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一角獣と貴婦人/ お薦め・展覧会もやってます。

今、トレイシー・シュバリエ(Tracy Chevalier)の
“Girl With A Pearl Earring”(真珠の耳飾りの少女)
というペーパーバックを制作の合間に読んでいます。

フェルメールのあまりにも有名な「青いターバンの少女」
を題材にした小説です。

トレイシー・シュバリエはヨーロッパの芸術作品をヒントに
物語を紡ぐことをひとつの売りとしているようで、
以前たまたま本屋さんでこの作家の
“The Lady and the Unicorn”(邦題「一角獣と貴婦人』)
を見つけて読んだ事があります。

これはパリのクリュニー美術館(中世美術館)にある
有名なタペストリー作品を題材にとっています。

実はこのペーパーバックを見つけたとき、
その一ヶ月前くらいにパリへ行ったばかりで、
やっぱりたまたま「中世美術館」が泊まった宿の近くにあることを知って出かけて行き、
ほんとにたまたま、この「一角獣と貴婦人」というタペストリーを
見たばかりだったのです。

タペストリーはヨーロッパでは貴族が壁に飾るもので、
手間ひまかけて機で織られ、複雑な模様のものになると
完成までに3年くらい掛かったものもあるようです。
このクリュニー美術館(中世美術館)のものは
6枚セットで、
「味覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「触覚」、そして「我が唯一つの望み」(A mon seul désir)をテーマに作られています。

例えば「味覚」は、オレンジ(らしい)などの実のなる木に囲まれた貴婦人が
侍女の差し出すお皿から果物を摘んでいるその下で、
お猿さんが何やら食べています。

「聴覚」をテーマにしたものは、
ハープに鍵盤がついたような楽器を貴婦人が演奏していて、
侍女がふいごのようなもので空気を送り込んでいる様子も見えます。
一角獣(ユニコーン)は聞き惚れたように、横たわっています。
どの場面も、貴婦人の足元は細かい草花で覆われています。

さて、なんとこの、6枚セットの「貴婦人と一角獣(きふじんといっかくじゅう、フランス語 : La Dame à la licorne」が今、日本に来ているではないですか!

フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣展
The Lady and the Unicorn from the Musée de Cluny, Paris, France

先日ご紹介した「日本におけるイタリア2013」でラファエロやミケランジェロが来てしまうし、
この展覧会も「フランスの至宝、奇跡の初来日」となうってます。
日本がまだまだ経済大国であることを物語っていますね。

織物で染料なので、多分かなり光量は落してると思いますが、
見て損はないと思います。

クリュニー美術館(中世美術館)は今にも崩れそうな小さな小さな美術館なのですが、
その古色蒼然としたところが私のお気に入りでした。
私のホームページからもリンクしてあります。

真珠の耳飾りの少女 [Blu-ray]は映画では
スカーレット・ヨハンソンが主演ですね。

白水Uブックスから翻訳も出ています。