日別アーカイブ: 2013年11月30日

鹿の話がつたえること / バンビとロビンの図

今日の一枚
画用紙に水彩と色鉛筆

画用紙に水彩と色鉛筆

友人の講演会のチラシのイラストに
鹿さんのリクエストをもらったので、
デッサンに行ってきましたが、
寝てるとき以外、全然じっとしていないんですねえ、これが。

頻繁にピエー、ピエーと啼いて
おしゃべりしていました。

バンビはディズニーの映画で有名ですが、
実は原作があって、オーストリアの作家フェーリクス・ザルテンの
子鹿の成長を綴った児童文学作品です。
Bambi, ein Leben im Walde

絵の鹿さんは、子鹿をモデルにしたわけではないので、
厳密に言うと題名のバンビは「誤表示」かもしれませんが。(今流行の。笑)

鹿の話がつたえること

実は今、各地で鹿の食害がかなり深刻になってきています。
その頭数を減らすこともされているようです。

屋久島でも問題になっていて、
羊歯の芽が若いうちに鹿に食べられてしまいます。

それを検証するために、柵を設け、
鹿がはいれないようにした所は
羊歯が明らかに伸びているのを
私もヤクスギランドで目にしました。

先日、鹿の繁殖行動について研究をされている
麻布大学獣医学部講師の南正人氏のお話を聞く機会がありました。

南氏は宮城県金華山島でニホンジカのフィールド調査研究をされています。

まず、島内の神社にいる150頭の鹿に名前を付けて行く事から始め
シカの繁殖から見えてくる自然界の様子を調査されています。

小さな島の中なので、シカが増えていくと
ミミズやモグラといった地中の生物にも変化が出るそうです。

また、シバはシカに食べられると発芽しやすくなり、
大繁殖するようになります。
ところが、シバは冬に枯れてしまうので
シカの冬の餌が無くなり、クラッシュ(崩壊)が起こり
シカは激減するするのだそうです。
シカ自身が変えた環境によって大きな影響を受けてしまう、
と言うことなのです。

面白いのは、シカに食べられるだけのように見える植物も
自らの生存と子孫を残す戦略を時間と共に獲得して行くことです。
例えばアザミは、シカに食べられる前に花を咲かせるために
芽がでたら、すぐ花を咲かせるようになったり。

南氏は今までに600頭くらいのシカの観察をされてきたそうです。
こういった基礎生物研究は本当に地道で、
すぐ産業に結びつくわけではないけど、本当に重要なので
広く認識されてほしい分野です。

私たち人間だって、自然だし、生物ですから
すぐ役に立つ立たないだけではなく、
自らの寄って立つ生態系について知ることは深い意味があります。

さて、鹿の害が増え出したのはこの15年くらいだそうです。
場所によってはシカに植物が食べられてしまって、
鳥類や蝶類も減っているそうです。

質問タイムに、私が狼の絶滅との関係を伺った所、
狼が絶滅したのはすごく昔で、
鹿の害はこの15年くらいのことなのでそれでは説明がつかない、
里山の減少など複数の要因があるのだろうが、
特定は出来ない、と言うことでした。

ところで、
「シカ自身が変えた環境によって大きな影響を受けてしまう」
という話、私たち人間にも当てはまりそうな話ではないですか?

人間自身が変えた環境によって大きな影響を受けてしまう
もう既にそうなりつつあるのかもしれないけれど、
肝に命じたい問題の一つですよね。

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