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魚,草花,猫,秋の展覧会3つ/センニンソウとキタテハの図

芸術の秋です。

日本の近現代の画家の展覧会を3つご紹介します。
連休にいかがでしょうか。

残りの会期が短いものから紹介して行きますね。

まずは、魚の絵。
東京ステーションギャラリーで、明後日23日まで開かれている
大野麥風展「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち
から。

これは、私は今日見てきました。

前半は日本の草本学や博物画の展示です。
特に39歳で2001年に亡くなった
甲殻類の博物画家、杉浦千里は一見の価値ありです。
杉浦千里作品保存会サイト
アクリル絵の具で描かれた写真かと見まごうばかりの
細密画は海外での評価も高いようです。

で、後半の『大日本魚類画集』も見応えあります。
というか、私は、細密な標本画にも脱帽なのですが、
動いている魚の一瞬をとらえた『大日本魚類画集』がとてもお気に入りです。

大野麥風さん、最初は地味な絵描きさんだったようですが、
関東大震災で関西に越してから、釣りを始め
魚にのめり込んだようです。
実際、素潜りなどもして観察したみたいで、
ラッセンの日本版とでもいいますか、
ダイバーが潜って描いたような魚の表現が
生き生きしている上にユーモアラスでもあり
とても楽しいです。

実際、魚とか鳥とかって正面から見ると何ともいえず
間抜けて可愛いんですよね〜。

また、版画の横に、魚類学権威の田中茂穂と
釣り研究家の上田尚の解説がついていて、
それが、難しい分類の話から
「子どもを生んだら逃がして、種の保存は大切」
といった今的な内容まで多岐に渡っていて、
つい読むので、結構見るのに時間がかかるかも。

それから『大日本魚類画集』の揮毫は谷崎潤一郎なんですが、
その字が柔らかくて、とてもいいのです。

東京ステーションギャラリーは
丸の内北口を出てすぐ左手に入口があります。
出口が二階で、例の新装開店の丸天井の回廊に出られます。

私は、以前フィレンツェに行った時、サンタマリアデルフィオーレの
丸天井に登ったことを思い出してしまいました。

さて、二つ目の展覧会は、草花です。
東京国立博物館の秋の特別展示で、酒井抱一の「夏秋草図屏風」が見られます。
重要文化財、と言っても、
絵的には普通の雑草が描かれているだけなんですが……。 

私は大好きなんです。

何気ないつる草が茂っている様子とか、
シダが繁茂している様子に心うち震えてしまう私としては、
一押しです。

尾形光琳の金屏風に対しての銀屏風、という見方が
一般的美術史的な見方ですが、
私的には、何気なくて蔓延るので見向きもされない雑草、
つる性のクズとかコヒルガオ、それにヤマユリを心憎いまでに
さりげなく作品に高めた一品です。

会期が短くて、9月29日(日) までです。
お見逃しなく。

最後は猫です。
東京近代美術館で開かれている、竹内栖鳳展 近代日本画の巨人
http://www.momat.go.jp/Honkan/takeuchi_seiho/index.html

代表作《班猫(はんびょう)》も重要文化財。(山種美術館蔵)
猫好きにはたまりません。
この画家の観察眼もすごいものがありますね。
ただ、竹内栖鳳は特段に猫好きだったというわけではないらしく、
猫を描く為にこの猫を飼った、といわれています。

とはいっても、古今東西猫の絵や彫刻は数あれど、
エジプトのバステト神、
ロートレックの黒猫のポスター、
などと並んで、この絵は傑出しているような気がします。

こちらは9月25日から展覧会終了まで見られるようです。

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さて、私の今日の一枚は、
「センニンソウと キタテハ」
です。
センニンソウは花の盛りは終わりかもしれません。
つる性で、十字の真っ白な花は顎だそうで、
またきれいですが、有毒らしいです。
きれいなものには毒がある、というわけですね。

紙に色鉛筆、水彩

紙に色鉛筆、水彩

今週は更新はこれまで。
連休開けにお目にかかりましょう。
ではでは。