芸能人も労働者。SMAPの件で思い出した、シャーロット・ランブリングの話し。

SMAPのテレビでの謝罪騒動は
労働基準法と人権の問題だと思うし、
既にその事を指摘されている専門家の方の記事もいくつかあります。

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SMAP謝罪中継「ブラック企業の退職妨害と通じる面がある」労働弁護士が批判

メリー喜多川副社長に「退職強要」の疑惑 事実ならば法的問題も

ちなみに、AKB48のメンバーが誰かと交際して丸刈りになったのも
明らかに人権問題でしたね。
今回ほど問題にならなかったですけど。

上記の紀藤弁護士の記事にもあるように
海外では、芸能人は個人事業主で、
事務所とは契約を交わし,という形が一般的です。

この芸能人が「一人の人間として個人である」
という話しで思い出すのが、故大島渚監督が
マックス、モナムール」を撮影する時に
シャーロット・ランブリングと会ったときの話です。

詳細は忘れましたが、
大島渚監督が、
シャーロット・ランブリングと最初に出演交渉する時に
たった一人で現れてビックリした。
と言っていました。

マネージャーすら連れていなかったらしく、
非常に印象的で、
ヨーロッパの俳優は自立しているな、
と思ったそうです。

芸能人だけではなく
労働環境の悪さは,日本は自慢ではないけれど
先進国一良くないわけです。
その一番の理由は、ナショナルセンターと呼ばれる全国的な労働組合組織が
チカラがないので、労働条件などを経営者側に
良いようにされてしまう、ということがあげられるでしょう。
(一応「連合」という組織はありますが,ストライキも出来ないですね)

以前は「総評」と言われる大きな組織がありました。
それも中曽根元首相のもとで解体されてしまいました。

国民も反対しませんでしたが、
当時は日本は右肩上がりの経済で
まさに一億総中流へ向かっているときでしたから
仕方なかったのかもしれません。

しかし、自民党政権の流れの中で
明らかに労働者の団結を削ぐ政策が進められて来た事は
今になると,よく分かります。

国民の中にも、日教組をターゲットにしたり
労働組合が悪の組織であるかのように思っている人もいるみたいですが
今のような労働条件になってみて
労働組合の必要性が増していている事は分るはずです。

多くの人が自分は「労働者」という意識がない日本。
でも、資本家だけで食べている人以外は基本的にはみんな大なり小なり労働者です。
そして,労働者は弱い存在なのです。
その事をSMAPは現前化してくれました。

で、芸能界でも,実は労働組合を作ろう,と考えている人がいるみたいなのです。

俳優・小栗旬は事務所の取締役だった!?時期社長という噂も…

この記事の下の方に,小栗旬さんが労働組合を作ろうとしている、とあります。
この方のお父さんは小栗哲家さんと言って、
ボローニャ国立歌劇場などの日本公演を手掛ける舞台監督だそうですから、
海外の事情にも詳しいのかもしれません。

SMAP騒動は奇禍として、こういう動きを応援したいですね。

そして,芸能人ではない,普通のか弱い労働者たちも、
派遣労働者(非正規雇用)が3割を超え
中には収入が足りずに食事の回数を減らした人や
ガスや水道がとめられた経験がある人も出て来ています。

非正規労働者2割「食事回数減らした」 生活苦しく
(連合の調査です)

今の政権は国民のチカラを削ぐ,という方向に
あらゆる政策が向かってますから、
国民もしっかり政治にはコミットしていかないと大変です。

このように書くと、政治状況や経済状況に負けない個人力をつけるべきだ
みたいな意見もネットには見られるのですが、
自分が力を付ける事と、政治にコミットする事は車の両輪です。

何故なら、どれほど、個人力をつけても
人間である以上、明日突然事故で怪我したり思わぬ病気にかかったりして
弱者になる可能性はゼロではないからです。

「明日は我が身」
最近はあまり聞かない言葉ですが、
とても重要な視点だと思います。