日別アーカイブ: 2014年12月13日

木村草太氏、國分功一郎氏、伊藤真氏の憲法の話。

かなり前ですが、8月の終わりに、
今最も脂ののっている哲学者のひとり、國分功一郎氏と
若手の憲法学者の木村草太氏の講演と対談を聞いてきました。

↓國分功一郎氏
20150617kokubun

↓木村草太氏
20150617kimurasouta

また、10月半ばには、「日本一わかりやすい憲法入門」として
弁護士で伊藤塾の塾長、伊藤真氏の話しを聞きました。

書こうと思いつつ、機を逸してブログに上げていませんでしたが、
どちらも、とても濃い良い内容で、
自民圧勝と言われる選挙を控えて、やはり短くても記事にしておいた方がいいと思い、
書く事にします。

前者は、国立市公民館図書室の主催する
「哲学と憲法学で読み解く 民主主義と立憲主義」
という表題のイベントで、國分さんのツイッターで知ったのでした。

いまから半年前の7月1日の集団的自衛権の容認の閣議決定を受けての
哲学と憲法学からのアプローチを試みるものでした。

國分さんは哲学者の立場から、
事象と概念を論理的に分析して理論的に順序立てて考える作業を、
木村さんは
憲法学者として、正しい知識を知って考えてもらう、
というスタンスでした。

伊藤真さんの講演は、地元の地方議員さんの主催の講演会でした。
ずばり、日本国憲法ってなんだろう、というものです。

どちらの会も
当日配られたサマリーやパワポの資料が手元にあります。

3人の話しをまとめるのは少々無理がありますが、
印象に残ったところ、また、あまり世間でいわれていない内容、
そして、これだけははずせない、と私が思った論点を書いておきます。

國分さんは、政府の言動から見える政府の欲望を分析。
「国民を守るため」「日本が危ない」
と煽っているが、もし本当に危険なら、
現行の法律で出来ることはいくらでもあるのにそれをやらない。
どうやら、安全保障のために解釈改憲が行われたのではなく、
「解釈改憲」のために安全保障を持ち出されたのだろう、と。

なるほど。

また、各地の自治体で、憲法を守る会などの集まりが「政治的」と言う理由で
中止されるなどに危惧を抱いておいでて、
「おおいに政治の話しを普段からすべし」
意見が違うからって、絶好なんてする必要は無い。

そして「民主主義」と「立憲主義」について言及されます。
「立憲主義」に関しては、伊藤塾長のところでまとめます。

私が、とても新鮮だったのは、
自らのお話を「専門的技術的解説」と言っておられた
木村草太さんの、テクニカルな分析。
憲法に書いてあることだけを読みこむだけで、
こんなに様々なものが見えて来るのか、
という驚き。
私たち、全く憲法使いこなしてないじゃない、という慚愧の念。

実は、憲法には内閣のするべき仕事が73条に書いてあるのだけれど、
その中に「外交」はあるけど「軍事」は無いので、
軍事に言及した閣議決定は明らかな違憲、だと。

え、そうだったんだ〜。

そして、「まともな」憲法学者なら必ず「違憲」と言うだろうと。

ちなみに
「外交」は他国の主権を尊重して、対等の立場で行う活動
「軍事」は他国の主権を制圧して行う活動。
と定義されるようです。

その他にも
「知性とは他者の視点を持つことである」
「民主主義の概念は一つではない」
などと、知的に刺激的な言葉が印象的でした。

さて、伊藤塾長のお話は、すべてをテキスト化したいような内容でした。
ただ、ここでも印象的だったのが、
「国民は憲法を守るために、本当に努力して来たのだろうか」
という問い掛け。

ず〜〜ん。ですよね。

以下は、塾長のパワポから。
<日本国憲法の理念と基本原理>
●個人の尊重を中核とする立憲主義の理念
 すべての人々が個人として尊重されるために、
 最高法規としての憲法が、国家権力を制限し、
 人権保障をはかると言う立憲主義の理念を基盤としている。
●基本原理
 立憲主義に立脚し、国民主権、基本的人権の尊重、
 恒久平和主義を基本原理としている。

木村さんが
「知性とは他者の視点を持つことである」と言っていたように、
伊藤さんは
「多数意見が常に正しいわけではない」
「多数意見にも歯止めが必要」
「多数意見や法律でも奪えない価値、平和や人権など、があるはず」
という事を言っていて、

「人間は間違いを犯すことがある」
という謙虚さが憲法の根底にはある、
と指摘されていました。

憲法とは国家権力を制限して国民の権利と自由を守る法
である。
国民には政治家など公務員に憲法を守らせる責任がある。
とも。

選挙の争点は「アベノミクス」だそうですが、
むしろ選挙の結果、何が起こるのか、
という想像力が今一番重要なのかもしれません。

ポリタスのサイトに、哲学者 国分功一郎氏の【総選挙2014】亡命はなぜ難しいのか?という記事が載っています。

是非、多くの方に読んで頂きたいです。