数分でした。

ベトナム航空ではダナン〜成田往復が
20周年のキャンペーンで9500円とか。

そういえばこの時、往路は、何かの手違いで、私たち夫婦はビジネスクラスで
行ったのでした。

さて、
少し日記的記述になります。

個展を二ヶ月後に控えてラストスパート!
と思っていた5月中旬、
生まれて初めて「突き指」をしてしまいました。
きき手の右の人差し指。

うっそ〜、と思いつつ、騙し騙し使っていたら、
悪化。
仕方ないので、とにかく直すことを先決にし、
近くの柔道整復師(いわゆる骨接ぎ)で見てもらい、
右手に添え木を付けての日日が始まりました。

「普段後回しになっている片付けでもしよう」と
軽く考えていたのですが、
想像以上に何も出来ないのです。

普段、頭でものを考えているつもりだったけれど、
手を動かして考えていたんだなあ、
と思いいたります。

カナダの脳外科医・神経生理学者ペンフィールド(1891~1976)が作成した
「ペンフィールドのマップ」でも
「手はもっとも脳を刺激する器官のひとつ」です。

ところがほどなく、次には背中が痛みだします。
一時は呼吸するたびに痛みが走るくらいでした。
思い当たるふしはないのですが、
骨に異常があったらマズいと思い、
整形外科にかかりました。

10枚くらいレントゲンを撮った結果異常なし。
で、整形外科医は
「骨に異常ないですね。
痛み止めと湿布出しておきましょう。」
と処方箋を書いてくれました。

しかし、人間の骨格の周りには靭帯とか筋肉もあるはず。
釈然としないので、
「マッサージとか電気治療とか効きませんか?」
と尋ねると
「合う人は良いけど、かえって悪くなる人もいるし」
という答え。

意外だったけど、整形外科というのは、
骨中心に診る科目なんだなと、理解。

その後いろいろ見たり人と話して
分かって来たことが、
この医療分野は、上手く西洋医学と東洋医学が
棲み分けが出来ているという事。

西洋医学というのは人体を分析し
マニュアル化し、誰にでも当てはまる
レディーメイドの検査や治療が得意。
命に関わることも手がける。

一方、骨接ぎや鍼灸といった古来からの治療は
個人個人に合わせたオーダーメイド治療。
命には関わらないけど、
クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に深く関わる。

私の場合、肩凝りがひどくて度々マッサージなどで凌いでいたのだけれど、
突き指で余儀なくされた休憩で
緊張がほぐれた背中が痛みだしたのだろう、
と自分では思っています。

ようやく指の方も添え木が取れてリハビリに入りました。
遅れに遅れている個展の案内状も作らなければ。

個展の直前の怪我で、痛恨の極みですが、
溜めてきた作品もあり、とにかく治療に専念しようと思いました。

それにブログで見て頂いた作品でも実物のマチエールや支持体は、
見て頂かないと分からない部分もあります。

まさにネットで作品を見るのはレディメイドの作品展。
個展で見て頂くのはオーダーメイドな良さでしょう。

個展のための新作は少なくなるけど、前回から10年ぶりというまさに
表現者としての「リハビリ」。
再出発です。