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家族だからこそ「バカ」と言ってはいけない

以前から気になることがあります。
家族に平気で「バカ」と言うことです。

かなり前、近所の方に絵を教えていたことがあり、
その時、度々主婦の方から
「主人にお前はバカだから、って言われちゃうんですよ〜」
と嬉しそうに話すのを聞かされ、
いつも不思議だったのです。

友人に言わせると「アレは夫自慢の一種」という事なのですが、
自分を貶めることが夫自慢になるのか、私は不思議でした。

半年くらい前のことですが、
土曜開庁している区役所の出張所に書類を取りに行った時、
椅子に座って書類が出て来るのをまっていたら、
すぐ近くから
「お前バカだな、そんなこともわかんないの?」という声が突然聞こえ
飛び上がりそうになりました。

30代後半のご夫婦でした。
書類の説明をご主人がしているらしいのですが、
奥さんはなかなか飲み込めないようでした。
しかし、あの公共の場で「お前バカだな」と言われた奥さんは
どんな気持ちになったことでしょう。

二三日前には、父親が小学校低学年の子どもに
「バーカ」と言っているところに出くわしてしまいました。

夕方、まだ自転車にうまく乗れない子どもと一緒の父親でした。
子どもは女の子で、フラフラしながら、
お父さんの自転車に追いつこうと一生懸命です。
そこへ車が後ろからやってきました。

父親は「気をつけろ」のつもりでしょうが「バーカ」と娘さんに言いました。

案の定、こどもはパニックになって
自転車を上手く乗りこなせません。
狭い裏道でしたから、自動車がとまって待っていました。

危険であれば、「危ない」とか「左に寄って」あるいは「止まって」
と言えばいいだけで、「バーカ」は余計です。

男性の中には、多分、「「バカ」と言うのは愛情表現の一種だ」くらいに
思っている方も多いのかもしれません。

でもどうなんでしょう。
人間って、そう思ってなくても、口に出して言っていると
だんだんその気になったり、
自分で自分に思い込んだりするようになるもんではないでしょうか。

都議会で、 塩村文夏都議(35)が、
質問に立った時「お前が早く結婚すればいいじゃないか」「産めないのか」と
男性都議からヤジを飛ばされた件は、抗議の電話が千件以上いっているようです。
当然と言えば当然です。

しかし、正直言ってウンザリです。
この程度の人権意識も無い人たちに
私達の代表として税金から俸給が支払われていると思うと
ガックリです。

この塩村議員の件「セクハラだ」とも言えますが、
基本的には人権問題でしょう。
結婚や出産は個人の問題です。
だいたい「セクハラ」という言い方事体が
揶揄めいた響きを持っていて嫌いです。
「ほんとはセクハラなんて気にしたくないんだけど最近やたらそういうのうるさいから気にしてやっている」的なニュアンスです。

こんな風に
公共の場で他者の人権を尊重できない人は
家では家族とどのように接しているのでしょうか。

人間は毎日毎日の行動がふとしたことで
露になります。

私が就職したての20代初め、
営業と上司の課長2人と話していた時にプライベートな話になり
「嫁さんまた妊娠してさ、さっさとおろしてこいと言ったんですよ」
と営業の課長が言い出た時には目が飛び出ましたが、
なんだかそのころと男性の意識ってどのくらい変わったのかなあ、
と、塩村都議の件で思ったわけです。

日本の少子化は宜なるかな、です。

可能な女性は、日本から逃げればいいし、
出来ない女性は、とにかく個人的に人権意識のある男性と
繋がっていくことでしょうね。

私は、いま家庭でストレスを感じることはほとんどありません。
でも、そうなるまでには、何かあっても決して「バカ」とお互い言わなかったし、
私自身は受け入れられないことがあると、
1)何が受け入れられないか、
2)なぜ受け入れられないか、
3)相手にどうして欲しいか、
をキチンと話してきました。

家族だからこそ「バカ」とは言ってはいけないと思います。
もちろん女性(妻や母親)もですよ。

そんなところから直していかないと議会の下品なヤジも
根絶されない気がします。