カテゴリー別アーカイブ: 社会や時事関連

三角関数より花の名前、と仰る鹿児島県知事。でも植物もフィボナッチ数で溢れている。

鹿児島県知事の「女子にはサインコサインの勉強はいらない」発言。

女子教育「コサイン教えて何になる」 鹿児島知事、撤回

撤回されたようですが、
以下のように発言されたみたいですね。

 鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、27日に開かれた県の総合教育会議で、女性の高校教育のあり方について、「高校でサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」「それよりもう少し社会の事象とか植物の花や草の名前を教えた方がいいのかなあ」と述べていたことが分かった。
(朝日新聞デジタル 2015年8月28日12時00分より引用)

サインコサインは実生活で使う人は男性でも多くないと思います。
あちこちでジェンダーの面からこの問題に言及されていると思うので、
私は、二つの面から記事に残しておきたいと思いました。

1)教育とは勉強方法と頭の訓練だから、役に立つ立たないは重要ではない。
2)数学のみならず、学問は往々にして繋がっていて、他の学問で学んだことが他の学問の役に立つことがおおいにある。

1)については、現在進行中の国民猿化計画「文系潰し」を出すまでもなく、
企業の儲けに繋がらない学問はいらない、
という先進国ではあり得ないような論理がまかり通りそうで
ビックリするのと同時に、深くこの国の役人の頭の中を憂えてしまいます。
国立大人文系を統廃合/文科省が通知 交付金も重点配分

伊藤知事も、ラサール→東大法科→官僚、
というエリ−トコースを歩いて来た方。

口が滑ったとして撤回していますけど、
本音であることは疑いようもないです。

そこには、女性蔑視もあるでしょうが、
役に立たないものは学ぶ必要がない、という国家の中枢にいた人とは思えない
意識が見え隠れします。

学問は、企業の役に立つからやるわけではないです。
もちろん高学歴であれば希望の企業に入れる確率は高まります。
でも、学問や教育は、勉強のやり方やものの見方を教えることでもあると思うのです。

サインコサインは習っても、役立てる仕事につかないにしても、
こういう考え方があるのだ、こういう問題の切り口があるのだ、
と習うことは、頭の訓練になるし、視点も増えることになるわけです。

もし役に立つことしか学ばないとしたら、
イノベーションを起こすことも難しくなるでしょう。
役に立つと分っていることは、現在の事象でしかないからです。
未来に新しいことを作るためには、役に立たない何かも習っておかなければ
未来の引出しが細るばかりです。

学ぶ側にもそれはいえて、
特に目だたない女子生徒が、数学にすごいひらめきを持っているかもしれなくても、
それは、彼女が学ばなければ分らないわけです。
その時、サインコサインを学ばないことは彼女自身の損失でもあるし、
同時に社会的な損失にもなりうるかもしれないのです。

未来は分らない。
エリートというのは、未来も規定したがるのでしょうか。

さて、2)について。
植物をスケッチしていれば、何一つ同じものがないはずなのに、
きちんと法則があることに気付きます。
ヒマワリの種が作る美しい螺旋は、明らかにそこに数学的な法則があることを
教えてくれます。

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆

アルシュ紙に水彩、ガッシュ、色鉛筆


パイナップルの実の外側のデコボコも数学的な線を作りだしています。
20130711

実はケプラーの法則のケプラー(1571〜1630)が、
野の花々の多くは五角形であること、
そして葉の配置にフィボナッチ数が現れることを発見したそうです。(リンクはWIKI)

詳細はリンク先で見てもらうとして、
フィボナッチ数というのは、簡単に言っちゃうと、
1 2 3 5 8 13 21 34 55 89・ ・ ・
これらの数字のように、前二つの数字を足すと自分の数字になる数のことです。

↓参考文献はこちら。「黄金比」(アルケミスト双書)スコット・オルセン著

そして、ヒマワリの種の螺旋の本数も、なんと
隣り合ったフィボナッチ数の組みとして現れるのが普通だそうです。
(上記「黄金比」14ページより)

黄金比に関しては、こんなブログを見つけました。
黄金比はデタラメ?まるで宗教?数学者の残酷な告発

絵を習えば、必ず黄金比については習います。
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザや受胎告知に使われている
とも言います。
ただ、私自身は、黄金比がそれほどきれいな分割割合かどうかは
よく分からないのです。
自分でもあまり使わないし。

ただ、フィボナッチ数に関しては、
(まだ自分が数学的に検証したわけではないけど、)
ヒマワリの種や、松かさの螺旋がフィボナッチなら、
本当にきれいだし、進化の過程で獲得したわけだから
その数学的存在は神秘的ですらあると思います。

数学は数学としてだけ存在するわけではなくて、
私たちが世界を理解するの時のツールでもあるわけですよね。

さて、知事の話しはこれくらいにして、
上記のスコット・オルセン著「黄金比」という本は、
宝石のような一冊です。

実は、アルケミスト双書がすべて魅力的なんです。
ミニアチュールのような繊細さと美しさ。
手元においておくだけでも、見飽きないし、美しい図がいっぱい。
おすすめです。
プレゼントにも喜ばれるかもしれません。

    

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この度、ウェブ制作会社のサイトで、マダムかよこをご紹介頂きました。
株式会社 オフィス友惠様のサイト 

上記制作会社の作製による私の絵が使われたサイトがオープンしました。
NPO法人ストップ・フロン全国連絡会様のサイト

パクリの裏側にある「人材の非流動性」こそが社会をつまらなくしている

パクリ問題以上に問われるべきなのが、
パクリ程度で勤まってしまうようなアートディレクターが生まれる
土壌です。

既に指摘されているように、
かなり狭い人脈の中で、デザイン賞のやり取りをしたり、
大学の教授の椅子が選ばれたりしているようです。

今回たまたま明らかになっただけで、
多分日本社会は、多かれ少なかれ
この、川が澱んで流れなくなった状態が、
いろんな分野で存在していると思われます。

政治だって世襲だらけですし、
佐野研二郎氏個人の問題というより、
日本社会の問題でしょう。

特に本来なら、国民の幸福を第一に考えるべき政治家が
世襲の自分達の祖先の恨みを晴らすような
政治をしているなんて、
先進国とは思えない状態です。

また、これは私の交友範囲での判断ですが、官僚や学者の家庭から
官僚や学者が生まれる確率も高くなっているような感じがします。

家庭環境というのは、人が進路を選ぶ時に多大な影響を及ぼしますから、
親と同じ職業を選ぶ、というのはあり得ることです。

それでも、それを可能にするのは、
親の経済力が関係して来るのは言うまでもないことです

また、面白い人生より、つつがない人生を送ることを良しとする社会では
自分の隠れた能力にチャレンジするより、
目の前の「親」というモデルをトレースする人生の方が
失敗を最小限に抑える選択肢であることも、ある面確かでしょう。

また、必要以上に「血」に重きを置く人も少なからずいて、
「家業」という考え方もあるのかもしれません。
長い繁栄と安定が、人々に冒険を好まなくさせていることもあると思います。

人間社会は安定して来ると、どうしても階層の固定化が起こりやすいのでしょう。
しかし、そうすると、下から這い上がれない人たちの鬱憤やエネルギーがたまり
下克上の世の中になったり、革命が起きるなど
社会が不安定になります。
こういったことが人類史上幾度となく繰り返されて来たわけです。

戦後はある意味、立身出世の時代でもありました。
貧しさから抜け出したくて必死に勉強して
出世した人もたくさんいます。

しかし、階層が固定化するたびに戦争起こされたらたまりませんから、
平和の時にも、社会システムとして、人材が流動化するように
国家は、情報公開したり、富の再配分に配慮して
貧困が教育を受ける妨げになったりしないように、
事前に風通し良くする工夫をするわけです。

この観点から見ると、民主党政権の「子ども手当」というのは
この平和時において社会の流動化に貢献する制度だったことが分ります。

何でもかんでも世襲にするな、というつもりもないものの、
本来なら誰にでも開かれているはずの行政のポストまで
世襲になるとは非流動性もここに極まれり、
という感じです。

しかし、機会の平等を担保しないのは、新しい才能を取り入れる上でマズい、
と思ったある大学が、大学院博士課程を実質的に無料にする、
とアナウンスしました。

東京理科大、来年から「博士課程の学費」を実質タダに

社会の安定が生む階層の固定化ですが、
生き物としては、戦略的にかなりマズい状況といえるでしょう。
生き物というのは様々なリスクに備えて
多様性を用意することが、どんな状況でも生き抜くための戦略になります。
様々な家庭環境で育った様々な個性を持った人たちが
活躍できていくことは、社会そのものを強くします。

どうやったら新しい才能や空気が取込めるのか。

ほとんどテレビは見ない私、たまに見ると
○○審議会やら懇談会に出席している人たちのほとんどが
保身で身を固めたおじさんたちばかり、という状況を目の当たりにして
ちょっと深いため息をつくのでした。

これでは、新しい人材も育たないし、
国際競争力も、落ちる一方です。

今後は、理科大のような試みが増えることを望みますし、
本当はしっかり国のシステムとして機会均等にしてほしいので、
私たち自身が、世襲の政治家を選ばないこと、
も重要かもしれません。

世襲の政治家が何故選ばれるか、というと、
上で述べたおじさんたちが既得権益を守るために
群がるからです。

ほんとに選挙は大事です。
投票率が65~70%を超えるだけで、世襲は落とせる、
と言います。
だから、おじさんたちは落とされないために、
政治を考えることが特殊であるかのような印象操作をして、隠そうとします。

高校生がデモするだけで、大騒ぎになっていますが、
これが世界標準です。
まだまだ時間はかかるでしょうが、
柄谷行人の言うところの「デモのできる社会」が確実に育っています。
それはとりもなおさず、流動性の高い社会への大きなアプローチです。

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ヒマワリ畑が真っ盛り!オリンピックはトラブル真っ盛り。

夏休みも後半。
今は各地でヒマワリ畑が真っ盛りのようです。

20150817

このヒマワリ畑は群馬の岩宿という旧石器時代の遺跡のある町で昨年10月に描いたもの。

去年は9月まで反戦展などの制作で動きがとれず、
しかし、どうしてもヒマワリ畑を描きたくて
検索したら「ヒマワリ畑ネット」というサイトを見つけました。

岩宿は他の地域より少し遅く種を撒くようで、
1日だけ都合つけて、朝5時にうちを出て描いてきました。

みどり市観光ガイド

お近くのヒマワリ畑の情報は、下記の「ヒマワリ畑ネット」に纏められているかもしれません。
是非チェックを!
ヒマワリ畑ネット

鳥のカワラヒワがヒマワリの種を大好きです。
花が終わりかけたヒマワリは要観察ポイントですよ。
ヒマワリと同じような黄色の羽がきれいです。

アルシュ紙に水彩と色鉛筆

アルシュ紙に水彩と色鉛筆

ところで、オリンピックがらみのトラブルも真っ盛り。

オリンピックのエンブレム、
ベルギーのデザイナーがIOCに使用差し止めの提訴をしましたね。

20年東京五輪:エンブレム、ベルギー側提訴 使用差し止め求め

一方、佐野氏はサントリーのトートバックについては謝罪したものの、
オリンピックのエンブレムは問題ないと記者会見しました。

佐野研二郎氏は報道陣に対応せず 広報担当を務める妻が謝罪

訴訟抱えながら、オリンピックの準備するんですかね?

ウソから始まったオリンピックです。
やめちゃえば?

「始めちゃったから」とか
「信用が落ちる」などとグダグダ言って
引き返せなくなり、最終的には膨大な被害をや損失を「国民が」被る、
といういつもの無責任体質、なんとかしてほしいものです。

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父の戦争体験

私の父は、先の大戦でシベリアに抑留されていました。

もともと口の重い人でしたから、
そして、戦争体験を話すことは、
想像以上に本人には辛いことだったみたいで、
あまりたくさんの話しを聞いていません。

今にして思えば、もっと聞いておけばよかった、
と思いますが。

断片的ですが、
今の日本人には想像もつかない話もあるかと思うので
8月15日に記しておきます。

父は、戦争当時、北朝鮮で暮らしていました。
日本領だったのですね。
親戚には、満鉄関係者がいましたが、
父自身は民間の事業で資源を求めて北朝鮮に渡り、
東京本社の父の父、つまり私の祖父の仕事を助けていました。

父にももちろん徴兵の赤紙がきますが、
極端な近視であったため、徴兵検査で丙種不合格で
最後の最後まで戦争には行きませんでした。
当時は、甲乙丙(こうおつへい)と健康状態が分けられ、
甲種合格はすぐ前線に送られたのでしょう。

で、そのまま父は仕事を続け、
3月10日の東京大空襲の直後に
北朝鮮から東京に出てきて、
焼け野原の東京を目にします。

当時は、直江津などと定期船が半島との間を行き来していたようです。
で、新潟から焼け野原の東京に
どうやって来たのか聞きませんでしたが、
戦時下でも、人々の生活が営まれていたことが分かる話しです。

で、定期船を使っていると、特高とも顔見知りになります。
ところが、その東京大空襲で焼け野原になった東京を見て北朝鮮に戻った直後、
父は今度は本当に兵隊に引っ張られます。

思い当たるのは、その顔見知りの特高が、
帰りの船に乗るときは、挨拶しなかったことです。

父は焼け野原の東京を見て「日本は負ける」と確信しましたが、
そういう情報を一般の人間が持って帰ることがマズいので
兵隊に引っ張られたのだろう、
と父は言っていました。

真相は分りませんが、
あり得ることです。

で、父は、生きて帰れないかもしれないから、
当時の家族のことを近所の人に頼んだり
妻や子どもに言い含めたりして、出征して行きますが
二度と長男の顔を見ることはありませんでした。

で、父は半島で出征します。
そして、ちょうど参戦したロシアにシベリアに連れて行かれます。

父は1912年(大正元年)生まれですから、
当時は32歳。
シベリアの抑留は本当に辛いものがあったと思いますが、
「絶対に生きて日本に帰る」
と誓ったそうです。

父の話しで意外だったのは、抑留生活で簡単に命を落とすのは、
頑強な10代20代の若い人たちだったそうです。
十分な食料が無いのは当然のうえ、
若いと空腹が我慢できなくて、
そこら辺にあるものなんでも食べてしまうので、
お腹をこわし死んで行くのだそうです。

父が助かったのはタバコを吸わなかったからかもしれません。
というのは、軍隊は、食料は不十分でも
タバコだけは配られていたのだそうです。
そこで、父は、配られたタバコを貯めて、
こっそり裏から食料班のところに行って
食料と交換してもらい、なんとか食いつないだと言っていました。

シベリアの抑留生活は本当に辛く言葉にするのもイヤだったみたいです。
冬は、放尿すると、その先から凍って行った、と言います。

父はいつ日本に帰って来たのか、
帰国の時どこの港に着いたか、
ほとんど覚えていないのですね。

叔母に言わせると、骨と皮の状態で帰って来たみたいで、
本当に命からがら、だったのでしょう。

この記事を書くにあたり、抑留生活を絵にして残した方がいることを知りました。
★ 旧ソ連抑留画集 ~ 元陸軍飛行兵 木内信夫 ★
管理人は息子さんの木内正人氏。

このかたの記録を読んでいて、父もよく言っていたのが、
ロシア人の歌のうまさです。
一人が歌いだすと、すぐ合唱になるのだそうです。

なお、シベリア抑留をテーマに描いていた画家もいます。
香月 泰男(かづき やすお)です。
独特の黒色はシベリア抑留が原点と言われています。
香月泰男美術館
ただ、この美術館でベリア抑留シリーズはすべてを見ることはできないようで残念です。

グーグル検索で見られます。

ここに書いたものは、父の話しで記憶にあるものです。
極限状態で、父本人の記憶違いもいっぱいあるでしょうが、
戦争になれば、被害を受けるのは、普通の国民です。
そのことだけは、はっきりしていますね。

<関連記事>
今も昔もゲーム感覚のエリート達。快作「陸軍登戸研究所」を見て。
<本の紹介>『画家たちの「戦争」』
資源のない国の生き方

模倣あっての個性、パクリと言われない唯一の方法

佐野研二郎氏、オリンピックのエンブレムから、
様々なパクリ疑惑まで発展してしまいました。

<サントリー>佐野氏作の景品撤回…「絵柄酷似」指摘相次ぎ

佐野氏自身が何を考えていたかは忖度しようがないのですが、
出来てきたものを見れば、疑いようもなく「似ている」というのは、
サントリーのトートバックにも、オリンピックのエンブレムにもいえることです。

イラストやデザインなどが市場経済の中でこれほど大量に消費される時代は
人類史上かつて無かったことで、
毎度毎度「全くのオリジナル」を作ることの難しさは言うまでもありません。

何となく「どこかで見たことあるな」というモノが
出て来るのは仕方のないことです。

それでも、多少アイデアや手法が似ていても
「これは私のオリジナルです」と堂々と言える、唯一ともいえる方法があります。

それは、いうまでもなく、自分の目で見て自分の手で描くことです。

今回のトートバックの中に、フランスパンのバケットの絵がありました。
また、BEACHと書かれた矢印の看板のイラストがありました。
鳥の絵やムギの穂もネットの画像検索で出て来るくらいのものを使ったみたいですね。

これらを見た時に、私が思ったのは、ほんのちょっと手抜きして
馬鹿馬鹿しいほど残念な結果だな、と言うもの。

バケットなんて買ってきて自分で写真撮ればいいし、
さもなくば、バケットやクロワッサンをスケッチするくらいなら
2時間で出来るでしょう。

看板のイラストなんてクレヨンで工夫すれば1時間もあれば描けるだろうし、
鳥や小麦は描いたことが無ければ少し時間かかるかもしれないけど、
小麦はドライフラワーもあるし、小鳥は図鑑からでも描けるだろうに。

佐野氏くらいのデザイナーになれば、
報酬が見合わないから時間をかけない、なんてことは無いだろうから、
もし、自分で描けなければ、イラストレータに依頼すればいい事のはず。

クリエイティブな仕事というのは模倣から始まります。
それは好きな先人の作品の模倣(模写)かもしれないけど、
究極の模倣は実物を見て描くことです。
いわゆるデッサンとか、スケッチ、といったこと。

特に自然はそうですね。
花や鳥や動物もそうだし、人間だって、
実物を見て描けば、10人が10人違う絵になります。
特に『個性』なんて意識しなくても、
10通りの違うものが出て来ます。

いわゆる「パクリ」はぱくりと食べちゃってそのまま使うから
「パクリ」な訳ですが、
同じものを描いても、自分の視神経で見て
自分の手を通して描いたものは、それだけで「オリジナル」です。

実に簡単でプリミティブなこと。

私がこのブログでデッサンをアップして行くのには
そのプリミティブなことこそが基礎だし重要なのだ
と思っているからです。

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「見えない」怖さ

2年間、原発の稼動ゼロだったのに、
昨日、制御棒が抜かれ、川内原発は再稼働しました。

メディアの世論調査でも半分以上の人が
再稼動に反対しています。
毎日新聞世論調査 川内再稼働に反対57%

また今年4月に発表された、民間の調査では、
原発再稼働に反対70.8%、となっています。
ロイターの記事/学者・民間機関調査

事故の再発を懸念する意見では、「たぶん起こる」51.8%、「起こる」22.0%と合わせて73.8%。

ところで、海の向こうのアメリカでは、
金鉱の汚染廃液が川に流れ込んで非常事態宣言が出されました。
CNN日本語記事鉱山の排水が河川に流出、非常事態を宣言 米コロラド州

NBCの英語記事では、動画で住民とのやり取りも出ています。
State of Emergency: Colorado Wastewater Leak Far Exceeds First Estimates

飲み水や灌漑にも使っていた川の水が一瞬にして
黄色い毒の液体となる怖さ。

そして、私が思ったのは、確かにこの川は悲惨な状態だけれど、
その汚染は「見えいてる」。

しかし、原発に何かあった時、当然、その汚染は『見えない』。

川内原発は、かろうじて福島第一原発にあった免震棟もまだ建設中。
1号機は稼動年数も30年を越えている。
火山は噴火以上に火山灰が怖い。もちろん回りは活火山地帯。
避難時にはバスを出す、と言うけど、それは運転手さんの善意頼み。

↓参考になります。
山本太郎参議院議員のブログ

で、この山本議員が、国会で「原発がミサイル」に狙われたら?
という質問をしたら、それは杞憂だという記事も。
何故なら、ミサイルはピンポイントでは狙えないから、という理由なのですが、
こういう記事を書く人は、
福島第一が、電源喪失でメルトダウンしたことを分ってないのでしょうか。

以前、ジャーナリストのまさのあつこさんの報告を記事にしました。

ウミウの警告を無視した東電
まさのさんからコメント頂きました

まさのさんの取材では、
崖を切り崩したところに建設した「夜の森線27号鉄塔」が
地震であえなく倒壊し電源喪失の一因になった、とあります。

実は、ふくいちの事故後に現役官僚が覆面で出版したことで話題をよんだ
「原発ホワイトアウト」という本の最後にも、似たような場面が出て来ます。

以下ネタばれ注意です。
ただ、この本の読みどころは、なんといっても、原発村のシステム解読にあるので、
結末は我々への警告と受け止めて、あえて書くと、
原発自体へのテロではなく、原発に送電している鉄塔にテロが仕掛けられる
という場面でこの話しは終わります。

つまりミサイルは原発そのものを狙う必要はなく、
周辺の電源を遮断するだけで、大事故を起こせるわけです。
ミサイルそのものもいらないかもしれない。

しかも、こんなニュースも。
緊急時放射能予測:政府「不確実」防災基本計画から外す
当然住民や自治体は反発しています。

山本議員も国会で追及しているように、
国民の被ばくが前提、という感じです。

国がこんな無責任なことができるのも、「汚染が見えない」から。

以前にも書いたように、ふくいちのときは東側が海だったので
汚染範囲が半分になりましたが、
もし川内原発に何かがあったら、東側は四国であり、本州です。

しかし、人間は四六時中緊張しているわけには行きませんから、
何かあった時「見えない」ことに頼るかもしれません。

しかし、それは「見たくないこと」を「見ない」だけなので
健全な精神とは言えなくなります。

また、世界中のメディアが注目しています。
そう、海も空も結局地球全体で繋がっていますからね。

作家の平野啓一郎さんが、新国立競技場問題の時に
「次世代の絶望を想像できないのか」
とツイッターで呟いて、話題になりましたが、
この原発の問題は、新国立競技場以上に
絶望感しか残さないような気がします。

エネルギーは、当分石油で賄えます。
その間に、いろんな手だてを考えられるはず。
中国の景気の落ち込みで世界の需要も減っているし、
価格もずっと下がっています。
index
出典(世界経済のネタ帳)

ふくいちの事故から4年半。
代替エネルギーの研究だって、もっと進んでいて良かったはず。
安保法制で、立憲主義を破壊する暇があったら、
国が、それこそ「未来志向で」やるべきことはたくさんあるはず。

この、一度始めたら、壊滅するまでやめられない、ってこの国のあり方。
宿痾というにはあまりに無責任。
意思を持ってやればできるのに、
あとから「いや、あの時僕はおかしいと思ったんだよね」って言い出す気満々のおじさんたちの
退場、本気で願います。

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丸木美術館へのご案内

広島に原爆が落されて70年。
このブログを始めて3回目の8月6日ですが、
やはり今年は、全く切迫感が違いますね。

この原爆の惨禍を絵にした丸木位里・俊夫妻の共同制作
「原爆の図」。
生々しい表現もあり直視できる絵ばかりではないですが、
それでも、一生に一度は見ることをお勧めします。

丸木美術館のホームページ

私が四半世紀前に丸木美術館で購入した「原爆の図」画集。
0806-1
丸木位里・俊夫妻(画集より)
0806-3

丸木位里は水墨画家、俊は油絵画家でした。

原爆の図を描くことになったいきさつはホームページで読めますが、
丸木位里も俊も原爆投下後の広島に入っているのです。
絵の実感が違うはずです。

丸木俊のデッサン
0806-2

日本は、1945年(昭和20年)7月26日に突きつけられた
ポツダム宣言(Potsdam Declaration)をうじうじぐじゅぐじゅ
受け入れずにいたら、原爆を落されてしまいました。

そして、今日、首相は式辞で、非核三原則にも憲法遵守にも触れませんでした。
しかも、昨今は、核武装論者が政権党にはいるみたいです。
またロイターは、「今回の法案で、日本が他国の核兵器を運ぶ事も可能になる」という防衛大臣の発言を全世界に配信しました。
Japan minister’s nuclear comments spark new row over security bills

クラクラしそうなほど
国民の気持ちと全く逆の方向を向いている人たち。

閣僚たちの方が「原爆の図」を見るべきなのでしょう。