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オペラアイーダ、キャンセル騒動

9月に東京ドームで開催が予定されていた、
「オペラアイーダ」のキャンセルが話題になっています。

私も今朝の新聞を見てビックリ。

10万人動員予定が4000枚しか売れなかった、
ということのようですが、
ネットニュースでは韓国企業が絡んでいた、
という記事もあり、謎が謎を呼ぶ雰囲気。

実は私、このヴェローナ野外円形劇場で実際にオペラを見た事があるのです。
なので、その時の思い出も交えながら、
この話題について書いてみます。

まず、検索してみてビックリしたのが、値段の高さ。
すでに公式のHPは払い戻しの画面しか残っていないのですが、
こちらの案内によると(これもリンクがすぐ切れそうですね)
VVIP席 一般価格:70,000円
VIP席 一般価格:50,000円
R席 一般価格:30,000円
S席 一般価格:18,000円
A席 一般価格:8,000円

実は東京にはオペラやダンスなどのパフォーマンス系の劇場「新国立劇場」があります。
そこを使わずに、東京ドームにしたのは、多分、ヴェローナ野外劇場をそのまま持ってくる、
という規模のためでしょうが、
そもそもそれが無理筋だったなあ、と思います。

というのも、かのヴェローナ野外劇場は、確かに野外劇場なのですが、
音響がとても素晴らしい劇場なのです。

私がヴェローナに行ったとき、最初からオペラを見るつもりはなかったので、
当日の午後に空いている一番安くて一番空に近い席しか残っていませんでした。
つまり、野球場の外野のセンタ奥一番上の席。
値段は三千円くらいだったと思います。

ちなみにこのヴェローナはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台の街で、
またロマネスク美術の宝庫です。

で、全く舞台から遠い席で、期待もせずに見たのです。
演目は「カルメン」でした。
円形劇場の大きさは、ローマのコロッセウムに比べたらずっと小さく、
イタリア国内3番目の大きさをだそうで、収容人数は2万5000人とか。

イタリア、アレッツオの街灯

イタリア、アレッツオの街灯

席に座ると、自分の手のひらくらいに舞台が見えました。
武道館の一番上より舞台が小さいのですから、
あまり期待はしませんでした。
あくまでも話の種、という感じ。

しかし、始まってビックリしたのが、音の良さ。
歌手の囁くような歌も(何を言っているかは分からないけど)
ハッキリと聞こえました。
もちろん生のオーケストラの音の素晴らしさ。
どうやら、すり鉢状になっているので、
音が這い上がってくるようでした。

席はほぼ満席ですし、夏とはいえ、アリーナ席は盛装の男女で埋まっていて
音の吸い込みもあるのでしょうが、
魔法のように良く聞こえました。
そして、さらにド肝を抜かれたのは、舞台に4頭立ての馬車が出て来たことです。
スペクタクルとしても申し分なく楽しませてくれました。

一方、一緒に行った友人は、オペラに興味が無く、最初は行かないと言っていたのですが、
結局最後はチケットを買って、席はオーケストラボックスの真下。
指揮者の背中しか見えなかったそうですが、
楽団員の譜面まで読めたので感激だったと言っていました。

もしこの規模の舞台を東京ドームで再現するとしたら、
まず、絶対的に音響が不備だったと思います。

日本でオペラを見たい、と思う人は、少なくないでしょうが、
でも、シルク・ドュ・ソレイユを見る層が行くには、
上記の値段は高すぎます。
また、夏休みやバイトロイト音楽祭やニューイヤーコンサートは
ツアーが組まれて、本場が見たい人は、7万円を東京ドームで払うなら
一年我慢して、現地に行くでしょう。

それに、絶対的に準備期間が少なかった感じです。
今年は、ヴェルディ生誕二百周年で、
ヴェローナ劇場が再び劇場として使われるようになってからも百周年、
ということで、「アイーダ」の1913年当時の美術舞台が再現される
企画もあるようです。

たとえ、東京ドームで舞台を再現出来ても、やはり音響のコストパフォーマンスは
問題を残したでしょうね。

舞台興行として内部にどんな問題があったのか
知る由もありません。

観客としては、今はネットでチケットが買える時代ですから、
来年の夏休みに現地に行ってみるのもいいかもしれませんね。

ベネツィア・サンマルコ広場

ベネツィア・サンマルコ広場

↓アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団・合唱団の「アイーダ」が出ているようです。