日別アーカイブ: 2013年10月14日

タネの話(1)/ 3葉のイネの図

半年前、4月から田んぼ作りに参加してきました。
ついに昨日はハザ掛けから降ろして
脱穀でした。

脱穀機も足踏み式の古いもの。
次々と黄金色の粒がバケツに集められて行きました。
最後まで現場にいられなかったので、
総量はどのくらいになるのかわかりませんが、
軽く60キロは越えたのではないでしょうか。

今年は、雨が少なかったけれど、ギリギリ足りて、
また、刈り取りの前に台風が来る事も無く豊作だったと、
毎年行事のお手伝いをされている方が仰っていました。

もとはと言えば、一粒のタネもみ。
それが、水と太陽の力で、400粒にも500粒にもなるのです。

20130415
↑ これを蒔くと、
↓ 一ヶ月くらいでこうなって、田植えをして水をはり、
20130821001
↓ 最後はこうなります。

紙に水彩と色鉛筆

紙に水彩と色鉛筆

一粒のタネから、鈴なりの実を成らす植物。
品種改良されているとはいえ、
まさに自然の恵みです。

しかし、この「一粒が500粒になる」タネ、人間から見ると、
一万円が500万円になる、と見えるのでしょう。
放っておく訳がありません。
「タネを制するものは食料を制する、食料を制するものは人類を制する」
と世界のタネ企業は、世界市場を支配しようとしのぎを削ります。

そのタネのお話を、タネ屋の3代目である野口勲さんが書かれた本が
タネが危ない」です。


何やら人を煽るような題名ですが、読み進むうちに、
タネをめぐる人間の飽くなき欲望が推進する技術には、
デンジャラスな匂いが立ちこめてきます。

その代表格が「遺伝子組み替え」(GM作物)です。

実は2週間ほど前に、映画「世界が食べられらなくなる日」を見て来たばかりです。

この映画は、カーン大学のセラリーニ教授が
モンサントのGM作物をラットに食べさせる実験を行い、
それを、ジャン=ポール・ジョーが映画にしたもの。
モンサント社の実験は3ヶ月までしか行いません。
それで安全と言って売っているのですが、
映画では、実は4ヶ月目からラットは死に出すのです。
ラットの寿命は2年。
2年かけた実験結果は恐ろしいものです。

で、この映画を作っている時に、ふくいちの事故が起き、
監督は必然的に原発問題もこの映画で取り上げることになります。
映画にはフランスの原発の実態も映し出されます。

そして、映画では、
「これは命の問題」
「政府は必ず嘘をつく」
「私達はモルモット」
「子どもたちのために戦う」
などという言葉がインタビューで頻繁に出てきますが、
原発の状況ととまったく同じです。

そして、ジャン=ポール監督は
原発と遺伝子組み替えという二つのテクノロジーには
三つの大きな共通点があると言います。
①取り返しがつかない。
②一度汚染されたら元に戻らない。
③世界中にすでに存在している。

ところがもっと恐ろしい事を、セラリーニ教授は説明します。
この二つは、似ているだけではなく、実際に「遺伝子組み替え作物」と「核技術」を開発したのは
250の同じ企業グループで、しかも彼らは世界の富の半分を支配していて、
この体制が支配層を生み、民衆を犠牲にしてきている。
彼らの利益のために、すべてが犠牲になっている、と。

まさに、1%と99%。

しかしですね、
私は思うのですが、確かに1%の人たちは核技術や遺伝子組み替えで、
莫大な利益を得ているかもしれないけど、
同時に他者の足下だけではなく、生態系という自分達の足下も崩しているように
私には思えるのですよね。

それはさておき、
映画のラットの実験は公表され、
その結果は「ヤバいぞ」ということになり、
ヨーロッパでは遺伝子組み替えは拒否されてきています。

それでも、先の野口勲さんの「タネが危ない」を読むまで、
私の「遺伝子組み替え」への怖さは漠然としたものでした。
腫瘍ができたりするから怖いものなんだ、というイメージ。

しかし、その技術「アグロバクテリウム法」を知ると、
もうイメージではなく、ほんとにやっちゃいけない事やっている、
という思いが強くなります。

この問題は、引き続き次回に取り上げようかな、
と思っています。