カテゴリー別アーカイブ: 本や映画、展覧会、演奏会

必見! 村上隆にインスパイアした狩野一信の「五百羅漢図」

今、六本木の森美術館で村上隆の「五百羅漢図」が公開されています。
既に20万人が見たそうです。

その村上隆が着想を得たという、
狩野一信の「五百羅漢図」が、
芝の増上寺宝物展示室で公開されています。

私は森美術館の展示はまだ見ていませんが、
狩野信一の「五百羅漢図」は素晴らしいです。
是非、多くの方に見て頂きたいと思います。

増上寺宝物展示室 「狩野一信の五百羅漢図展」

「狩野一信の五百羅漢図展」展覧会概要
前期:2015年10月7日(水)~12月27日(日)| 第21幅~第40幅展示
後期:2016年1月1日(金)~3月13日(日)| 第41幅~第60幅展示
【開館時間】午前10時~午後4時
【休館日】火曜日 ※火曜日が祝日の場合は開館
【入館料】一般700円(税込)※徳川将軍家墓所拝観共通券1,000円

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1863年に増上寺に奉納されて以来秘蔵されて来た「五百羅漢図」。
東日本大震災後江戸博物館とスミソニアン博物館で公開されました。

狩野一信は、西洋絵画の取り入れにも熱心だったようです。
それを裏付けるかのように、
浮世絵の引目かぎ鼻的なプロトタイプとは異なる、
豊かな表情の表現と、躍動感あるデッサンは、見応えがあります。

また、一幅の絵の中に、弛緩しているところのほとんどない見事な構成力。
その作製過程の分る下絵も展示されています。

ただ、残念なのは、閉館時間が午後4時と早いことです。

でも、時間の都合を付けて見に行く価値はあるので、
是非見に行って下さい。

大本山増上寺の写真をアップしておきます。
↓前門。道路にまたがっているものが保存されています。
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↓山門。三解脱門、と言うようです。
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↓大殿と後ろの東京タワー。
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↓展示室は大殿の地下にあって、大殿の右手から入ります。
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手作りが生活だった頃。中国少数民族衣装展をふりかえる

昨年12月に開かれていた
アツコバルーさんの「中国少数民族衣装展」。
既にご紹介していますが、
あのとき実物の展示の邪魔になるので
撮影したスマホ写真をほとんど公開していませんでした。

纏めてあげておきます。

展覧会は、実物を見てほしいけれど、
あとから振り返る、というのも結構重要。
人間は忘れやすいですからね。

ということもあるけれど、こうやってサイトに上げておけば
自分が見たい時に見られる。
ということに最近気づいてしまったのです。
ほんと、iPhone様々。

さて、ため息がでるような刺繍と藍染め、プリーツの衣装ですが、
ミャオ族、イ族などの衣装はすべて手作りです。

ただ、手作りと言っても、
2、3週間で作るようなものではなく、
時には2年3年かけて作るものです。

女子はある程度手仕事が出来る年齢になると
少しずつ刺繍や縫い方を覚えて
何年か先の記念すべき日に備えて
少しずつ仕事をすすめていくようです。

それにしても、アイロンもないのに、
どうやってこの微細なプリーツを作ったのだろうというのが
私の一番の疑問でした。

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↓そして上の写真のウエストの部分とボタンかがりの細工です。
ボタンをかける輪が左右少し高さを変えているところがすごい。
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袖口は藍染め。絞り染めですね。
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似たようなデザインだけれど少しプリーツ部分が短くコケティッシュで
ジャケットはぐっと民族的でマニッシュ。
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↓「神は細部に宿る」という言葉が思い出されそうなジャケットのへム。
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ジャケットが茶色く光っているのは
豚の血などを刷り込んで防水加工してあるらしい。
サテンのように光って、とてもモダン。

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必ず腰のところで切り替えを作っているプリーツスカートは
ウエストではもたつかず、それでいて膝の辺りではしっかりと空間が確保されて動きやすい。
よく考えられています。

ベストとの組み合わせ。
渦巻き模様は世界共通のパターン。
これも刺繍。気が遠くなりそうです。
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模様入のプリーツ。
布をはいでいるのでしょうね。
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赤い裾が印象的。
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最後に袖の写真を3枚あげておきます。
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洗濯はどうするのか、ともおばさんは疑問に。
中国内陸部は乾燥しているのかもしれません。

本当にいいものを見せて頂いて、
写真まで撮らせて頂いて感謝です。

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ミニ民博のようだった「中国少数民族衣装展」12月25日まで。

渋谷の文化村のお隣のビルでやっている
アツコバルー「中国少数民族衣装展」のご紹介です。

明日までですが、夜九時までやっているので、行けるかもという方のために。

展示の中心は、プリーツと刺繍、そして藍の染色で作られた
女性の衣装が中心です。
まさにミニ民族学博物館の展示のようでした。

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↓隅々まで行き届いた細工。
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↓染め布をあしらった袖口。絞り染めをこういう使い方するとは、なんと素敵なアイデア。
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↓染めてあるかのような、刺繍。
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↓現代風にコラボされた展示も素敵。
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もっとたくさん撮影してきましたけど、
行く楽しみがなくなりますから、このくらいにしておきます。

そして、会場になっているスペースのコンセプト。
大切だと思うので、アツコバルーさんのサイトから引用します。

2011年、日本を襲った大災害の後、アートはもっと社会的な活動にならないといけない、と痛感した。作り手と受け取る側がキャッチボールをして初めて成立する。時代の風を吸い込んで生まれる様々な表現を受け入れる皿、美術館ではできないオルタナティブな空間が必要だ。グラスを片手に深夜までアートを語れるいわばアートのライブハウス。個人の世界と社会が混じるスリリングな場所を作ろうと思った。

ということで、ワンドリンク制になっていて
おしゃべりも出来ます。

↓さて、一方、かなり昔に行った国立民族学博物館の写真。
万博公園の中にあります。後ろに太陽の塔が見えます。
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↓今は写真が撮れる美術館も増えたけど、当時は珍しかったです。
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↓ピカソや岡本太郎のインスピレーションの元となった
プリミティブな造形。
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衣装以外の展示物の方が多いかもしれません。

一日見ていても飽きません。
国立民族学博物館のサイト

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ギリギリになっての展覧会ご紹介が続いていて、冷や汗です。
来年は、早く展覧会や映画を見に行って、
もっとたくさんの人に知ってもらえるようにします!
(これが来年の目標か?笑)

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京都に巡回する春画展、エンボス加工まであってすごい

遅ればせながら、永青文庫の「春画展」を見てきました。

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東京展は明日12月23日で終わりますが、
その後京都に巡回します。

細見美術館
2016年2月6日(土) – 4月10日(日)

描かれた当時は、
春画をもっていると火事にならない、
戦いになった時に怪我しない、
と言った呪術的な意味合いと、
娘さんがお嫁に行く時の教育用という現実的な
意味合いとがあったようです。
キチンとした研究はまだこれからのようですが。

基本的に、展示物の主役モチーフは男女の性器です。
というと身も蓋もないのですが、
むしろそれ以外の見どころが満載。

まず、今回出展されているコレクションの保存状態がとてもいいので、
肉筆は筆使いがよく分かるし、
色がとてもきれい。
極彩色と言っても良いほどに色がふんだんに使われています。

着物の模様は、市松、格子、亀甲、菱、縞(しま)、水玉、唐草など
徹底して描かれています。
背景も、雪をかぶった松、籠に生けられた菊、
屏風の墨絵まで描き込まれていて、
現代絵師もビックリ。

版画に至ってはその超絶技法に唸らされます。
100回くらい刷った極彩版画など手間ひま掛け放題。
しかも、なんと歌川国貞の「金瓶梅」では、
薄墨のきものの裏から模様をエンボス加工してあって
思わず見入ってしまいました。

パソコンでドット線を打つように小紋柄がエンボスされていて、
どうやったのかしら、
木を丸く削って道具をこしらえて打ち込んで行ったのかしら、
などと創造しつつ見ていました。
それにしても芸が細かい。

ここまで手が込んでいると、
価格的にも安くはなかったはずで、
大店の女将さんからの注文、
というのもありえたでしょうね。

猫もよく登場していました。
猫がこたつで寝ていたら、ことが始まり追い出されて
怒っている猫、とか。

人間描写は、なぜか、口は歯や舌まで描いてあるのだけれど、
身体は着物に隠れている部分が多く、表情が引目かぎ鼻なのが、
春画に独特の風味を加えているのでしょう。

また、構図も面白い。
特に鳥居清長の極端に横長の画面にトリミングされた男女の姿。
この清長のシリーズと北斎の「海女と蛸二匹」は、
一度見たら忘れられません。

北斎は、有名な「神奈川沖浪裏」をはじめとして、
そのアイデアがすごいですね。

今回の展覧会。本家の日本で開催されるのは始めて。
大英博物館で開かれて好評だったのに、
開催する美術館が見つからずに主催者は苦労されたようです。
その経緯から、「世界が、先に驚いた」というキャッチフレーズが
生まれたのでしょう。

私が今日見て作品数の多さと春画へかける作家の情熱に驚きましたが、
なんと言っても一番驚いたのは、
その柔らかなフランスパンのバケットみたいな表現でした。
ユーモラスでもありましたね。

ニヤリと脱力系読書のすすめ 南伸坊著「仙人の壷」

この頃つくづくユーモアって大切だな、
って思っています。

311以降日本で一番減っちゃったのがユーモアかもなあ、
と、我が身を振り返っても思うわけ。

そんな風に考えていたとき、
図書館で何気なく見つけた本。
「ユーモアと脱力のすすめ」みたいな本です。

南伸坊著「仙人の壷」。

ユーモアは、まさに
ウソと欺瞞と同調圧力のこの時代にこそ必要かもなあ。

こちらは文庫版。

続編の「李白の月」

次にはこれを借りたい。

内容は、中国に伝わる仙人や妖怪の話しを
伸坊さんの脱力感満杯の漫画で楽しく読ませてくれると言うもの。

でもその楽しさが、不思議な浮遊感というか
雲に乗って連れて行かれるような心地よさ。

起承転結ですらなかったりする話もあるのだけれど、
茫洋とした大陸ならではのおおらかさ。

何しろ最近は、
電車に乗ってもギスギスしているし、
自己責任ではどうしようもない事まで
自己責任の一言で片付けられたり。
あげくに生活保護が叩かれたりとか。

ネットの中もテンション上がりっ放し。
だから、猫画像などや感動小話に癒しを求めたりもするのでしょう。

もちろん、現状の日本は、笑える状況ではない事が続いている。
福島の第一原発は、収束どころか線量が増える日もある。
オリンピックは予算の6倍の費用で一兆円越えるとか、
普通の事業なら撤退でしょう。
日本は、先の大戦を例に出すまでもなく、撤退戦がへたよね。
間違いを認める、ってことが出来ないからなのね。
とても子どもじみていると思う。

ユーモアというのは、大人の知恵だと感じる。
子どもの仕草や、猫がフニュフニュいうのはもちろん可愛い。
でも、人間のユーモアって多分、もっと知的で
にやりとするもの。

真実を見ないのは強くないから、と思っていたけど
むしろ心に弾力がないからかもね。
笑いとペーソスは心の弾力には欠かせない。

そういうユーモアが欲しいなあ、と思ってた時に見つけた一冊。

おすすめです。

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「かさこ塾祭り」のご案内/私のマガジンもご覧頂けます

第一回セルフマガジン大賞にエントリーしました

で書いたように、明日のかさこ塾祭りで、
私のセルフマガジンもご覧頂けますので、
ご興味のある方は、是非手に取ってみて下さい。

場所は秋葉原の昔小学校だったところで
様々なイベントを提供している
「3331 Arts Chiyoda」

明日についてのかさこさんのブログ
無料で遊び倒す!12/13(日)「かさこ塾祭り」を10倍楽しむ方法!

さて、
かさこ塾はその様子をフェイスブックなどで見ているだけでも楽しそう。
見たことも会った事もない人がブログやフェイスブックでつながる様子は
ネット時代のひとつの成果をみるようです。

ネットは集合知です。
かなりの事がネットの検索でスキルも方法も知ることができる。
当然それだけでは足りないものが出て来るから
リアルに出て行ってさらに学ぶ。

プラス、言葉も出来れば、世界中が教材であり、マーケットです。

若い人、頑張ってほしいと思います。

才能があるかないかはやってみないと分らない。
無いと思ったら違う事を始めればいい。
でも、そういう道草って、とても個人的な体験だから
ネットでは分らないのね。

日本社会は失敗に寛容でないので
「恥ずかしい」と言った感情が先立つのは分るけど、
ま、他人様は、あなたが思っているほどあなたの事を気にしているわけではないので
結局「行動したもの勝ち」です。

社会情勢、特に政治情勢が酷いので
不安だとは思うけど、
密かに様々なことにトライして突破口を見つけてほしい。
不安でも、目の前の事をやっても同じ時間だけ過ぎるので。

若い人頑張って、とかさこ塾祭りにはエールを送りたいです。

ところで、
かさこ塾生でもない私が何故セルフマガジン大賞にエントリーしたのか、
というと、単純で、「締切りがないと頑張れないから」です。

いつかやろう、と思っている事は、
ほぼ思っている間には実現しない。

実現させるには、具体的な目標を設定させるのが一番早い。

人によっては自分の中で目標設定して
自分でクリアーする人もいるだろうけど、
多くの人は、必要性が目前にない場合、
グダグダ先延ばしにしがち。

私もその一人だということは自分でよく分かっているので、
私は、目的を実現するのに「他者の目」を、よく使わせてもらいます。

いついつまでにこれをやります、
とブログで宣言するとか、
個展の日時を決定して作品作りに拍車をかける、とか
他者の目線や締切りに、
自分を自分で追い込むわけです。

今年は結局、セルフマガジンを3回改訂して
今の形になりました。

モノをつくるとき、一回で何かを完璧な形にすることは
ほとんど無理。
下手なりに試行錯誤を重ねて作って行って
いろいろ言われて、改訂して行く。

いや、やっぱりやるからには最初からカッコいいものを作りたい、
と言っている人は、永遠に出来ない、と
「民衆を導く自由の女神」で有名な画家ドラクロワは
言っています。

「何事にも完璧を求める画家は、何一つ成し遂げられない」

311以降、制作を再開して、このブログも始めて、
とりあえず年内にそのまとめを一度しておきたいと思った時、
かさこ塾祭りの「第一回セルフマガジン大賞」は
ちょうど良い締切りでした。

来年からは新たな目標を立てて
やって行きたいこともあるので、
セルフマガジンで一区切りつけておきたかった。
そのチャンスを作って下さったかさこさんには感謝です。

関連記事……今年の初めにはこんな事を書いていました。
些細なことが完璧を作るが、完璧は些細なことではない

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星ふるペーブメントの先の小さなギャラリーで

昨日銀座に行ったら、
こんな監視カメラみたいなのがあって、
なんだろう、と思った。
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足元には……、
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プロジェクターなのね。
イルミネーションも様々に工夫されているのですね。

シリア難民のこととか考えちゃうと
贅沢すぎるな、という感じは否めないけどね。

この星ふるペーブメントを歩いて行った先の画廊で
年上の知人、石尾たか司さんの個展が開かれていたので拝見。
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私より一回り以上も年上なのに衰えない創作意欲。
私が美大を出たばかりの頃、
大学は違うのだけれど、
一緒に人物デッサンのグループで描いていました。

この独特の「赤いストローク」は
老舗のギャラリーGKで明日まで。
銀座の貸し画廊で一階にあるというのはアドバンテージです。